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繋がれた明日



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【この小説が収録されている参考書籍】
繋がれた明日
繋がれた明日 (朝日文庫)
繋がれた明日 (新潮文庫)

繋がれた明日の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

罪を償うことの難しさ

週刊誌の連載に加筆修正した長編小説。少年犯罪をテーマに、加害者と被害者の関係性、罪と罰、更生するとはどういうことかを追求したサスペンス作品である。
19歳のとき、自分の恋人につきまとうチンピラを追い払おうとして喧嘩になり、護身用に持っていたナイフで刺殺してしまった中道隆太。5〜7年の不定期刑を受けて少年刑務所に服役し、6年が過ぎた26歳で仮釈放された。刑期満了までの11ヶ月間は保護観察下に置かれることになり、保護司の大室、解体工事業者の黛などにサポートされながら、解体現場での仕事とアパートでのひとり暮らしを始めることになった。何とか自力で立ち直ろうとしていた隆太だったが、一週間もしないうちに昔の遊び仲間が現われ、さらには隆太の写真と罪状を記載したビラがアパートの周囲や、離れて暮らす母と妹の住まいの周辺にまでバラまかれた。誰が、なぜ、隆太の更生を邪魔しようとするのか? 事態の深層を探るために動き出した隆太は、周囲の善意と悪意に遭遇するたびに悩みながら、怒りながら、自分の罪と罰について考え続けざるを得ないのだった。
罪を犯した者は服役という罰を受けても許されないのか? 少年が更生するとは、どういうことなのか。加害者が「被害者にも落ち度があった」と思うのは卑怯なのか・・・。永遠に答えが見つからない問題を自問自答する若者の苦悩がメインの物語。従って、同じような内面描写が何度も何度も出て来るため、文庫で500ページの長さがやや冗長に感じられる。しかし、物語の構成、エピソードの面白さ、ストーリー展開のテンポはレベルが高く、サスペンスに満ちたエンターテイメント作品に仕上がっている。
ミステリーというより社会派サスペンス作品として読むことをオススメする。

iisan
927253Y1

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