取引



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取引
取引 (講談社文庫)
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初公開日(参考)1992年10月
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長編小説

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取引 (講談社文庫)

1995年11月15日 取引 (講談社文庫)

公正取引委員会の審査官伊田は汚職の嫌疑をかけられた。何者の策略に嵌り事件に巻き込まれたのだ。ある所からの誘いによって彼はフィリピンへ行くことになる…。ODA(政府開発援助)プロジェクトに関する談合事件をマニラで調査する伊田の身に危険が迫る。期待の乱歩賞作家が放つ長編推理サスペンス。 (「BOOK」データベースより)




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取引の総合評価:7.50/10点レビュー 16件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

物凄い取材力に感服

とにかく、こんな専門的な事をよく調べたものだと取材力に圧倒された。
この内容の充実さを考えると年に一作ペースで執筆するという作者のこだわりも、よく理解できる。
これを、他の人気作家の様に年に3作、4作と書いたら、間違いなく廃人になってしまうことだろう
前編と後編で、まったく別の内容の小説が(それも秀逸な)簡単に出来上がってしまうような内容で、しかも、この二つの話をコネクトする手法も無理なく自然に導入されている
最後は私が好きになった登場人物を最後はいい形で終わらせて欲しかったのだが、残念ながらアンハッピーエンドということになってしまった。
最も魅力的な登場人物:遠山順司(主人公の高校時代の同級生であり今回の捜査対象)

mustang
PCGQIQ4X
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

愚行は今も変わらず

2作目のジンクスという言葉がある。
本作は真保氏にとって江戸川乱歩賞受賞後の第1作、つまり第2作となるのだが、そのジンクスを跳ね返すべく、彼が並々ならぬ精力を本作に注いだのが冒頭から滲み出ている。

まず本作のメインであるマニラでのODA大規模プロジェクトの内偵に主人公伊田が関わる経緯からして非常にミステリアスであり、読ませる。100ページ以上費やして語られる導入部はぐいぐいと興味を引っ張り、ページを繰る手が止められない面白さだ。
そこから展開するマニラでの日本建設業界への潜入捜査、マニラを含め、フィリピン各所で繰り広げられる追跡行を読むに当たって、よくもまあ、これほど詳細に書けるものだと感心することしきりだ。真保氏の取材力の緻密さには定評があるが、確かにこれはすごい!

まず、空港を降り立ってホテルにチェックインするまでの流れは私が今まで何度も経験したその動きをそのまま投影しているかのようだ。しかも建設業界の内幕の様子もさることながら、フィリピンでのビジネスについても作者は熟知しており、終始ニヤリとするとともに、感嘆を禁じえなかった。
そして主人公やその他登場人物が縦横無尽に行動するフィリピンのマニラの街並みの描写も詳細を極めているが、スールーとかバギオなどの通常日本人が行かないようなところにまで踏み込んで舞台にしているところが、単純に小説に使うという名目で作者がフィリピンへ観光旅行したのではなく、明らかに明確な意図を持って入念に取材した事が窺え、この作者の作品に向かう誠実さを感じさせられた。
これがまだ2作めだというのだから恐ろしい。

そしてこの本を読むタイミングというのもまた良かった。建設業界の談合話に加え、小説の舞台がマニラ。これは今現在フィリピンに滞在する私に対し、今読め!と云っているようなものである。
しかし、それでも本作は星10を手放しで与えようとするとどうしても抵抗があるのだ。
それはテーマと中で扱われている内容にどうしようもない乖離を感じたからだ。

私は冒頭のプロローグから第一部の展開までの物語の流れを読んで、愚直なまでに自らの仕事に対して正直な男の復活劇だと期待した。それは一度閑職に追いやられた男が公正取引委員会という仕事が世に蔓延る不正を正し、悪の芽を詰む物だということを自らの信条とする伊田和彦なる男が密命を帯びてフィリピンで行われているODAの大型プロジェクトの不正を暴く、そういう物語だと思っていたからだ。
しかし、蓋を開けてみれば、それは単なる物語の意匠に過ぎなくて、この物語の核心はフィリピンで起きた誘拐事件の探索行、そしてその事件の真相を巡る物語だったのだ。

確かにフィリピンという国を縦横無尽に駆け巡る誘拐事件の解決劇は面白い。2つ起きる誘拐事件のうち、核となる第1の事件は660ページ強の本書の中で300ページ弱と、半分を費やして語られ、それ自体1編の長編に相応しい内容になっている。しかし、そこから私が期待した展開は、そこから伊田の当初の目的である談合の証拠を掴む調査の話だった。しかし、上にも述べたように実はそうでなく、この誘拐事件に隠された真相を巡る物語が展開する。
これがどうしても私には納得が行かなかった。それは本作の主人公伊田と調査の対象となる相手の1人に彼の高校時代の友人遠山順司という人物が設定されていることも一因だ。

この遠山順司というサブキャラクターが非常に魅力的に描かれている。この好男児に対し、伊田が自分の使命と友情の維持という葛藤に対し、どのような決断を下して乗越えるのかに私は非常に興味があった。多くのページを費やして繰り広げられる追跡行も、伊田と遠山の結びつきを強めるガジェットとして受け取っていたのだ。
しかし作者の思惑と読者である私との思惑が一致しなかった。これは非常に残念だと思った。

しかし、これは単純に作者が悪いというわけではない。私が勝手に展開を予想した事による齟齬なのだ。もし私が何の先入観もこしらえずに白紙状態で向き合っていたら、読書の悦楽にどっぷり浸かることができただろう。
真保氏の小役人シリーズはまだ2作しか読んでいない物の、非常に好きなシリーズである。だから私は良い読者でありたい。彼は小役人を主人公にする事でミステリを描く作家だという事を念頭に変な先入観を持たず、次から読む事にしよう。

1992年発表の本書で語られる建設会社の談合事件が26年後の今なお続いているのを見ると、この世の中というのは何も変っていなく、日本という国が根っからの土木国家という事をまざまざと知らされる。
それは本書で述べられるフィリピンもまた同様だ。100ペソ札(現在のレートで220円前後)1枚で賄賂が成り立つ貧困状況、幼児売買、臓器売買が成されている現状(しかも臓器売買は合法化されているとまで云われている)など全く変っていない(本書で述べられる気分の悪くなるような事実に対して、何ら驚かない、既に麻痺した自分がいることにも気付かされた)。故にこの作品が未だに古びれない輝きを放っているのだから実に皮肉なものである。


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Tetchy
WHOKS60S
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未読の方はご注意ください

No.14:
(4pt)

小役人シリーズ

いわゆる「小役人」シリーズの一作である。この作品では、公正取引委員会の役人が活躍する。

主人公は伊田。公取で働いていて、上司のキャリア官僚、雨宮と建設省との癒着の疑いを本人に直接ぶつけたのだ。しかし、当然ながら雨宮はそれを否定し、伊田は閑職に追いやられた。

この事件はそれだけでは終わらない。ある新聞社の記者が伊田にワシヤサブロウという人物を知っているだろうと言ってきたのだ。そんな人間を知らない伊田は否定する。だが、その後銀行で貯金を引き出そうとした伊田は預金が300万円増えていることに気づく。その金を振り込んだ人物がワシヤサブロウだった。これは何者かが伊田を公取から追放しようという罠だったのだ。さらに、ワシヤサブロウの名で郵便受けに20万円の入った封筒が入れられていた。そして留守番電話にワシヤからの「例の書類は確かに受け取りました。お約束のものをお納めください」というメッセージが残されていた。そして、疑惑を深める証拠が見つかり、伊田は辞表を出さざるを得なくなる。

最初は雨宮の仕業かと思ったが、こんなことをすれば雨宮自身が不利になる。では、こんな罠を仕掛けたのは誰なのか。

真相を突き止めようと動き出した伊田だったが、思いもしない方向に話が進み、フィリピンでのODAに不正がないかどうかを調べるように頼まれる。全ての罠は、伊田にこの役目を引き受けさせるための筋書きだったのだ。そして、舞台はマニラ、同じフィリピンのスールー、そして再びマニラ、最後は東京へ―。

車で尾行されたり、アクションシーンもあったりと、なかなかエンターテインメントとしては楽しめる。そして乱歩賞作家らしく、どんでん返しも待っている。さすがに真保裕一だ、と思わせてくれた作品だった。
取引Amazon書評・レビュー:取引より
4062060337
No.13:
(3pt)

官僚機構をはみ出した小役人の物語。

結局、小役人シリーズ3編を読み切る。
やはり、「連鎖」が、一番よかったのかもしれない。
ちょっと、あれこれと考えすぎであるが。
汚染食品の輸入。
海底火山の噴火による島の形成と国家利益。
ODAと談合。
いずれも、現代という時代背景のもとで、起こっている問題である。
厚生省の食品監視員。
気象庁の地震観測員。
公正取締委員会の職員。
国家機構の中で、少なくとも、その問題を目の当たりにして、いる人が主人公である。
気象庁では、辞職して、追求する。
公取は、辞職させられて、追求する。
その点では、官僚機構をはみ出さない限り、その実体を追求することはできない。
システムができていることは、人間らしさを失うことでもある。
人間を回復する時、あるのは自分だけかもしれない。
取引Amazon書評・レビュー:取引より
4062060337
No.12:
(5pt)

取引

個人読書履歴。一般文学通算448作品目の読書完。2012/10/04
取引Amazon書評・レビュー:取引より
4062060337
No.11:
(3pt)

拉致監禁の手口やアクションシーンは引きつけられるが、社会問題までは描き切れていない

東南アジア(フィリピン)の匂いや、景色が頭の中で感じられるような作品
です。拉致監禁の手口やそこからの主人公の脱出、マニラの警察のトーラスの
活躍などはスピード感があってよかったです。

 その一方で、ODAや建築業界の談合などについての考察は、深みが無く、終
盤は一気にまとめてしまった感があるのが残念です。小説を読みながら、人
の生き様や社会問題を学ぶのが好きなのですが、ちょっと今回は消化不良でし
た。
取引Amazon書評・レビュー:取引より
4062060337
No.10:
(4pt)

意外な結末!

真保 裕一さんの長編小説です。私はてっきりトレードに関する本だと思いましたが、まったく関係ありませんでした。主人公の伊田は公正取引委員会の審査官ですが、内部で罠にはめられ、辞職に追いやられます。しかし、その後、罠にはめた内部の一人が検察の仕事を依頼してきます。秘密の業務はフィリピンでのODAに絡む贈賄の証拠をつきとめるというものでした。昔の同級生が大手のゼネコンに勤務し、フィリピンにやってきます。その彼に偶然を装い、接近します。その後、予期せぬ殺人事件に巻き込まれていくというストーリー展開です。個人的には結末が悲しい内容だったので、できればハッピーエンドにしてもらいたかったです。まあ、そんなことを言っても仕方がないのですが・・・。文庫本は600ページを超える長編の一冊です。興味のある方は是非ご覧ください。
取引Amazon書評・レビュー:取引より
4062060337



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