繋がれた明日

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評判

繋がれた明日の評価:

3.63/5点 レビュー 40件。 B ランク

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平均点3.63pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全59件 1〜20 1/3ページ
No.59
(4pt)

怒りや非難をぶつけるというプロセス

主人公は人を殺したが、主人公にも言い分がある。相手は主人公の恋人に言い寄っており、それを止めさせることが目的であった。相手から先に手を出してきた。しかし、警察は主人公の主張をほとんど無視した。

主人公のような事情がある場合に、現実世界の世論は主人公に厳しくなるだろうか。住宅地でバーベキューをした人が殺された事件があったが、ネット世論は住宅街でのバーベキューは迷惑で煩いと、バーベキュー公害に苦しむ犯人に同情的であった。

一方で主人公は半グレ・ヤンキー的な生活をしていた。この点は、あまり同情しにくい。そこからの脱却は良いことである。

本書は被害者遺族の置かれた悲惨な状況が描かれる。焼け野原から経済大国にしてしまう前に進むことしかできない姿勢を美徳とするような風潮は苦しむ人を苦しめるだけである。日本は被害者の権利が認識されるようになったと言っても、被害者に道徳的に高次の振る舞いを要求する傾向はある。しかし、怒りや非難をぶつけるというプロセスが有益である。それがなければ本書が結末を迎えることはなかった。
繋がれた明日 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (朝日文庫)より
4022643595
No.58
(4pt)

怒りや非難をぶつけるというプロセス

主人公は人を殺したが、主人公にも言い分がある。相手は主人公の恋人に言い寄っており、それを止めさせることが目的であった。相手から先に手を出してきた。しかし、警察は主人公の主張をほとんど無視した。

主人公のような事情がある場合に、現実世界の世論は主人公に厳しくなるだろうか。住宅地でバーベキューをした人が殺された事件があったが、ネット世論は住宅街でのバーベキューは迷惑で煩いと、バーベキュー公害に苦しむ犯人に同情的であった。

一方で主人公は半グレ・ヤンキー的な生活をしていた。この点は、あまり同情しにくい。そこからの脱却は良いことである。

本書は被害者遺族の置かれた悲惨な状況が描かれる。焼け野原から経済大国にしてしまう前に進むことしかできない姿勢を美徳とするような風潮は苦しむ人を苦しめるだけである。日本は被害者の権利が認識されるようになったと言っても、被害者に道徳的に高次の振る舞いを要求する傾向はある。しかし、怒りや非難をぶつけるというプロセスが有益である。それがなければ本書が結末を迎えることはなかった。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.57
(4pt)

司法制度の矛盾

神保裕一『繋がれた明日』(朝日新聞社、朝日文庫)は殺人を犯した者を主人公としたサスペンスである。主題が犯罪者の更生か、事実に反する証言が採用されるなど司法制度の矛盾を明らかにすることか、出所者を追い詰める正体を明らかにすることか、最後になるまで着地点が見えなかった。さいたま市立桜図書館の書籍を読んだ。

仮釈放後の主人公は様々な矛盾に直面する。謀略や憎しみが赤裸々に渦巻いている。やはり警察の人権侵害が最大の矛盾である。主人公が怒ることは多いが、怒りの優先順位をつけるならば警察権力とならないか。

「顔の前で怒鳴っていた警官はもう姿が見えなかった。大声で正義を振りかざしておきながら、立場が悪くなると姿を隠す」(209頁)
「法律では黙秘権が正当な権利として認められていながら、彼らは生意気なやつだと怒りをむき出しにして怒鳴った。金槌でたたき続ければ、固く口を閉ざした貝だろうとこじ開けられると信じるかのように」(229頁)
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.56
(4pt)

怒りや非難をぶつけるというプロセス

主人公は人を殺したが、主人公にも言い分がある。相手は主人公の恋人に言い寄っており、それを止めさせることが目的であった。相手から先に手を出してきた。しかし、警察は主人公の主張をほとんど無視した。

主人公のような事情がある場合に、現実世界の世論は主人公に厳しくなるだろうか。住宅地でバーベキューをした人が殺された事件があったが、ネット世論は住宅街でのバーベキューは迷惑で煩いと、バーベキュー公害に苦しむ犯人に同情的であった。

一方で主人公は半グレ・ヤンキー的な生活をしていた。この点は、あまり同情しにくい。そこからの脱却は良いことである。

本書は被害者遺族の置かれた悲惨な状況が描かれる。焼け野原から経済大国にしてしまう前に進むことしかできない姿勢を美徳とするような風潮は苦しむ人を苦しめるだけである。日本は被害者の権利が認識されるようになったと言っても、被害者に道徳的に高次の振る舞いを要求する傾向はある。しかし、怒りや非難をぶつけるというプロセスが有益である。それがなければ本書が結末を迎えることはなかった。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.55
(4pt)

司法制度の矛盾

神保裕一『繋がれた明日』(朝日新聞社、朝日文庫)は殺人を犯した者を主人公としたサスペンスである。主題が犯罪者の更生か、事実に反する証言が採用されるなど司法制度の矛盾を明らかにすることか、出所者を追い詰める正体を明らかにすることか、最後になるまで着地点が見えなかった。さいたま市立桜図書館の書籍を読んだ。

仮釈放後の主人公は様々な矛盾に直面する。謀略や憎しみが赤裸々に渦巻いている。やはり警察の人権侵害が最大の矛盾である。主人公が怒ることは多いが、怒りの優先順位をつけるならば警察権力とならないか。

「顔の前で怒鳴っていた警官はもう姿が見えなかった。大声で正義を振りかざしておきながら、立場が悪くなると姿を隠す」(209頁)
「法律では黙秘権が正当な権利として認められていながら、彼らは生意気なやつだと怒りをむき出しにして怒鳴った。金槌でたたき続ければ、固く口を閉ざした貝だろうとこじ開けられると信じるかのように」(229頁)
繋がれた明日 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (朝日文庫)より
4022643595
No.54
(4pt)

罪と罰の重さを考えさせられる作品。

若さゆえの暴走の果てに人を殺めてしまい、その罪と罰にもがき苦しむ様を赤裸々に綴った話。加害者目線だけでなく、被害者目線もしっかりと映し出した描写は秀逸。中盤の冗長さはやや展開の間延び感を出してしまったが、後半からラストに至る怒涛のスパートは読む者を唸らせた。最後は感動させられた。
罪と罰の重さを改めて考えさせられる作品。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.53
(4pt)

罪と罰の重さを考えさせられる作品。

若さゆえの暴走の果てに人を殺めてしまい、その罪と罰にもがき苦しむ様を赤裸々に綴った話。加害者目線だけでなく、被害者目線もしっかりと映し出した描写は秀逸。中盤の冗長さはやや展開の間延び感を出してしまったが、後半からラストに至る怒涛のスパートは読む者を唸らせた。最後は感動させられた。
罪と罰の重さを改めて考えさせられる作品。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.52
(4pt)

重いテーマ

若気の至りで人を殺めてしまった主人公が約6年の服役を終えて仮出所し、周囲の人々の助けを得ながら更生の途につきますが、主人公の過去を暴露する悪質なビラが配られたり、執拗な嫌がらせが主人公の家族に加えられたりといった事件が起きます。

この作品で読者に突きつけられる課題は、加害者の更生を考えるのか、永久に返ってこない被害者を悼む人達の気持ちを考えるのか、どこに正解があるのかといった重いテーマです。読者それぞれが色々と思うところがあると思いますが、結局絶対唯一の正解など存在しない問題でしょうし、読了後にも考えさせられるなぁという余韻が残ります。

読んでいる最中に余りにも悲劇的な結末が予想されて悲しい気持ちで読んでいましたが、割合後味の良い結末でほっとしました。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.51
(4pt)

重いテーマ

若気の至りで人を殺めてしまった主人公が約6年の服役を終えて仮出所し、周囲の人々の助けを得ながら更生の途につきますが、主人公の過去を暴露する悪質なビラが配られたり、執拗な嫌がらせが主人公の家族に加えられたりといった事件が起きます。

この作品で読者に突きつけられる課題は、加害者の更生を考えるのか、永久に返ってこない被害者を悼む人達の気持ちを考えるのか、どこに正解があるのかといった重いテーマです。読者それぞれが色々と思うところがあると思いますが、結局絶対唯一の正解など存在しない問題でしょうし、読了後にも考えさせられるなぁという余韻が残ります。

読んでいる最中に余りにも悲劇的な結末が予想されて悲しい気持ちで読んでいましたが、割合後味の良い結末でほっとしました。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.50
(4pt)

罪を背負った人間と支える人間、それぞれの美しさ

よかった。何がって主人公のジメジメ感が。
若者特有の鬱屈が、人を刺し殺すという部分で表出してしまったわけだけど、これは特別な人間の物語じゃなかった。

誰しも、若い自らを過信し行き過ぎた行動に出ることはある。
それが、重い十字架を背負うことは稀だが、まれにそうなってしまう事がある。
殺人という罪は、救いがない。未来がない。人を殺すことは、殺人者と被殺人者だけの問題ではないのだ。
むしろ、その周りにいる人間に与える波紋がすさまじい。
生きているそのことだけで罪を問われる人間になってしまう怖さ。
しかし、そんな身分に落とされた人間の再生に携わるあらゆる人間が私は美しいと思った。

また、到底持てない荷物を引きづりながら、一生歩いて行こうと決意する人間もその罪はとりあえず置いといて美しいと思う。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.49
(4pt)

罪を背負った人間と支える人間、それぞれの美しさ

よかった。何がって主人公のジメジメ感が。
若者特有の鬱屈が、人を刺し殺すという部分で表出してしまったわけだけど、これは特別な人間の物語じゃなかった。

誰しも、若い自らを過信し行き過ぎた行動に出ることはある。
それが、重い十字架を背負うことは稀だが、まれにそうなってしまう事がある。
殺人という罪は、救いがない。未来がない。人を殺すことは、殺人者と被殺人者だけの問題ではないのだ。
むしろ、その周りにいる人間に与える波紋がすさまじい。
生きているそのことだけで罪を問われる人間になってしまう怖さ。
しかし、そんな身分に落とされた人間の再生に携わるあらゆる人間が私は美しいと思った。

また、到底持てない荷物を引きづりながら、一生歩いて行こうと決意する人間もその罪はとりあえず置いといて美しいと思う。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.48
(3pt)

さすが、と言わざるを得ない筆力でした。

少年法、加害者側が主人公の小説は読んだことがあり新鮮さはありませんでしたが、さすがの筆力でぐいぐい読ませます。
1時間位で一気に読めました。それだけ読ませる力がやはり著者にはあります。
よく比較されている「手紙」よりこちらの方が加害者当人の葛藤、甘えがリアルに描かれていました。
給料が低い現場作業でがんばっていく姿勢に好感を持ちましたし、これからまさに「明日に繋がる」という感じで終わり方もすっきりしていました。

つまらない理由で殺人を犯してしまった、その代償をいかにして払うのか、被害者に対してどういう感情を抱いているのかよく取材をされているようで、自分ならどうかと考えさせられました。
嫌がらせをされるシーンなどは貫井徳郎先生の「空白の叫び」で読んだことがあるのでまあそういうこともあるわな、程度にしか感じず。
「空白の叫び」は同じく少年法・殺人加害者視点で書かれており非常にインパクトの強い作品だったので、先に読んでしまっていたため、こちらの作品はマイナス評価に思えてしまいました。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.47
(3pt)

さすが、と言わざるを得ない筆力でした。

少年法、加害者側が主人公の小説は読んだことがあり新鮮さはありませんでしたが、さすがの筆力でぐいぐい読ませます。
1時間位で一気に読めました。それだけ読ませる力がやはり著者にはあります。
よく比較されている「手紙」よりこちらの方が加害者当人の葛藤、甘えがリアルに描かれていました。
給料が低い現場作業でがんばっていく姿勢に好感を持ちましたし、これからまさに「明日に繋がる」という感じで終わり方もすっきりしていました。

つまらない理由で殺人を犯してしまった、その代償をいかにして払うのか、被害者に対してどういう感情を抱いているのかよく取材をされているようで、自分ならどうかと考えさせられました。
嫌がらせをされるシーンなどは貫井徳郎先生の「空白の叫び」で読んだことがあるのでまあそういうこともあるわな、程度にしか感じず。
「空白の叫び」は同じく少年法・殺人加害者視点で書かれており非常にインパクトの強い作品だったので、先に読んでしまっていたため、こちらの作品はマイナス評価に思えてしまいました。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.46
(5pt)

スゴい、スゴい!

皆さんの評価って結構低いんですね。

私なんか、ラストは大号泣しちゃって、取るものもとりあえずこのレビューを
書いている次第です。

ストーリー的にも読者を飽きさせない展開になっているし、読後感の良さは
最近読んだ本のなかではピカイチですね。
(まぁ、あまりまともな本は読んでませんが…。)

ということで文句なしの万点です。

※「繋がれた明日」。新刊本の装丁から、手錠に繋がれたままの将来を想像
していたのですが、そうではなくて「明日に繋がる」ということだったんで
すね。
う〜ん、素晴らしい!
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.45
(5pt)

スゴい、スゴい!

皆さんの評価って結構低いんですね。

私なんか、ラストは大号泣しちゃって、取るものもとりあえずこのレビューを
書いている次第です。

ストーリー的にも読者を飽きさせない展開になっているし、読後感の良さは
最近読んだ本のなかではピカイチですね。
(まぁ、あまりまともな本は読んでませんが…。)

ということで文句なしの万点です。

※「繋がれた明日」。新刊本の装丁から、手錠に繋がれたままの将来を想像
していたのですが、そうではなくて「明日に繋がる」ということだったんで
すね。
う〜ん、素晴らしい!
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.44
(4pt)

犯罪における被害者の立場

ふとした弾みで人を殺めた少年が6年の刑期を追えて仮出所してくる。彼は未だに自分が一方的に罪に問われたことに
納得できていないし、間違った目撃者の証言も許せていない。だが、被害者の家族や親族の立場から言うと、彼らが
この殺人で失うものの方がはるかに大きいのだ。既に26歳の青年になったこの男はやがてこういった自分の罪の
大きさに気付いていく。だが、一方世間は冷たく、また殺人者をそう簡単には許してくれないのだ。個別の理由は
ともかく殺人者が5-6年の期間で又社会復帰するということは一般常識から言ってそぐわない感じは誰しもが持っている
のではないか。どうしても主人公に感情移入するため、被害者家族のエキセントリックな対応にはへきへきするかも知れない。
だが、一方作者の本当に言いたかったのはやはり、そういった被害者の立場であり、彼らの権利をどう守っていくかという
ことだったのではないだろうか。やがて皆によって受け入れられていく主人公だが、最後の場面でも被害者の母はその
感情の高ぶりを抑えきれないという締めくくりを作者は敢えて取っている。ここに作者のメッセージがあると思っている。
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.43
(4pt)

犯罪における被害者の立場

ふとした弾みで人を殺めた少年が6年の刑期を追えて仮出所してくる。彼は未だに自分が一方的に罪に問われたことに
納得できていないし、間違った目撃者の証言も許せていない。だが、被害者の家族や親族の立場から言うと、彼らが
この殺人で失うものの方がはるかに大きいのだ。既に26歳の青年になったこの男はやがてこういった自分の罪の
大きさに気付いていく。だが、一方世間は冷たく、また殺人者をそう簡単には許してくれないのだ。個別の理由は
ともかく殺人者が5-6年の期間で又社会復帰するということは一般常識から言ってそぐわない感じは誰しもが持っている
のではないか。どうしても主人公に感情移入するため、被害者家族のエキセントリックな対応にはへきへきするかも知れない。
だが、一方作者の本当に言いたかったのはやはり、そういった被害者の立場であり、彼らの権利をどう守っていくかという
ことだったのではないだろうか。やがて皆によって受け入れられていく主人公だが、最後の場面でも被害者の母はその
感情の高ぶりを抑えきれないという締めくくりを作者は敢えて取っている。ここに作者のメッセージがあると思っている。
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.42
(5pt)

繋がれた明日

個人読書履歴。一般文学通算416作品目の読書完。2012/08/14
繋がれた明日 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日 (新潮文庫)より
4101270260
No.41
(5pt)

繋がれた明日

個人読書履歴。一般文学通算416作品目の読書完。2012/08/14
繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386
No.40
(2pt)

題材は深いものの、今一歩。

罪を犯した人間の社会的制裁をめぐるストーリー。
加害者・被害者問題、罪と罰の重さ、更生と社会復帰、とりまく家族や社会環境など、
題材としては重い内容がつまっていて、ところどころ胸を打つセリフはあるものの、
物語としては今一歩な感あり。全体的に物語の焦点がぶれているのではないか。

更生の物語にしては、主人公は最後まで感情や衝動に流されてひとりよがりな行動をしてばかりだし、
勝手に行動してはトラブルを呼び、何をするにも他人にお願いしてばかり。
心理描写は『自分ばかりが悪いのか』『仕方がない、社会ではそう見てくれない』と疑問と諦めの堂々巡りだし、
ラストにおいては、はたして自分に不利になる嘘を証言(自己犠牲)することで罪と罰の輪が切れるのであろうか。
更生(成長)の物語にしては軸が弱い。

では他のライン(社会的制裁の絡み、被害者・加害者での価値観の多様性、またはサスペンス、ミステリーのライン)で魅せてくれる作品かというと、それも中途半端。
保護司の存在はこの小説独特の魅力を放ち、読者に新しい視点を与える代弁者として機能していたが、後半に失速。クライマックスにいたっては存在感もない。
もしこの保護司がラストに被害者となった主人公の言動(判断)に、さらにもうひとつ上の(読者よりも一枚上の)啓発的視点を与えられたら物語がぐっとしまったのではないか。

全体的に問いかけの繰り返しばかりで食傷ぎみになるが、もしかしたら著者がこの題材について完全に消化しきれてなかったからではないか。
そうでなければラストにもう一歩読者を新しいステージに連れて行けたはずだ。

繋がれた明日 Amazon書評・レビュー: 繋がれた明日より
4022578386