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九月が永遠に続けば
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九月が永遠に続けばの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 21~40 2/3ページ
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猫鳴りはイマイチ好きではなかったので、これも期待せず手に取ったのですが、久々に良い小説家を発見した感じで嬉しいです!まず、文章力が素晴らしい。計算しつくされたストーリーで、無駄なものがとても少ない。読み返すと、この伏線がここにつながっているか・・・、と改めて作家さんのすごさを感じました。狂気から無縁なところにいる主人公の母親とヘンな関西弁のオジサンを通じて現実を濃くさせているが、本筋は女性主人公から語られる女性の狂気ではなく、男性の狂気が起こしている倒錯。亜沙実と冬子ではなく、安西雄一郎と文彦の物語。今後の作品も本当に楽しみです。 | ||||
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『ユリゴコロ』の殺人の動機は、共感はできないまでも納得がいったのですが、この作品の鍵になる亜沙実の「男を狂犬にしてしまう女」という魔力は、説得力が足らず、後付けのような描写に終わってしまったため、構成としてはいまひとつの感がありました。 彼女を引き裂いた酷い犯罪も、そんな魔力を持つ彼女に原因があったという印象を植え付けかねない流れになっていたのも違和感を覚えました。 そういったところが惜しいですね。 それでも、文章が達者で、ぐいぐいと引き込まれて一気読みしました。 デビュー作でこれだけ書ければ素晴らしいと思います。 作者の他の作品も読んでみたいと思うようになりました。 | ||||
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昨日、一日で読み、その後、ここの賛否両論のレビューを読みました。 生硬さを感じるところはあります。こんな高校生いないだろ、とか。 登場人物がスムーズに動く部分と、話を展開させるためのただの駒になってしまっている部分とが 混ざっている。 また、文章力といっても、例えば同じく女流作家である宮部みゆきのような、隅々まで力がみなぎった 文ではない。 しかし、それでも★5つにしたのは、答えのない虚無感と、肉体や精神にまつわる不可思議をギリギリまで 書こうとしているから、です。 例えば、 「バリアが全部はずれたみたいな顔だよ。そんな顔しちゃダメだって言いたくなるような顔だよ」 「佐知子さんは結局どっちに恋してるんでもない。もっと遠ぉいはるかの極みたいなもんの方に 磁石の針みたいに振れてるだけですよ」 これらの台詞を女性作家が書いたことに驚きました。 これはニーチェが「善悪の彼岸」で書いている「(女性の)優しい愚かさ」とは異なるものの、 似た感性でなければとらえられない何か、だと思ったので。 特に後者の台詞は、私自身が長い間、うっすらとずっと考えてきたことで、生きる活力となる美の はかなさのことを書いていると感じました。 生きていて、同種の感覚をもったことがない人が、この本を読んだら、ただのサスペンスホラーでしょう。 あるいは文章力を褒めるか。 しかし私はそこにこの本と著者の本質はないと思います。 本当に久しぶりに他の本を読みたくなった、特異な作家です。 | ||||
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たしかに、「彼女が〜」に比べ、途中で読むのが止められないという感じは弱かった。 だけど、まほかる氏の表現力は毎回見逃せません。 ストーリーを追うだけの読み方をしていたら見落としてしまう、もったいない面白さが処々に隠れています。 わたしは作者の純文学的で美麗な情景描写と、リアルな人物造形がいつも気になり、本作でも服部が早く出てこないかとワクワクしました。主人公の佐知子も、感情を抑制した聡明な女性という印象で好感がもてました。 小説の「部分」にも力を込めている作家だと思います。暗い印象に終始しそうな物語に、ウィットをさりげなく盛り込んである。 読者への愛情みたいなものです。笑えるミステリーなんてめったにないです。 佐知子の服部に対する冷めたリアクション…。喫茶店の名前、ダディと呼ばれる「代物」、主人公がダディをぼこぼこにするシーン。夜中にひとりで爆笑しました。物語を冗漫に流すのではなく、部分を丁寧に、巧みに、美的に、時々面白可笑しく書いてある。わかりやすいのに重厚で魔力をそなえた文章。精神病院の病室内のシーンには圧倒させられ、元旦那の言動に苛立ち、服部の登場でほっこり…。ラストの一行も良かった。堪能できる作品でした。 | ||||
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沼田まほかるさんの著作を読むのは2冊目ですが、前回読んだ「ユリゴコロ」はぶっ飛んでいて着想力の凄さにしびれた記憶があります。 文庫で出た本作品も奇妙ですが、興味津々で読ませて頂きました。 導入の「消えた日」の創り方がうまかったですね 期待通りのラストではありませんでしたが、それはそれで楽しめる作品でした。 また読んでみたい作家さんになりそうです。 | ||||
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10ページぐらい読んでみてすぐにおもしろいと感じた。 展開もよくわからないまま文章の生々しさやどこにでもありそうな舞台設定に惹かれた。 どこにでもありそうな舞台でつくり話を描くのは案外難しいと思う。 人物描写もおもしろくて引きこまれた。 作り物じゃない人間をよく描けている気がする。 文体にわざとらしさがない。 余分な飾りもないし物足りなさもない。 途中の展開もやはり生々しくて 人の負の部分が淡々と克明に描かれている。 みんなで仲良く読めるという内容ではないけれど、決して下品ではなかった。 暗いという評価が多そうだが暗いとは思わなかった。 色んなことが明らかになっていく中で 最後は劇的な救いもなくなんだかあっさりと終わってしまった。 登場人物たちはどこにでもありそうな舞台に帰っていく。 どろどろした描写が好きだったのかもしれない。 油絵を眺めるような感覚で面白く読めた。 濃さを感じる一方でなぜか淡白さを感じる。 どうにも形容しがたい作品。 自分はこういうのすごく好き。 | ||||
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一読して、面白いと思った。 主人公の息子の失踪に、別れた夫の再婚相手やその連れ子、息子の同級生、自分の愛人らが絡む。列車人身事故以外に取りたてて大きな事件が起こるわけではないが、なぜかストーリーを追って先を読み進めたくなる。 物語の背景にある過去の事件の影響が、全体の通奏低音のように響いており、作品の質を高めている。 作者のストーリーテラーとしての高い能力が感じられる一方で、場面場面の描写に登場人物の心理をえぐる表現があり、読んでいて迫力もある。 | ||||
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でも 犯人を、 息子の失踪理由を 知りたくて知りたくて 早く読んだのに その期待に応えてくれる答えじゃなかったとゆうか… それを除けば 湊かなえさんの作品と似た感じが 楽しめました ただ 二人のそとおりひめに なんで男どもが次々 溺れていくのか 彼らとのエピソードをもっと詳しく描写してくれた方が より鮮明に男がとらわれる理由や彼女らの魅力のなんたるかが腑に落ちてしっくりくる読後感がもてたかも 冬子が人間離れして魅惑的な理由は出生の秘密の設定からして理解しますが 亜沙美については そうゆう女に生まれついたのだ偶然 みたいな設定より何かもっと鮮やかな納得いく設定が欲しかったな〜 でも 結末も含めこうゆう あやふやな突っ込まない感じ、想像にぉ任せします な感じが好きなかたには これでいいのかも 好みの問題だと思います 評価低い人も居ますがわたしは嫌いじゃないな〜 | ||||
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これはミステリーでもホラーでもない。 恋愛小説であり、心理小説であり、母の子に対する愛情を描いた小説である。 かなりきわどい描写も出てくるので、若い女性などにはおすすめしない。 僕はおっさんなので大丈夫だが、中には嫌悪感で途中で投げ出す読者もいるだろう。 自分は幸いにもお目にかかったことはないが、この物語の核心となる女性もいるのかもしれない。 ラストで微かに主人公の未来に希望を抱かせる中年男性がこのとてつもなく暗い物語にほんの少し光を与えている。 | ||||
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しょっぱなかから惹きこまれ、次へ次へとページをめくってしまいました。 最初は、男女の恋愛話のもつれから、気づいた誰かが横やりをいれるという よくある話かと思いきや、いえいえ、もっと深く何があるかわからない沼へ 引きこまれていく。 男女の恋い心、子供への思い、という普遍的な心理の中に陣取っている抗い難い人間の本能、見たくない(けどのぞいてみたい)人間の一面をあらわにしていく作品です。 この人(まほかるさん)の筆力はすごい! 人物のキャラクターも多様で、描写も緻密。ストーリーの組み立ても。 ホラー大賞というより、ミステリー? ともかく、とてつもなく面白い作品だったので賞をあげた、というのが 近い気がしました。 | ||||
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「ホラーサスペンス大賞受賞作」と帯に書かれてあるので、 ホラーだと誤解されるケースが多いようですが、純粋なホラー小説ではありません。 巻末の解説に書かれてあるのですが、ホラーサスペンス大賞はホラー小説も、 そうでないサスペンス小説なども幅広く受け付けるというものだったそうです。 なので、この「九月が〜」をホラーだと思って期待している人は、超自然的な現象や、 呪いとか妖怪人間なども一切出てきませんので、お気をつけ下さい。 さて、内容は失踪した息子(高校生)を探す母親の話なのですが、 ポイントは濃密な人間関係と、母親視点で語られていく物語だと思います。 この母親、実はあまり良い人じゃありません。 8年前に離婚した夫への未練をずるずると引きずっています。 それでいて一回り以上も若く魅力的な男と肉体関係を持ったりします。 親切だが不細工な中年オヤジのことは、吐き気をもよおすほどに嫌います。 離婚のきっかけになったある女性のことを、すべての男をたぶらかし虜にして 肉欲地獄へと引きずり込む、まるで妖怪人間か何かのようなグロテスクな存在として 深く記憶に焼き付けています。 これら激しく感情的な母親視点のフィルターを通して見せられるすべては、 事実とは違っていたり、根拠もない憶測だったりするので騙されないように。 最後に、「九月が〜」というタイトルですが、実際には十一月の出来事です。 このあたりは、最終章の最後のあたりに語られますが、 九月が永遠に続かなかったことは、この母親にとっては良かったようです。 まるで、アハムービーを見せられた時のような、あれっ、いつの間に変わったの? この本の落ち、私は好きですね。 | ||||
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久しぶりに後味がすっきりしない本だった。 息子の文彦の突然の失踪から始まる物語は、多面な展開を見せ 色々と推測しながらどきどきして読めたので純粋に面白かった。 しかし、すっきりしないのは、多分に女性らしい視点から女性自身を描いているせいか あまりに主人公の佐知子の感情の動きがストーリーに組み込まれすぎていて、 読んでいてひとつひとつの展開が息苦しさを感じたせいかもしれない。 ただ、例えこれが小説であっても、主人公が感じてしまう恋愛と性に対する 複雑さであったり、年齢を重ねていく中での自分という存在の不確実性なんかが、 現実部分に重なる人には、多くの感情移入を伴うのではないかと感じた。 最終的なこの事件の原因が論理的動機ではなく、あくまで人間が 潜在意識にもっているであろうどす黒い負の部分が、 伝播していって事件になっていく感覚に好き嫌いが出そうである。 展開の強引さが目立つ部分がなくはないが、自分としては純粋に小説として 面白いと思ったので星4つです。 どちらかというと女性視点が強くでている小説なので女性向きな 気がしました。 | ||||
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評価があまり高く無いようだが、私は面白く読ませて頂いた。最初は何が起きたんだ?!という展開で、先が知りたく読み進めてしまう。中盤から謎が解け始めて、綺麗に纏まるのが肩透かしとなって評価が低いんだろう。 しかし、地味な背景をココまで読ませる展開は素晴らしい。後半、一寸ダレるので、星はマイナス一個の四。 | ||||
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うわあ、この人デビュー作からこんなに気味の悪い作風だったのか。とにかくすべての人物にイヤーな感じが漂うのだ。 何度も性犯罪被害に遭ってしまう特異かつ凄惨な経験をもつ女性が主要人物だ。 中心視点人物は、ソトオリヒメともたとえられるその主要人物ではなく、比較的普通の人物だ。とはいえ、夫を彼女に略奪された形で、しかも複雑な不倫で仕返しをする形にもなる。 息子の高校の先生とか、不倫相手のルームメイトとか、平凡なはずの人間関係が絡まった糸で気味悪く結びついている。 なんだか割り切れない感じ、はぐらかされて堂々巡りする感じが、現実のいやらしさに通じている。そして悪夢のぬかるみの奇妙な生温かさに変わっていく。 気味が悪いんだが止まらない感じ。胸焼けするのが分かっているのに食べ続けてしまうジャンクフードのようなしつこい魅力がある。 | ||||
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怖い、恐怖という意味を改めて考えさせる。 本作は、 怪異や謎だけに恐怖は宿るのではなく、 もっと根源的に生活する上で、 皆秘密をもち暮らしていくが、 それらが明かされたときに、 恐怖も浮かび上がってくるという構造だ。 異母兄弟(的)な由縁だったり、 暴行を受けた女と精神科医の関係だったり、 40女の孤独といった、 小道具がいくつもあるところが、 小説のフックとして効いてる。 ストーリーにどんどん惹き込まれていく。 若干の肩すかし感はあるのだが、 ラストの乾いた感じは個人的には好きだ。 優れた心理劇である。 | ||||
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実は初読の作家さんで、先日まで名前すら存じ上げませんでした。 たまたま評価が高いレビューを見たので、手に取ってみました。 ”ゴミを出しに行った息子がそのまま帰らない”という、 とてもコワイ始まりに、続きが気になって気になって、 寝る時間も惜しんで読みました。 複雑な登場人物達に複雑な過去。 全ての糸がこんがらかった感じで、 もしかしてほどけないのでは?と思ったのですが、 ちゃんと結末はありました。 でも、謎が解けるまでは面白かったですが、 解けてみるとう〜ん、少し疑問が残りました。 高校3年生はこんなに大人じゃないです! という所でしょうか。 とはいえ、作者の方の年齢から行くと、 このくらい大人でもおかしくないのかもしれませんね。 そう思うと、もう少し時代が古い設定の方が良かったかもしれませんが、 携帯もストーリーのアイテムの一つと考えると、 それは少し難しいかも。 設定の矛盾点がマイナス要素でしたが、 全体的には美しい文章だなという印象。 続けて他の作品も読みたくなる作家さんです。 | ||||
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この作品はホラーサスペンス大賞受賞作だが、 ホラーを求めると、評価は低くなるだろう。 逆に、サスペンスとすれば、1級の作品である。 地味だが、アガサクリスティーの「春にして君を離れ」のような 自分で自分を追い詰めていくという作品である。 文章もこなれ、キャラもきちっと立っているし、とても新人の作品とは思えない。 心理サスペンスがお好きな人には大変お薦めの一編である。 | ||||
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鮮やかな心理描写と意表をつく展開に度肝を抜かれて一気読みしました。 複雑に絡み合う感情からもつれて明かされていく秘密と愛憎劇が美味です。 最終的に読者の想像にまかせるような形で締めくくられており消化不良になったり腑に落ちない点はありますが、読者を引き込む強さと独自性があって面白い。 | ||||
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’04年「第5回ホラーサスペンス大賞」大賞受賞作。 歴代の大賞受賞作(『そして粛清の扉を』、『リカ』、『人形(ギニョル)』、『裂けた瞳』)がセンセーショナルなものやグロテスクなものが目立ったなかで本書はひとりの高校生の失踪という事件を軸に、その母親の目を通した一人称の静かな心理描写の作品になっている。 そこである女性がすべての事件の中心的な存在として浮かび上がる。彼女自身、痛ましい過去の事件の被害者なのだが、実は周りの人たちの心を知らず知らずに壊してゆく・・・。 読み終わってしまってからが、なんかゾッ〜とする物語である。 | ||||
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とにかく文章が巧い。 練りに練ったストーリーも絹のように緻密だ。ごみを出しにいった息子がそのまま失踪してしまうところから始まる。シングルマザーであるヒロインはそれを追っていくうちにさまざまな不思議な人たちと出会う。近くに住む息子のガールフレンドの父(シングルファーザー)が助けてくれるのだが、これがいかにもだめ男で、その造形が抜群だ。エンディングもきっちり収まっており、とても新人の作品だとは思われない。 | ||||
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