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青銅の悲劇 瀕死の王
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青銅の悲劇 瀕死の王の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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この本は、分厚い。 700ページくらいだろうか。 前作の「哲学者の密室」も同じくらいだったような気がする。 知っている人は知っているが、知らない人は知らない「矢吹駆」シリーズの、日本バージョン第一作に位置付けられている。 矢吹駆シリーズは、第一作の「バイバイエンジェル」、第二作の「サマーアポカリプス」以来、すべて読んでいる。 第一作が1980年代初期であったことを考えれば、このシリーズもすでに30年近く続いているいことになる。 この小説は、いわゆる「本格派」に属する。 本格的とは何かといえば、本格派の探偵小説ということである。 本格派とは、いわゆるトリックなどを駆使した謎解き型の探偵小説のことで、最近の宮部みゆきや大沢在昌などのいわゆるミステリーとはことなるジャンルに属する。 コナン・ドイルのシャーロックホームズや、エラリー・クインの作品、そしてアガサ・クリスティなどの作品が古典とされる。 ぼくも中学生から高校生までは夢中に読んだ。 ただ、成人するに従い、あまり本格派は読まなくなった、 緻密で論理を駆使したトリックとその謎解きよりも、人の世の現実を描いた方が謎が多い、という現代ミステリーの立場に惹かれたからに他ならない。 けれども、唯一、読み続けてきたのが、この笠井潔の矢吹駆シリーズなのである。 理由は、さて、何だろう。 そこで展開される観念劇に、同じ元左翼として何かしら共感というか、引き込まれるものがあったのかもしれない。 それはともかく、本作品は矢吹駆シリーズと銘打ちながら、矢吹本人はまったく登場しない。 思わせぶりな、巻頭言とともに、この分厚い著作が、さらに大きな物語の一部であることが示唆されている。 そして、この作品の中で、探偵小説論が語られているのが興味深い。 というか、もともと、矢吹駆は、現象学的本質直観で、謎の多い殺人事件を解決してきたということになっている。 それらの作品群を読み続けながら、現象学的本質直観が、推理の手法として有効というのは、どうしても理解できなかったのだけれども、それ自体が小説的手法にしかすぎなったと思わせるような記述も見られ、そこが興味深かった。 種明かしを少し、という感じだろうか? ただ、この種明かしが、また次の大きな物語の伏線になっている可能性もあって、そこがこの作者の油断ならない性格でもあるのだけれど。 この作品、以前の作品を読んでいなければ、面白さは半減以下。 何とも因果な小説であることだけは間違いない。 | ||||
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この本は、分厚い。 700ページくらいだろうか。 前作の「哲学者の密室」も同じくらいだったような気がする。 知っている人は知っているが、知らない人は知らない「矢吹駆」シリーズの、日本バージョン第一作に位置付けられている。 矢吹駆シリーズは、第一作の「バイバイエンジェル」、第二作の「サマーアポカリプス」以来、すべて読んでいる。 第一作が1980年代初期であったことを考えれば、このシリーズもすでに30年近く続いているいことになる。 この小説は、いわゆる「本格派」に属する。 本格的とは何かといえば、本格派の探偵小説ということである。 本格派とは、いわゆるトリックなどを駆使した謎解き型の探偵小説のことで、最近の宮部みゆきや大沢在昌などのいわゆるミステリーとはことなるジャンルに属する。 コナン・ドイルのシャーロックホームズや、エラリー・クインの作品、そしてアガサ・クリスティなどの作品が古典とされる。 ぼくも中学生から高校生までは夢中に読んだ。 ただ、成人するに従い、あまり本格派は読まなくなった、 緻密で論理を駆使したトリックとその謎解きよりも、人の世の現実を描いた方が謎が多い、という現代ミステリーの立場に惹かれたからに他ならない。 けれども、唯一、読み続けてきたのが、この笠井潔の矢吹駆シリーズなのである。 理由は、さて、何だろう。 そこで展開される観念劇に、同じ元左翼として何かしら共感というか、引き込まれるものがあったのかもしれない。 それはともかく、本作品は矢吹駆シリーズと銘打ちながら、矢吹本人はまったく登場しない。 思わせぶりな、巻頭言とともに、この分厚い著作が、さらに大きな物語の一部であることが示唆されている。 そして、この作品の中で、探偵小説論が語られているのが興味深い。 というか、もともと、矢吹駆は、現象学的本質直観で、謎の多い殺人事件を解決してきたということになっている。 それらの作品群を読み続けながら、現象学的本質直観が、推理の手法として有効というのは、どうしても理解できなかったのだけれども、それ自体が小説的手法にしかすぎなったと思わせるような記述も見られ、そこが興味深かった。 種明かしを少し、という感じだろうか? ただ、この種明かしが、また次の大きな物語の伏線になっている可能性もあって、そこがこの作者の油断ならない性格でもあるのだけれど。 この作品、以前の作品を読んでいなければ、面白さは半減以下。 何とも因果な小説であることだけは間違いない。 | ||||
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昔新左翼の理論的指導者だった為に、今でもアメリカの入国に苦労するそうですが、 数少ない本物の小説家だ。 | ||||
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久しぶりに笠井潔の矢吹駆シリーズの新作が出た。 最初に読んだのは多分高校生ぐらいだったはずだから、20年以上前。これほど新作が待ち遠しかったものもない。 以前の作品はパリ、フランスを舞台にしていたが、一転、日本に設定された。しかも人称もナディア・モガールから、作者の分身であろう作家に変更。ということで 大分雰囲気が変わった。 内容も以前と異なり、なんだか本格推理小説という感じで、前作までカケルがやっていた探偵役をナディアがやるようになったのも変わった。 はじめは違和感があったが、だんだんそれにも慣れ、700ページを超える超大作もあっという間に読み終えた。 でもカケルはどこに? | ||||
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久しぶりに笠井潔の矢吹駆シリーズの新作が出た。 最初に読んだのは多分高校生ぐらいだったはずだから、20年以上前。これほど新作が待ち遠しかったものもない。 以前の作品はパリ、フランスを舞台にしていたが、一転、日本に設定された。しかも人称もナディア・モガールから、作者の分身であろう作家に変更。ということで 大分雰囲気が変わった。 内容も以前と異なり、なんだか本格推理小説という感じで、前作までカケルがやっていた探偵役をナディアがやるようになったのも変わった。 はじめは違和感があったが、だんだんそれにも慣れ、700ページを超える超大作もあっという間に読み終えた。 でもカケルはどこに? | ||||
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すべてのヒントが出てくるまで本格的な推理はしない。 探偵小説における「名探偵」とは、本来そういうものであります。 では、「これですべてのヒントが出揃った!」と、そう判断するのはいったい誰か。 言うまでもなく、名探偵本人なのであります。 しかし、この小説には、名探偵・矢吹駆は登場しません。 すべてのヒントが出尽くしたのかどうか、誰にもわからないのであります。 だから、推理マニアの登場人物たちは、不毛な推理を延々と楽しんでしまうのでした。 情報の中途半端さに甘んじて。あの、「虚無への供物」を思いださせるかのように。 そこに、かつて「フランス篇」のワトソン役を務めた、ナディア・モガールが登場します。 フランス時代、彼女もまた無責任な推理マニアでした。だけど今じゃすっかり大人。 はたして、矢吹駆に代わって名探偵役を果たすことができるのか・・・? (不毛な推理に付き合う覚悟だけは決めておいてくださいね。) | ||||
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すべてのヒントが出てくるまで本格的な推理はしない。 探偵小説における「名探偵」とは、本来そういうものであります。 では、「これですべてのヒントが出揃った!」と、そう判断するのはいったい誰か。 言うまでもなく、名探偵本人なのであります。 しかし、この小説には、名探偵・矢吹駆は登場しません。 すべてのヒントが出尽くしたのかどうか、誰にもわからないのであります。 だから、推理マニアの登場人物たちは、不毛な推理を延々と楽しんでしまうのでした。 情報の中途半端さに甘んじて。あの、「虚無への供物」を思いださせるかのように。 そこに、かつて「フランス篇」のワトソン役を務めた、ナディア・モガールが登場します。 フランス時代、彼女もまた無責任な推理マニアでした。だけど今じゃすっかり大人。 はたして、矢吹駆に代わって名探偵役を果たすことができるのか・・・? (不毛な推理に付き合う覚悟だけは決めておいてくださいね。) | ||||
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ほとんど推理小説を読まない僕に、とある芥川賞作家が、 「重厚な重みと面白さが両方あるすごい本」といって紹介してくれたのが 「哲学者の密室」という作品。 これは「オイディプス症候群」という作品を挟んだ、その続編です。 哲学、テロルについての考察、観念論などいろいろがバックにしかれるのだが、 (哲学者の密室では鋭いハイデガー批判を繰り広げる) あくまで登場人物に血が通っている小説たちです。 すごいですよ。 | ||||
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ほとんど推理小説を読まない僕に、とある芥川賞作家が、 「重厚な重みと面白さが両方あるすごい本」といって紹介してくれたのが 「哲学者の密室」という作品。 これは「オイディプス症候群」という作品を挟んだ、その続編です。 哲学、テロルについての考察、観念論などいろいろがバックにしかれるのだが、 (哲学者の密室では鋭いハイデガー批判を繰り広げる) あくまで登場人物に血が通っている小説たちです。 すごいですよ。 | ||||
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