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頼子のために
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頼子のためにの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 1~20 1/3ページ
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いわゆる後期クイーン的問題をはらむ作品で、第1章の手記が「信頼できない語り手もの」であることはあらすじからも明白ですが、二転三転する展開と恐るべき真相はなかなかの衝撃度。しかし探偵が手記の違和感・矛盾点に気づく根拠があまりに弱すぎて、読者としては気づけなくても仕方がない程度のものなのが残念。手記も全体の分量に比較して短すぎる気もします。読み終わってみれば、これは完全に今でいうところの「イヤミス」であり、特に主人公である探偵のラストの振る舞いについても大いに疑問や嫌悪を感じる読者も少なからずいると思います。そしてそれこそがまさに後期クイーン的問題なのですが、この問題を知っているか否かで、この作品の評価というか好みが別れるのではないでしょうか。この問題を知らなければ、読者は探偵のことを作中の人物同様になじりたくなるでしょうし、結末も中途半端に感じると思います。また、この問題を知っているとすれば相当ミステリ慣れをした読者でしょうから、黒幕も含め真相が見破りやすいのではないかと思います。ということは、いずれにしても心底楽しめないのでは?と言えば言い過ぎでしょうか。私自身は、やはり何作読んでもこの探偵・法月綸太郎は好きになれません。著者からのミステリに対する問題提起としてあのような展開が書かれたのであったとしても(実際はそうではないと思います)、あの行為は決して道義的に許されることではないでしょうし、その後のシリーズで名探偵として主人公に据えられるような人物としては大いに問題です。 | ||||
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★★★★☆ | ||||
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初めから、何となく父親が怪しいと、ピンと来る人が多いと思います。 その理由がそういうこと(娘の父親への恋慕)であったのは、TV・ワイドショー的で月並み。 全体的に無理に技巧を凝らした感じが鼻につく。 母親の心情を思うと、少し悲しい。 | ||||
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いかにも一筋縄ではいきませんよ、と言う凝った構成の作品。読み終わってみれば、このタイトル自体がミスリードの意図を持って付けられていた事がわかり、なるほどと感心した。法月探偵は微妙な立場ながら、名推理で真相に迫る。「驚愕の展開」も言い過ぎでない、意外な犯人と犯行動機が明らかになって来るが、本格推理で探偵が謎を解き明かす爽快さは一切なく、後味が悪かったのは否めない。結局誰も報われずに終わったようで、依頼されてもないのに真相を暴いた法月探偵も苦しかったろうと思ってしまった。 | ||||
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法月さんの作品初挑戦でしたが、文章が読みやすく 表現の仕方が独特で、自分の好みに合ったため飽きること 無く読み進めることが出来ました。特に冒頭は緊張感が強く 内容も詰まっていて文句なしでした。人物の性格や内面を 示唆する描写などもうまく、リアリティが感じられるのも 自分好みでした。 道中は足で情報を稼ぐ典型的な探偵モノで若干単調に なっているのと、終盤の動機関連が何より気になりました。 道中までは心の動きを大切に書いているように感じましたが 終盤だけは、ホントか?と首を傾げてしまいました。 ただ、巻末の文庫本用あとがきを見るとなんと25歳のときの 作品のようで、これなら仕方がないと納得しました。むしろ 25歳でここまで書けてしまっていることが驚きで、本編の トリックよりもビビってしまいました。 | ||||
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物語は、芝居がかった父親の手記から始まる。 そこのところで投げ出しそうになったものの、なんとか踏みとどまって読み進めた。 うまい書き手だし、探偵も魅力はあると思う。 だが、登場人物がみんな類型的で感情移入しにくく、なぜそのような行動をとったのか、それぞれの動機がいまいち腑に落ちない。 著者が描きたかったことの表面をなでただけという印象。 | ||||
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手記を舞台にした推理モノで、楽しく読むことが出来た。ただ、どんでん返しは控えめで、推理ファンならその線も考えそうなところだ(私の推理は外れた)。話については、主人公がいろんなところを回れば都合よく話が聞ける「お使いRPG」のようになっていて、やや一本調子に感じた。個性的なサブキャラも大したことをしなかったようだ。ちょっともったいなかった気がする。 そうはいっても、このパッとしない探偵は好感が持てる。本作では自分に素直なあまり、最後にとんでもないことをやらかす。 著者は「一の悲劇」とこれしか読んでないが、他の作品も読みたくなった。 | ||||
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ミステリー小説なので、内容には一切触れないで感想を述べると、 毒みたいな、ヘドロみたいな、マグマみたいな、とても純粋な愛をテーマにしていると感じた。 愛しすぎて気が狂ってしまって不幸になってしまっても、ある意味でとても羨ましい終わり方だった。 比翼連理という言葉が示す通り、呪いの様な宿命。 綸太郎の選択についても、きっと自分もそうするだろうと共感できた。 どんでん返しもあったりなかったりで、けれども全て「愛」で片づけてしまいたくなる作品。 | ||||
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娘を殺された大学教授はその復讐を決意し,手記を残して自殺を図る. 探偵役の作家が行き着いた真相とは? 冒頭の手記を額面通りに読めば,娘を殺された父親の心理と行動が丹念に描かれており, 無念さと怒り,復讐を果たすかどうかの葛藤が伝わってくる. 謎解きは手記をなぞる形で進んでいくが, この手記に偽りがあるとしたら,真相はこのような形にならざるを得ないので, 真相が透けて見えてしまう. また,最後の1ページはない方がよかった. この部分のせいで,被害者の女子高生がただただかわいそうな本当に救われない話になってしまっている. | ||||
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14年前交通事故で半身不随になった妻と、17歳の娘、頼子を愛していた西村悠史でしたが、その頼子が何者かに扼殺され近くの公園に遺棄されます。警察が頼りにならないと感じた西村は、自ら犯人を探して殺害し、顛末を手記に纏めた上で自殺を図ります。呼び出された作家の法月綸太郎は、その手記を読んで興味を覚え、真相解明に乗り出します。 名探偵物語の構成は、今ではやや古さを感じるようになったように思います。犯人による真相を隠蔽するための方策も、それに対する、西村の手記の矛盾点の吟味から始まる綸太郎の推理も、とても緻密で驚くばかりですが、同時に既視感や作り物臭さも感じます。もちろん、それを承知で読めば何も問題ありませんが。 しかし、矛盾無きよう理屈を重ねて作った本作の結末は、普通の感情からすればシンプルに無理筋だと思いました。そういうものを持ち出さないで読み終えるスタイルもあるだろうとは思うのですが、やはり感動とか驚きは小さくなってしまいます。 | ||||
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冒頭いきなり犯人の手記から始まり、その手記が終わってからが本番なのですが結論から言うとこの小説、ものすごく面白かったです。 最初は手記だと気付かずなんだかすごく読みにくい文章書く作家だな…ハズレかな…と思いましたが手記以後はスルスル読めました。 入り組んだストーリー、多い登場人物に関わらず、さらっと読者の頭に事件の構図を浮かばせられる作者の筆力の高さは並じゃないです。けっこう目まぐるしく状況は変わるのですが、どういうこと?と混乱して前のページに戻る…なんてことはおそらくないはず。 そして本作はミステリーとしての謎解き部分もさることながら登場人物の感情もおろそかにせず書ききった傑作です。 主役脇役犯人探偵、出てくる登場人物すべての行動や発言に納得できる、これは殺人という重大な犯罪が絡む小説では実はなかなかないことなのでもう夢中で読みました。 終わりに進むにつれ加速するストーリー、ラストでさらに二転三転し最後数ページに至るまで余すところなく読み手を驚かせてくれます。 事件の真相がわかることが必ずしもハッピーエンドに繋がるわけではなく、仲の良い家族や世間に広まった美談も一枚皮をめくればこんなに醜い真相が隠れているのかと背筋がゾッとしました。 なんて怖い話を書く作家なんだ…。 | ||||
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ミステリーとして謎解きのプロセスは少し冗長の感もありますがテンポはよいです。 しかし、この作品の楽しめるかどうかの鍵は登場人物の心情が理解できるかどうかにかかっています。 私は西村家全員の心情が理解できず、「なぜそんな行動に出るのか」という疑問が特に終盤の辺り気になりモヤっとした感じが残りました。 少しネタバレになりますが、話の中心でありながら回想にしか出て来ない頼子の行動原理は推しはかりにくかったです。 | ||||
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最初の10ページで結末が見えた。評価も高く、レビューも良いものが多かっただけに、残念。なぜ高評価なのかわかrない。 | ||||
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正確には学園ものではないけれど、高校生の被害者を巡って、探偵法月が情報収集する雰囲気は素晴らしく好みだった。 学園という誰もが経験しているあの同調圧力空間で事件が起こり、部外者である誰でもない自由な探偵がパズルのピースを集めて組み立てていくというシュチュエーションにぼくは弱いらしい。 とても良い新本格でした。 | ||||
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娘を殺された父親が自殺未遂前に遺した手記に欺瞞を見出した 法月綸太郎がことの真相に迫る物語。 手記と探偵活動のメタ構造になっています。 ロジカルな部分は少なく、手記中の「一昨日」と「一昨々日」の 誤謬、飼猫に餌をやった嘘からの推理くらいなものです。 あとは足を使ったり人任せでパズルのピースを得、絵解きの材料にしますが、 これらをもとに論理的推理を展開するのではなく、あくまで真実に迫る情報を 追加していくにすぎません。 ときにはそれを偶然入手することすらあります。 論理よりも情のほうが勝っており、西村家族とその周辺人物各々の 情念が哀しくも恐ろしく、ラスト、綸太郎のモノローグには 真犯人に対する以上の戦慄がみられ、名状しがたいものがあります。 綸太郎は、人々の苦悩・悪意・その他の情感を推しはかるのに鋭敏で、 本書では心理探偵ぶりを発揮しているように思われます。 | ||||
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犯人が途中で分かりましたが、非常に悲しくなりました。頼子がかわいそう。 | ||||
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冒険、一の悲劇がものすごく面白かったのでこれも読んでみました。 しかし、これまでの真相までのドキドキ感のようなものはなく、静かなストーリーでした。 事件の真相も予想通りで、見事なトリック暴きもなく無理矢理感があり、拍子抜けしました。 オチもいまいち… 期待しすぎたのかもしれません。 しかし、それを差し引いても法月さんの文章はとても素晴らしいと思います。 一つ一つの文章が私にとっては芸術的です。 それだけでも読む価値はあると思いました。 法月綸太郎さんの年齢などは知りませんが、話を通して、このときの法月さんは若かったのではないかと思いました。 時代を象徴するような場所や音楽、日本の当時のヤング文化がたくさん出てきました。 それから、随所にユーモアがありました。 キャラクターなどは他の作品より光っていると思います。 それもこの暗い話に花を添えていて、よかったです。 | ||||
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法月探偵が活躍する長編シリーズとしては個人的には本作が最高傑作ではないかと思うほど作家的成熟を見せ付けた力作。 本作には新本格推理らしい凝った物理トリックやシチュエーションを追求する側面はなく、主人公の手記を元に見えない人間関係や動機の闇を探っていく。東野圭吾の悪意にような雰囲気の作品だが、89年の時点でここまでの作品をものにしている法月氏の成長ぶりは凄いと思わせる。法月探偵シリーズ作としては真っ先にお勧めする作品である。 | ||||
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池上冬樹さんが推薦しているので読んでみました。 さすがに書かれてから二十年以上経っているので、最初の段階で真相はなんとなくでもわかってしまうのですが、 それにしてもよく書けた、読む価値ありのミステリだと思いました。読んでよかった。 まずは、殺された娘の復讐のために殺人を犯してしまった父親の手記を読まされて、 そのあとで探偵、法月が出てきて、謎を解いていくという流れになっています。 手記を読んでいる最中に、なにか違和感のようなものを感じてしまいますが、 それが最後には、そういうことか、とわかり、たたみかけるようにもう一人の人物の真の姿が浮かび上がって、 ゾゾゾッとしてしまいます。 登場人物それぞれの過去や思惑が錯綜して、もつれた糸が解けるとき、 人について考えさせられるような、深さもあって、読み応えのある作品です。 | ||||
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本書を読んで思ったことは、設定が松本「点と線」によく似ている、ということだ。 これは作品のネタになるので、詳細を述べるわけにはいかない。 本作で著者がやろうとしたことは、たしかにロス・マクの作品にも見られるアレである。 これもネタなので、言えない。 本作は、評価や感想が、非常に書きにくい作品なのである。 ただ、本作を転機として、著者の作風は謎解きよりも、ヒトの心理の動きに重心がシフトした。 そして、本作が今のところ、著者の作品のベストである。 もちろん、世間的には受賞作「生首〜」や「一の〜」の評価は高い。 だが、作品の密度、完成度、そして著者に及ぼした影響等を考えると、私的には本作がベストだと思う。 ストーリーについては述べない。 ただ、後味の良い作品ではない、とだけ言っておこう。 | ||||
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