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ターン
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ターンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全48件 21~40 2/3ページ
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時の三部作の一つ。 何年かぶりに読み返してみたら、まだ新鮮だった。 結末を知っていたって、ドキドキするし、絶望するし、 甘い気持にもなるし、感動する。 「君」と、どこかから語りかける声の主が誰なのか、 真希は誰と話しているのか。 真希に訪れる孤独と、「くるりん」がもたらす繰り返しの日々。 途中は、少し中だるみしそうになる単調な雰囲気もあるのですが、 少しだけ辛抱してそのまま読み進めると、 急展開後の感動が倍加する気がします。 突然、蜘蛛の糸のように真希にもたらされる救い。 逃げられない世界で真希を襲う危機。恐怖。 最後の数ページで急速に視界が開けるような、 真希とともに何かを悟る、すがすがしい感覚。 そして…これは立派な恋愛小説なんです。 昔読んだ時には、その部分には関心がなかったけれど、 今、人を好きになることを知ってから読んでみれば、 なんとも切なく、甘酸っぱく、爽やかなお話です。 べたべたした感じが一切ないのがすごく好き。 ふと繰り出される描写や台詞に、クラクラします。 北村さんの作品すべてに言えることですが、 生きることに前向きになれる本です。 言葉遊びや雑学を織り交ぜながらもくどくなく、 知的で緻密でしなやかな語り口も心地よい。 毎日が退屈な繰り返しに思えてしまう人にこそ これを読んで目の覚めるような感じを味わってほしいです。 | ||||
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北村薫氏の「時と人」シリーズ第2作。「スキップ」は、時の直線の途中が消えて欠落した世界を主人公ががんばって生きる姿を描いていたが、本作品は、曲線状、螺旋状の時のからまりを描いている。同じ毎日が繰り返され、特定の時刻になるとまた、一日前の同時刻に戻る。銅版画作家の29歳の女性、真希は、謎の声との自己内対話だけを頼りに、孤独な時の繰り返しの中、毎日を生きる。その不安な思いや、孤独な時の繰り返しの世界を真希に寄り添いながら共感して読み進めば、この作品はとても楽しめると思う。作品の展開を急ぐせっかちな読者には、この辺りが辛いかもしれない。 しかし、突然の電話がかかってくるところから、ストーリー展開の速度が加速するので、せっかちな方も、ぜひ読み通してほしい。必ず、もう一度読みたくなると思うので。 | ||||
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何気なく観た機内映画。不思議な感じがして2度繰り返して観た。しばらくしてから原作を読んで、その後再度DVDで映画版を観た。「時と人」シリーズと言われるものの一つだと知ったのは原作を読み終えてから。結末が見通せてしまうのはこの設定では仕方ないのかも知れないが、そんなことで興ざめになるとかならないとか考える前に読み終えてしまう、不思議な魅力のある作品だ。そうでなければ何度も映画を観たりしない。 タイムパラドックスもの(本作ではパラドックスと言う程ではないが)に素直に身をゆだねるのは好きな方なので楽しめた。他の2作も読んでみよう。 | ||||
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≪時と人≫シリーズ第2弾。 時と人シリーズの中では、3番目かなぁ。 全体として面白くてぐいぐい引き込まれるんだけれど、タイムパラドックスものはやはり難しいと思う。 タイムパラドックスを使った仕掛けは、どうしても人の意志が入った作為的なものになってしまうなぁ。 ターンのあとがきに書いているタイムパラドックスに関する矛盾に関する著者の説明は あまり論理的ではなく感じました。 サスペンス的な要素を減らした方が、より北村薫ワールドの雰囲気が出たような気がします。 スキップのあとがきにもあったけど、執筆前にK・グリムウッドのリプレイが出て しまったから、少し意識して作為的にしてしまったのかな? 全体を通しての閉じた時間の中で繰り返すという不思議な感覚と繊細な女性の心理描写はさすが北村薫と思いました。 | ||||
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だからもったいないなあって感じました。 二人称というあまりない視点で語られるのですが、なんだか読みにくいんですよね。 でも電話がかかっきたあたりから三人称になり、一人称になるラストまでは一直線。 最後はたいていの人が予想したでしょうけど、やはり良かったですね。 ただいまって言葉が。 | ||||
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いつも思うけれど、この人の作品は、特別なことが起きなくても、何もない当たり前の毎日を大事に生きていくことの大切さを教えてくれている。 とはいうものの、今回は主人公・真希に特別なことが起きる。銅版画家を目指している彼女は交通事故をきっかけに、ある時間になると昨日に戻ってしまう身となった。夕食を食べ、風呂に入り、寝る。翌朝、いつものように目覚めるが、午後3時15分になると、昨日の午後、椅子で眠りこけている自分に戻る。 なにをやっても毎回同じように前日に戻ってしまう。せっかく描いた下絵も消えてしまう。記憶だけは残るけれど、他には何も残せない。お金を使ってもまた財布に戻ってくる。時間がすすまないから、季節もすすまない。ただただむなしくなっていく。 作者が最後に「付記」という形で少々解説をされていますが、その中で、「会社に勤めていて〜(略)同じ仕事をして帰る。家庭の主婦の方が、洗濯をし、〜(略)食事を作る。そういう中で、ふと、疲労とむなしさを感じてしまったら、それは時の《魔》に捕まったようなものです」と言っておられます。これがまさに、この作品のテーマなんだと思います。 同じように見える毎日、同じような繰り返しに思えることも、決して同じ一瞬はないのだ。真希がそのことに気づいたと同時に、生きるってこういうことなんだなと私も理解できました。 今この瞬間というのは2度と戻ってこない、大事な時間、私の人生の一部なんです。特別なことはできなくても、自分が今できることを精一杯やる、それが生きていくってことなんでしょう。 真希は元の世界に戻れるのか、どうやって戻るのか。そんなちょっとしたドキドキ感もありますが、全体としては静かなトーンの作品です。だからこそ、読んだ後にしみじみと胸に染み渡るような温かさを感じます。あー、毎日つまらない、なんて思ってる人、ぜひ読んでみてください。 | ||||
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午後3時15分になると昨日に戻ってしまう。 何をしても結果を残せない毎日。 事故をきっかけに自分以外に誰も居ない世界に迷い込んでしまった主人公「森真希」の日々が始まります。 色々な事を試してみるものの無駄に終わり諦めかけた時、一本の電話が掛かってきます。 版画家「森真希」の作品、青いメゾチントに興味を持ったイラストレーター「泉」からの電話です。 ここから、「ターン」に向けて「森真希」が歩み始めます。 ”男と女は元々ひとつだったもの。それがこの世に生まれ時、分かれたから、失った片方を捜し求める” そういう人の姿を自分の中に抱き、その内なる声と会話を続けていた「森真希」にとって、「泉」の声が正に内なる声だったのです。 ゆったりとした流れで進んでいくロマンチックな「大人の御伽噺」です。 是非味わってみて下さい。 余談になりますが、私は6年間単身で駐在しておりました。 帰宅後、何の音も聞こえない世界が広がり、自分だけが取り残されてしまい、同じことの繰り返しをしているのではないか、もう現実の世界に戻れないのではないか、との気持ちに苛まれましたので、主人公「森真希」の気持ちは痛いほど良く分かりました。 | ||||
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同じ時間が何度も繰り返される。そんな風に"時"を扱った物語です。 不思議ですよね。同じ時間が何度も繰り返されるって。だって現実の世界には、確かな絶え間ない変化というものがあります。一秒たりとも、同じものなんて無いでしょう。同じように見えても、それは何がしかの変化を経ている。 この物語の中では、何も変わりません。ただただ同じ時間が繰り返されるだけです。 ですが、この中にも変化はあったのだと思います。主人公の記憶は、リセットされないから。そして小さな変化が積み重なって、ある日突然、閉鎖した時間空間の中に大きな変化が生じる。 変わらないものなどないのだと、しみじみ思った一冊です。 | ||||
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ヒロインがある事故をキッカケに時間の環に嵌るという設定。来る日も来る日も同じ日を過ごす。"時間の環"という設定はSFでは良く使われる。日本でも西澤保彦氏の「七回死んだ男」も同じ設定。異なるのは西澤氏の作品があくまでミステリであるのに対し、本作は敢えて言うと哲学書である。後半、もう一人の登場人物が出て来て、サスペンス風味も僅かにあるが、付け足しである。 本作は、流れて行き、やがては過ぎ去ってしまう"時間"というものに考察を加え、日常生活の重要性を説いたもの。それを、ゆったりとした筆致で描くので、せっかちな人には向かない。作品にエンターテインメント性を求める人にも向かない。私は刺激を好む方なので、正直、本作は物足りなかった。一応はエンターテインメント作品として発表しているのだから、もう少し工夫があっても良かったのではないか。 読書時間がタップリ取れる人が紅茶でも飲みながら読むのに適した作品。 | ||||
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ダンプとの衝突事故を起こしてしまい、気づいた世界では人が独りもいない、昨日の世界だった。そして、一日が過ぎ、また事故の発生した時間になると昨日の3時15分に「ターン」してしまう。そんな日々が150日ほど過ぎた時、一本の電話がなった― うーん・・・とってもいいと思うんだけど、何かが足りない気がしてならない。主語が誰で、なにを言ってるのかが最初は全然分からなくなって混乱してしまうと思う。終わり方も、なんか普通・・・って感じで。 個人的には「スキップ」か「リッセト」の方が好きかなぁ。 | ||||
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うーん、微妙。。。。 確かに面白いは面白い。 ☆は、三つ半です。 ケン・グリムウッドの「リプレイ」を彷彿とさせるところも有り。。。 ただ、なんというか、あまりにゆっくりと言うか、うーん、ま、心理描写なんだろうけど、私がせっかち過ぎてか。 どうもそのテンポがのろく感じた。 あとがきにおきて破り的な著者の「解説」があったりして、確かに難解というか、そう言うところもあるんだけど。 逆にパラドックスの矛盾のようなものは放っておいて、テンポを求める私は邪道かなぁ。 ま、こんなことでは女心をわかってない、と言われそうだけどね。 面白い、それは事実です。 人それぞれ歩くスピードが違うから、ゆっくり景色を眺めるように読むことの好きな人にはいいんだと思います。 | ||||
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とても難解な設定なのに、それを感じさせず、読者に読む苦痛を与えない作品。むしろ、有得ないことを本当にリアルに、詳細に描いているためか、本当にふしぎな世界が、自分の隣まで迫っているような不思議な感覚があり、引き込まれる。 もし・・・時間の流れが本当に狂い、「くるりん」が起こり、壊れたCDレコーダーみたいにおんなじ日常が何度も再生されたら、一体どんな気持ちになるんだろう。 図書館や、家や、パン屋など、生きるために必要な施設は存在するものの、一切人がいない街を一人で歩いてみたら・・・そこに、一人で生きてみたら、どんな気持ちに、なるんだろう。 子どものとき、すべてのことに、固定観念が定まっていなかった。その頃に抱いたような、日常にたいするふとした疑問。妄想。 とても久しぶりに、それらを思い出させられた。 それは日常に忙殺され、その現実を疑いもしないで享受するだけの私にとって、とてもなつかしく、うれしい体験だった。 | ||||
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恋愛小説、恐怖小説、SF、ファンタジー・・・そんないろいろな要素が詰まっていて、とっても美味しい読書タイムを味わった。 読んだ後味もペパーミントみたいに爽やかだ。 物語に加えて、読書の楽しみの一つに、物語を彩るさまざまな言葉がある。その捉えどころが微妙に心地よい。 私の好きな小説の一冊に推奨。 | ||||
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行為すべてが徒労に終わる、これ以上ひどい罰はあるだろうか?人は時間をとめることを望むが、この本の様な状態になってしまったら、私は耐えられそうにない。時間は取り戻すことができない、だから人生には価値が生まれるのだろう。 なお、本などを読む際、自分の中に語りかけてくれるもう一人の自分。物語の主人公はそれが異性となっていたが私の場合は異性とも同姓ともつかない中性的な人物のように感じる。その彼(彼女)が「自分にとって最高の声を持つ人物である」というのには同感だ。 | ||||
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いつもなら躊躇してしまう高級ブランド店で、試着し放題。人気の美術館は貸切見放題。だれにも邪魔されず、人の目も気にせず、自分のペースで好きなことが出来る!どんなに荒い運転をしても、高速スピードで走っても、絶対警察に捕まらない。だってこの街には自分ひとりしかいないんだもの・・・・。こんな夢を誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか。夢だとわかっているから楽しめる状況が、もし現実に起きてしまったら!!しかも、二度と現実の世界にもどれない、もどるすべが見つからないとしたら・・・。誰が見ているわけでもない 好き勝手し放題の世界でも、けして道徳心を忘れず、絶対もどれると信じて“孤独”や“あきらめ”からくる恐怖感と戦う毎日。異次元世界版ロビンソン・クルーソーです。 | ||||
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まず、あらすじは読まないように!スキップ、ターン、リセットの時の人シリーズ2作品目です。この話の構想自体はスキップよりも先にあったそうで、内容もかなり練りこまれていると感じました。歪んでしまった時に巻き込まれる主人公、その行く末が気になって気になって、一気に読んでしまいました。展開はまさに奇想天外。予測不能です。また、北村さんの文章は比喩が美しい。大好きな作家、村上春樹氏のような表現で心地よい文章です。正直、前作との文体の違いに驚かされました。個人的に久々のヒット作品です。もっと多くの方に読んでほしいものです。 | ||||
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目覚めると、昨日に戻ってしまう。同じ1日をただ繰り返す日々。この展開から昔見た映画「恋はデジャ・ブ」を思い出しました。(ちなみにこの映画、非常に面白いのでおすすめです。)ただし、この映画と違うのは、その世界には自分以外だれもいないこと・・・僕たちは、多くの人と会い、時間を共にしています。でも本当にこれらの人々に「会って」いるのでしょうか。繰り返す孤独な日々の中で、もがいているのは僕たちの方かもしれません。世界から取り残されたような孤独を感じたとき、そんなときに是非この本を読んでみてください。目に見えない「奇跡」に癒されます。 | ||||
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「時と人」の二部作目。前作の「スキップ」より読後感はいいものとなっています。この本にジャンル分けなど無用の気がしますが、一応しておくならば「純愛」の小説だと思います。1ページをめくってから目に付く不思議な語り口調。高潔な文体。設定の上手さを生かした構成力。どれを取っても素晴らしいです。さすが北村薫氏だと思いました。そして肝心の中身は、前半の展開はずるずるとしか進みませんが、中盤になってからは一気に引き込まれます。引き込まれ読み終わった後に残るのは、爽やかな読後感。「ターン」に出会えて良かった、そう思いました。あと作中に込められた「今を生きている」ことの鮮やかさ。毎日が平坦で不毛だと思っていた人には、是非読んでもらいたいです。 | ||||
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いつまでも歳を取らず、怪我をしても翌日には治り、お金も勝手に使える・・・・・とっても憧れの生活ですが、これが永遠に続くのか・・とおもうと、やっぱり不安になるのですね。限りある1日、限りある人生だからこそ有意義に過ごそうっておもうのかな、なんて思いました。お話は大変ピュアで、自分の運命の人だけと話をすることができる・・・・って、とてもロマンチック。どうしてこうなったのかも納得できたし、読み終わった後、とてもすがすがしい気持ちになりました! | ||||
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「恋愛小説」なんて照れくさくて読む気がしない。そう思っていた。けれども、この本はまぎれもなく「愛の話」である。「時の三部作」の第2弾であり時のいたずらに巻き込まれた主人公は前作「スキップ」の主人公真理子と同じくそのゆがんだ空間の中でまっすぐ前を見続けて生きる。「あきらめる」「流される」という言葉とは無縁のその姿に私たちが励まされる。そんな彼女を温かい眼で見つめる「僕」。終始、小説では主人公を見つめる彼の視線によって描写されていく。そして、終盤、ようやく出会う「君」と「僕」。大切な人とめぐり合うことのできる奇跡と幸せを思い出させてくれる話である。 | ||||
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