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私の男
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私の男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全166件 161~166 9/9ページ
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ストーリーテラーであり、卓越した文章力の著者だから、グイグイ読めてしまった。 話自体に斬新さはないけれど、魂のぬめりみたいな雰囲気は出ていたし、 なにより風景の描写がスゴイ!海、流氷、寂れた街、貝殻が埋めてある歩道。 これが書ける作家は、イマドキ稀有だと思うし、これを楽しめることは僥倖だと思った。 冬の紋別に行ってみたくなる! | ||||
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エキセントリックな作風を得意としてきた作者の、 一見限りなく「普通」の作品。 しかし設定そのもののエキセントリックさや 現在から過去に遡っていくミステリー的な構成、 特異な言葉遣いなど、紛れもなく彼女の毒に溢れている。 その昇華の完成度ゆえ一般的小説を装うことができる、 という意味で、作者の現時点での 最高傑作であることは間違いないだろう。 今後の作品が本当に楽しみだ。 | ||||
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桜庭作品は初めてです。しかもジャケ買い(黒い帯との組み合わせがまた見事です)。ヒロインの花さんとお父さんの淳悟さんの秘密を抱えた濃密なかかわりを描いた中長篇です。 花さんの結婚式からカットバックした形で、2人のつながりを描いていきます。お互いに家族を失っている花さんと淳悟さんが家族になったわけが少しずつさかのぼって解き明かされていきます。タイトルのとおり、多くが花さんの目線で描写されていますが、かえってそれが淳悟さんの輪郭を際立たせていく仕掛けで、淡々としながらもスピーディーに読ませます。濃いドラマですがドロドロ感は薄く、ラストもすっきりとしています。 淳悟さんがもう、「影のよう」でなくて影そのものです。世間の父親年齢よりはるかに若く、静かで貴族的でうらぶれていて破滅的。誰に危険を及ぼすわけでもないけど、全てが花さんのためでクレイジー。彼のキャラクター造形はたまらなく魅力的ですが、現実にこんな人がいたらヤバ過ぎ(笑)。 なぜ2人はそんなに惹かれあうのか、ホントのところはどういう関係なのかちょっと曖昧な部分(掘り下げずにぼかしてある部分と、2通りくらいに意味が取れる部分がある)があるので、もう少しページを割いてこのあたりを描いて欲しかったとも思いますが、これは2人の苦しくて甘やかな記憶を描く作品であってミステリじゃないので、それを合理的に説明してしまっても意味がないのだろうなぁと思います。 スガシカオの「あまい果実」という曲をほうふつとさせる作品世界に文句なく☆5つ…といきたいのですが、もうちょっとだけでもクリアにして欲しかった点もあるかなという私のわがまま分を引いて、実質☆4.5です。ごめんなさい。 | ||||
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序盤は思っていたよりもあっさりとした印象を受けましたが、花と淳悟の関係が明らかになっていくにつれその意味が深くなっていくのを感じました。この小説は二人の別れから出会いへと遡るかたちで書かれていて、読み進むにつれ物語は濃さを増していきます。特に二人が東京へ引っ越すきっかけとなる第4章は圧巻です。流氷の鳴く音と花の叫び、親子の交わりと満たされない魂。とうの昔にひかれた人と獣の線が浮かび上がってきます。 第5章以降は出会いまで時を遡っていきます。第5章では淳悟の恋人、小町の視点で語られます。この描写がかなり生々しく、小町と同じく嫌悪感をもよおすような場面があります。しかし同時に花と淳悟のもつれ合う関係を妖しくも激しく描写されていて、第6章でそれが一気に昇華されます。第1章で朽ち堕ちていった二人を振り返り、根をはった土地から離れ、罪に汚れ、宿る相手すら失った色褪せた花を思い浮かべました。読み終わった後にもう一度、じっくりと読み返してみたくなる小説です。 話の構成やかなと漢字の使い方に、各場面にでてくる物や匂い、土地や海がそれぞれ結びついて意味を持ち、小説に濃密な雰囲気を与えています。赤朽葉家の伝説とは違った意味で力作だと思います。 | ||||
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今までより少し性描写が具体的な話だなぁと感じました。 そして全体的に湿気っていて生臭いような。 それでいて、どこかサラリと乾いているような。 『淳悟』と『おとうさん』(同一人物)と『お父さん』(別の人)の使い分けが絶妙。 正直『おかあさぁん』にはドン引きしたんですが…、だからこそ『花』の『私の男』というフレーズがとても印象的になるんだろうな…。 表紙の意味は、話の中で絵画の話が出てきて、あと、内容を読んでなんとなく理解しました。 読み終わった時の感想は…で、序盤の話はどうなるの?という疑問。 なんだかそんな読後感も計算されているような…そんな1冊。 | ||||
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内容がめちゃくちゃインモラルだった。これまで直接的な性表現を避けていた(それっぽいのがあるのは『荒野の恋』と『赤朽葉家の伝説』だけ)のに、これはもう、気が狂ったかのようにバンバンみっちりやりまくります。しかも、ほとんど親と子のシーンです。『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』に見られた強烈な悪意は、ますますパワーアップしています。 この本の一番良いところは、強烈な神話性を含んでいるところだと思います。淳悟と花は両方が両方を崇拝していて、それは誰にも理解されることなく人間から遠ざかっていく。この構図がグロテスクで、美しい。しかし、物語のラストで花は人間を選択し、淳悟は死んでしまいます。この最後の一文が、すべてをあらわしているようで、とってもいい。 桜庭さんの小説は、悪意で作られている。けれど、その中には計り知れない喪失感がある。『私の男』も例外ではない。後ろを振り返ると、道がない。たとえ間違っていたとしても目の前だけを見るしかない絶望を感じ取って、悲しくなってしまった。 楽しい、文学性を去勢された作品を希望する方にはおすすめしません。 | ||||
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