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私の男
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私の男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全166件 141~160 8/9ページ
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幸福と不幸が表裏一体となった人生の物語です。これだけ毒のある小説なのに読み進めていくうちに幸せな気分になりました。 | ||||
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話題作なので手に取ってみました。(どの書店でも平積み、大フィーチャーされています。) 近親相姦というのは小説の題材として珍しくはないと思いますが、物語として既視感を与えない作りになっていて感心します。ただ、思わせぶりな伏線が多いのはやや技巧にはしり過ぎかと。 親子なのに一線を越えた男女関係なのか、各々が満たされない親子関係で育ったからこそ、必然としての男女関係であるのか。お互いに本当に決心がついたのか否か別として、結局は訣別することを選んだからでしょうか、読後感は悪くありません。 ところで、小説におけるセックス描写に自分との類似点を見つけてしまうのは私の性癖でしょうか。(それって、多くの読者に共通することですよね。) | ||||
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個人的にはこういうダークな話は好きなのですが、世の人々はあまりそう思ってはいないようです。 確かに技術的にはライトノベルの延長線上にあるものだと思います。 冗長な情景描写や、人物の感情表現の不足もあります。 ですが、これは桜庭一樹独特の表現技法なのではないかと思います。 前作の『少女七竈と七人の可愛そうな大人』においても、同様のことが言えます。 登場人物の心情が書かれない代わりに、情景で人物の心情を表していることが多いです。 七竃と雪風の感情は殆ど書かれない代わりに、季節の変化によって七竃が独り立ちするまでの心の移り変わりを描いています。 『私の男』に戻りますが。 舞台になっている紋別の冬の海なんて、とてもではありませんが明るいイメージは持てないでしょう。(紋別在住の方、ごめんなさい) 同様に主人公の花と淳悟は非常に暗い影を持って生きています。 それを直接的に言わないのは、技法としてアリでしょう。 万人受けするかと言ったら、決してそうではないと思いますが。 淡々とした文章の中に、景色や心情描写の美しさ(鬱くしさ)を読み取ることができたならば、それはそれで良いのではないでしょうか。 ストーリーは時系列を遡っていく構成になっています。 最初に花の結婚式が描かれており、そこから段々と過去の話へ、そして花と淳悟の暗さの核心が明らかになっていきます。 第1章が時系列の最後になっているので、いきなり何を言っているのか理解に苦しむ、というか読みづらいと思います。 ちょっと読み方に気持ち悪さを感じるかとは思いますが、第2章まで読むことが出来たならば、最後まで一気に読めるでしょう。 読書家の方々には若干物足りない設定かもしれませんが。 一度読んだだけでは若干の消化不良を感じます。 二周目は逆に第6章(最後)から時系列どおりに読んでみたいと思います。 | ||||
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まず、六つの章のタイトルがよかったです。 だんだん過去にさかのぼっていくという、特殊な展開の本ですから、 読んでいるうちに時代がわからなくなったとき、助かりました。 そしてそれぞれの章で主人公が違い(うち三つは一緒ですが)、 その人物の一人称で語られているところが良くできているなと思いました。 正直言って1・2章は全体がなんだかぼんやりした感じで、 そんなに面白いとは思いませんでしたが、 3・4章で急展開、ドーンと奈落の底に落とされた感じ。 そして5・6章ではつらくなりました。 それはあまりにもこの二人の孤独の癒し方が、普通の人とは違う方向に行ったからです。 本文の中でも何度か出てきますが、やはり近親相姦というのは人の道に外れたことで、 それを認めてしまったら、ホントに何でもありと言うことになってしまいますよね。 物語としては面白く読めますが、この二人に同情したり、 共感することは決してないです。 ただ、「これはフィクション」としっかり割り切った上で、別の次元で読むと、 新しい切り口の小説として高く評価できます。 | ||||
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とてもよく書けた本で、一気に読むのがもったいなくて1章づつ読んでいきました。 現実には、この本の主人公たちのような人間はいないと思いつつ、人間の深い部分をえぐっていくような描写で、どんどん引きつけられていきました。 直木賞を取るまでは、著者を男性だと思っていました。 | ||||
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一風変わった親子の、欲望の物語。 直木賞受賞作であるが、それまでの桜庭一樹からは、少し毛色の違う作品です。 近親相姦や、共依存がふんだんに取り込まれており、 人によっては読んでいる途中で嫌悪感に苛まれるかもしれません。 この小説に共感は出来ないが、猛烈に惹かれてたことは事実です。 主人公の、花と淳悟は、作中に語られるチェインギャングの絵そのもの。 (二つの鉢から生えた貧相な木が、鉢を近くに置きすぎたせいで途中から絡り、一本の木になる状態) 彼らの関係は、共依存よりもっと醜くて淫猥で、 かつ枯れています。 この関係は突き放して見るしかない。好きだけど嫌いな作品です。 赤朽葉家の伝説の方が万人向けだと思うし、最後の一文の衝撃も上ですが、 私の男における最後の一文は、全部をひとつの言葉で射抜いた。 共依存よりも濃い、血の依存を書き切った筆致にも脱帽。 桜庭一樹はどんどん進化しています。 | ||||
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何という本だろう。 <闇>の中に<闇>はないということでしょうか。 人間の掟やモラルが一切関わりない、二人の強い関係をどう読めばいいのでしょう? 物語は、華やかであるべき結婚式から始まります。 でも、この花嫁は後ろ髪をひかれているような、いないような奇妙な感覚に捉えられています。「けっこん、おめでとう」と語るその義父も離れがたい何かを持っているようです。 小説は、そこから時間を遡っていきます。語り手も章ごとに入れ替わります。日本語の三つの形態(ひらがな、カタカナ、漢字)を巧みに使い分けて、語られてゆきます。 そして、章が進むに連れて、二人の持っている過去の問題の謎が徐々に明らかになって行きます。 二人の見つめるものは、北の黒い海です。 二人の魂は絶望的に絡み合い、二人を同一化しているのは肉欲のみでなく、存在そのものにもかかわってしまっています。 最後まで読み終わり最初に立ち戻った時、二人の将来が見えてくるように思います。 | ||||
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心を掻き乱される物語でした。 訳の解らない寂しさと恐ろしさが込み上げ、深夜二晩に分けて夢中になって読み耽った。一言でどう言えば良いのか解らず、もどかしくなる。ひらがなで表現された文体が一層恍惚とした冷淡さを引き立たせ、読んでいると冷え冷えとした光景が脳裏に次々に浮かんで来た。直接的な場面よりも触れる様な些細な描写は溶けそうな程に官能的で甘く、美しく、冷たく、そして残酷で魅力的。一体何処から壊れたのか。一体何処から狂ったのか。一体何処から間違っていたのか。一体何がおかしいのか。表紙の雰囲気と物語が見事にマッチしていた。ざわざわとただただ不安になる本。最後まで読み切った時、必ず最初から読み返し、様々な事を確認したくなるでしょう。読了した後、胸のざわめきがおさまらなかった。好き嫌いが大きく別れるだろうな、と思われる物語ですが…。しかし私にとってはパーフェクトな作品であり、ざらついた不安と物寂しさと美しさを知り得る事が出来て満足でした。映像、と言うか絵で表現した物が見てみたいとも感じた。漫画にするならジョージ朝倉さんか望月花梨さんあたりに描いてもらいたい。風に巻き込まれ舞い上がる花の髪、水滴や雪が舞い散る場面などをジョージ朝倉さんが絵にしたら、それは眩暈がする程に美しいだろう…。オイディプスコンプレックスやエレクトリカルコンプレックス的なものだけでは表す事の出来ない何かが混じり、背徳的な匂いが漂う不可思議な空間。時折感じる深い孤独と絶望感にとても良く似ている。桜庭さんが雑誌のインタビューで話していた肉親同士のナルシズムが見事に表現されていました。この物語を読んで、勿論嫌悪感を持つ人や、壊れた人間たちの理解出来ない姿に白ける人もいるだろけれど、狂った美しさと冷えた虚無感のある話に弱い方にはお勧め。 | ||||
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久々に本にのめり込みました。一文一文の中に、さらに毛細血管のような血が通っていて、 ひとつもおざなりにできない印象を受けました。 父と娘は、お互いの空虚を寄り添うことで埋めるのではなく、 さらに吸い尽くし、奪っていきます。その向こうにあるのは洞穴のような闇かもしれません。 深海のような暗くて絶望的な場所かもしれません。 けれどそこに確かに存在する肉体に、わたしは震えました。 肉体は、確かに、存在するのです。いかなる絶望の中においても。 そして彼らの持つ空虚さは、おそらく、家族というものに真っ新な目で 立ち向かったときに、誰もが感じる空虚さではないでしょうか。 少々しつこいように思える、惇吾の容姿への形容は、 彼という人格を表すものになっています。なにを考えているのかわからない男。 そして時間の中で、どんどん薄れていく男。 近親相姦など、衝撃的な謳い文句がありますが、わたしはこれを 「家族」小説として読みました。 そうしてこうした「家族」小説を読んでしまうと、 これまでのフリーター系作家(角田光代など)が書いていた家族小説が ずいぶん稚拙に、ありきたりに思えてきてしまうから危険です。 この作品は、家族というものが持っている醜さも、温もりも、強さも、儚さも すべてあますところなく、容赦なく、射抜いています。傑作です。 | ||||
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人もうらやむ結婚をした花。それなのに、その目は、その心は、養父である淳悟を求めてしまう。憎しみをはらみながらも。なぜ、ここに行き着いたのか、この結末は必然だったのか。この原因を手探りするように、少しずつ二人の歴史を遡っていく。 突然断ち切られた想いをどうすればよいのか。行き場をなくした愛はどこを目指せば良いのか。読み進めて行く内に、そんなことを考えさせられる。 人知を超越する自然の力により崩された関係性を、人間がどう構築しなおすか。そのときに、誤ったピースを組み合わせてしまうこともあるかも知れない。枠外にいる人間は、それを間違っているというだろう。しかし、枠の中に他にピースがなければ、そうするしかないことだってあるのだ、きっと。 サムシング・フォー。結婚式でこの4つを花嫁が身に着ければ幸せになれるという風習。この一つである古びたカメラが思い起こさせる罪と愛の物語。 | ||||
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…タイトルがテーマかなって思いました。 お互いに、孤独で必要とされていない二人。 魂の温度が、生きていけるギリギリまで冷えてしまってる。 どうにか暖めあって生きていくために、 普通の父子の愛情の量ではとても足りなかった。 自殺しないために、生きてくために倫理を超えた関係が生まれていった。 …という風に理解しています。私は。 だからラスト後も恂悟は生きてると思います。 とにかく生きていく、自殺だけはしない、それが二人の無言の取り決めだと思います。 死にたいくらいの孤独を経験したことがあるかどうかで、 作品への理解が変わってくるのかも。 | ||||
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汚らわしい事に思えず、物悲しく感じさせる二人の行為は、深く深く底なし沼のように底が見えないの。 題名もさることながら表装も力を抜いてません。 新書の時の桜庭一樹は、スゴイ←ラノベも凄いけど 歴々の女性作家群の中からぬきんでた力作だと思うワ。 少女七竃と七人の可愛そうな大人が静で私の男が動に思えるほどの暗い海のうねりが感じられる作品です。 | ||||
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面白いひらがなの使い方をするひとだなあと思う。 読みやすさを考慮してわざとひらがなに崩してるのもあるんだろうが、それ以上に雰囲気を出す意味合いが強く、作者の狙いは見事に成功している。 近親相姦の物語だ。 主人公と父親は道ならぬ関係にある。 人殺しと近親相姦という二重の罪を犯した二人は、互いを「私の男」「血の人形」と呼び合い、同じ血肉を分けた者同士だからこそ互いを貪り尽くしてひとつに還ろうとする。 陰惨な話だ。 一見地味で真面目だが、内にどろどろしたものを秘めた花の造形が怖い。 単純な怖さではない。 たとえるならそれは父親の口から飴をねだるいとけない子供の媚態、その落差が生み出すねっとりした嫌悪感。 「花の舌が他の子供と違う」という箇所にはぞっとした。 近親相姦はナルシシズムの極地である。 人間は所詮エゴの塊で突き詰めれば自分しか愛せず、自分を愛すのが難しいものは自分の分身にそれを求める。見返りを求める。そうして際限なく奪い合い奪い尽くす。 なんて不毛な関係だろう。 直接的な性描写もあるが、それよりも間接的な触れ合いがエロティックであり、父娘同士の普通の会話も挟まれているだけに日常の延長線上の異常が際立ち、読後はじっとりした不快さとやりきれない余韻が残る。 「白夜行」のラストを思い出した。 じっとりしんねり女特有ともいえる陰湿な悪意の描写とインモラルなテーマを突き詰めていけば、桐野夏生になるのも夢じゃない。 あと桜庭作品の男はどれも女々しくてなよなよちくて魅力を感じなかったんですが、今回初めて惇吾がちょっといいなと思いました。 駄目男ですが、どうせ駄目ならとことん駄目なほうが愛おしくなるなあ……。 | ||||
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設定もさることながら、どんどん時代が遡っていくという構成には驚いた。新鮮さを感じた。雰囲気を楽しむ小説である。 今までのようにラストシーンを期待する小説でない部分に賛否が分かれるところではないだろうか? | ||||
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小説には、誰からも面白いと評価されるモノと好き嫌いがはっきり分かれるモノがある。最近ではさしずめ伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」辺りが前者にあたると言えるならば、今作は間違いなく後者の部類に入る。そして私は見事なまでに今作の潮流に呑み込まれ、打ちのめされてしまった。この小説は暗いし重い。遙か離れた遠く厳寒な北の港町から、大都会東京へひっそりと寄り添うように棲みついた「雨の匂いがする父親」と「奇妙なまでに印象が薄い娘」、ふたりの中にある禁断の愛、まるで沈潜した漆黒の闇に堕ちていくような衝動、危険で何とも強烈で濃厚なムードが充満しながらも、それでいて甘美で陶然とした夢心地に支配されたふたりの世界に引き込まれる。チャプターが進む毎に過去に遡り、ふたりの“過去”と“秘密”が明かされていく構成が実に巧い。仮に、時系列通りに書かれていたら、さすがにひいてしまうような描写たちがある種の美しさを以って妖しく輝いてくるから凄い。第4章で語られる16歳の主人公から何度も発せられる「おとうさん」との叫びの何と官能的で情念に溢れたものか。読みながら、かっての日活ロマンポルノ、とりわけ鬼才神代辰巳の映画的世界を思わせる。最終章を読み終えた後、彼らの極めてインモラルな行為の裏にある“業”と“痛み”と“純一さ”に暫し時間が止まった感覚に捉われた。 | ||||
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久しぶりにまともな小説を読んだ気がする。 揺ぎ無い構成と支える文章の緻密さとのバランス ねっとり絡みつく重たいいやな感じ・・・ 立ち昇る生臭さがそこにある感じ・・・ はっきり言って全く好みではない小説なのだが 読んで10日も経とうかというのに未だに 暗い灰色の空と海を背にした二人の男と女が 私の心に住み着いてかすかな不快感を与えている たぶん私は流氷の海に沈んで行った老人の側でしか この物語を味わえないからだろう | ||||
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読み終えたあと、最初からページをめくりたくなる本と出会ったのは、本当に久しぶりでした。いつまでも主人公や風景が頭のなかに残り続けます。こんなにも強烈な余韻を残す本との出会いも、久々。 構成、風景描写、文句なしに引き込まれますし、濃密でありながら少しもどろどろとしておらず、色んな意味でバランスが絶妙。 近親相姦ものと敬遠する必要はまったくないように思います。むしろ下手な恋愛小説よりもよっぽと切なく、あらゆるエッセンスが凝縮されているように感じました。 | ||||
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北上次郎氏が「素晴らしい」と絶賛(「本の雑誌」12月号&「週刊ブックレビュー」)してたので、この作家の作品を初めて読んだ。以前からちょっと気にはなっていた作家ではあったが、なんとなく手を出しかねていたのだった。 で、読み始めて引き込まれた。これはなかなか凄い!なんというか、まともじゃないのだが、ついついもっと覗き込みたくなるような、暗い魅力がある。 異様な人物造形がまずある。外面から描く描写力が強いし、内面をストレートに表出する手法もうまい。そして自然描写も非常に巧みで、匂って来るような迫真力がある。 登場人物が章ごとに語り手を交代して一人称形式で書かれる、という形式はなかなか効果的だ。しかもそれが時間をさかのぼって行くという斬新な展開は実にうまい、と言うべきだろう。謎の由来が徐々に解き明かされて行くという一種の快感を与えるのだ。 しかし、小学6年生の眼で書いてるはずの文章中に、そんな年の子はとても使いそうもない語彙が出てくるのは、ちょっと綻びと言えるかも。つまりそれは「神」である作者が形だけ一人称を使っている〈一人称的三人称〉に過ぎないじゃないか、という部分だが、いやいやどうして、語り手の〈感覚〉の生々しさがよく描かれている。 思い出したのが、最近読んだ唯川恵の「病む月」で、あれもいわば恋愛小説版「異形コレクション」だったわけだが、「異形さ」にかけてはこっちの方が上だろう。万人向けとは言い難いが、小説読みならお勧めだろう。 ところで、〈娘は父親の体臭を嫌う〉というインセストタブーを回避する生理的仕組みがある、という説を聞いたことがあるのだが、どうなんだろう? | ||||
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父=養父と娘。 一見するとタブー恋愛小説本。 近親相姦ものは嫌悪感を募らせる後味の悪いものが非常に多いけ、どこれは珍しく嫌悪感がない。 たぶん、欲望よりも満たされなかった想いの方が強いから。 始めに現在があって、過去を順繰りにたどる構成になってる。 最初の章はあっさりとした感じだけど、読み進むうちどんどんと深みに引き込まれていく。 なぜ、求め合ってしまうのか。 なぜ、親子なのか。。。 とても深い。 過去にたった1個のボタンを掛け間違えてしまったばかりに、普通の家族にはなれなかった悲しさ。。。 読み進めては最初の『現在』に戻り、また進んでは戻る。 とても読み応えがある。 もう3回も読み返しているけど、まだ自分の中で昇華しきれていない。 | ||||
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参った。圧倒されてのめり込ませる本だった。 越えてはならない一線を越えてしまった淳悟と花。 この物語は過去を辿って主体が変わるので、あの二人に何があったのかが少しずつしか分からないもどかしさと、各章を読み終わる毎に読者にも輪郭が見えてくる怖ろしさが淫らな世界となってまとわりついてくる。 読後、淳悟と花がいつまでも消えない。 | ||||
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