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私の男
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私の男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全166件 61~80 4/9ページ
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中のページもとても綺麗で何より素晴らしいことは 価格の安さ、そしてエコロジー。溶かしてトイレット ペーパーにするのは以ての外。 | ||||
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書かれている内容のきわどさから、賛否両論毀誉褒貶は当然だ。 一つ言えることは、今の時代、男には書けない作品ということだろう。 正確には、書いてもまともには発表できない、か? 本来、文学はそういう役割を持っていた。 かつて文学が占めていたその領域は、今では同人コミック誌あたりがより安易なやり方で占めているように思える。 閑話休題。 最初の章で花が体現する、嫌悪感と安堵が入り混じったあの感覚は、それ自体本作品の一つの目玉だ。 あのカタルシスにも似た感覚をこうやってうまく記述してくれているだけでも、読む価値がある。 他方で、過程や結末が明確ではない点に不満を持つ向きもあるようだ。 もっとも、これは作者の意図によるものだろう。 思うに、本作は書かれていることによって以上に、その「書かない」という戦略によってこそ、 本来描きたかったものを無理なくとらえてみせているように思える。 内臓は光に当たらない。 生きているとき、内臓は、暗黒の身の内において、ただ蠢くのだ。 昔ながらの、いかにも文学らしいやり方ではないか。 書かれていることは、いつも氷山の一角、多面体の一平面。 その心細さと底知れなさこそが、文学固有の魔法を生むのだ。 本書は生きている、どころか健康な内臓のある作品である。 | ||||
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普通に生まれて普通に育つことって大事なんですよ なんの罪もなく生まれ 魂の導きに従っただけなのに 切ないです | ||||
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この物語は結局、性的虐待の末路をつづっているだけだ、と嫌悪感しか感じられない人は大塩さんの言う「越えちゃいけない一線」を越えずに生きている人達なんだろうな。けれど、この物語にとって、そして花と淳悟にとってそんな一線、何の価値もないのだ。 私は淳悟と花から、嫌悪感も胸苦しさも不気味さも感じたけれど、二人の狂気と愛に目を奪われて惹かれた。 「愛が動機なら やってはいけないことなんて なにひとつない」これは、映画『三月のライオン』(こちらも近親相姦)のキャッチコピー。つい思い出してしまった。 私は花に感情移入出来た。花だって早々に気付いていたはず。全ては淳悟が幼い自分にしたことが許されないのだと。歪んだ関係と愛を作り始めたのは淳悟の方だと、自分は逆らえなかったと。けれど淳悟に抱いてしまった愛情が体の底から花自身を喜ばせるようになってしまう。歪んでいるのに、花の愛情は本当に素直で澄んでいてる。全部一緒になりたいと思っている。淳悟と花はお互いのことが一番大事なのだ、本当に、単純に。 きっと「許されない一線」を越えられない人は「でもそれは基はと言えば淳悟が。。。」って言うんだろう。 でも違うのだ。花の全てを作ったのは淳悟なのだと言い切っていいほど、花は淳悟のこと、愛しすぎてしまったのだ。全て読むと分かる。愛しすぎて怖くて、もう行き着く先がないと音を上げそうになって…の、第一章の美郎との結婚なんだろう。 この物語はえげつなくて、ぬめぬめしてて、退廃的で、残酷で、花も淳悟もどうしようもないけど、けれど優しさがそこかしこに顔を出していて、つい読む手が止められなくなる。花と淳悟が想い合う気持ちは、ぬめぬめの体の重なりよりももっと激しくて純粋だ。 人と人の気持ちってどこまで行っちゃえるのかな、と子どものようにいつまでも考えてしまう物語だった。 ちなみにこの話、映画化されるそう。 個人的には淳悟は浅野忠信じゃないよなーと口惜しい。映画『結び目』まんまの状態で川本淳市がしっくり来すぎている。 | ||||
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映画化が決まった当作品。主役に抜擢された二階堂ふみが好きなのでどんな話しかな・・と購入。 レビューも賛否両論。ですが、レビュー数が多い=たくさんの人の心に響いた作品なのでしょう。 賛か非か。。個人的にはどちらとも言えないです。 繰り返して読みたい程でもないが、全編に漂うグレーな雰囲気が何ともくせになるような感じがあり一気に読み終えました。 | ||||
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帯ナシですが、低価格の割には、かなり良い状態だった。 満足しています。 | ||||
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鮮明に、かつぼんやりと矛盾した印象が頭に残る。 記憶にしがみついて離れないストーリーと、そのストーリーを邪魔しない控えめ(?)な登場人物の数々。 いや、というよりも、表紙が好き。 ストーリーに合ってるというか、ジャストマッチというか。 この本にはこの表紙!っていう理想が叶ってる。 | ||||
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明るいストーリーではないのですが、登場する2人の切ない感じがなんとも言えず、どんどん引き込まれていきます。 ラストまで裏切られることが無く、2度読みしたくなります。 | ||||
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物語の冒頭、私の男=腐野淳悟は、どうして盗んだ傘を持ちながらゆっくり歩いてくるのか。 以下、物語の展開に踏み込んで説明しますので、本書をまっさらで読みたい人は読まないでください。 無頼な、殺人、近親相姦etc.人の道を踏み外しさえする男を印象づけるためでもあるが、それだけではない。 本書は、6部構成になっており、2008年6月の第1章から、二人が最初に出会った1993年7月の第6章まで、順番に過去にさかのぼっていく構成になっている。 1章、花の結婚式と養父との微妙な謎めいた関係。そして養父の失踪。2章、花の結婚相手の若い男との出会いと謎の死体、3章、東京にいた二人を追ってきた淳悟による田岡殺しと死体を隠す。それが2章の死体。そして二人のセックス。 4章、花による二人の秘密を知る大塩殺し。紋別からの離脱。5章、紋別での奇妙な親子の二人の生活。6章、二人の出会い。二人は実の親子だった。 1章で結婚式挙げた後、男=腐野は失踪する。何故、失踪したのか。この後、また二人は会うことがあるのか。それが物語の謎になる。 しかし、物語は延々過去に遡ってその後の二人がどうなるかは直接描かれず過去の中から導くしかなくなる。それが物語の冒頭部分。 二人に過去に何があったか、そのことを通じて推測していくしかない、ミステリーとなっている。 で遡れば、謎の死体が誰か、何故、二人は追われそして追ってきた男を殺さねばならないか、 二人の本当の関係は何かなどと、進めば進むほど、答えがわかってくる。そういう形でひきつけ読ませる仕組みになっている。 しかし、答えは表面上のそういう部分にはない。 答えは傘にある。それが冒頭の冒頭で男が傘を盗んだ理由なのだ。 花火と傘はともに開くものとしてイメージが繋がっている。 最後の最後、二人の出会いの時、花火を見ながら二人は親子であり、大切な絆を持つことが描かれる。 傘を持ってくる男はそのことを忘れていないことを伝えるため。そのためにこそ、傘は盗まれねばならなかった。 傘はさされねばならなかったのだ。 そして、その後、二人が会うのか会わないのか。そのことも自ずとわかってくる。 3章の最後で大塩を殺した花は、骨になっても離れないことを言い、忘れないでねと男に言う。「愛しあっていたこと」 1章で、「この世でお前を愛しているのは俺だけだ」と男は言うが、花は愛されていなくても女は生きていけると語る。 既に昔、自分の語っていたことを忘れて、日常を生きている女になっている。 もう花には自分は必要ない。男は身を引く。花にとって自分は邪魔だから。 1章の最後で、花は猛り立ってどうして私に何も言わずにいなくなったと、淳悟を責めるが、 自分で言っていたこと、大事なことを忘れて責められるべきは、花なのだ。 たとえ、女から約束を忘れられて、必要とされなくなっても、男は約束を忘れるわけはないではないか。 二人はもう会うことはない。しかし、骨になっても、いくら離れても、男は愛し合っていたことを忘れるわけがない。 女の言葉を忘れるわけはない。女は忘れても男は約束を忘れない、破らない。どんなに遠く離れても、二度と会うことはなくとも。 推定少女や少女には向かない職業に代表される、著者得意のモラルの外側に踏み込んで生きる相棒とそれを見る主人公の、 一つの極限として描かれた作品であり、砂糖菓子の海野藻屑が生きてたらどうだったかを問うた作品。 あちら側に行ってしまう人間、そのこちら側に残される人間との間に消すことのできない、忘れてはならない絆を描く作品。 女は忘れても男は約束を忘れない、破らない。どんなに遠く離れても、二度と会うことはなくとも。 これはそういう悲しい恋の物語なのだから。そのために傘を盗んで持ってきたのだ。俺は忘れないぞと。 それが「私の男」だから。 女が男のことを忘れて現実の中で、幸せにくらしていても。こちら側とあちら側でどんなに距離があろうが。 男は二度と女に会うことはなく、みじめに朽ち果てていくだけだろうが、その時もどんなに遠く離れていても、みじめになっていても、 女のことは忘れない。女を愛したことは忘れない。あちら側にいってこちら側と離れた中でのもっとも深い愛の物語。 作者が繰り返し描いたテーマの一つの終着駅。 それが私の「男」だから。 | ||||
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本や映画でレビューを参考にするときは、内容でなく、数で選べ という言葉があります 理由は明白ですね 人には好みがあって、それによってレビューの☆は変動するからです ただし、☆の平均が3程度でも異常なほどの☆4,5と☆1,2がある場合、それは多くの人に感動を与えた(いい意味でも悪い意味でも)作品であるということ この作品のレビューをかなり読んだのですが、高評価にしても、低評価にしても、かなりの確実で「ぬめり」や「まとわりつく」という言葉がある点に驚愕を隠せません わたしもこの本を読んでいるときに(また、読み終わった後に)「ぬめり」を感じました ただ、ぬめぬめと肌にまとわりつくような感覚 これがどういう意味をもつのか、わたしには図りきれませんが、稚拙な語彙力と幼稚な思考力を許してもらえるならこう表現します 誰もが同じものを感じ取った と この文章を読んだ人がどう感じとるかはわかりませんが、この作品はそんな作品です もしかしたら、与えられない人が惹かれ合うのにはなにかこういった「ぬめり」が関係しているのかもしれませんね | ||||
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常識的に考えるとおぞましいとしか言いようの無い関係を描いているが、一気に読ませてしまう筆力はさすが。 ただ、以前にもレビューで書いている方がいたが、花と良家の御曹司がすんなり結婚できるのはちょっと無理があると思う。 こういう胡散臭い(?)出自の女性を嫁にしようとすれば御曹司の親や親類縁者がこぞって反対するのは目に見えている。 あと、腐乱死体の臭気はとても隠しおおせるものではないかと思うが。 それらの所の説得力が弱いのが残念だ。 それでも、この親子がその後どうなったか、非常に気になる。続編が出れば読んでみたい。 | ||||
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本作は桜庭一樹氏による第138回直木賞受賞作。 地震による津波で家族を失い、孤児となった9歳の少女、花。 花の養父となることを申し出た男、淳悟。 やがて、二人を引き離そうとする地方の小さな社会に反発し、二人は東京へ逃げる。 物語は1993年の二人の出会いから2008年までの15年間が描かれている。 本作のすごいところは、この時間をさかのぼるように描いたところだ。 冒頭でラストシーンを描き、一気に過去にさかのぼって時系列にエピソードを綴るという、 「5→1→2→3→4」という手法の作品には出会ったことがある。 しかし本作のように「5→4→3→2→1」という順序で描かれている作品に出会ったのは初めてだ。 時間の流れが新鮮で強烈で、とても面白かった。 時間の流れを逆にたどることによって、この親子の関係がどこで狂ったのかがよくわかるのでは、と思って読み進めたが、この二人は始めからどこか壊れていたような気がする。 壊れたもの同士、お互いを修復しようと試み続けたのか、そもそもそんな気がなかったのか。 特に淳悟という男は最後まで何を考えているのかよくわからなかった。 テーマにしても、描かれ方にしても、文句なしでインパクトがある作品。 | ||||
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私が初めて呼んだこの人の作品です。 それ以来、何作か読み、全て大切にしていますが この作品だけは「面白い」「面白くない」とは別の、もっと特別な でもそれは決していい意味ではなく・・・とにかく特別な作品です。 それはおいておくとして。 何項かに分かれ、視点が切り替わりながら話は進んでいきます。 いや、進んでいくという表現はちょっと違うような気はするけれど。 この何人かの視点、その順番、すべてこの作品を書くにあたって必要なものだったとおもいます。 結婚をする花、この義理の父との関係は?どんな生活を送ってきたのか? そんな疑問をすこしずつ紐解いていく。 この二人の別れが決定事項とされた後で、「骨になってもはなれない」などと 後半につれてその深さがわかる二人の愛情、関係・・・ 読み終えた後は空っぽになりました。 | ||||
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惇悟と花の出会い それからの二人の生 別れ 現在から過去へと 戻っていくこのお話は 1つの円で繋がっているようで けして戻れないのに 別れ 離れる事を拒む 二人の想いを表しているように感じた。 押入れの秘密は 幻だったのかも 婚約者に霊感がある という伏線 このお話に無駄な所はない 二人の大切な想い出だから | ||||
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骨になっても離れないと思っていたはずなのに、どうして逃げてしまったのだろう。 忘れるなと言ったくせに、どうしてどこかに消えてしまうことができるのだろう。 あんなに愛し合ったはずなのに、なぜ。 実ることなく、花は腐る。あっという間に朽ちる。 桜庭は親子として、罪人として、幾重にも結びついていた2人を、あっさりと絶つ。 その別れの章から始まり、2人の歴史を遡るように、物語は進んでいく。 朽ち果てた醜いものが、昔、輝いていた頃を振り返るように、進んでいくのだ。 これは、花の物語のようでいて、淳悟の物語だったと思った。 寂しくて寂しくてたまらなかった男が、ようやく母親から離れて一人に戻る。 悲しい巣立ちの物語であってほしい。 娘もまた自立しなければならない。失ったものを血の中に抱きながら。 | ||||
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タイトルに惚れた。手にとって一気読みした。 現実の中でが共感する部分は一つもない。 血のつながった肉親を「私の男」と認識できるはずがないから。 人間は、小説を読み、どう思うか。は、 無意識でも意識的でも 自分の常識や、観念に沿ってその物語を受け入れ、 その上で生じる自分の中の様々な感情を自分で処理して結論をだしていくことだと思う。 その点で、この本は、自分をこの小説の中に少しでもいれてしまったら、読めない作品。 ただ視点をかえれば、とことんまで純粋で無垢で 与えてもらえなかったために、知ることが出来なかった真っ白な2人の 愛するという感情が痛くて痛くてたまらなくなるくらいの 恋愛小説になるんじゃないかと思う。 高等な生物は、けっして血のつながりのある相手を犯したり 生殖の相手として認識はしないらしい。 高等な動物であればあるほど、その認識力は強く、 ましてや「ヒト」は地球上で一番の知能をもつ生物であり、 常識といわれる一線からして、この物語は逸脱している。 でも、 親が子に与える様々なものが、一切与えられなかったとしたら、 本能にくみこまれた 「愛する」しかなくなってしまうんじゃないだろうか。 そう考えると、この作品は 恋愛小説でも、切ない2人の恋物語でも 禁断の近親相姦ものでもなく、 ヒトが生きるということについて とてつもなくストレートに問題定義している作品なのでは戸思ったりする。 | ||||
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この物語を完全に受け止めることはできなかったと思います。 ただ惹き込まれて読み終えました。 水平線を目指す永遠の放浪、漂流者ニョロニョロはムーミンに出てくる登場人物。 でもこの物語のふたりは只ひたすら永遠に漂流する魂のよう。それも寄り添うことによってかろうじて。 そんな読後感でした。 | ||||
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一気読みしたあとで、淳悟という人物なくしては、かなり不快な小説だったかも、と思いました。だらしのないダメ男は現実でも架空でも好きなタイプではありませんが、登場とともに淳悟の堕落と美の危ういバランスに惹かれました。解説の北上二郎氏の賛辞にもほとんど納得、ですが「淳悟の内面描写はわざと描かなかったのでは」「確信犯的」という点のみ、どうなのかな?と思いました。単に「描けなかった」だけでは?作者の力が及ばないせいではなく、山田詠美の作品にたびたび登場する男性たちのように、このタイプの男性たちは、生きていることが美しくて、自己表現する必要がないし表現するつもりもない、それは文章で表現することが不可能な領域では?と。 ただし、淳悟という人物を外すと、思ったより通俗的な表現・展開が多く、特に甘えるときの男女の台詞に小さい文字(「よぉ」とか「さぁん」とか)が多用されているのが、どうしても好きになれませんでした。そのせいか、さほどエロスも甘さもどろどろ感も感じませんでした。それよりも、細かい既視感が妙に気になりました。イエモンのJAMのPVとの類似とか。 あと、本作を一気読みさせる要因は「殺人」ですが、これははたして必要だったのか、淳悟と花の依存ストーリーを、きめ細かく書くだけではいけなかったのか、それだと香辛料のないカレーのようになってしまうのか、だけど香辛料にしては辛さも意味もどんでん返しもないのはどういうわけか、美郎の霊感など、ミステリだったら重大な布石だとしか思えないのに、ただの霊感で終わってしまうなんてもったいない、等。 しかし個人的には淳悟という男性の美しさを堪能するだけでも、一読の価値がありました。淳悟に関する部分は「文章」だと思えず、映像として記憶に残りました。時系列がさかのぼるかたちで進む物語も、余韻があってとても良かったです。 蛇足ですが、最後の章の地震と津波で被災する場面、妙にリアルで恐いので、似た経験をお持ちの方、その知人の方などは、読まない方が良いですね。 | ||||
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都会育ちの私には初め中上健二的な血の濃いムラ社会を描いた作品に通ずる嫌悪感がありました。しかし、中上作品が都会者を拒絶したままで終わるのに対し本作は都会者の道徳観を無効化させることに成功しています。(それには しゅう "あぶ"さんのレビューでは無用なように書かれている美朗や小町という都会者への媒介者が必要だと思われます。) 低評価の方のレビューは殆ど健全な道徳観に基づく生理的嫌悪に感じられましたが、作者は「道徳という人為的なものが無ければ人間はどうなってしまうのか?」ということを描きたかったのではないでしょうか? だから主人公ふたりは道徳以前の情動に従っていただけで、背徳を認識しながらの行為ではなかったように読めました。「アンモラル」という形容は通俗的な近親相姦に堕してしまうようで、解説の北上次郎さんの「禁じられた愛と性」という表現も不適当に思えます。 koru "shari"さんがおっしゃる「おっおっ」という台詞の違和感、そもそも淳悟のような男が「おかあさん」などという言葉を発したときは非常に観念的であり、とても作中の感嘆詞的なものではないでしょう。粗をさがせば限はありませんが、とにかく私は本作を読んでいままで想像もしなかった世界をのぞき見ることができました。それだけで読む価値のある作品といえると思います。 蛇足ながら私は本作を読みながら思い出したのは藤子・F・不二雄さんの「ミノタウロスの皿」でした。常識(道徳)を覆される定型的な物語としてなかなか重宝しますよ。 | ||||
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この作品以来、小説を読んでいません。読む気になれないんです。桜庭さんの作品すら読んでいません。私が(個人的に)読書に求めていたものが、全てこの作品にあったからです。いずれまた小説を読みたいと思う日が来るかもしれません。ですが、その時まで、私の読書は終わりです。 | ||||
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