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ベルカ、吠えないのか?



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【この小説が収録されている参考書籍】
ベルカ、吠えないのか?
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

ベルカ、吠えないのか?の評価: 4.06/5点 レビュー 68件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.06pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全68件 61~68 4/4ページ
No.8:
(4pt)

改訂増補新版ソビエト帝国の崩壊

冒頭の献辞から、ウォッカを飲ますと巨大化して人間どもを喰らうようになる怪物犬が、ロシアの反動派の政敵を皆殺しにする小説かと思ったが、違った。 いや、この作者なら、と思ったのですが。 橋本治の本に20世紀を一年ずつ解説していくものがあったが、そのコンセプトでこの作品のような手があったかと、関心。西村寿行タッチで小室直樹的世界史講義が展開される。にしても、ターゲットはどの層だ。 物語は90年代初頭、ロシアのクーデター事件でクライマックスを迎える。日本からロシアへ渡り、拉致監禁を経てイヌたちの頭となったヤクザの嬢。彼らは事件の後ロシアをあとにする。21世紀に宣戦布告するために。――しかし、その21世紀の実像を私たちですら把握できてない。その間隙を塗って20世紀の亡霊たちは、私たちに吠えかかるのだろうか。それとも、『サウンドトラック』の作者は、それをご存知?
ベルカ、吠えないのか?Amazon書評・レビュー:ベルカ、吠えないのか?より
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No.7:
(4pt)

神の視点からイヌを見据え、20世紀後半の人類史を描く壮大な叙事詩

1940年代、太平洋戦争下で日本とアメリカが激戦を繰り広げた南洋に、それぞれの国の軍用犬がいました。この物語はその犬たちが子から孫、孫からひ孫へと世代を継ぎながら、20世紀の冷戦構造史をたどっていくという骨太の物語です。 私のようなサラリーマンは日がな一日こうした小説を読み続ける時間的余裕を与えられていないため、どうしても数日かけて小分けしながら頁を繰ることになります。その場合、このように幾世代にも渡ってあまたの犬が登場する物語は、それぞれの犬の相関関係や犬一族の系譜図を記憶し続けることが出来なくなりがちです。事実、後半ではカブロン、ギター、ストレルカ、ベルカと名づけられた犬たちのどれとどれが兄弟姉妹なのか、または親子関係にあるのか、見失ってしまいました。 それでも私はこの物語に大いなる魅力を感じないではいられませんでした。 犬を「お前」と呼ぶ二人称の視点で綴られたこの壮大な物語は、実は散文の装いをした長大な叙事詩ではないかと思うのです。例えば、111頁に登場する以下の文章は実際には改行されることなく連続して綴られていますが、ちょっと改行を行なうだけで、にわかに詩のような韻律を伴って私たちに迫ってくる性質を内包しているのです。十一月だ。一九五七年の十一月だ。馬がいなないている。蛙が鳴いている。鶏が朝方わめいている。屋敷の中庭に置かれた池では十数羽のアヒルが泳いでいる。霧が果樹園じゅうに広がる時間帯があって、お前はそれを、美シイ、と思う。厳寒の地方のイヌの血が濃い子供たちが、霧ガアル時間ハ、イイ、イイ、トッテモ涼シイ、と喜ぶ。 現在形を多用することで、文章にはこのように躍動感が満ち溢れます。それが耳に心地よく、読者の心をつかんで離さぬ強い魅力を放つことになるのです。 物語の中身よりはこの文章の力強さを味わった。それが私の偽らざる感想です。
ベルカ、吠えないのか?Amazon書評・レビュー:ベルカ、吠えないのか?より
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No.6:
(5pt)

歴史に残らないものたち

日本軍の軍用犬4頭の血の連なり(子孫)が、第二次大戦から、冷戦、そして現在までのさまざまな政治的状況とからまりあい、出会ったり、死んでしまったりする。何かの犠牲になった数多の、人、そして、いぬ。その後の今、我々が生きているという地続き感があじわえる。わたしは4ヶ月前に死んでしまったうちの雑種犬を思い出し、胸がしめつけられるような気持ちになってしまった。
ベルカ、吠えないのか?Amazon書評・レビュー:ベルカ、吠えないのか?より
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No.5:
(5pt)

圧倒されるイヌたちの物語。

初めての古川作品でした。硬質で迫力のある文体に魅了され、一気に引き込まれました。「あんたたちはこれをフィクションだと言うだろう」という挑戦的な問いかけから始まる序文から既にかっこいいのです。20世紀/戦争の世紀を軍用犬の世紀として描き切った壮大なイヌ・クロニクル。第二次大戦末期・戦後の米ソ対立・朝鮮戦争・ベトナム戦争・そしてソ連崩壊を通じて数奇な運命をたどるイヌたち。世界中に散らばり、働き・戦い、そしてめぐり合い、自分たちの子孫を増やしていくイヌたち。人間のために働きながらも決して"飼い馴らされない"凛々しいイヌの姿に圧倒されました。そんな硬質な内容の中にも、人間の思惑がユーモアをまじえて描写される辺りはくすりと笑わされたりもします。こんなに凄い一大叙事詩を語り始め、展開させ、そしてめぐりめぐって収束させる著者の筆力に脱帽しました。欲を言えば、世界地図とイヌの系譜を付けておいてほしかったです。ずしりと手応えのある小説を味わいたい方は、ぜひ。この作品が直木賞の受賞を逃してしまったのはなんとも残念です。
ベルカ、吠えないのか?Amazon書評・レビュー:ベルカ、吠えないのか?より
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No.4:
(4pt)

犬はかっこいい

人間の戦争を、戦争用に訓練された犬を通して描いた小説。古川作品が好きだが、歴史が苦手なわたしとしては、詳細な歴史の記述が退屈だった。穴倉に潜んだ子孫が生き抜いていくシーンや、ヤクザの娘が訓練中の犬に興味をもつシーンなど、歴史と関係ない部分は楽しめた。歴史が苦手なら、国々が争っている詳細は読み飛ばしてしまうと楽しめるかも。それにしても、とにかく犬がかっこいい。
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No.3:
(4pt)

うぉん

二人称の神の視点で犬達の円環の歴史と人間の戦争をあらわす小説です。アリューシャン列島のキスカ島に残された四頭の犬から歴史は始まります。そしてその系譜にスッポリと戦争の20世紀が覆われます。ハードで無愛想な文体の中にくすくす笑いのユーモアが秘められてときどきアハハと声を立てながら読みました。面白い小説なのは確かですが,この物語にはもう少し枚数があった方がよかったのかもしれません。挿話の絡み方が一本へとつながる快感は得られるのですが,ストレルカ(最高☆)のストーリーなどはもっともっと深められてもよかったのではないかなと感じてしまったからです。ともかくダイナミックな小説を楽しみたい方には文句なしにお勧めです。
ベルカ、吠えないのか?Amazon書評・レビュー:ベルカ、吠えないのか?より
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No.2:
(4pt)

ゆるい小説が苦手なら

長過ぎない作品なので、出来るだけ小分けにしないで物語のスピード感を楽しみながら読むのがオススメです。 古川ワールドの格好良さ(研ぎ澄まされた弱肉強食の世界)が堪能できます。何と言っても、犬たちが格好いいのです。出てくる犬たち一頭ずつが皆、驚くような運命を背負っています。それに引き換え格好悪いのは・・・、となってしまいますが。 壮大な犬・クロニクルと、かなりいかれて格好いい元やくざ嬢のロシアにおけるストーリーがいつのまにか繋がって・・・。 最後には、こんな小説読んだことない!と叫べることでしょう。 
ベルカ、吠えないのか?Amazon書評・レビュー:ベルカ、吠えないのか?より
4163239103
No.1:
(4pt)

奇想歴史小説おるいは犬私小説

20世紀を犬の世界から俯瞰するなんとも風変わりな小説です。 スターリンやフルシチョフ、毛沢東などの人物が戦い続けた20世紀が、いかに血なまぐさく人間の愚行の積み重ねの世紀かを、犬の目を通して見せつけられます。 北極海からメキシコ、サモア、はてはベトナムの地下トンネルから宇宙空間まで、地球上の半分ぐらいをカバーする壮大で奇天烈な物語です。 まるでメビウスの輪のように繋がった犬たちの運命は、数奇で鮮烈でもあります。 妙な読後感に浸る不思議な物語をどうぞ・・・
ベルカ、吠えないのか?Amazon書評・レビュー:ベルカ、吠えないのか?より
4163239103

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