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弥勒
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弥勒の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全62件 41~60 3/4ページ
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綿密な取材と構想のもとに、これだけの大きな物語を一気に語ってしまう筆力にはさすがに圧倒されたが、その割には、読み終えた後に何か重いものが残ったというのでもなかった。洗練の極に至って、かすかな頽廃の匂いすら漂わせるパスキム仏教は、ポルポトを思わせるゲルツェンの原始共産制によって、完全に否定される。革命の渦中での人々の苦しみは、これでもかというほど執拗かつ詳細に描き出されるのだが、個々の描写の凄まじさも、延々と繰り返されると単なる記号と化してしまいがちで、後半はやや単調に感じられた。元学芸員の新聞記者という肩書きを持ち、はじめはパスキム仏教の審美的な側面にのみ魅力を感じていた主人公は、ゲルツェンの革命が結局は失敗に終わることが明らかになった時、そのいずれでもない第三の道を取ることを決意する。この流れはいささか図式的過ぎるようでもあり、少なくとも、仏教という宗教の本質にはもうひとつ迫り切れていないように思えるのだが、巻末の参考文献を見るとそれにも納得が行ってしまう。最後に、パスキムという架空の国の構想は、本文中の描写からすると、シッキムとブータンを足して二で割ったような要素から成り立っているようだが、その方面に関して多少の知識がないではない立場からすると、「パスキム」という固有名詞はいかにも素人の拵え物というふうで、あまりセンスが感じられないのが残念だった。「カター」という首都名に関しても同様のことが言えるが、この種の架空の固有名がピシリと決まっているかどうかで、作品全体の出来も大きく左右されるのだから、もう少し時間をかけて慎重に考えてほしかったと思う。 | ||||
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綿密な取材と構想のもとに、これだけの大きな物語を一気に語ってしまう筆力には さすがに圧倒されたが、その割には、読み終えた後に何か重いものが残ったというのでもなかった。 洗練の極に至って、かすかな頽廃の匂いすら漂わせるパスキム仏教は、 ポルポトを思わせるゲルツェンの原始共産制によって、完全に否定される。 革命の渦中での人々の苦しみは、これでもかというほど執拗かつ詳細に描き出されるのだが、 個々の描写の凄まじさも、延々と繰り返されると単なる記号と化してしまいがちで、後半はやや単調に感じられた。 元学芸員の新聞記者という肩書きを持ち、はじめはパスキム仏教の審美的な側面にのみ魅力を感じていた主人公は、 ゲルツェンの革命が結局は失敗に終わることが明らかになった時、そのいずれでもない第三の道を取ることを決意する。 この流れはいささか図式的過ぎるようでもあり、少なくとも、仏教という宗教の本質には もうひとつ迫り切れていないように思えるのだが、巻末の参考文献を見るとそれにも納得が行ってしまう。 最後に、パスキムという架空の国の構想は、本文中の描写からすると、シッキムとブータンを足して二で割ったような 要素から成り立っているようだが、その方面に関して多少の知識がないではない立場からすると、 「パスキム」という固有名詞はいかにも素人の拵え物というふうで、あまりセンスが感じられないのが残念だった。 「カター」という首都名に関しても同様のことが言えるが、この種の架空の固有名がピシリと決まっているかどうかで、 作品全体の出来も大きく左右されるのだから、もう少し時間をかけて慎重に考えてほしかったと思う。 | ||||
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吸い込まれるように読んでいった。 重いが面白い。 恐怖もややあってか夢に登場したりもした。 投げかけられたテーマは?「祈り」?いや「諸悪莫作」だ、と一人考えた。一言では片付けられない深さがあり、多くの人に是非読んで欲しいと思う。一冊の本でこんなに沢山のことを考える機会を得られるとは・・。「弥勒」だから・・こそだ。 華やかな文化社会の裏の貧しい社会、祈りが最大の仕事となった世界。それが疑問視され、壊され、完全平等世界が目指された。祈りも禁止され、現代知識も排除され、不自然な「自然」が作り出された。一見秩序だった世界は、無秩序を織り成していく。自然との共存で生まれた知識も排除されたのでは無知でしかない、人であることにも疑問が起こる・・。そのような手段を強行した結果、少しずつ崩壊へと向かう新世界。 これらは自然との共存を訴えるものであり、多民族のありのままを肯定するものでもあり、更には善悪とは?その基準は?と大きなテーマを投げかけてくるものである。それは今の時代を疑問視する鋭い眼が光った結果であろう。 弥勒の発行された後ではあるが、テロによるアメリカのツインタワー爆破とそこから生まれた大義名分を背負った戦争。善を語りながら悪ともとれる行為の数々。これが真の解決になるのだろうか? 諸悪莫作・・諸々の悪なすことなかれ、いやむしろ諸々の悪なすことなし。仏陀は信仰を提供したのではない。宇宙の真実、それは全てがひとつだということ、それを知ることでいい方向に進む、それを知り、伝えただけだった。仏は一人一人に宿っているのだから。そのことを改めて考えたのは「弥勒」を読んだから・・。 | ||||
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吸い込まれるように読んでいった。 重いが面白い。 恐怖もややあってか夢に登場したりもした。 投げかけられたテーマは?「祈り」?いや「諸悪莫作」だ、と一人考えた。 一言では片付けられない深さがあり、多くの人に是非読んで欲しいと思う。 一冊の本でこんなに沢山のことを考える機会を得られるとは・・。「弥勒」だから・・こそだ。 華やかな文化社会の裏の貧しい社会、祈りが最大の仕事となった世界。それが疑問視され、壊され、完全平等世界が目指された。祈りも禁止され、現代知識も排除され、不自然な「自然」が作り出された。一見秩序だった世界は、無秩序を織り成していく。自然との共存で生まれた知識も排除されたのでは無知でしかない、人であることにも疑問が起こる・・。そのような手段を強行した結果、少しずつ崩壊へと向かう新世界。 これらは自然との共存を訴えるものであり、多民族のありのままを肯定するものでもあり、更には善悪とは?その基準は?と大きなテーマを投げかけてくるものである。それは今の時代を疑問視する鋭い眼が光った結果であろう。 弥勒の発行された後ではあるが、テロによるアメリカのツインタワー爆破とそこから生まれた大義名分を背負った戦争。善を語りながら悪ともとれる行為の数々。これが真の解決になるのだろうか? 諸悪莫作・・諸々の悪なすことなかれ、いやむしろ諸々の悪なすことなし。仏陀は信仰を提供したのではない。宇宙の真実、それは全てがひとつだということ、それを知ることでいい方向に進む、それを知り、伝えただけだった。仏は一人一人に宿っているのだから。そのことを改めて考えたのは「弥勒」を読んだから・・。 | ||||
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完全平等社会という美名の下に多大なる犠牲を生み出し、その先には 崩壊が待ち受けているだけの過激な政治体制。しかしなぜそんな愚行に 走ったのかというその背景、過程、結末を緻密に描いていくにつれ、 果たしてその間違いを頭ごなしに糾弾し否定し去ることができるのか、 段々と疑問を覚え始めていきます。 ひたすらシビアにそれぞれの立場・思想理念を描き出し、決して 描写が一方的で独り善がりなものにならない。また、人の手に余るような、 超越した美しさを持つものを端整に描写する筆力があります。 想像を絶する過酷な状況に追い込まれた主人公永岡も、超越した 美しさを持つパスキム美術、弥勒が心の拠り所になっていたんでしょうか。 このあたりこの人らしい作風ですね。 文体も美しく読みやすいのに重厚感があり、しばしばハッとする描写に出会います。 読んでる間はめまぐるしく自分の価値観が揺らいでいくし、 読後は救いや信仰、人の死について多少泥沼思考にハマりました(笑) ラストに拍子抜けという人もいると思いますが、個人的には これがベストな終わり方と思います。篠田作品では一番好きです。 深いテーマを押し付けがましくなく、面白く読ませてくれる傑作。 | ||||
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完全平等社会という美名の下に多大なる犠牲を生み出し、その先には崩壊が待ち受けているだけの過激な政治体制。しかしなぜそんな愚行に走ったのかというその背景、過程、結末を緻密に描いていくにつれ、果たしてその間違いを頭ごなしに糾弾し否定し去ることができるのか、段々と疑問を覚え始めていきます。ひたすらシビアにそれぞれの立場・思想理念を描き出し、決して描写が一方的で独り善がりなものにならない。また、人の手に余るような、超越した美しさを持つものを端整に描写する筆力があります。想像を絶する過酷な状況に追い込まれた主人公永岡も、超越した美しさを持つパスキム美術、弥勒が心の拠り所になっていたんでしょうか。このあたりこの人らしい作風ですね。文体も美しく読みやすいのに重厚感があり、しばしばハッとする描写に出会います。読んでる間はめまぐるしく自分の価値観が揺らいでいくし、読後は救いや信仰、人の死について多少泥沼思考にハマりました(笑)ラストに拍子抜けという人もいると思いますが、個人的にはこれがベストな終わり方と思います。篠田作品では一番好きです。深いテーマを押し付けがましくなく、面白く読ませてくれる傑作。 | ||||
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ありそうだ。どこかの国であってもおかしくない。どちらの論理が正しいのか、堅い堅い社会主義のような、まったくの自由のない、とも思える論理、それが正しくないのか、とも何ともいえない。 答えはでないのかもしれない。 私はこの本を読んで、開眼しました。 こんな国がもしかしたらあるのかもしれない。 そして、国際協力…のような仕事につけたら、と、大学を選びました。 ものすごい疾走感! 厚いのに一気に読めます。 そして恐ろしい思いに。 篠田節子のこの疾走感と、ホラーのような怖さ!さすが! | ||||
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ありそうだ。どこかの国であってもおかしくない。 どちらの論理が正しいのか、堅い堅い社会主義のような、まったくの自由のない、とも思える論理、それが正しくないのか、とも何ともいえない。 答えはでないのかもしれない。 私はこの本を読んで、開眼しました。 こんな国がもしかしたらあるのかもしれない。 そして、国際協力…のような仕事につけたら、と、大学を選びました。 ものすごい疾走感! 厚いのに一気に読めます。 そして恐ろしい思いに。 篠田節子のこの疾走感と、ホラーのような怖さ!さすが! | ||||
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篠田節子氏は、緻密な構成で読者の関心を引きながら物語る技術、現代社会や人間への鋭い洞察力、社会悪への怒りだけでなく、そうした長所・美点を一点に集中させることのできる思想を持った方だと思います。「思想」等と書くと誤解を受けそうですが、作家にとって、これだけは守りたいがために書くという指針としての思想は、作品の力強さとなって読者に迫ってくるものです。 篠田氏の作品全てを読んではいませんが、この作品や『カノン』、『ハルモニア』には、そういった鬼気迫るような思想の力が漲っています。篠田氏は割と軽いタッチでも書ける方のようですが、安易な娯楽流行りの今だからこそ、このような重厚な作品が再読されるべきではないかと思います。『弥勒』は後世に残る作品です。 | ||||
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篠田節子氏は、緻密な構成で読者の関心を引きながら物語る技術、現代社会や人間への鋭い洞察力、社会悪への怒りだけでなく、そうした長所・美点を一点に集中させることのできる思想を持った方だと思います。「思想」等と書くと誤解を受けそうですが、作家にとって、これだけは守りたいがために書くという指針としての思想は、作品の力強さとなって読者に迫ってくるものです。 篠田氏の作品全てを読んではいませんが、この作品や『カノン』、『ハルモニア』には、そういった鬼気迫るような思想の力が漲っています。篠田氏は割と軽いタッチでも書ける方のようですが、安易な娯楽流行りの今だからこそ、このような重厚な作品が再読されるべきではないかと思います。『弥勒』は後世に残る作品です。 | ||||
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とても力のある作品です。丁寧に取材して書かれたようで、個々の状況や人物の設定がたいへんリアルで、迫ってきます。ディテールが具体的なため、「ああ、これは朝日新聞のことだな」「これはポル・ポトだな」というふうに、元のネタがわかってしまう部分も多いのですが、それがさまたげにならなくて、どんどん引きこまれるように読破してしまいました。 | ||||
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インドとネパールの境にある架空の国・パスキム。特殊な風土と歴史の中で,高度に発達した芸術や文化の観光立国にクーデターが発生する。以前その国に訪れたことのある元学芸員が,貴重な文化財や芸術品が破壊される前に日本へ持ち出そうと単身パスキムへ潜入する…。描かれているのは,まさに「戦争」。想像を絶する弾圧の中で,人間性が急激に引き剥がされてゆく姿を克明に描かれている。ポル・ポトの時代やナチスのホロコーストもこんな状況だったのだろうか。そんな極限の状態の中での宗教とはどんな意味を持つのか。そして,主人公の最後の選択…。いろんなことを考えさせられる本。名作です。 | ||||
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インドとネパールの境にある架空の国・パスキム。特殊な風土と歴史の中で,高度に発達した芸術や文化の観光立国にクーデターが発生する。以前その国に訪れたことのある元学芸員が,貴重な文化財や芸術品が破壊される前に日本へ持ち出そうと単身パスキムへ潜入する…。描かれているのは,まさに「戦争」。想像を絶する弾圧の中で,人間性が急激に引き剥がされてゆく姿を克明に描かれている。ポル・ポトの時代やナチスのホロコーストもこんな状況だったのだろうか。そんな極限の状態の中での宗教とはどんな意味を持つのか。そして,主人公の最後の選択…。いろんなことを考えさせられる本。名作です。 | ||||
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架空の国・パスキムの革命に巻き込まれてしまった日本人・永岡英彰 。理想の国家建設に邁進するかつて国王秘書官であった革命家・ゲルツェン。ゲルツェンの国家建設は順調に進むかに見えたが…。かつてポル・ポトが行った大量虐殺も、外部から見れば狂気の沙汰としか見えないが、内側から見れば、理想的な国家建設にとって当然のことだったのかもしれない。そんな示唆に富む作品である。ゲルツェンの革命も、ポル・ポト政権下のカンボジアと同じ運命をたどるのか。篠田節子のすばらしい筆力と構想力は、永岡英彰の目を通してこの過程を見事に描き出し、650ページもの大作を一気に最後まで読ませてしまう。純粋な理想主義者が権力を手した時の狂気を見事に描き出した、すばらしい作品である。 | ||||
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架空の国・パスキムの革命に巻き込まれてしまった日本人・永岡英彰 。理想の国家建設に邁進するかつて国王秘書官であった革命家・ゲルツェン。ゲルツェンの国家建設は順調に進むかに見えたが…。かつてポル・ポトが行った大量虐殺も、外部から見れば狂気の沙汰としか見えないが、内側から見れば、理想的な国家建設にとって当然のことだったのかもしれない。そんな示唆に富む作品である。ゲルツェンの革命も、ポル・ポト政権下のカンボジアと同じ運命をたどるのか。篠田節子のすばらしい筆力と構想力は、永岡英彰の目を通してこの過程を見事に描き出し、650ページもの大作を一気に最後まで読ませてしまう。純粋な理想主義者が権力を手した時の狂気を見事に描き出した、すばらしい作品である。 | ||||
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思わず世界地図を引っ張り出してきて調べてしまいました。そんな国があるの?本当にあるかも?と。ありませんでした。それほど?現実のような気がしました。あってもおかしくない、でも、いや?ずっとそんな気持ちで読んでいました。はまってました。 | ||||
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ヒマラヤをよく訪れる者として何気なく手に取りましたが、まさしく救いとは何か、人間にとって必要なものは何かを考える作品です。この主人公は私かもしれないと何度も思いました。ヒマラヤの(架空の)小国でクーデターが起こり、体制はあたかもカンボジアのポルポト時代のようになってしまう。だが、鎖国状態、しかもヒマラヤの小国であるため、何のニュースにもなりません。学芸員である主人公は、その国民ではなく、その国の仏教美術が大切であるがためにその小国に潜入し、美術品を国外に持ち出そうとし、そして、囚われ、待っていたのは想像を絶する労働と飢餓の状態だった。だが、ここでふと私が思ったのは、アフガニスタンのことです。9.11以前あの見捨てられた国に、世界が関心を向けたのは、タリバンがバーミヤンの石仏を爆破すると宣言したときだけでした。世界はそこに住む人間ではなく、命のない石仏に対して金を出すから爆破はやめるよう迫った。この私たちの行為は、この作品の主人公が「美術品が心配なのだ」とはっきり言うのとどこが違うでしょうか?主人公を責めることも憐れむことも私にはできません。ここに描かれていることがすべて虚構であると言える人間は果たしているでしょうか。この本は、今までの自分への問いかけとも言える一冊です。 | ||||
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ヒマラヤをよく訪れる者として何気なく手に取りましたが、まさしく救いとは何か、人間にとって必要なものは何かを考える作品です。この主人公は私かもしれないと何度も思いました。 ヒマラヤの(架空の)小国でクーデターが起こり、体制はあたかもカンボジアのポルポト時代のようになってしまう。だが、鎖国状態、しかもヒマラヤの小国であるため、何のニュースにもなりません。学芸員である主人公は、その国民ではなく、その国の仏教美術が大切であるがためにその小国に潜入し、美術品を国外に持ち出そうとし、そして、囚われ、待っていたのは想像を絶する労働と飢餓の状態だった。 だが、ここでふと私が思ったのは、アフガニスタンのことです。9.11以前あの見捨てられた国に、世界が関心を向けたのは、タリバンがバーミヤンの石仏を爆破すると宣言したときだけでした。世界はそこに住む人間ではなく、命のない石仏に対して金を出すから爆破はやめるよう迫った。この私たちの行為は、この作品の主人公が「美術品が心配なのだ」とはっきり言うのとどこが違うでしょうか?主人公を責めることも憐れむことも私にはできません。 ここに描かれていることがすべて虚構であると言える人間は果たしているでしょうか。この本は、今までの自分への問いかけとも言える一冊です。 | ||||
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とても女性作家が書いたとは思われない力強さでこれでもかというほどの救いのない世界が展開する。地位も名誉も取り去り、希望も欲望もありえない世界では何が生きる理由になるのだろうか?食べて、寝て、排泄して、それ以外になんの付加価値をあなたは持っているのかと突きつけられたような衝撃だ。 | ||||
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とても女性作家が書いたとは思われない力強さでこれでもかというほどの救いのない世界が展開する。 地位も名誉も取り去り、希望も欲望もありえない世界では何が生きる理由になるのだろうか? 食べて、寝て、排泄して、それ以外になんの付加価値をあなたは持っているのかと突きつけられたような衝撃だ。 | ||||
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