薄暮
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殺人事件などはおきない。 けれども、これはれっきとしたミステリーである。 ミステリーには犯罪などは必要ないのかもしれない。 そう思わせる作品が、篠田節子や宮部みゆきにはある。 そして、これがその一つ。 テーマは美術界。 新潟の田舎で画壇に背を向けて一生を終えた画家がいた。 そして、その画家の絵を発掘した元美術雑誌の編集者は、この画家に献身的に尽くした妻と関わることになる。 献身的に尽くしたがゆえに、思いが暴走し妄想と化す妻。 地元の人の素朴な思い、そして策略。 殺人事件がなくても、ミステリーはこんなに面白い、という作品である。 篠田節子には異境もの、女性の生き方もの、芸術もの、というジャンルがあるが、これは芸術ものである。 彼女自身はバイオリンを弾くらしく音楽をテーマにしたものも多いが、絵をテーマにしたのはこれが初めてかもしれない。 ところで、この小説は日経新聞の夕刊に連載されたものだそうだ。 ぼくは、新聞小説や週刊誌の連載小説というやつが苦手である。 だって、読みたくても次が読めない。 そのフラストレーションを想像するだけで、敬遠したくなる。 毎日、これを新聞で読み続けてきた人には、それだけでぼくとは別の人種かもしれない、と思ってしまう。 | ||||
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高校生の時、尊敬する美術の先生が、ダリの妻ガラについて、「女性は多大なインスピレーションを与えるという点で、芸術家そのものより豊饒な力を持つ存在なの」とおっしゃったのが鮮烈だった。この小説の中心となる二人の女性のうち、一人がそのタイプ。彼女は私が思うに世界最強。今まで読んだどの小説のヒロインよりも強い!と感じた。この小説ではわきを固める女性たちもまたそれぞれに「強さ」を持っている。どれが最強ということはないのかもしれないが、でもやっぱり彼女の強さにはかなわない。これだけ面白い小説、もっと読まれてもいいと思う。ドラマ化しても絶対に面白い。そのとき誰が「彼女」を演じるのか、キャスティングには悩みそうだが。できれば無名の新人がいいな。 | ||||
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篠田節子の もつ 身体の中のうごめきが、 なんともいえず ざわざわ した心のざわめきが、 うっとうしくもあり 同時に 人間って こんな風なんだろうな と 妙に 説得力があり おどろきました。 『さが』 といえば 『さが』 なんですが、 一言でいえない 奥行きのあるものでした。 主人公は 宮嶋智子。 閉じられた画家を 献身的に支え、実家を飛び出し、郷里を捨てて 天才的な 画家を ささえた。 純愛のように思えた。 天才でも オトコであり、そして 悩み 惑うのである。 裏切られても、ただひたすらに 献身をする。 そうすればするほど 逃げていく。 タライの水を 引き寄せるには 引っ張ることではなく 押すことだということが わからない 智子。 どんどんと 自分を正当化させるための物語を紡ぐ。 しだいに 智子の虚構の物語 が崩れ去っていく 天才が死んでしまったがゆえに 過去が自分のものにできる。 そこまで 突き詰める篠田節子の筆力はなんともいえないほど執拗だ。 主人公の 智子の執拗さに比べれば、篠田節子の執拗さが 勝っているという 恐ろしい物語である。 でも 地元というものは ありがたいものである。 郷土愛 という屈折した 愛が さまざまな形で噴出する。 厳しい季節を おくらざるを得ない 切々たる思い。 それが おカネになると人々は ばらばらになっていく。 もう一人の主人公 乳母像のモデルは じっと時間をやり過ごす。 | ||||
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という感覚が拭えなかった。 そんな面倒な著作権者ならもういいやん?みたいなw 妻の葛藤より、趣味と意地で仕事してる男のバカさが痛かった。 内容の割にページ数厚すぎな感じでした。 | ||||
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地方に埋もれていた画家の家族と地域の人達の話。 雑誌編集者が、雑誌に掲載した画家の絵の話題が出てくる随筆への反応で、画集の作成を企画する。 画家の配偶者が、画家を支え、地域の人と対立する。 地域の人の持っていた作品が、偽物だと断じる。 暗躍する画商と、お寺の話がきなくさい。 予想通り、画商の画策が表面化する。 個々の展開は想定外だ。 全体的には想定内だ。 推理小説としては中途半端かもしれない。 家族小説としては幸せな終わりを迎える。 篠田節子の小説家と常識人としての均衡の取り方は面目躍如かもしれない。 作家の家族に対する尊敬の示し方の技法を習得することができた。 複雑度がちょうどよい加減で、苦労が報われるという話として美談だ。 裏に現れる暗躍が、全体を破壊していないというのが出色。 | ||||
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