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弥勒



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【この小説が収録されている参考書籍】
弥勒 (メフィスト・クラブ)
弥勒 (講談社文庫)
弥勒 (集英社文庫)

弥勒の評価: 4.45/5点 レビュー 62件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.45pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全52件 1~20 1/3ページ
123>>
No.52:
(5pt)

過去や現在の世界に、実際にあったこと

まったくたまたま読んだ。はじめは夫婦や男女の話かと読んでいたが、それどころではない。文学としての深さは私にはわからないが、まるでフィクション(と思いたい)のような悲惨残酷な諸々できごとは、過去のカンボジアポルポト政権、ソ連のスターリン時代、毛沢東の大躍進政策、文化大革命、そして現在もウイグルで行なわれている現実なのではなかろうか。
弥勒 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:弥勒 (講談社文庫)より
4062732785
No.51:
(4pt)

丁寧でした

商品の消毒作業をして頂いた点、取り出し易く商品が傷まないビニール掛けをして頂いた点が良かったです。
弥勒 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:弥勒 (講談社文庫)より
4062732785
No.50:
(5pt)

面白くてあっという間でした

宗教とは?と問いかけられる作品。インチキ宗教とスピリチュアルに騙されている人こそ読んで欲しい。
弥勒 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:弥勒 (講談社文庫)より
4062732785
No.49:
(5pt)

著者の力量に圧倒される。

内容は、高評価の皆さんが書いておられる通り、重くて大変な物語ですが、読みごたえたっぷりで、読書の醍醐味を存分に味わえる傑作です。
私が強調しておきたいのは、著者の力量。
凡百の作家がこのストーリーで書いたら、これの3分の1もない分量でラストへ持って行ってしまうのではないかと思うのですが、篠田さんは、これでもかというほどエピソードを積み重ね、主人公にどんどん負荷をかけていって、この分量にしました。
村上春樹さんが、長編小説を書くには体力がいると書いていましたが、この作品には著者のすごいエネルギーを感じます。
絵にかいたような悪人は出てこず、だれもがある意味真面目なのですが、真面目の内容と方向性がみんな違う。
それをさまざまに絡めつつ、リアリティたっぷりに、中だるみもなく転がり続けるように、最後の1行までストーリーがサクサク進んで行きます。
「ゴサインタン」や「聖域」でも感じましたが、本当に実力のある作家だと思いますし、そういう意味でも圧倒される見事な作品でした。
弥勒 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:弥勒 (講談社文庫)より
4062732785
No.48:
(5pt)

結末の「救い」。

実際には存在しない王国に対する「創造」力が凄まじい。インド-ネパール間の国境に、本当にそのような国があるかのような気がするほどである。宗教・階級制度・支配体制などが創造された上で、革命によって破壊されていく。一国における「革命」をテーマとしている点では同著者の『コンタクト・ゾーン』と同じであるが、凄まじさではこちらが勝る。政治的な信念において――社会主義というよりも――原始共産主義的な革命に着手したものの、徐々にその理想が潰えていく過程が容赦のない描写とともに書き綴られる。650ページを超える大作だが、100ページを超えれば後は一気に読み進められる濃密な内容であり、しかも終わり近くまでカタルシスは一切存在しない。それだけに結末における「ボール紙製の稚拙な」仏塔が圧倒的な重みで胸に迫ってくるのである。
弥勒 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:弥勒 (講談社文庫)より
4062732785
No.47:
(5pt)

ヒマラヤの小王国で解放戦線が行ったこと

「読書クラブ 本好きですか?」の読書仲間・中谷隆志氏に薦められた『弥勒』(篠田節子著、集英社文庫)を手にしました。

日本のT新聞の事業部員の永岡英彰は、失われようとしている仏像美術保護のため、ヒマラヤの小王国・パスキムに潜入したが、パスキム解放戦線が起こした政変に巻き込まれてしまいます。

「唖然としたまま永岡は堂を出て、堂の裏手にある僧院に続く石畳の庭を歩いていく。そうするうちに、においは一段とひどくなってきた。全身の毛が逆立つのを覚えながら、永岡はゆっくりと僧院に近づいていった。扉は開け放たれていた。永岡は小さく呻き声を上げた。町中では一つもなかったものが、ここにあった。床の上に、ねじれ、積み重なり、無数の死体が、転がっていた。足が震えた。一刻も早く、この町を出ろ、とでも言うように、全身がわなないている。それと相反するように震える足が、屍の方に近づいていく。片腕を建物の外に出し、伸びかけた坊主頭を仰け反らせ、舌をだらりと口から出して絶命している死体は、腐り、褐色に変わっている。腐り落ち、空洞になった目が虚空を睨んでいる。その体を覆った小豆色の衣。その下にも死体。その向こうにも死体。床を埋め尽くして死体がある。どれも舌を出し小豆色の僧衣を身につけた死体の山だ。・・・死体はすべて同じ方法で殺されていた。地面に引き倒し、衣の胸の部分を開き、上腹の皮膚をナイフで切り裂き、そこから手を入れ、肺に穴を開ける。そのとき苦しんで舌を出すので、末期の水をその舌にかけてやる。チベットなどで家畜を屠るときの作法の一つだ。銀の水差しはそのとき使うもので、ここの僧院の修行僧たちは、家畜と同じ殺され方をしていた。しかし家畜と異なり、皮を剥がれ干し肉にはされなかったために、彼らは蠅にたかられ、ただ腐っていく。・・・いつの間にか、マトゥラという尼僧院の中庭に迷い込んでいた。・・・『朗らかで明るかった四百人の尼僧たちが、お腹に穴を開けられ、そこから手を入れられ、内臓を破られて殺されました。それが一番簡単で、楽な死に方だと、(パキシム解放戦線の最高幹部、ラクパ・)ゲルツェンたちは信じているのです。それを慈悲と信じているのです』」。

「(ゲルツェンは)今まで、だれも想像もしなかったような、精神の改革を目指している。これは革命でもクーデターでもなく、宗教改革だ。宗教を否定したものが行なおうとしている宗教改革。僧侶を殺し、もし売ればその代金で大量の武器を買えるはずの貴重な宗教美術を谷に投げ落とし、既存の宗教をすべて否定し、親子や家族の絆を断ち切り、兄弟という言葉でくくられた水平的平等を達成しようとしている」。

「カターから来た女と、この村の男の一人が呼ばれ、並んで立たされた。次に呼び上げられた女と男が、彼らの後ろに行く。カターの女と、村の男や兵士とのカップルが、つぎつぎにできて、並んでいく。まさかと思った。冗談でも余興でもなく、これは集団結婚式らしかった。以前の家庭を解体させ、新たなカップルを支配者が作る、強制結婚だ。それも町の女と村の男という組み合わせの」。

「『ゲルツェンたちは急ぎ過ぎて、すべてを壊していくわ。私たちが村に入り、一つ一つ改善していこうとしたことを、彼は根こそぎ壊して新たなものを作り上げようとしている。けれど、人の心はそんなに簡単に変われない。何十年もかかるのよ』」。

「最初は因習と迷信に縛られた村人、次にはカターから来た医者たち、さらにカターから来た知識階級の人々が、彼ら(パキシム解放戦線)の敵になった。一つ一つ排除していった挙げ句、今度は幹部同士が殺し合いを演じている」。

「永岡は(ゲルツェンに向かって)叫んだ。『ここが理想郷か。無計画で不自然な人口流入によってみんな飢えている。森は丸坊主にされ、農業の伝統は崩され、土地は痩せ、耕地は流され・・・』。『やめろ』。低い声でゲルツェンは遮った。かまわず永岡は続けた。・・・『人の魂は腐らなかったが、子供の魂は兇器に変わった。大人を殴り、殺すことなどなんとも思ってはいない。自分の両親を売って処刑させる。あんたの教えた正義のためだ』」。

「そうした信仰が力を持っていた時代が、パスキムの人々にとって幸福だったのか否かは、だれにもわからない。人々にとって一律に幸福な世界などありえないし、この国にはそれを可能にする全能の神もいない。かわりにあらゆる神を否定しつつ、自ら神になろうとした男がいた。自らの理想の下に、地上の神の国を出現させようとした憂鬱な顔の無神論者がいた。しかし、善悪、貴賤、陰陽、災いと救済といったすべてのものを呑み込んだ、この国の神々、諸仏、妖怪、鬼魔の群れは、不完全な生きものである一人の人間がパンテオンの頂上に居座ることを許さなかった」。

「『私は地獄のような場所に連れていかれ、最愛の伴侶を亡くし、二人の人間を殺し、その他にも誤りから、多くの人と多くの生きものを死なせました。どうか私をお許しください。どうかこの先、国境を無事に越え、保護されるまでの間、私をお守りください。必要な水や食物をお与えください』。(永岡は)そこまで言って、笑いが浮かんできた。なんというわかりやすく、目先のことだけしか考えない祈りなのだろう」。

「俺は人を騙し、人の肉を食い、人を殺した。これは罪なのか、罪は許されるのか、それとも罪も許しも救済も、何も存在しないのか」。永岡の一年に及ぶ異常体験の全てが、この思いに凝縮しています。

行き過ぎた理想主義に対する頂門の一針とすべき作品です。
弥勒 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:弥勒 (講談社文庫)より
4062732785
No.46:
(4pt)

不思議なクーデター指導者

ヒマラヤの小国・パスキムに潜入してクーデターに巻き込まれたパスキム仏教芸術おたくの物語。悲惨な収容所での生活、刻々と変わりゆくこころの推移が読みどころ。超ヘヴィーでして読み終わったらどっと疲れがでます。しかし収容所での無計画で雑な地雷の敷設の仕方にはビックリ。カンボジアもこうだったのだろうか。
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4062092824
No.45:
(4pt)

農業は、自然破壊者である。

篠田節子の 構想力に ただ ひれ伏すばかり。
つくられた架空の国 パスキム王国。 
インドのヒンドゥー教とチベット蜜仏教、
そして土着信仰の濃密に混じり合った独自の文化を持つ国。
イギリスの大学で学んだ 賢王によって 統治されている。
中国とインドに挟まれている。ヒマラヤが見える。
人口 20万人にも満たない国。
外国人には 首都しか 滞在できない。
この国が 濃厚な文化をもっていることを描こうとする。
なぜか パスキム王国の イメージが 浮かんでくる。
地方の美術館から転身した 新聞社の事業部の 長岡。
パーティでは 人垣ができるほどの人気の 長岡の妻 耀子。
ジュエリーコーディネイター アートプランナー エッセイスト。
耀子がしていた 髪飾りが パスキム王国のものだ。
と長岡が 発見することで、物語が 急展開していく。
パスキム王国に何かが起こっていると思い潜入する 長岡。
そこで見たものは、ゴーストタウン化した 街。
寺院には 僧侶が むごたらしく殺されていた。
なぜ?
物語の展開の速さに 目を奪われる。
パスキムの絢爛たる文化が、
しいたげられた農民たちの犠牲の上に成り立っている
という 考え方は 一つの側面でもある。
でも 美術は 美術として きちんと守り育てることも
必要であり、それを 全く否定することはできない。
パスキムの暗部に入り込むことで 永岡は
そのことに気がつき、興味を失っていくのである。
ニンゲンのなしている行為としての評価が欠落するのである。
ゲルツェンの目指す理想の国が、
人間の創造物をすべて否定して 原始共産制 を目指している。
理想の国のイメージが あまりにも現実と遊離することで、
結果としては 破滅の道を あゆむ。
それにしても 農業における無智さ加減は
あまりにもひどすぎるのである。
連作障害 そして 森を破壊して水の道を考慮に入れない。
農業開発は今の中国に似ている。
農業が 自然破壊者であることを 知らな過ぎるので
結果として 滅亡する。
篠田節子の 弥勒には アジアにおけるさまざまな問題が 
モデルとして 存在するような気がする。
それを 整理して見る必要がある気がする。
それは 農業 というものへの理解に関することで、
毛沢東の 大躍進運動は 農業を十分に理解していないがゆえに
おこった悲劇のような気もする。
この作品は ひどく重たい作品だった。
弥勒 (メフィスト・クラブ)Amazon書評・レビュー:弥勒 (メフィスト・クラブ)より
4062092824
No.44:
(5pt)

祈り

祈り

 永岡は日本に帰ることを選ばず地獄のようなパスキム国内に再び入国することを選んだ。日本に戻れば安全で清潔で不自由のない生活が保障されているというのに。
なぜパスキムへ?
そんなことがいったいあり得るだろうか?
そのあり得ないことを、あり得ることとして描いた。

パスキムにいく前、永岡はビジネスの取引相手に妻を暗黙のうちに「貸す」ことも厭わないような乾き切った人間関係の中で生きていた。
パスキムに入国した後、永岡は政変直後の過酷な状況に巻き込まれて行くのだが、そのなかで日本にいた時にはわからなかった自分を見出して行く。
暴力と飢餓の渦巻く状況の中で怯えながらも人に対して見せる彼の優しさ。スパイだと思われる少年を逃して命を救った。
強制結婚させられた相手であるサンモを始めは拒むが、しだいに心を通わせ愛しさを覚えるようになる。そんな自分の気持ちに戸惑い、「サンモと東京で暮らすことは考えられない」と思っていた永岡だが、やがて愛情が深まっていく。初めて愛した女がかけがいのない存在になっていく心の変化が、細やかな心打つ文で描かれている。二人が最後の時を持つ場面は、深い叙情と悲しみに満ちて美しい。

 永岡をそもそもパスキムに導いたのは、きらびやかで高度なパスキム文化だった。彼はパスキム文化の粋とも言える弥勒像を手に入れたが、サンモこそ彼の本当の「弥勒」だったのだろう。

 永岡がスパイの少年救ったことで何人もの人が無惨に殺された。
永岡は生きるために人の肉を食った。
彼はサンモの遺体を守るために人の命を奪い、自らの命の危険もかえりみなかった。
宗教禁止の厳しい統制下、亡くなった家族のために祈る心優しい人びとがいた。

 永岡は最後に弥勒像を放ち、遊行僧が遺していった段ボールの仏がんを背負うことを選ぶ。これは日本を選ばずパスキムを選ぶことと同じなのではないか。

 段ボールの仏がんを背負った永岡は祈りそのものの姿だ。
声にならぬ声で、人間の恐ろしさを叫び、同時にその果てに知った人間のもう一つの姿を訴えているようだ。

祈りは永岡の改心そのものだし、パスキムを生まれ変わらせる力ともなるだろう。
その祈りが、声が、この本から聞こえてくるようだ。
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4062092824
No.43:
(5pt)

読んでる間はいろいろ書き込もうと思っていたが

読み終ったとき、なぜか心が高ぶり涙が溢れ出るのを止められなかった。
そして、くどくどと言葉を 弄する気が失せてしまった。
圧倒的、この言葉に尽きる。
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4062092824
No.42:
(5pt)

文明国に生まれた幸せ

普段は気にも留めなかったが日本のような文明国に生まれて本当に良かったと実感した。カンボジアをモデルにしたのだろうが14歳以下の少年兵士たちが実質大量殺人を行ったことが良く分かった。恐ろしい話だ。
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4062092824
No.41:
(4pt)

激しい。

極限に置かれた人間の生き様。これでもかときつい描写が続き食傷気味になるが、最後にほっとする。
教育の行き届かないところでは政治も宗教も紙一重で、狂気を生むさまが生々しい。
これを作り上げた作者は凄い。
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4062092824
No.40:
(4pt)

読み終えるのにエネルギーが必要

書いてある内容も、使われている文言も、特別難解なものはないのに、何故か読み終えるのにエネルギーを使った。
弥勒 (メフィスト・クラブ)Amazon書評・レビュー:弥勒 (メフィスト・クラブ)より
4062092824
No.39:
(5pt)

インドと中国に対する文化の理解

インドと中国に対する文化の理解なしに読むと、
やや暗さが強くなってしまうかもしれない。

男性が書くような残酷な物語の中に、
女性の底強さを感じさせるものがある。

弥勒の像の位置づけが、今一歩理解できていないのは、
インド、中国に対する文化理解が甘いからだろうか。

何度も読み返しながら読み進んだ。
飽きることはないが、重苦しさだけが残ったかもしれない。
弥勒 (メフィスト・クラブ)Amazon書評・レビュー:弥勒 (メフィスト・クラブ)より
4062092824
No.38:
(5pt)

壮大なストーリー

最初はビジネス系だと思いました。

で、読んでいくと

え??  マジ??  やばくねぇ??

さらに読むと

うわぁぁ・・・・

ちょっとぉぉ・・・・

です。

篠田最高!!
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4062092824
No.37:
(5pt)

この方、聖書とか仏典とかコーランとか書けるかも

この本、素晴らしいです。とても潔く、正直で、そして重たい。とても重い。仕事の関係で南アジアは詳しいのだけど、そういう意味では、そうそう、とうなずくところも多かった。特に文化的な理解・解釈の違いや、日本人の浅はかな外国理解(笑)。話自体は、冒頭の奥さんとの話しとか、もう少し端折っても、この本の後半の深くて重い話には何も影響なかったかもしれないけど、でも、冒頭100ページ分と残りの500ページで本全体のカラーが全然違ってて、それはそれでおめでたい日本を逆に浮き彫りにしててよかった。人生とか、日ごろ考えていることのヒントがいっぱいあった気がする。あと、個人的には、話に登場するイギリス人が、そうそう、こういうんだよなぁ、西洋人は、と思った。俺の周りにもそういう態度、目つき、いるいる、そしてほんとムカつく、と思いました。この作者の方、そういうのもよく見てますよね。

でも、こういう本って、読んでほしい人ほど読まないんだろうなぁ...ありがとうございました。
弥勒 (メフィスト・クラブ)Amazon書評・レビュー:弥勒 (メフィスト・クラブ)より
4062092824
No.36:
(5pt)

ガツンときました。 

ガツンときました。 篠田さんの作品のなかでは今のところ一番好きな作品です。

“無私”の理想と革命、そして人間の業によってもたらされる迷走と帰結。 舞台はアジアの小国(日本人の好きなプータンのような感じ)ですが、なぜかCUBAのことを考えてしまいました。

なお、冒頭の夫婦の問題=妻絡みの部分は不要であったのではないかと思います。
弥勒 (メフィスト・クラブ)Amazon書評・レビュー:弥勒 (メフィスト・クラブ)より
4062092824
No.35:
(5pt)

こんな国が過去にも現在にもある

インドと中国の間に位置する、ヒマラヤ山麓の想像上の小国パスキム。首都カターで、永岡は国王サーカルに会見、この国の美しい建物や仏像、そして人々の暮らしにすっかり惚れ込む。帰国後ゲルツェン一味のクーデターが起こり、仏像などが危機に瀕したことを知り、いても立ってもいられなくなり、密入国する。

彼は結局、ゲルツェンに捕えられ働かされるが、そこで分かったことは、パスキムが辺境の住民を犠牲にして首都のみが栄える国だったことだ。家畜の屠殺などを辺境の者にやらせ、カターの人々は殺生を嫌い穏やかで文化的に生きる様は、同様に穢多という部落民に押し付けていた日本の過去を思わせる。

そのような国の有様を正そうとするゲルツェン達のやり方は、カターの人々を辺境に強制移住させ、仏像など文化的なもの一切を破壊したのは中国文化大革命、僧侶達を皆殺しにしたのはカンボジアのポル・ポト政権を夫々想い起こさせる。しかしゲルツェンは決して専制独裁者ではなく、徹底した完全平等を目指す思想の人物だった。そこであらゆる便利な文明的なものまで否定、その結果として無理が生じ、たちまち破綻へと向かうに至る。

当初弥勒菩薩像だけでも救い出すつもりの永岡だったが、否応なしに混乱に巻き込まれていくうちに、色々な疑問がわき上がり、この国の運命を本気で心配して行動するようになる。こんな国が過去に有ったし、現在も朝鮮やビルマ、そしてアフリカでいろんな国が混乱状態だ。「ゴサインタンー神の座」から一歩進み、この「弥勒」そして最近作「転生」へと宗教と政治絡みの問題に、正面切って取り組んだ篠田の三部作はどれも素晴らしい

弥勒 (メフィスト・クラブ)Amazon書評・レビュー:弥勒 (メフィスト・クラブ)より
4062092824
No.34:
(5pt)

ゲルツェンへの共感

篠田節子の本を初めて読みました。周囲の連中をスノッブとして馬鹿にする主人公自体、エリート意識丸出しで、いざとなったら超へなちょこのスノッブ野郎です。あまりといえばあまりの超スノッブさに何度も読むのを止めようかと思ったほどです。で、個人的には主人公よりもむしろ解放軍の首領ラクパ・ゲルツェンに深く共感しました。ゲルツェンを責め、否定するのは簡単です。みんなで負けたやつを指さして「あいつが全部悪い!」って大合唱すればいいだけです。そしてすべてを昔へ戻して、めでたしめでたしにしてしまいます。富を増し、科学を発達させ、制度を改革することですべてが解決すると思っています。でも何よりも大切なのは、(本書で描かれているように)人間自身について知ることではないでしょうか。なんでも自分に都合良く解釈してしまう、私たち人間自身について知ることなのではないでしょうか。
弥勒 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:弥勒 (集英社文庫)より
4087440109
No.33:
(5pt)

ゲルツェンへの共感

篠田節子の本を初めて読みました。周囲の連中をスノッブとして馬鹿にする主人公自体、エリート意識丸出しで、いざとなったら超へなちょこのスノッブ野郎です。あまりといえばあまりの超スノッブさに何度も読むのを止めようかと思ったほどです。で、個人的には主人公よりもむしろ解放軍の首領ラクパ・ゲルツェンに深く共感しました。ゲルツェンを責め、否定するのは簡単です。みんなで負けたやつを指さして「あいつが全部悪い!」って大合唱すればいいだけです。そしてすべてを昔へ戻して、めでたしめでたしにしてしまいます。富を増し、科学を発達させ、制度を改革することですべてが解決すると思っています。でも何よりも大切なのは、(本書で描かれているように)人間自身について知ることではないでしょうか。なんでも自分に都合良く解釈してしまう、私たち人間自身について知ることなのではないでしょうか。
弥勒 (メフィスト・クラブ)Amazon書評・レビュー:弥勒 (メフィスト・クラブ)より
4062092824

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