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ラットマン
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ラットマンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全113件 101~113 6/6ページ
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ラットマンとは、騙し絵のこと。見方によってネズミに見えたりヒトに見えたりする。 主人公およびその周辺の人々は、「思い込み」によって行動し、それが妙に収まっている。しかしその思い込みが間違いと気づいたときに出てくる悲劇。 ミステリーはどんでん返しが快感ですが、それがいくつも出てくる。「やられた!」という読後感が実に心地いい。中盤まで退屈ですが、後半の疾走感は特筆もの。 これはおそらく映像化されるでしょう。 | ||||
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タイトルからすると、「い、イロモノ??」と思ってしまう作品だが、そうではない。青春グラフィティなミステリ小説なのである。ラットマンとは、認知心理学における文脈効果を表わしたものである。同じ絵にもかかわらず、人の顔と並んでいると人に、動物と並んでいるとネズミに見える、という心理現象だ。そんな豆知識をはさみつつ。 バンド「Sundowner」が練習中に、スタジオで起きた死亡事故。しかし、それは事故に見せかけた殺人事件だった。被害者の恋人であるギターの姫川は、その仕掛けたトリックが見破られないかを憂慮していた。。そして思い出す、姉の死と、父の言葉。自分は父と同じことをしているのだろうか―。 この作品、さりげない叙述トリックで、読み手が「ラットマン」と同じような思い込みをしてしまうこと請け合い、、ということは、「ラットマン」のくだりが出てくるところでなんとなく「ラットマンみたいな展開やるよー」ということが読めるのだが、それを考慮して注意して読んだにもかかわらず、見事にやられましたよ。。文章だけに本当の文脈効果によっておいらの心理は、まんまとミスリードしてしまうのだった。 | ||||
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秀作、かなりおもしろかった。派手さはないが丁寧な作品という印象を受けた、ラストまでが包みこまれるような丁寧さだった、読んで良かったと思います。 | ||||
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推理小説に似ているが、この作品のかもし出す雰囲気は いわゆる普通の推理モノとは全然違う。 しいて言えば、井坂幸太郎の雰囲気に似ているだろうか。 結末には感心した。 よくこうした設定とオチを考え出すものだと。 作者の別の本も読んでみたい。 | ||||
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こんなミステリに出会ったことがない・・・。 幾重にも仕掛けられている罠にはまってしまって、 気がつけば犯人の気持ちになって読まされているし、 気がつけば偉大な勘違いをしてしまっているし、 登場人物たちも偉大なる勘違いをしているわで、 もうしっちゃかめっちゃか。 でも、その複雑なストーリー展開をスッキリと見せて、 ロジックにも何の疑いのない清廉潔白さは、 参りましたという言葉しか出てこない・・・。 間違いなく今年度のミステリー・ランキングに入る力作で、 これを読まずして今年度のミステリー界は語れないと言っても過言ではない。 とにかく素晴らしかった。 | ||||
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前半は現在と過去が交錯しながら淡々と物語が進み、単純なミステリーかと思いきや、後半は2重、3重の伏線が張り巡らされていて十分楽しめた。ひかりの事件、そして過去の姉が亡くなった事故ともに、事件自体はシンプルで何のトリックもないのだが、ラットマンの現象によって様々な人間が巻き込まれ事件が複雑になっていく様子が見事に描かれていて、おもしろかった。 | ||||
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「ラットマン」とは心理学の用語で、人間が何かを知覚する過程で、前後の刺激が知覚の結果を変化させてしまう現象を言う。例えば、同じ一つの絵を人間の顔の絵の中に混ぜればオッサンに、動物の絵に混ぜればネズミに見えると言うような現象。物語の真相が判明した時、この題名を付けた作者の巧妙さが実感できる。 主人公は高校の時に始めた四人組のバンドを30才になっても続けているギタリスト。元メンバの女性と恋人関係にある。主人公は幼少の頃、姉を事故で失った暗い過去を背負っているが、実は当時脳腫瘍を患っていた父が姉を殺害したのではと疑っている。そんな中バンドの練習中、事件が起きる...。 道尾氏の事だから何か仕掛けを用意していると思ったが、現在の事件は主人公の感傷が中心で、本命は過去の事件にあると予想して読んでいた。それを良い意味で裏切られた。単発のアイデアはこれまでにもあったと思うが、これ程重層的に畳み込んだ作品は初めてだろう。技巧の高さに感心した。後で振り返ると、登場人物達の言動にムダが無いのも美しい。冒頭と結末で披露されるエレベータの挿話も印象に残る。 道尾氏の作品はこれまでアイデアには感心するが、読後感が悪いと言うイメージがあったが、本作品ではそれも払拭した。作者の超絶の技巧が楽しめる秀作。 | ||||
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過去―姉の死,現在―恋人の死 あるバンドの中で起きた事件と主人公の家族の問題をリンクさせながら話が進んでいきます.それぞれの事件(殺人?自殺?事故?)の真相が二転,三転し,その度に上手に騙されてしまいました.大切な家族や恋人を守ろうとして犯したささやかな罪.相手を思いやっているようにも思えますが,信用していないようにも思えてしまいました. 「ラットマン」の意味も内容をうまく表しています. | ||||
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「ラットマン」の意味は最初の方で説明があります。 しかし、なぜこの小説のタイトルが『ラットマン』なのかは、最後に説明があります。 人生とは、誤解の連続、誤解の積み重ねなのか、と思うとやはり残念な気持ちになる。 しかしながら、そういう哀しい皮肉というのは、それぞれの人生の中でたくさんあると思う。 「取り戻せないのだろうか。」本当になんとかならないのか。 「電話機の向こうから、母の声が姫川の名前を呼んでいた。」この一文を、努力では変わらないととらえるか、“光”と受け取るか。 どちらにしても、一生懸命に生きてみるしかないのだが。 | ||||
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初めての道尾作品でした。 文章も読みやすく、素直にストーリーに入ることが出来て一気に最後まで読み通しました。 主人公は姫川亮30歳。 高校時代から亮がギター、竹内耕太がボーカル、谷尾瑛士がベース、小野木ひかりがドラムという 構成のバンドSundownerを組んで楽しんでいます。 現在は、ドラムがひかりの妹である桂にかわり、年に2回のライブを続けています。 ライブに備えスタジオで練習中、スタッフとして働いていたひかりが、 倉庫の中でアンプの下敷きになって死んでいるのが発見されます。 ラットマンとは、人間が何かを知覚する過程で、前後の刺激が知覚の結果を変化させてしまう現象を絵に表したもの。 物語はこの現象が全てのキーワードになっています。 主人公の痛ましい過去、複雑な家族関係、姉妹の愛憎等々、静かな前半から事件後の畳み掛けるような展開、 そして、そんな哀しいことって・・・という結末。 ミステリーとしての面白さはもちろん、人間の悲しさ、愚かさ、そして優しさを読ませてくれます。 ミステリー好きにはもちろん、あまり得意ではない方でも楽しめる一冊です。 | ||||
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いきなり言ってしまいますが、この作品、私は作者のこれまでのところの 最高傑作だと思います。 作者のストーリーテリングのうまさにはいつも舌を巻きます。この作品も 例外ではありません。それだけで一個のミニミステリを構成するような、 遊び心満載の導入部分。それでまずがっちりとハートをわしづかみにされ、 あとは現在と過去を行きつ戻りつするミステリアスでサスペンスフルな 展開にページを繰るのが止まらなくなります。事件が起きるまでの前半部、 ゆっくりじわじわと腹の下の方から不安と恐怖を掻き立てていく作者の 手腕も見事です。 やがて事件が起き、そこから物語のスピードが増し、心地よいリズムで 結末へとなだれ込んでいきます。そして、すべての真相が明らかになった時、 私は愕然・驚嘆・呆然となりました。こういう騙し方があったのかと。 だからラットマンなんだと。 スゴイのは、そのラットマンが二層にも三層にも仕掛けられていること。 事件の真相、物語の構図、過去と現在、登場人物と読者・・・。 他の作品にはまま見られた無理や破綻もこの作品には全くない上に 物語の面白さ、ミステリとしての仕掛けも申し分なく、 冒頭にも書いたように、これまでのところの作者の最高傑作といっていい 仕上がりになっています。 唯一の不満は冒頭のミニミステリのその後の扱いくらいでしょうか。 | ||||
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“ラットマン”、人間が何かを知覚する過程で、前後の刺激が知覚の結果を変化させてしまう現象に命名効果が加わることから起こるモノの見方のことを言う。そして、今作は、登場人物たちの各々の先入意識、思惑が錯綜し、“ミステリー”が構築されていく展開となっている。 まるでホラー小説の如きケレン味溢れるプロローグから一転、それが実は高校時代以降アマチュアバンドを組み続けている者たちのライヴの余興のネタであった事が分かり、拍子抜けしてしまう出だしから、主要人物のバンド仲間との関係や日常が語られる中、彼の遠い過去の苛酷で忌まわしい“記憶”がインサートされていく序盤、ある事件が起こり、彼の関与を匂わせる中盤、そして、、、。 中盤までの展開は沈々淡々としているし、劇中起こる殺人事件も一件のみ、それも準備万全に計画されたものではない。さほど盛り上がりもなく、正直半信半疑で読み続けていたが、ここからが俄然面白くなってくる。 ミステリー小説ゆえこれ以上は触れないが、ラストの60ページを読み切った後、文中に仕掛けられた作者の巧妙なトリックに唸らされながら、正にその不思議なタイトル名の絶妙さに手を叩いてしまう。 ミステリーの奥に潜む主要人物たちの魂の救済とも呼べるサイド・ストーリーも、作品に“心”を持たせているし、読了感も悪くない。 新年始まって最初の面白ミステリー本とお薦めできるが、本の帯の惹句は些か過剰。文章のルビの多さとまわりくどさが気になるのと、今作者はまだまだこれからもっと面白い小説を書ける才人だと思うので、ここは★4つの評価。 | ||||
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道尾さんの最新作です。 頭の書き出しから「今から何が始まるんだろう?」とちょっとワクワクしちゃいました。それだけ奇想天外な意表を付くような書き出しだったから…ね。 『ラットマン』は、味方によっては「ネズミ」にもそして「人間」にも見えてしまう。どう感じるかは個人次第。そして、この作品の中で起こる殺人事件の犯人像も個々人の思い込みや勘違い等が複雑に交差してしまう。さて、犯人は誰なのか?道尾 さんらしく複数の伏線が張られていて最後まで読み応えがありました。 | ||||
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