■スポンサードリンク
ラットマン
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ラットマンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全113件 81~100 5/6ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
タイトルの「ラットマン」とは、先入観によって人間の顔がネズミ男に見えてしまうという心理学用語。 『向日葵』や『ソロモンの犬』にも見られたが、今作も「信じたいものを信じる人間の思い込みの心理」と、そこから生じる「家族や友人との相互理解の難しさ」などをテーマに書かれた作品。 主人公の過去の忌まわしい事件と、現在の殺人事件の謎を絡めつつ、真相に近付くほどに各登場人物の関係性が変容していく心理描写が巧み。ミステリーの謎解きと共に回収される伏線と言い、最後まで一気に読ませてしまう著者の筆力は相変わらずスゴい。 ただ惜しむらくは、「先入観」や「思い込み」というのは、言葉を変えれば単なる「誤解」でしかなく、そういう意味で謎の真相にはインパクトや意外性が足りないところが残念。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
’08年、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門で第4位、「このミステリーがすごい!」国内編では第10位にランクインした、今最も“旬”な作家・道尾秀介の本格ミステリー。 姫川亮(ひめかわりょう)は結成14年目になるアマチュア・ロックバンドのギタリスト。彼は23年前、小学1年生の時にふたつ違いの姉と、父を相次いで失っていた。父は病死だったが姉は事故死だった。しかし彼はそれは殺人ではなかったかと思っていた。 そんなおり、バンドの練習するスタジオが年内で閉鎖すると知らされたメンバーは、クリスマスのコンサートに向けて最後の練習を行ったが、その最中に悲劇が起きた。同じスタジオにある密室状態の倉庫でバンドの元ドラマー、小野木ひかりが倒れた大型アンプの下敷きになって死んだのだ。 タイトルの「ラットマン」とは、人間の思い込みを利用した、先入観によって、人の顔がネズミに見えてしまうという一種の「騙し絵」のことだが、本書で道尾秀介は、読者のみならず、姫川までも虚構の迷路に迷い込ませるという技巧を尽くしている。彼の心の中で過去と現在の事件が複雑に絡み合い、複数の人物の思惑と小さな発見でそれまで築いてきた思い込みが逆転するのだ。 本書は、二重底三重底にも及ぶ真相と、それぞれの伏線がピタリと見事に張られた<道尾ミステリー>の本流といってもいい作品だが、その伏線の妙とサプライズ・エンディングの切れ味が光ると同時に、姫川の哀切な青春小説としても読める秀作である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前半は読んでいて、どうも人物の言動がぎこちなく「読んで失敗だったかなぁ」と思いながら読み進めた。夏休みだったのがわたしの救い。でなければ、途中で投げ出していたかもしれない。なぜ殺さねばならないのかを考えさせる本だとも思っていた。動機ってやつですか。まぁ、それは違っていたわけだけど、前半の人物のぎこちなさとか暗さとか感情移入できないところは、それぞれが抱えた内面の歪みだったのだなぁとラストにわかってくる。それが大沢在昌が解説で書いている「体温」なのだろう。読後のすがすがしさにちょいとこだわりすぎた感はあるけれど、これ好きだなぁ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
若さは成長だと誰が言ったか、道尾秀介の快進撃が止まらない。 まったく違うテイストでこそあれ、張り巡らされている伏線が複数絡みあい、収束してゆく最後のGは、 折原一の世界にも引けを取らない美しいパズルのよう。 いいねいいね! あとがきに登場する大沢在昌の意見に、完全右に同じの、登場人物の平熱感を楽しみつつ、 かろやかにかつ複雑に展開される、論理のパズルをお楽しみあれ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
流麗な文章、作品に仕掛けられた伏線と技巧、ミステリーファンの期待を裏切らないどんでん返しの結末、本当に精巧なるパズルを組成させ、最後に大きな感動を読者に与える素晴らしい作品だった。 自分が読んだ道尾作品の中でも一番だった。大沢在昌が褒めること関係なしに、久々に読書の余韻に浸れる最高の作品。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今まで道尾秀介さんの作品をいくつか読んだが、構成力、リーダビリティに非常に優れた作家さんだという印象はあった。 そして、本作はその中でも最も高い完成度を感じた作品である。 主人公の姫川には初めから破滅的な印象を感じた。 そのキャラクターにあまり感情移入はできなかった。 しかし、その時点で作者の罠にはまっていたのである。 正直、最後の展開は全く読めていなかった。 全体的には明るい印象をもてる作品ではなく、どこか閉塞感を感じながら読んでいた。 しかし、読後感は最後の数十ページで良い物となった。納得のいく結末だった。 この作品はミステリーであるのと同時に、家族愛というテーマも含んでいる。 個人的には最後の姫川と母親のシーンが非常によかった。 「人間捨てたもんじゃない」と思える物語である。 そしてタイトルの「ラットマン」の本当の意味もわかる。なかなか唸らせるタイトルではないか。 本作はミステリーとして申し分のない作品である言える。 しかし、ここは敢えて今後に期待して☆四つとしておく。 道雄さんには、ただ「上手い」というものを超えた圧倒的な作品を描いて欲しい。読んだ後一週間くらいは余韻が抜けないような。 誠に勝手ながら、そのように期待させていただきます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これは、もったいない。 けど、後々になって響いてくる読後感がそれを凌駕する。 きっかけは、瞬時で些細で、人為的でも見方によってこうも違ってくる「行為」の描写の数々。 一体何がモチーフでこの小説を書きあげたんだろうか。 「過ち」と題すべき、隠蔽すべく人生の暗闇をいくつものプロットのうち、 刺し、引き、覆す展開。 音楽スタジオでの殺人という背景は、わかりやすいはずなのに、 巻き込まれる。 ガンガン期待したいストーリー・テラーだと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アマチュアのロックバンドに所属している主人公の姫川と 元メンバーで高校来付き合っている彼女のひかり、 そしてその妹の桂の人間関係を中心として話しは展開していく。 ロックバンドのネタを潤滑油にしつつ、姫川の家族関係にある暗い闇と、 同じように家族関係に傷を持つひかりと桂のエピソードを織り成すようにして 話は進んでいく。 タイトルになっているラットマンとは、先入観によってモノを見る目が変わってしまうことを言うらしく、 物語の最初のうちに説明がされるが、最後にその意味が明らかになる。 端的に言ってしまえば、密室の殺人事件が起こって、サスペンスものだけれど、 それ以上に人間関係の描写がうまいように感じた。 冒頭にあるホラー調のショートストーリーが 本文とはあまり関係なかったのが少し残念。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
バンドの元メンバーで、主人公の恋人ひかりがバンドの練習中にアンプの下敷きになり死亡する。他殺か事故か?ストーリーは主人公視点かつ主人公犯人説を臭わせながら進むが、バンドのラストライブにあとに警察が現れ、本人に告げた驚愕の真相とは?と、作者お得意の2転3転のどんでん返しがまっているのだが、ひっくり返しすぎてありきたりの落ちになってしまった。ラスト前の落ちでは、こうきたかとうならされたが、その絶妙なラストをあえて平凡なハッピーエンドにひっくり返すあたりが、詰めの甘さっといったところか。だがラットマンの謎かけなど今までと一風変わった作者のオリジナリティが垣間見えた作品だった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本来は単純だった事件(事故)が人の想いや誤解により複雑化していく。 エレベーターを舞台にした作中作や、洋楽のコピーバンドのエピソードなどで過剰に演出をしているが、案外メインストーリーは単純かも。 「ラットマン」という心理学用語を持ち出してきて、もっともらしく大げさに言っているが、単なる思い込みによる誤解ではないのか? とにかくこの著者は演出が巧みだ。エンターテインメント性の高いミステリーだった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
道尾秀介さんらしい小説でした。タイトルと中身の関連性もすごくよかった。 ただミステリーという枠組みにするのはちょっと違和感がある。 このミステリーがすごい!に選ばれるかなぁともちょっと思うけど… けど相変わらず読みやすいので、小説初心者にむ向く人だ。長さも程よく短くもなく、長くもなく。 簡単に言えば割りと面白かった。 しかしこの人はどんでん返しというか、ひっくり返してひっくり返して、またひっくり返して…というのが好きっすねー。 1/2くらいは、それ、やりすぎ。と思うくらい。なんか魅力出そう出そうと頑張っている姿が目に浮かぶ。 主人公はエロゲの主人公か、と思うモテぶり笑 恋人との心の距離がもっと描かれていれば良かったな。なんか弱くて、恋人に対してどういう感情を持っているのがわからなくて、あまり主人公側にたてられなかった気がする。 友人2人も同じようなタイプに見えたので、もっと正確とか食い違いがあった。これなら1人でいいんじゃと思うくらいに。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
このレビューは読んでから1年以上たってから書いてます。 まず覚えてるのは、ミステリーとしてのトリックのネタですね。 だからきっとこの小説の一番おもしろいのは、ミステリーとしての話の展開かと。 逆にいえば登場人物については、あまり思い出せないので、その点は弱かったのかと。 今、ざっと目を通しても主役とあと二人しか思い出せないぐらい・・・。 スゴイとは思わないですが、ミステリーが好きな方で興味があれば読んでみてください。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
冒頭のミニストーリーしかり、主人公の幼少期の事件しかり、 どれもが巧みに交差して、複雑な作品でした。 たくさんの伏線がラストに氷解していくところは、まさに痛快でした。 ただ全体的に紗がかかったまま、話が進んだ気がします。 それはひとえに主人公・姫川の可哀相な環境が絡んでいるとは思うのですが、 その他の人物も全て同じようなトラウマを持った人間に見えてしまって、 主人公の苦しみが立ってきませんでした。 それから、メインとなる事件が起こるまでが遅いので、 テーマがなんだか分からない点が、 更にボヤッとした印象を与えたのかもしれません。 結末としてはいつもながら読者の知りたいことを全て丁寧に説明してくれて、 スッキリしたのですが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「向日葵の咲かない夏」等、独特の世界感を持つ道尾秀介さんの作品。 秀逸なストーリーテラーとしてだけでなく、この人間描写の素晴らしさ。 通常、ミステリーやこの類いの本では、犯人や主人公といった人物にしか 読み手側の気持ちは投影出来ず、その他の人物はただストーリー展開上いる人に なりがちです。 この作品では、過去に存在した父親や姉、そして母親、それぞれがその時に どんな思いで生活して、その瞬間(事件)にどんな思いを抱いていたのかが、 切ないくらいに読み手に伝わります。 また、現在進行形で起こった事件に対しても、その登場人物の、それぞれの 気持ちが伝わってきます。同じく切ないくらいに。 読み終わって、いいストーリーの作品を読んだなぁと同時に、 何か心にグッと来るものを感じました。 こういった類いの作品であれば、気持ちよく騙されたと爽快感があるはずなのに。。。 でも、この切なさはたまらなく最高です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
暗くて、かなり淡々としたストーリー展開でした。文章はそんなに飛び抜けては…という感じですが、読みやすくはありました。最後のほうでたたみかけがあって、そこで、面白味はあるものの、そこまでがやや退屈ではありました。いかにも若い作家が好みそうな暗さも、拒否反応を起こすほどではなかったのですが、まあ、しょうがないかなという感じで読んでしまいました。長編にしてはちょっと短いほうですが、これぐらいの長さでよかったと思います。もっと長かったら、この内容ではさすがに最後まで読めるかどうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読み進めるうちに「犯人はこの人だろう」という人物があらわれますが、最後にどんでん返し。作者にすっかりだまされます。事件の解決と同時に、主人公が少年時代に姉を失った事故の真相もわかり、状況や周囲のちょっとした反応が、事実の誤認を生むことを実感させられます。最後はちょっと救われる終わりかた。お勧めです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
実に用意周到に張り巡らされた伏線が、ラスト60ページで見事に回収されます 回収のされかたも秀逸です正直傑作かどうかは微妙ですけど、読んで決して損はない作品だと思います「ラットマン」というタイトルとその言葉の意味が作中で語られ、人の思い込みへの注意を喚起して堂々と騙します宣言をしているにもかかわらずここまで意外な展開を用意できるのは凄いです 解けてしまうとなんでわからなかったかなあと思うのですが、全ての設定が巧みに計算され尽くしていて読者の盲点をうまく突いており、余程読みが鋭い方でない限り核心はわからないでしょう確かに、どなたかがレビューされているように、狙いすぎな感も否めないし事件自体も単純で盛り上がりにも欠けます けれども、個人的には 騙された感を愉しむ小説として考えれば十分満足できる作品だと思います 登場人物も最低限で、余計なものを削ぎ落としているぶん素直に入り込みやすかったですし 道尾さんの作品には今のところ外れはないですが、今後もっと素晴らしい、紛れも無い傑作と呼べる作品を期待しています | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
途中までは大きな事件は無いものの、少しずつ色々な事がわかってきて、どんどん読み進めて行ったのだけど、最後のクライマックスになって、これでもかとこれまでの複線を回収して行って、なんか冷めてしまった。複線をしっかりと回収して納得する終わり方にしている技術はすごいけど、それに固執し過ぎて心に訴える部分がドライになってしまった気がする。 クライマックスまでなら満点です。作者のこれからに期待します。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
<このミステリーがすごい!2009>の 第10位にランクインした作品です。 人間が何かを知覚する過程で、 前後の刺激が知覚の結果を変化させてしまうことを 文脈効果といい、 その例えとして「ラットマン」の絵がある。 同じ絵でも、動物と並んでいると、ネズミに見え、 人の顔と並んでいると、おじさんに見えるのです。 この作品は「ラットマン」をキーワードに、 高校時代から14年続いているアマチュアロックバンドが 練習中のスタジオで遭遇した事件の顛末と、 そのメンバーである主人公の現在と過去が語られていきます。 ミステリーとしてのトリッキーな仕掛けは、 後半の60ページに二転三転しながら、 明かされていきますが、 この仕掛けを効果的にしているのが、 優しさです。 ラストになぜこの作品が「ラットマン」という 題名なのか判明しますが、 そこには救いがあります。 それは、作者が登場人物に 優しい視線を投げかけているからなのです。 単なるミステリーでは終わらない、 心のこもった作品という印象を受けました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者のストーリーテラー振りには驚いた。ワクワク読ませていただいけただけでなく、ラストには予想だにしない展開で、更に修復作業も織り込み、上質のミステリーとなっていた。 今後の御活躍を期待しています。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!