八つ墓村

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評判

八つ墓村の評価:

4.53/5点 レビュー 135件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.53pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全260件 201〜220 11/13ページ
No.60
(4pt)

恐怖あり、冒険あり、推理あり

ほとんどの方が私と同じような評価、感想を持たれているので、特に新しく言うことはありません。ただただ私なりのオススメポイントを羅列させていただきます。


まず何と言っても、横溝正史ならではのおどろおどろしい舞台設定。 落武者惨殺、村人大量虐殺という二つの忌まわしい事件が起きた村で、再び惨劇が幕を開ける・・・。 もうこれだけでお腹一杯です。前半の主人公を取り巻く怪事件、怪人物の描写は不気味としか言いようがありません。

しかし物語が進むにつれ、主人公の鍾乳洞探検へと小説の比重は移されていきます。 陰鬱な雰囲気はある程度残されていますが、映像作品をちゃんと見ていない自分にとって意外だったのは、恋愛要素も入ってくること。しかも相手は、主人公が最初にその姿を見たとき心の中でボロクソに貶していた娘なのです(笑) もっとも主人公が彼女を好きになっていく過程は丁寧に描かれており、納得の理由ですが。

そして推理です。 金田一がほとんど出てこないので若干の物足りなさはありましたが、人間関係の複雑さ、過去の事件の呪いのような状況に隠された真の動機など、圧巻の内容です。 星が一つ少ないのは犯人の解明と、金田一との対峙が呆気ないこと。稲垣吾郎さんが金田一を演じたドラマを見たことがあるので、ここら辺は肩透かしを喰らいました。


とは言え、全体としてはボリューム満点の最高の小説です。色々な要素がバランス良く盛り込まれているので、金田一耕助シリーズの入門書にいかがでしょうか。
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016
No.59
(4pt)

恐怖あり、冒険あり、推理あり

ほとんどの方が私と同じような評価、感想を持たれているので、特に新しく言うことはありません。ただただ私なりのオススメポイントを羅列させていただきます。


まず何と言っても、横溝正史ならではのおどろおどろしい舞台設定。 落武者惨殺、村人大量虐殺という二つの忌まわしい事件が起きた村で、再び惨劇が幕を開ける・・・。 もうこれだけでお腹一杯です。前半の主人公を取り巻く怪事件、怪人物の描写は不気味としか言いようがありません。

しかし物語が進むにつれ、主人公の鍾乳洞探検へと小説の比重は移されていきます。 陰鬱な雰囲気はある程度残されていますが、映像作品をちゃんと見ていない自分にとって意外だったのは、恋愛要素も入ってくること。しかも相手は、主人公が最初にその姿を見たとき心の中でボロクソに貶していた娘なのです(笑) もっとも主人公が彼女を好きになっていく過程は丁寧に描かれており、納得の理由ですが。

そして推理です。 金田一がほとんど出てこないので若干の物足りなさはありましたが、人間関係の複雑さ、過去の事件の呪いのような状況に隠された真の動機など、圧巻の内容です。 星が一つ少ないのは犯人の解明と、金田一との対峙が呆気ないこと。稲垣吾郎さんが金田一を演じたドラマを見たことがあるので、ここら辺は肩透かしを喰らいました。


とは言え、全体としてはボリューム満点の最高の小説です。色々な要素がバランス良く盛り込まれているので、金田一耕助シリーズの入門書にいかがでしょうか。
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.58
(5pt)

名作!!

古くから村に伝わる言い伝え、呪いが読者の身を黒い霧で包み隠すようだ。暗く先の見えない状況で次々と発生する殺人事件。その謎が科学的に筋道を立てて解き明かされていくことの快感。これは面白い!!!
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016
No.57
(5pt)

名作!!

古くから村に伝わる言い伝え、呪いが読者の身を黒い霧で包み隠すようだ。暗く先の見えない状況で次々と発生する殺人事件。その謎が科学的に筋道を立てて解き明かされていくことの快感。これは面白い!!!
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.56
(4pt)

ぐんぐん引き込まれる

映画は見た事ありませんが、原作から読みたかったので購入しました。
かなり分厚い本で字も小さいんですが、なんと1日で読み切ってしまいました。
それぐらいぐんぐん引き込まれる作品でした。
やはり映画化される作品というのは、読んでいくうちに容易に映像が想像できる作品のようでこちらの作品もまさにそんな小説のような気がします。
普通のサスペンスに、祟り、慣習、田舎での社会心理などいろんな要素が含まれていて非常に興味深いです。
ただ、一人称の語り口になっていて、金田一耕介の存在感が薄く、特に最後の犯人との対決シーンはもう少しページを割いてほしかったかなという点が残念ではありました。
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016
No.55
(4pt)

ぐんぐん引き込まれる

映画は見た事ありませんが、原作から読みたかったので購入しました。
かなり分厚い本で字も小さいんですが、なんと1日で読み切ってしまいました。
それぐらいぐんぐん引き込まれる作品でした。
やはり映画化される作品というのは、読んでいくうちに容易に映像が想像できる作品のようでこちらの作品もまさにそんな小説のような気がします。
普通のサスペンスに、祟り、慣習、田舎での社会心理などいろんな要素が含まれていて非常に興味深いです。
ただ、一人称の語り口になっていて、金田一耕介の存在感が薄く、特に最後の犯人との対決シーンはもう少しページを割いてほしかったかなという点が残念ではありました。
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.54
(4pt)

意外にもロマンチックな本

ドラマや映画のオドロオドロしいイメージが強いし
表紙がこんなだし・・・
敬遠する方も多いかと思いますが、
意外にもロマンチックで
文体もオドロオドロしいものではありません。
前のレビューにもありますが冒険小説と
言ってもいいのかも。
言い伝えや宿命?みたいな
ロマンチックな部分も多いため、
女性も抵抗なく読めるのでは。
ただし!!
これ以外の横溝正史作品も
多分10冊くらい読みましたが
(獄門島、悪霊島、悪魔が来りて笛をふく、犬神家の一族 等々)、
面白いのもあれば、
ただ不快な気分になるものも
少なくないので
「横溝正史、好き」と
宣言出来ない作家でもあります
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016
No.53
(4pt)

意外にもロマンチックな本

ドラマや映画のオドロオドロしいイメージが強いし
表紙がこんなだし・・・
敬遠する方も多いかと思いますが、
意外にもロマンチックで
文体もオドロオドロしいものではありません。
前のレビューにもありますが冒険小説と
言ってもいいのかも。
言い伝えや宿命?みたいな
ロマンチックな部分も多いため、
女性も抵抗なく読めるのでは。
ただし!!
これ以外の横溝正史作品も
多分10冊くらい読みましたが
(獄門島、悪霊島、悪魔が来りて笛をふく、犬神家の一族 等々)、
面白いのもあれば、
ただ不快な気分になるものも
少なくないので
「横溝正史、好き」と
宣言出来ない作家でもあります
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.52
(5pt)

ロマンあふれる冒険小説

 映画やドラマで有名な「八つ墓村」の原作本です。
 原作本には映画やドラマとはまた違った魅力があります。他の方々もコメントされていますが、本作は犯人探しを前面に押し出したミステリー小説とは趣が異なります。主人公辰弥が幾多の試練に遭遇しながらそれを乗り越えて行くという冒険小説の色彩が大変に強い作品です。
 まず第一に陰惨な歴史と旧家の因習がおりなす独特な横溝正史ワールドの中で、主人公が必死に自分の生き場所を探そうとする姿には目を離せません。過去の落ち武者の財宝探しの点なども非常にロマンのあふれる冒険小説だと思います。
 もう一つ特筆すべきは登場人物の女性の性格の描き方が非常にすばらしい点です。ヒロイン典子の主人公への一途な愛情や先を見通す確かな考え方や行動、主人公の姉である春代のつつましやかながらもしっかりした態度には感動しました。本作は恋愛小説としても第一級の作品だと思います。
 映画やドラマを見たけれども本作を読まれていない方にはぜひ一読をおすすめします。
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.51
(5pt)

ロマンあふれる冒険小説

 映画やドラマで有名な「八つ墓村」の原作本です。
 原作本には映画やドラマとはまた違った魅力があります。他の方々もコメントされていますが、本作は犯人探しを前面に押し出したミステリー小説とは趣が異なります。主人公辰弥が幾多の試練に遭遇しながらそれを乗り越えて行くという冒険小説の色彩が大変に強い作品です。
 まず第一に陰惨な歴史と旧家の因習がおりなす独特な横溝正史ワールドの中で、主人公が必死に自分の生き場所を探そうとする姿には目を離せません。過去の落ち武者の財宝探しの点なども非常にロマンのあふれる冒険小説だと思います。
 もう一つ特筆すべきは登場人物の女性の性格の描き方が非常にすばらしい点です。ヒロイン典子の主人公への一途な愛情や先を見通す確かな考え方や行動、主人公の姉である春代のつつましやかながらもしっかりした態度には感動しました。本作は恋愛小説としても第一級の作品だと思います。
 映画やドラマを見たけれども本作を読まれていない方にはぜひ一読をおすすめします。
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016
No.50
(4pt)

風俗描写よりも女性の描き方に時代が感じられる

本編冒頭の描き方を見る限り、江戸川乱歩の「孤島の鬼」を意識しているようですが、詳しく比べるのは、将来の楽しみにしておきましょう。
金田一耕助が出てくるのでミステリーの範疇で評価されることが多いようですが、いわりる犯人探しの要素は少なく、語り手の青年をめぐる伝奇物語もしくは貴種流離譚の色合いが濃い作品です。
最初の50ページほどにおけるラジオ放送による尋ね人など、戦後の社会事情は今読めば古く思えるかもしれませんが、終戦後60年以上過ぎて、歴史的な描写と割り切って読むことも今ならば出来るかもしれません。
むしろ作中には女性が多く登場しますが、いずれも男社会からみた都合や価値観での描き方が濃厚のように思えます。風俗よりもこのあたりの視点の方が時代がかかって読めます。
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.49
(4pt)

風俗描写よりも女性の描き方に時代が感じられる

本編冒頭の描き方を見る限り、江戸川乱歩の「孤島の鬼」を意識しているようですが、詳しく比べるのは、将来の楽しみにしておきましょう。
金田一耕助が出てくるのでミステリーの範疇で評価されることが多いようですが、いわりる犯人探しの要素は少なく、語り手の青年をめぐる伝奇物語もしくは貴種流離譚の色合いが濃い作品です。
最初の50ページほどにおけるラジオ放送による尋ね人など、戦後の社会事情は今読めば古く思えるかもしれませんが、終戦後60年以上過ぎて、歴史的な描写と割り切って読むことも今ならば出来るかもしれません。
むしろ作中には女性が多く登場しますが、いずれも男社会からみた都合や価値観での描き方が濃厚のように思えます。風俗よりもこのあたりの視点の方が時代がかかって読めます。
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016
No.48
(3pt)

金田一耕助ファイル?

特に意味はなく、なんとなく敬遠していた横溝正史作品。…こんなに面白いとは!田舎には、いろんな愛だの憎だのが渦巻いている。その濃ゆーい感じが、夏の読書に暑苦しくてよかった。物語自体(ほとんど怪談)では冷え冷えとできるし。
でも、金田一耕助ファイルなのに、あんまり金田一耕助出て来なくないですか?他のファイルもちょっと読んでみよう。
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.47
(3pt)

金田一耕助ファイル?

特に意味はなく、なんとなく敬遠していた横溝正史作品。…こんなに面白いとは!田舎には、いろんな愛だの憎だのが渦巻いている。その濃ゆーい感じが、夏の読書に暑苦しくてよかった。物語自体(ほとんど怪談)では冷え冷えとできるし。
でも、金田一耕助ファイルなのに、あんまり金田一耕助出て来なくないですか?他のファイルもちょっと読んでみよう。
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016
No.46
(4pt)

重量感

 横溝正史の代表作のひとつ。
 重量感ある作品で、不義の話も出てくるし、洞窟の場面もばっちり。血の問題がプロットを支えている点も、実に横溝らしい。
 本書で最も優れているのは、犯人の造形だろう。なかでも動機の部分に仕掛けがあり、感心させられた。
 物語として良く出来た作品と思う。
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.45
(4pt)

重量感

 横溝正史の代表作のひとつ。
 重量感ある作品で、不義の話も出てくるし、洞窟の場面もばっちり。血の問題がプロットを支えている点も、実に横溝らしい。
 本書で最も優れているのは、犯人の造形だろう。なかでも動機の部分に仕掛けがあり、感心させられた。
 物語として良く出来た作品と思う。
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016
No.44
(5pt)

実は「萌え」の要素がたっぷりある恋愛小説?

 これは一般には推理小説に分類される作品ですが、伝説の財宝をめぐる洞窟内でのわくわくするような冒険が満載の恋愛小説だと捉えることもできます。また、金田一耕介シリーズには珍しく、話は主人公である辰弥の目線で展開されます。
 ヒロインの典子は、今でいう「萌え」の要素に満ちています。典子は主人公のことを「お兄さま」と呼ぶのです(両者に血の繋がりはありません)。また作品中で、前に進むべきか逡巡している辰弥の背中を押すのが典子の役目なのですが、そのとき必ず「典ちゃん、その勇気ある?」「あるわ。お兄さまと一緒なら」というやりとりが交わされるのです。「萌える」やりとりだと思いませんか?
 また典子は「なあに?」とか「〜ですもの」「〜するわ」などという、非常に上品な言葉を使います。さらに、さすがに大正生まれの女性らしく、敬語を使いこなしています。思いを寄せている一歳年上の辰弥に対しても尊敬語を使っています。典子は大正12年生まれの26歳という設定なのでそのような言葉遣いをするのは著者にとっては当然だったのでしょうが、私はつくづく日本人から失われたものの大きさを思ってしまいます。
 辰弥は典子に初めて会った時、「わたしはひとめその顔を見たときから、醜い女だときめてしまった」「いくらか足りないのではないかと思われた」「成熟しそこなったという感じである」「いかさま月足らずということが、ひとめでわかるようなひ弱さであった」と、心の中で罵詈雑言を並べ立てていますが、典子は辰弥に恋をするようになって徐々に女らしくなっていき、辰弥の印象も「素朴で可憐であった」に変わり、ついには「不思議なことには、典子が急に美しく見えてきたものである」とまで言わしめています!
 典子は可憐さだけでなく、行動力や意志の強さも感じさせます。辰弥が、典子の兄である慎太郎のことを疑っていたことを知って辰弥を問い詰める時の典子の気魄はすごいものがあります。私は読んでいて身震いしました。しかも、問い詰める時の言葉が、あくまでも上品なのです。たとえ愛している辰弥でも、尊敬する兄を侮辱することは絶対に許さない典子は、誇り高くてとても立派です。「兄は、正しいひとです。」なんて、なかなか言えることではありません。
 典子だけでなく、辰弥の「姉」である春代も辰弥をひそかに愛しています。春代が典子に嫉妬している箇所などは、とても可愛らしく感じられます。姉なのになぜ?と思う方がいらっしゃるでしょうが、それには辰弥の出生の秘密が絡んでいるのです。これは物語の核心部分であり、これ以上書くとネタばれになるのでやめておきますが。私には、春代が不憫に思われてなりません。
 恋愛にばかり焦点をあててレビューを書きましたが、もちろんこの小説はそれだけの薄っぺらいものではなく、推理小説らしく謎解きの楽しさも味わえます。また、舞台が昔の日本であることから、田舎の因習や迷信などを読者が追体験できるようになっていて面白いです。380年前の落ち武者にまつわる八つ墓村にかけられた呪いや、実際に起こった「津山三十人殺し」からヒントを得たとされる田治見要蔵による村人32人惨殺事件が物語の前提となっていることも、読者の興奮を呼び起こします。洞窟内での冒険は、まるで『インディ・ジョーンズ』シリーズのようなスリルと迫力があります。横溝正史氏は偉大な作家だと思います。
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.43
(5pt)

実は「萌え」の要素がたっぷりある恋愛小説?

 これは一般には推理小説に分類される作品ですが、伝説の財宝をめぐる洞窟内でのわくわくするような冒険が満載の恋愛小説だと捉えることもできます。また、金田一耕介シリーズには珍しく、話は主人公である辰弥の目線で展開されます。
 ヒロインの典子は、今でいう「萌え」の要素に満ちています。典子は主人公のことを「お兄さま」と呼ぶのです(両者に血の繋がりはありません)。また作品中で、前に進むべきか逡巡している辰弥の背中を押すのが典子の役目なのですが、そのとき必ず「典ちゃん、その勇気ある?」「あるわ。お兄さまと一緒なら」というやりとりが交わされるのです。「萌える」やりとりだと思いませんか?
 また典子は「なあに?」とか「〜ですもの」「〜するわ」などという、非常に上品な言葉を使います。さらに、さすがに大正生まれの女性らしく、敬語を使いこなしています。思いを寄せている一歳年上の辰弥に対しても尊敬語を使っています。典子は大正12年生まれの26歳という設定なのでそのような言葉遣いをするのは著者にとっては当然だったのでしょうが、私はつくづく日本人から失われたものの大きさを思ってしまいます。
 辰弥は典子に初めて会った時、「わたしはひとめその顔を見たときから、醜い女だときめてしまった」「いくらか足りないのではないかと思われた」「成熟しそこなったという感じである」「いかさま月足らずということが、ひとめでわかるようなひ弱さであった」と、心の中で罵詈雑言を並べ立てていますが、典子は辰弥に恋をするようになって徐々に女らしくなっていき、辰弥の印象も「素朴で可憐であった」に変わり、ついには「不思議なことには、典子が急に美しく見えてきたものである」とまで言わしめています!
 典子は可憐さだけでなく、行動力や意志の強さも感じさせます。辰弥が、典子の兄である慎太郎のことを疑っていたことを知って辰弥を問い詰める時の典子の気魄はすごいものがあります。私は読んでいて身震いしました。しかも、問い詰める時の言葉が、あくまでも上品なのです。たとえ愛している辰弥でも、尊敬する兄を侮辱することは絶対に許さない典子は、誇り高くてとても立派です。「兄は、正しいひとです。」なんて、なかなか言えることではありません。
 典子だけでなく、辰弥の「姉」である春代も辰弥をひそかに愛しています。春代が典子に嫉妬している箇所などは、とても可愛らしく感じられます。姉なのになぜ?と思う方がいらっしゃるでしょうが、それには辰弥の出生の秘密が絡んでいるのです。これは物語の核心部分であり、これ以上書くとネタばれになるのでやめておきますが。私には、春代が不憫に思われてなりません。
 恋愛にばかり焦点をあててレビューを書きましたが、もちろんこの小説はそれだけの薄っぺらいものではなく、推理小説らしく謎解きの楽しさも味わえます。また、舞台が昔の日本であることから、田舎の因習や迷信などを読者が追体験できるようになっていて面白いです。380年前の落ち武者にまつわる八つ墓村にかけられた呪いや、実際に起こった「津山三十人殺し」からヒントを得たとされる田治見要蔵による村人32人惨殺事件が物語の前提となっていることも、読者の興奮を呼び起こします。洞窟内での冒険は、まるで『インディ・ジョーンズ』シリーズのようなスリルと迫力があります。横溝正史氏は偉大な作家だと思います。
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016
No.42
(5pt)

作者が語る、本書が本格推理でない理由

本書は『本陣殺人事件』『獄門島』『夜歩く』といった日本推理小説史上に残る本格推理傑作群に続く、金田一耕助ものの長編第4作(岡山県を舞台にした磯川警部とのコンビ第4作でもある)であるが、趣きがこれまでの作品とは異なり、トリックや謎解きの論理には重点が置かれていない。
その理由として旧版に付されていた解説には、「トリックやプロットのおもしろさが勝っていく方向に正史なりの不満があったのではないだろうか」、「耽美浪漫派だった正史にとって、トリックのおもしろさはもちろんのことだが、ストーリイに重点を置いた一大ロマン絵巻が書きたくなったと見るべきだろう」とあるが、本書に関しては、この解説は見当違いである。
本書は雑誌『新青年』に連載された(『新青年』休刊後は『宝石』で続編が連載された)もので、『新青年』という雑誌が探偵小説雑誌ではなく大衆娯楽雑誌の傾向が強かったため、「本格探偵小説の骨格はくずしたくはないが、ひとつスケールの大きな伝奇小説を書いてみよう」(横溝正史著『真説 金田一耕助』より)ということで書かれたもので、本書が謎解きよりもストーリー重視となったのはこういう背景によるものである。
しかしそうして謎解きを犠牲にした分、『獄門島』等のような「傑作本格推理」とは別の意味で、横溝作品中で抜群に面白い作品に仕上がったのである。
なお本書は、元々アガサ・クリスティーの『ABC殺人事件』のような作品を書きたいと思っていたところ、坂口安吾が同じような構想で『不連続殺人事件』を著したため、「『不連続殺人事件』への挑戦の意味で書いた」と、旧版の解説に作者の言葉として記されている。
八つ墓村 Amazon書評・レビュー: 八つ墓村より
4048729543
No.41
(5pt)

作者が語る、本書が本格推理でない理由

本書は『本陣殺人事件』『獄門島』『夜歩く』といった日本推理小説史上に残る本格推理傑作群に続く、金田一耕助ものの長編第4作(岡山県を舞台にした磯川警部とのコンビ第4作でもある)であるが、趣きがこれまでの作品とは異なり、トリックや謎解きの論理には重点が置かれていない。
その理由として旧版に付されていた解説には、「トリックやプロットのおもしろさが勝っていく方向に正史なりの不満があったのではないだろうか」、「耽美浪漫派だった正史にとって、トリックのおもしろさはもちろんのことだが、ストーリイに重点を置いた一大ロマン絵巻が書きたくなったと見るべきだろう」とあるが、本書に関しては、この解説は見当違いである。
本書は雑誌『新青年』に連載された(『新青年』休刊後は『宝石』で続編が連載された)もので、『新青年』という雑誌が探偵小説雑誌ではなく大衆娯楽雑誌の傾向が強かったため、「本格探偵小説の骨格はくずしたくはないが、ひとつスケールの大きな伝奇小説を書いてみよう」(横溝正史著『真説 金田一耕助』より)ということで書かれたもので、本書が謎解きよりもストーリー重視となったのはこういう背景によるものである。
しかしそうして謎解きを犠牲にした分、『獄門島』等のような「傑作本格推理」とは別の意味で、横溝作品中で抜群に面白い作品に仕上がったのである。
なお本書は、元々アガサ・クリスティーの『ABC殺人事件』のような作品を書きたいと思っていたところ、坂口安吾が同じような構想で『不連続殺人事件』を著したため、「『不連続殺人事件』への挑戦の意味で書いた」と、旧版の解説に作者の言葉として記されている。
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304016