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八つ墓村
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八つ墓村の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全113件 101~113 6/6ページ
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著者の作品が度々映像化される理由は、勿論、小説そのものの面白さにあるが、ほかにも殺人方法とその見立てのインパクト、古い因習が色濃く残る農村(あるいは戦後の没落華族)を題材とした耽美的な世界が、映像化に向いているという理由もあるのだろう。 本作でも、昭和50年代の映画化で小説の世界以上に強烈な印象を残した人物がいる。事件は彼から始まったと言っても過言ではない人物ではあるが、物語では二十数年前に死亡したとされる人物である。頭にはナショナルの懐中電灯、腰には日本刀、猟銃を片手に32人を惨殺した多治見要蔵だ。過去の因縁や事件が時を経て甦ったかの如く事件が起きるのは横溝作品の王道だが、それにしても凄かった。小説のストーリーが消し飛んでしまうほどだった。 他の映像化作品にもそれぞれ目に焼きつくようなシーンは存在する。しかし、それはあくまで作品の一部であり本筋が霞んでしまうものではない。 逆説的に、映画での要蔵の圧倒的な姿が、この小説の弱点、殺人の見立ての必然性のなさ、そして犯人の動機の弱さを際立たせてしまっている。 横溝作品は殺人方法も犯人の動機も現実的ではないという評価がある。私はそうは思わない。確かに「現実世界」ではそうだが、著者によってそれに相応しい場所や事件の背景が与えられた「小説世界」では、「必然的」であり「現実的」なのである。だから、横溝正史の「推理」小説は「小説」として今でも充分通用するのである。 しかし、この作品は「小説世界」においても現実的ではない。実際にあった事件を題材にしたあまりにも有名な作品であり、著者自身も認める代表作の一つだが、例えば、「獄門島」や「悪魔が来りて笛を吹く」など他の代表作と比べると、どうしても見劣りしてしまう。推理小説ではなく、ただの伝奇小説としても考えても同じだ。よって☆×3。 | ||||
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大きなトリックはないので、ハウダニット(どうやってやったのか)の謎が好きな人は物足りないかもしれないですね。それもそのはず、この作品は一見無関係な被害者の共通項は何なのかを探す、ミッシングリンクをテーマにした作品なのです。このことを理解して読まないと、ただのスリラー、あるいは冒険小説として評価されてしまうのではないかと思います。 またフーダニット(誰がやったのか)という点では、ロジック(論理)で真犯人にせまる大きな要素が織り込まれており、エラリー・クイーン的な面白さが好きな人には、たまらないかも。なのに、映像化されると、そのロジックの部分がいつも省略されていて、そのたび「この監督、推理小説のことわかってないな」と怒り心頭だったのですが(特に1978年版の映画、ただのホラー映画に仕上げやがった監督を俺は許さない)、稲垣吾郎主演の八つ墓村では、その部分がきちんと描かれていて嬉しかったな。 とにかくこの作品は、作者がミッシングリンクテーマの傑作、アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」に挑戦した作品だということをお忘れなく。 | ||||
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推理小説はあまり読まないのですが、これは本当に面白かったです。閉鎖された村の伝説、因習、確執などが気味悪いほど伝わってきます。そしてそれが事件をより血なまぐさいものにしているので恐怖感が倍増されます。犯人の特定があっけないような気もしますが、それを差し引いても余りあるほどの面白さです。金田一があまり出てこないのでおかしなと思いましたが結末を読んで納得しました。名探偵が事件をばんばん解決するアニメを見慣れていると、こういう終わり方がすごく新鮮に感じます。 | ||||
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推理小説というより、探偵小説。それよりも冒険小説というのがふさわしい作品です。過去からの伝説、連続する殺人事件、鍾乳洞、財宝、ラブロマンス。ヒッチコックの巻き込まれ型サスペンスにも匹敵する優れた大作です。「祟りじゃあ」で一世を風靡した頃に初めて読んでから30年。いまだに原作を超える映像作品はない。これからもまず無理。ならば読め。金田一ものの中では一番のカタルシスが待ってます。 | ||||
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長いこと読書を続けてきたにも関らず、大横溝初体験。 評判にたがわず充分楽しめました。妖しい雰囲気の中で起こる殺人、鍾乳洞での探検、 恋愛モードありと、ストーリーテラーぶりを遺憾なく発揮されております。 真相は想定の範囲内ではありますが、当時としてはなかなかのものでしょう。 謎解きよりも冒険、サスペンスの要素が強いので、万人に好まれそうです。 探偵小説の歴史を知る上でも重要な作品の一つ。 | ||||
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テレビやなどでは、何度かみたことがあった「八つ墓村」ですが、実際読むのは初めてでした。あまりに有名な作品のため、あらすじ等は頭に入っていましたが、かなり面白かったです。古臭い独特の言い回しも、この話に雰囲気があっています。映画等では、金田一氏が前面に出てきますが、小説では、ところどころにしか登場せず、意外でした。 | ||||
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さすがは角川文庫の横溝正史シリーズのNo.1作品です。推理小説として見たらたいした事はないのですが(トリックやら犯人やらですが)ストーリーがおもしろい。かなり厚い本なのですが、ぐいぐい引き込まれて読みきってしまいました。映画やTV化されてますが、どれもこれもストーリーが変えられていまいちという感じです。やっぱり原作が一番おもしろいです。 | ||||
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本作の大量殺人は実際に起きた事件をもとにしています、1938年(昭和13年)5月に現在の地名では岡山県津山市で起きた通称「津山30人殺し」です、作者は戦時中に岡山へ疎開していた時に事件を知り本作に結実したといわれています(ちなみ岡山には谷崎潤一郎も疎開、終戦時に永井荷風が尋ねたという逸話もある)、現在容易に入手可能な津山事件のドキュメントは、松本清張の文庫「ミステリーの系譜」に収められた「闇に駆ける猟銃」です、2004年テレビドラマ化された「砂の器」で、原田芳雄演じる人物が大量殺人を犯すアイデアも津山事件の成り行きを取り入れています、 | ||||
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横溝作品は本作の他に「獄門島」、「本陣」を読んだのみですが、本作が一番おもしろいと思いました。 封建的色合いの強く残る山村、村に伝わる忌まわしい過去、そこで繰り広げられる凄惨な殺人事件、といった設定はおなじみですが、重苦しい前半部分から、次第に冒険活劇的な展開になっていき、最後はなにはともあれめでたし、めでたしで終わり、ほっとできる内容です。 登場人物たちは運命に翻弄されながらも、感情豊かに、より能動的に行動しており読んでいて気持ちのいいものでした。特に、主人公の第一印象が「醜い女」であった典子が、驚くような大変貌を果たし、主人公をしのぐ活躍をするという展開は、個人的に大変好きです。 それに何と言っても、村の地下に広がる大鍾乳洞を舞台にした大追跡、大逃亡は最後までどきどきはらはらさせられ、少しも飽きません。 金田一はあまり活躍せず、存在に違和感がありましたが、謎解き役としてやはり欠かせない人物であったろうと思います。 読んで損はない作品ではないでしょうか。 | ||||
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あまりにも有名で、以前ドラマ化された物を拝見していて、なんとなく物語を分かっていた気がして今まで読まなかったのですが、今回、読んでみて小説の方が数段上と気がつかされました。私と同じ理由で読まれていない方がいらしたらぜひ読んで見て欲しいと思います。物語のスケールの大きさ、設定の面白さ。主人公の心理の描写の細かさ。大正・昭和初期にかけて、まだ自分の親すら生まれていない世代の私ですが、まるでその場に居合わせたように感じれました。読書の楽しみ方わを教えてもらいました。読後の感想は{愛は恐い。}でした。 | ||||
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本作の面白いところは主人公の一人称で書かれているところである。そのため金田一耕介は対話でしか現れないので以外に存在感が希薄である。しかし、モノローグで進む内容は、先の展開が読めない事件の描写もさることながら、その心理描写において、極めて私小説的技法が、因習を帯びた土着性をものの見事に描ききっているのである。単なるエンターテイメントを超越した、日本文学の伝統や和漢を踏まえた恐ろしく懐の深い素養は、この作品に普遍性を与えており、その意味においても横溝正史はもっと文学的に評価されるにたる作家であることに気づかねばならない。 | ||||
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映画にもなった横溝正史の傑作。古い因習が支配する日本の山村と落ち武者伝説。登場人物すべてに漂ういいようのない影。著者が少年時代に疎開した岡山県を舞台に繰り広げられる連続殺人。人の人生を支配するものは欲か因縁か? | ||||
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横溝正史が描く金田一シリーズ第一弾。初作だけあって新鮮味にあふれている。話はリアルタイムで進行するのではない。事件解決後の当事者の回想という形で話が進んでいく。なにかと地方の村の不気味さや一族の因縁が目立つが、本作のもう一つのメッセージは迷信が引き起こす悲劇だろう。実際、八墓村の事件には村人が盲信する死者の呪いなどの迷信が深く関係してくる。迷信を盲信し、理性を失った村人たちが事件をさらに複雑化させてしまう。横溝正史は迷信のもつ恐ろしさを小説の中で描きたかったもう一つの要素ではないだろうか。 | ||||
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