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八つ墓村
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八つ墓村の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.53pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全118件 101~118 6/6ページ
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本書は『本陣殺人事件』『獄門島』『夜歩く』といった日本推理小説史上に残る本格推理傑作群に続く、金田一耕助ものの長編第4作(岡山県を舞台にした磯川警部とのコンビ第4作でもある)であるが、趣きがこれまでの作品とは異なり、トリックや謎解きの論理には重点が置かれていない。 その理由として旧版に付されていた解説には、「トリックやプロットのおもしろさが勝っていく方向に正史なりの不満があったのではないだろうか」、「耽美浪漫派だった正史にとって、トリックのおもしろさはもちろんのことだが、ストーリイに重点を置いた一大ロマン絵巻が書きたくなったと見るべきだろう」とあるが、本書に関しては、この解説は見当違いである。 本書は雑誌『新青年』に連載された(『新青年』休刊後は『宝石』で続編が連載された)もので、『新青年』という雑誌が探偵小説雑誌ではなく大衆娯楽雑誌の傾向が強かったため、「本格探偵小説の骨格はくずしたくはないが、ひとつスケールの大きな伝奇小説を書いてみよう」(横溝正史著『真説 金田一耕助』より)ということで書かれたもので、本書が謎解きよりもストーリー重視となったのはこういう背景によるものである。 しかしそうして謎解きを犠牲にした分、『獄門島』等のような「傑作本格推理」とは別の意味で、横溝作品中で抜群に面白い作品に仕上がったのである。 なお本書は、元々アガサ・クリスティーの『ABC殺人事件』のような作品を書きたいと思っていたところ、坂口安吾が同じような構想で『不連続殺人事件』を著したため、「『不連続殺人事件』への挑戦の意味で書いた」と、旧版の解説に作者の言葉として記されている。 | ||||
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「八つ墓村」を評して「これは推理小説ではないが・・・」「本格ミステリではないが・・・」という意見を聞きますが、そうしたひとは、本格ミステリ(パズラー)を狭く考えていないでしょうか?奇想天外なトリックで読者を驚かすといったたぐいだけがパズラーの魅力ではないと自分は考えます。 たしかに「八つ墓村」はストーリ展開が派手で冒険小説や伝奇小説の味わいが濃厚です。尼子の財宝を巡る鍾乳洞の探索など横溝正史の筆がのっていて娯楽作品とはこうあるべきというべき仕上がりです。 冒険小説の面白さに比べるとトリックが小ぶりな為か上記なような意見がでるのでしょう。ただそう思う人は、再読、再再読をお願いしたい。この小説のパスラーとしてのみどころは、細部にまで神経が行き届いた構成の妙にあります。些細な出来事が結末に向かって収束していく手際が実に見事なのです。横溝は、正面切ってすべてをズバリ書いている訳ではないのでわかりづらい部分もありますが、細心の注意を払ってストーリを組み立ているのです。これこそパズラーの魅力です。例えば、「濃茶の尼」の使い方に感心しないようでミステリファンと呼べるでしょうか?「八つ墓村」は冒険小説のプロットとパズラーのプロットが見事に解け合った希有な作品だと思っています。 ・・・・でなんで星4つなのか?・・・肝心の金田一さんが単なる解説者に成り下がっている点で「獄門島」「犬神家の一族」より低い評価なんですね・・・・もっともこれは、横溝正史という人物が良質な作品を数多く残すことで、読み手のレベルをあげてしまったから・・・冷静に考えると星5でも全く問題なしです。 | ||||
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金田一物ではおそらく一位二位争う傑作っしょ!日本人には稀稀ぇ〜な骨太論理と、日本的情念&情痴、見事に融合って一定の水準キィ〜プって書かれ続けた横溝作品中でも別格の出来だと個人的には思っとりまっす!本作は「本陣殺人事件」「獄門島」に続く金田一物PARTVっすが、先の2つが謎解きの楽しみメインで話が展開ってたのに比べれば、本作の特異さ際立ちまくりなの一目瞭然っしょ!余所者アカン!的閉鎖極めMAX!な、何かあれば祟りじゃ祟り的妄念溢れMAX!な部落を舞台に、尼子の落ち武者伝説に見立てて連続殺人が起こる筋立てっすが、この「見立て」や「動機」、「トリック」に関しては、前作「獄門島」より劣る感否めねぇ〜ぇぇぃ…っすが、それを補って余りありまくりなのは、鏡花や谷崎の純文学系耽美ズムとも一味違う、妬み・愛欲・怨念etc絡んで絡んで花開いた「俗流耽美主義」の奔放な乱れ咲きっぷりっしょ!間違いノッシングに横正の代表作っすが、多分、一番好悪クリァ〜に分かれる一作っしょ!野村芳太郎監督が原作ほぼ忠実ってサイコッ!な映画化してくれとりますんで映画から入るのもオケィ!っしょ!これマジ「俗流耽美主義」の発露、サイコサイコッ!YEAH!! | ||||
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横溝の代表作だと考えている。 横溝の資質は 谷崎などの耽美派系純文学だと考えているが 純文学だけでは収まらない骨太な部分が 彼を流行作家に仕立てたと思う。なかなか多作だったが いくつかのマスターピースがあり 本作は その筆頭ではないか。 まず 設定が凝っている。平家の落人伝説を発端とし 昭和初期の津山事件を更に取り入れた構造は 実に重層的であり 読み応えがある。 次に 話が既に迷宮構造をしているのに加えて 鍾乳洞という現実の迷宮を舞台とした事で更に重厚な味わいを醸し出した。 これは紛れも無く 横溝という稀代の語り部ならではの技である。 後半の鍾乳洞での冒険譚も 見せ場に満ちており 最後に埋蔵金が見つかる点など 実に纏まりも良い。 この作品であれば 十分世界に通用すると思う。話の展開と それを彩る横溝の耽美的な美学が 均衡した傑作だからだ。 | ||||
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本作は推理小説ではありません。 あくまでちょっと軽めの伝奇小説だと思ってください。 落人伝説のある地方集落で起こる事件を描いた小説です。 トリックとかそういうことを主眼に据えるのではなく、 筆者独特の世界観に浸ってください。 筆者は、江戸川乱歩と松本清張のちょうど 端境期に位置し、推理小説は勿論、日本独特とも言える 死体の美しさの表現を完成させた泰斗です。 手の凝った殺人のビジュアルは特筆ものです。 | ||||
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著者の作品が度々映像化される理由は、勿論、小説そのものの面白さにあるが、ほかにも殺人方法とその見立てのインパクト、古い因習が色濃く残る農村(あるいは戦後の没落華族)を題材とした耽美的な世界が、映像化に向いているという理由もあるのだろう。 本作でも、昭和50年代の映画化で小説の世界以上に強烈な印象を残した人物がいる。事件は彼から始まったと言っても過言ではない人物ではあるが、物語では二十数年前に死亡したとされる人物である。頭にはナショナルの懐中電灯、腰には日本刀、猟銃を片手に32人を惨殺した多治見要蔵だ。過去の因縁や事件が時を経て甦ったかの如く事件が起きるのは横溝作品の王道だが、それにしても凄かった。小説のストーリーが消し飛んでしまうほどだった。 他の映像化作品にもそれぞれ目に焼きつくようなシーンは存在する。しかし、それはあくまで作品の一部であり本筋が霞んでしまうものではない。 逆説的に、映画での要蔵の圧倒的な姿が、この小説の弱点、殺人の見立ての必然性のなさ、そして犯人の動機の弱さを際立たせてしまっている。 横溝作品は殺人方法も犯人の動機も現実的ではないという評価がある。私はそうは思わない。確かに「現実世界」ではそうだが、著者によってそれに相応しい場所や事件の背景が与えられた「小説世界」では、「必然的」であり「現実的」なのである。だから、横溝正史の「推理」小説は「小説」として今でも充分通用するのである。 しかし、この作品は「小説世界」においても現実的ではない。実際にあった事件を題材にしたあまりにも有名な作品であり、著者自身も認める代表作の一つだが、例えば、「獄門島」や「悪魔が来りて笛を吹く」など他の代表作と比べると、どうしても見劣りしてしまう。推理小説ではなく、ただの伝奇小説としても考えても同じだ。よって☆×3。 | ||||
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大きなトリックはないので、ハウダニット(どうやってやったのか)の謎が好きな人は物足りないかもしれないですね。それもそのはず、この作品は一見無関係な被害者の共通項は何なのかを探す、ミッシングリンクをテーマにした作品なのです。このことを理解して読まないと、ただのスリラー、あるいは冒険小説として評価されてしまうのではないかと思います。 またフーダニット(誰がやったのか)という点では、ロジック(論理)で真犯人にせまる大きな要素が織り込まれており、エラリー・クイーン的な面白さが好きな人には、たまらないかも。なのに、映像化されると、そのロジックの部分がいつも省略されていて、そのたび「この監督、推理小説のことわかってないな」と怒り心頭だったのですが(特に1978年版の映画、ただのホラー映画に仕上げやがった監督を俺は許さない)、稲垣吾郎主演の八つ墓村では、その部分がきちんと描かれていて嬉しかったな。 とにかくこの作品は、作者がミッシングリンクテーマの傑作、アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」に挑戦した作品だということをお忘れなく。 | ||||
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推理小説はあまり読まないのですが、これは本当に面白かったです。閉鎖された村の伝説、因習、確執などが気味悪いほど伝わってきます。そしてそれが事件をより血なまぐさいものにしているので恐怖感が倍増されます。犯人の特定があっけないような気もしますが、それを差し引いても余りあるほどの面白さです。金田一があまり出てこないのでおかしなと思いましたが結末を読んで納得しました。名探偵が事件をばんばん解決するアニメを見慣れていると、こういう終わり方がすごく新鮮に感じます。 | ||||
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推理小説というより、探偵小説。それよりも冒険小説というのがふさわしい作品です。過去からの伝説、連続する殺人事件、鍾乳洞、財宝、ラブロマンス。ヒッチコックの巻き込まれ型サスペンスにも匹敵する優れた大作です。「祟りじゃあ」で一世を風靡した頃に初めて読んでから30年。いまだに原作を超える映像作品はない。これからもまず無理。ならば読め。金田一ものの中では一番のカタルシスが待ってます。 | ||||
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長いこと読書を続けてきたにも関らず、大横溝初体験。 評判にたがわず充分楽しめました。妖しい雰囲気の中で起こる殺人、鍾乳洞での探検、 恋愛モードありと、ストーリーテラーぶりを遺憾なく発揮されております。 真相は想定の範囲内ではありますが、当時としてはなかなかのものでしょう。 謎解きよりも冒険、サスペンスの要素が強いので、万人に好まれそうです。 探偵小説の歴史を知る上でも重要な作品の一つ。 | ||||
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テレビやなどでは、何度かみたことがあった「八つ墓村」ですが、実際読むのは初めてでした。あまりに有名な作品のため、あらすじ等は頭に入っていましたが、かなり面白かったです。古臭い独特の言い回しも、この話に雰囲気があっています。映画等では、金田一氏が前面に出てきますが、小説では、ところどころにしか登場せず、意外でした。 | ||||
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さすがは角川文庫の横溝正史シリーズのNo.1作品です。推理小説として見たらたいした事はないのですが(トリックやら犯人やらですが)ストーリーがおもしろい。かなり厚い本なのですが、ぐいぐい引き込まれて読みきってしまいました。映画やTV化されてますが、どれもこれもストーリーが変えられていまいちという感じです。やっぱり原作が一番おもしろいです。 | ||||
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本作の大量殺人は実際に起きた事件をもとにしています、1938年(昭和13年)5月に現在の地名では岡山県津山市で起きた通称「津山30人殺し」です、作者は戦時中に岡山へ疎開していた時に事件を知り本作に結実したといわれています(ちなみ岡山には谷崎潤一郎も疎開、終戦時に永井荷風が尋ねたという逸話もある)、現在容易に入手可能な津山事件のドキュメントは、松本清張の文庫「ミステリーの系譜」に収められた「闇に駆ける猟銃」です、2004年テレビドラマ化された「砂の器」で、原田芳雄演じる人物が大量殺人を犯すアイデアも津山事件の成り行きを取り入れています、 | ||||
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横溝作品は本作の他に「獄門島」、「本陣」を読んだのみですが、本作が一番おもしろいと思いました。 封建的色合いの強く残る山村、村に伝わる忌まわしい過去、そこで繰り広げられる凄惨な殺人事件、といった設定はおなじみですが、重苦しい前半部分から、次第に冒険活劇的な展開になっていき、最後はなにはともあれめでたし、めでたしで終わり、ほっとできる内容です。 登場人物たちは運命に翻弄されながらも、感情豊かに、より能動的に行動しており読んでいて気持ちのいいものでした。特に、主人公の第一印象が「醜い女」であった典子が、驚くような大変貌を果たし、主人公をしのぐ活躍をするという展開は、個人的に大変好きです。 それに何と言っても、村の地下に広がる大鍾乳洞を舞台にした大追跡、大逃亡は最後までどきどきはらはらさせられ、少しも飽きません。 金田一はあまり活躍せず、存在に違和感がありましたが、謎解き役としてやはり欠かせない人物であったろうと思います。 読んで損はない作品ではないでしょうか。 | ||||
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あまりにも有名で、以前ドラマ化された物を拝見していて、なんとなく物語を分かっていた気がして今まで読まなかったのですが、今回、読んでみて小説の方が数段上と気がつかされました。私と同じ理由で読まれていない方がいらしたらぜひ読んで見て欲しいと思います。物語のスケールの大きさ、設定の面白さ。主人公の心理の描写の細かさ。大正・昭和初期にかけて、まだ自分の親すら生まれていない世代の私ですが、まるでその場に居合わせたように感じれました。読書の楽しみ方わを教えてもらいました。読後の感想は{愛は恐い。}でした。 | ||||
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本作の面白いところは主人公の一人称で書かれているところである。そのため金田一耕介は対話でしか現れないので以外に存在感が希薄である。しかし、モノローグで進む内容は、先の展開が読めない事件の描写もさることながら、その心理描写において、極めて私小説的技法が、因習を帯びた土着性をものの見事に描ききっているのである。単なるエンターテイメントを超越した、日本文学の伝統や和漢を踏まえた恐ろしく懐の深い素養は、この作品に普遍性を与えており、その意味においても横溝正史はもっと文学的に評価されるにたる作家であることに気づかねばならない。 | ||||
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映画にもなった横溝正史の傑作。古い因習が支配する日本の山村と落ち武者伝説。登場人物すべてに漂ういいようのない影。著者が少年時代に疎開した岡山県を舞台に繰り広げられる連続殺人。人の人生を支配するものは欲か因縁か? | ||||
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横溝正史が描く金田一シリーズ第一弾。初作だけあって新鮮味にあふれている。話はリアルタイムで進行するのではない。事件解決後の当事者の回想という形で話が進んでいく。なにかと地方の村の不気味さや一族の因縁が目立つが、本作のもう一つのメッセージは迷信が引き起こす悲劇だろう。実際、八墓村の事件には村人が盲信する死者の呪いなどの迷信が深く関係してくる。迷信を盲信し、理性を失った村人たちが事件をさらに複雑化させてしまう。横溝正史は迷信のもつ恐ろしさを小説の中で描きたかったもう一つの要素ではないだろうか。 | ||||
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