■スポンサードリンク
黒百合
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
黒百合の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
古き昭和の時代背景の中、少年少女たちのひと夏の日常が淡々と描かれていく。 設定は面白いのだが、読者に向けて仕掛けられたトリックが一度読んだだけでは分かりにくく、最後までまったく入り込むことが出来ず、楽しめなかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
先に読んだ方のアドバイスで、あまりミステリだと意識せずに読みましたが、それで正解だったと思います。本当に美しく、端正な小説でした。読後には、良い小説を読んだという静かな満足感に浸れました。 夏に知り合った二人の少年と一人の少女という関係は瑞々しく、一人は関西弁の少年、一人は東京から来た標準語の少年という組み合わせもまた、少女がどちらを選ぶのだろうとはらはらさせるものがあり、引き込まれました。ドイツで出会う謎の女性というもうひとつの物語と絡まって、だれ?という疑問を持ちつつ読むのですが、結末だけを求めるような走り読みをせず、最後までゆっくりと読むことが出来ました。まさに文芸とミステリの融合ですね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
’08年、「このミステリーがすごい!」国内編第7位、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第8位にランクインした、職人肌の名匠、多島斗志之が精魂をこめ、繊細な技巧を駆使した、瑞々しい情感にあふれたミステリー。 昭和27年、14才の寺元進は、東京からひとり離れて父親の旧友浅木の持つ六甲山の別荘で夏休みを過ごすことになった。そこには浅木の息子で同い年の一彦がいた。また近所の裕福な家庭の、これもまた同い年の倉沢香とも出会う。彼らは意気投合して、ハイキング、水泳、スケッチと毎日のように夏の避暑地の日々を過ごす。やがて進と一彦は香にほのかな恋心を抱くようになる。この小説のほとんどを占めるのはつたない進の日記から始まる甘酸っぱい青春物語の懐古である。 その一方で、進と一彦の父親たちが昭和10年、ナチス政権下のドイツはベルリンで出会った不思議な女性との交流と、昭和16年から20年、戦時下の神戸における鉄道員と女学生の恋と、それが原因で起こる殺人という、ふたつのエピソードが挟み込まれる。 はたしてこれら三つのパートがどう関っているのか。読者の興味は尽きない。そして時を越えた複雑な人間関係が次第に明らかになり、これまで見えていなかった風景が終盤浮かびあがる時、作者の企みが現れる仕組みになっている。 多島斗志之は、基本的には淡い文芸的な青春恋愛小説を読者に読ませながらも、思いがけないところに伏線を張り巡らせていたり、<六甲の女王>なるミスディレクションに惑わせたりするのである。 本書は超絶的なテクニックに支えられた傑作である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
古き良き時代を振り返っていく設定は良いと思うが、実にあっけない幕切れはつまらない。 余韻を膨らましてくれる美術でありながら、それをかき消すインパクトはマイナスにはたらくと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
異なる3つの時代のストーリーが最後の最後で一つに交錯する時、その余りの意外性に意表を突かれるが、それ以上に三人の少年少女の夏休みの描写が透き通る程に美しく、いつまでも残像が尾を引く。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
進・一彦・香の3人が過ごす戦後の避暑地での青春物語の部分、ここの描写力がすぐれているので、作品全体の質を上げているのでしょう。 銀幕のスターたちの出ていた古い秀作の邦画のような雰囲気です。 香のおばさま日登美や、六甲の女王、小芝翁…などなど、脇役たちの人物像も、時代と上流階級の人々の雰囲気を良く伝えてくれます。 この序章の部分だけでも作品が成り立つぐらい上質なものだと思います。 ドイツで出会った謎の女性は誰?と思いながら読み進め、殺人事件の犯人は…とミステリー部分では謎を持たせ、全くもって巧いです。 昭和27年の部分は、夏休みの宿題の日記をつける進の目線で描かれるので、少年らしいたどたどしさもあって、語られない部分を巧くカバーしてミスリードを誘います。 もう一つの殺人事件が起こり、謎が解けないまま、ラストに突中。 え、もうページも少ないし終わっちゃうよ〜、と思ったら実にサラリと描かれる真相。 サプライズです、やられちゃいました。 ミステリーの謎解き、ここが一番の見せ場、そこをサラリと書いて素知らぬ顔して通り過ぎようとする作者。 う〜ん、にくい! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
昭和27年当時、14歳だった主人公の進と、 同じ14歳の少年一彦と少女香。 この3人の恋模様の各章に、 彼らの父親たちの過去を語る章が差し挟まれて、 物語は進んでいきます。 驚きのラストが待っているという ネット上のいくつかの感想文を読んで 期待していたのですが・・・ 想像がついてしまったので、 あまり高い評価を与えることはできません。 しかし、青春小説として読んだ場合、 小説としての巧さは感じられるので、 全体として★3つとしました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
少年少女のひと夏の交流を描いた物語に叙述トリックを 仕掛けることで、驚愕の真相を浮かび上がらせる本作。 探偵役による「解決篇」がないため、読者は作中で 何が起こっていたかを自ら推理しなければなりません。 以上から、本作は乾くるみ『イニシエーション・ラブ』と同趣向の作品といえると思います。 本作では、ある名家が物語の中心となっていますが、複雑な姻戚関係や愛人の存在などにより、 錯綜した人間模様が描き出されるだけでなく、同じ属性を付与した人物が巧妙に配されています。 そうした、読者を誤誘導する登場人物(レッド・へリング)が多すぎるといった 批判もいくつか目にしましたが、個人的には、充分許容範囲だと感じました。 厳重にミスディレクションしておかないと、せっかくの サプライズが、台無しになるかもしれませんもんね。 ▽付記 何はともあれ、タイトル「黒百合」の真意には口がアングリでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この作品は昭和27年の夏休みに父親の友人の別荘に招かれた主人公の14歳の少年が、そこで出会う一彦少年と香という少女と夏休みを過ごす3人の交流を描いた青春小説である。また、その夏休みの出来事を描く章をはさんで、主人公と一彦の父親の青年時代や香の叔母の日登美の過去を描いた話が挿入される。 本に書いてあるあらすじだけを読むと、青春小説がメインでミステリ色は薄く感じるが、実際は読者の先入観を利用した叙述トリックが仕掛けてあり、最後の数ページで現在(昭和27年)の物語と過去の物語が結びつき、意外な真相が明らかになる。 読了した後で、改めて読み直すと作者がうまく読者を誤導するように書かれていて良く考えられた構成になっている。 普通に読んでいるとおそらく最後にだまされると思うので、これから読む人はよく注意して読んで、本格ミステリの面白さを堪能してもらいたい。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!