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人間豹



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人間豹の評価: 3.90/5点 レビュー 10件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.90pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(3pt)

明智最大の苦戦「ああ、しかし、だめかもしれない……」

<ネタバレ注意>

 恋人弘子を失った神谷は傷心の一年の後、彼女に似た面立ちで、十九の春のふっくらと成熟した肉体の舞台女優wと恋仲になる。彼女もまた人間豹、恩田のターゲットになるのだが、その名は江川蘭子。
 そう。四年前に乱歩からスタートしたリレー小説のタイトルネームである。
 リレー小説『江川蘭子』を以前読んだことあるかないかはビミョーなのだが、いずれにせよ、本書の江川蘭子は関係ないだろう。
 もちろん乱歩が自分のペンネームをもじってつけた名前で、後に二階堂黎人が自分のシリーズ探偵に下の名前を拝借したりもしたが、実は乱歩もお気に入りの名前だったのだろうか。【注1】
 本作品の江川蘭子もあっさりとぶち殺されるところをみると、単にネーミングが面倒臭かっただけだろう……

 ちなみに、神谷と蘭子は、別れるときには、いつものとおり、恋人どうしの長い握手をさえかわしたそうだwww

 そうして、漸く明智小五郎の登場。【注2】

 『黄金仮面』以降、三年ほど放置されていた明智は、昭和9年に『黒蜥蜴』そして本作品と、なぜか立て続けに登場する。特に『講談倶楽部』に連載された本作品には、文代さんと小林少年がちょい役以上に登場して活躍する。
 ちなみに、本作の翌年には『怪人二十面相』の連載が始まり、小林少年はそちらで主役級の活躍をみせるようになるが、文代の影は薄くなり表には出てこなくなる……
 現時点では、『暗黒星』や『地獄の道化師』はまだ読んでいないが、近々に続く少年探偵団シリーズや『悪魔の紋章』では、大して登場しなかった。豹に殺されそうになって懲りたのかもしれない。【注3】

 恥ずかしいことにポプラ社版の表紙が怖かった所為で本作品は初読だったが、明智小五郎冒険譚としては一等かもしれない。日頃からハハハハ、ニコニコ、ニヤニヤと、余裕をもって相手を嘲笑うことの多い明智は、本作品では恩田親子にその裏をかかれて、かなりの窮地に立たされる。明智や文代が拉致される事は他作品でもあるが、ここまでの危地に陥るのは他ではないのではないか。
 まるで神谷が目撃することでこの世に生じて悪さを始めたような恩田親子だが、その生い立ち、それまでどう暮らしていたのか、豊富な財源はどこから出ていたのかとか、ツッコミ処は多々あれど。

 ところで、乱歩の昭和一桁代の通俗作品には、生物の名前が頻出する。
 蜘蛛、蜥蜴、蠍(妖虫)、イメージとして、蝙蝠(吸血鬼)を加えても許してもらえるだろう。
 それらのモチーフはすべて、『仮面ライダー』で藤岡弘が退場するまでの1クールにショッカー怪人として登場する。いや、これらの生物は人間に生理的に嫌悪感を催させる種だから【注4】、ショッカーの初期怪人に採用されたのは偶然、というか必然だろう。本作品の豹が登場しないのも、そのイメージが他のモチーフとは異なり、嫌悪感とはやや異なるから当然と言えば当然である。
 ところが、助っ人佐々木剛の2号ライダーを経て、新1号の登場と藤岡弘の本格的な主演復帰第1話に登場するショッカー怪人は、なんとジャガーマンである。【注5】

 これは、単なる偶然だろうか。
 誰だか知らないが、企画の担当の中に乱歩ファンがいて、仕切り直しの第1話にあえて豹を選んだと考えるのは、あながち無理くりな想像ではないと思う。

 【注1】二階堂蘭子はくるくるの巻き毛ということで、村上もとかの名作『六三四の剣』の蘭子のイメージも拝借している……かもしれない。

 【注2】人間豹VS神谷・蘭子の構図が人間豹VS明智・文代にシフトしてからは、神谷はめっきりとフェードアウトしてしまう。わざわざ冒頭で彼がこの物語の主人公だと明記しているのにwww

 【注3】乱歩のネーミングがテキトーなのは、神谷と小林少年が同じ芳雄な事でもわかる。本作品で小林の下の名前は紹介されないけれど…… 話は変わるが、明智もそして文代までもが小林と呼び捨てなのが興味深い。

 【注4】乱歩作品に"蛇"がないのがむしろ不思議。

 【注5】しかも猫、ライオン、トラ等を抑えて、ネコ科の獣では初の怪人化であった。
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
4394301602
No.9:
(4pt)

懐かしい怪奇探偵小説

子供の頃、ポプラ社の全集本で読んだ中で一番好きでした。
今読むとアラも目につくけど、推理というより怪奇、ホラー小説の古典としてやっぱり面白い。
人間豹のビジュアルは、獣人ハイド氏が元ネタなのかなと、今になって思いました。
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
439430119X
No.8:
(5pt)

アップルBOXクリエイトの牛尾走兒の絵物語版は、一読する価値がありますよ!!

本当は、牛尾走兒が挿し絵を描いたアップルBOXクリエイト版をレビューしたいのですが、
 Amazonでは取り扱っていないようなので便宜的にここでレビューします。
 一般的な評価では、肝心要の豹人間がなぜ生まれたのか解明されていないし、
 内容もエロ・グロ・ナンセンスの極み、しかも、サディスティックな描写もあり、 
 ある一面、江戸川乱歩の趣味が充満したとも言えますが、探偵小説としてはいかがなものかというところではないでしょうか!!
 しかし、牛尾氏の絵物語になると、この評価ガラッと代わり、乱歩のエロ・グロ・ナンセンスと相乗作用をおこし、
 全く別の物語になってしまいます。
 一般的には入手しづらいかと思いますが、大手書店、マンガ専門店では取り扱っていると思います。
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
439430119X
No.7:
(3pt)

40回の連載物だけあって当時の扉絵や挿絵が入っているのも良いね

長編で面白かった。
40回の連載物だけあって当時の扉絵や挿絵が入っているのも良いね。
自註自解にもあったが、回によって面白さが違うのは連載物だから仕方がないのかな。
明智小五郎 VS 悪漢 だから悪漢は人間以上の能力が必要で最初から人間と豹の
融合人間として登場していて、どうやって人間豹になったのか説明がなくてちょっと残念。
文代さんが人間豹の好みの美女二人と似ているというのは出来過ぎ感が有ったが、
そうでないと明智小五郎が全力を出す所を描けないからかな?
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
439430119X
No.6:
(4pt)

文代さんが危ない!

中盤のトリックはこれでもか、と次々に繰り出されてきて楽しめます。豹人間が出てくること、親子の謎は説かずじまいで片手落ち。したがって結末はお粗末ですが、明智夫人が危ない目に合うところには思わず欲情してしまいそうです。どうぞお楽しみに。
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
439430119X
No.5:
(5pt)

超奇抜なスリラー

怖ろしいほどの奇抜さ。昭和の時代にこれほどまでの猟奇的な人物を描くとはすごい。なかなかのスリラー作品。お勧めの逸品です。
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
439430119X
No.4:
(1pt)

たためなかった大風呂敷

正直言って、明智小五郎が登場する作品の中でも最低の出来と言うほかはない。
お話は、半人半獣の怪人・恩田がその人間離れした身体能力と残忍さ、狡猾さでもって悪事の限りを尽くすと言うものだが、取ってつけたように登場した名探偵明智小五郎が妻の文代を拉致されるなど終始振り回されっぱなしで、最後は追い詰めた恩田にまんまと逃げられてしまい、何故恩田の様な半人半獣の怪物が生まれたのか謎が明らかにされる事もなかった。

おそらく、江戸川乱歩は深く先まで考えずに強烈な悪の主人公として恩田と言うキャラクターを考えたが、物語をどう収束させるかいい方法が見つからず、こんなうやむやな結末にしたのだろう。
たためない大風呂敷を無暗に広げるなと言わざるを得ない。
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
439430119X
No.3:
(5pt)

怪しさ抜群!雰囲気満点!

やはり明智小五郎が登場する話は面白い!怪しさ抜群!雰囲気満点!ハラハラドキドキの探偵小説です。人間豹と呼ばれ恐れられている怪人対名探偵の逆転また逆転の大活劇。文句なく楽しめます~!!
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
439430119X
No.2:
(5pt)

マル。

日本語表現が、時代がかっていて雰囲気満点。小学生用にアレンジされていた少年探偵団シリーズしか読んでいなかった方は是非。猟奇的な雰囲気はこたえられませんよ。
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
439430119X
No.1:
(4pt)

豹と人間の合いの子(?)が悪の限りを尽くす

まるで豹のような爪や目を持った怪人が悪事の限りを尽くすという、数ある乱歩作品の中でも、少年ものを別とすれば飛びきりの荒唐無稽さを誇るのが本作です。雑誌連載の際にはきちんとストーリーを詰めずに行き当たりばったりで書くのが乱歩のクセなのだそうですが、本作でも当初は神谷青年という主人公が人間豹に狙われるという話だったのに、後半に入って明智小五郎が登場してからは、明智vs人間豹という図式に完全に入れ替わって神谷青年の存在なんか忘れられちゃったような感じになっちゃったりもします。
人間豹がどうして神谷青年を狙っていたのかはわからないまま終わるし、小説としての完成度は最低なのですが、「読者をドキドキハラハラさせることにさえ成功すれば、筋立てが破綻しようと気にしない」という乱歩の開き直りに潔さを感じます。
尚、本作の登場人物の一人の“江川蘭子”という名前は、二階堂黎人作品の主人公“二階堂蘭子”の元ネタだと思われます。
人間豹 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:人間豹 (江戸川乱歩文庫)より
439430119X

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