闇に蠢く
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Amazonで購入したが、表紙が掲示されたものとは異なっていた。 古い本の割にはかび臭くなく、折れや破れも一切ない程度の良いものだったが、表紙違いはそのアドバンテージを吹き飛ばしてしまう。いつものように到着時にはスルーしてしまっており、今さら本屋に文句を言うのも時間切れなので、ここに書いて憂さを晴らす。 下に書いたように、本書に収録された二作品には13年の時差があり、共通する登場人物もいなけりゃ掲載雑誌も異なる。 両作品を合わせたのは、単に落穂拾いの頁数合わせか。 (1)暗黒星(『講談倶楽部』昭和14年1月号~12月号/152頁)★★ 150頁あるから長篇にカウントしてもよいだろう。 通俗明智小五郎長篇シリーズ第10作。 自分は光を発さず、陰に隠れて得体の知れない犯人を、明智が称して暗黒星と呼んだ。 いやはや……犯人からプロットからバレバレですやん。 探偵小説の被害者が記号だとわかっていても、周囲の人物の反応は違和感を覚えるほどにプアすぎるし。 『魔術師』でもそうだが、いくら血縁と怨念教育があったとしても、生まれた時から同じ屋根の下で暮らしている家族をあっさり殺せるものかね? もし乱歩作品を本書で初めて読んだという奇特な人がいれば、それなりに楽しめるかもしれないが、二番煎じ、三番煎じの出がらしネタで、これを以て、暗黒星だと豪語するとは、乱歩の肝は太すぎる。 いや、太くないのに無理をしていたからこそ、定期的に執筆から逃げることになったのだろう。 やんなるかな。 ただし本作を『講談倶楽部』に連載していた1939年の一年間は、1930年に続く多作の年である。 本作と同月に『富士』で連載が始まった『地獄の道化師』と、『少年倶楽部』での少年探偵団もの『大金塊』に加えて、『日の出』四月号からはジョルジュ・シムノン作品の翻案『幽鬼の塔』が始まっている。 次の1940年の連載が、少年向けの冒険もの『新宝島』一本になっているのは、一般的な見解としては時局の統制が進んで執筆し辛くなったからというものだが、いつもの厭世的なものもあったのでは……。 【注1】ふと逢禍と書いて思ったが、あうのが災いなら遭を使うべきではないのか? 逢魔が時から転じたのだろうか。魔なら逢うでもよいとは思うのだが。 (2)闇に蠢く(『苦楽』大正15年正月号~11月号/148頁)★★★ 乱歩が旅の船内で拾った原稿という態の、未だ『一寸法師』の連載も始まっていなかった大正15年の作品である。 『暗黒星』とは、執筆時期も含めてまったく共通点がない。 本篇と連載時期が重なる『湖畔亭事件』は、良かれ悪しかれ乱歩の趣味が前面に出た探偵小説だが、本作は人肉食を扱った異色作である。謎はあるものの、読後感としては同年の短篇、「踊る一寸法師」の方が近い。 なぜか未完の作品だと思っていたが、しっかり完結している。 内容故に紹介されることが少くて、耳に入ることがなかったからだろうか。後の『悪霊』と混同していたかも。【注2】 ただしグロテスクとは言え、直截的な描写はほぼないので、読み進めにくいといったことはない。 いつものように地下迷宮を彷徨ったりもするが、閉所恐怖症のわたしが読めるほどのあっさりテイストである。 【注2】軍人や戦争が絡まないので、同じくグロと評されながらも、「芋虫」のようには共産主義者から好まれなかったようだ。 | ||||
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前半「暗黒星」は1939年の中編。明智が登場するスタンダード(スタンダードすぎる)な乱歩作品で、どちらかというと子供の頃に”少年探偵シリーズ”を読んでいた人が楽しめる内容になっている。暗黒星とは「真っ黒の巨大な星が地球に接近したとき、実際に衝突するまで人間は気付かない」という意味で、そういう不気味なコンセプトのもとにストーリーが展開する。 後半「闇に蠢く」は1926年の中編。初期・乱歩の真骨頂が発揮された一品となっていて、とある山の中のホテルで起こる奇怪な事件を描く。プロットは粗く、英米のミステリーに慣れている人は低評価を下すかもしれないけれど、繊細で卓越した文章や、乱歩独特の、友達が隠している秘密のビデオを観てしまった時のような雰囲気はたまらないし、中編では乱歩のベストにこの作品を挙げる人もいる。特に冒頭の演出は必読。 | ||||
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「暗黒星」と「闇に蠢く」の2篇が収められている。 いずれも短めの長篇である。 「暗黒星」は、明智もの。どこかで見たような場面ばかりで、新鮮さの感じられない話であった。タイトルの付け方は面白い。 「闇の蠢く」も、出来の良い作品とは言いがたい。グロテスクな内容で、乱歩の極致のひとつではあるかも知れないが、気持ちの良い物語ではない。 ざっと読むべき一冊か。 | ||||
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