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湖畔亭事件
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湖畔亭事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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江戸川乱歩は自分でも本格ミステリが書けないことに悩んでいたようだが、中編ぐらいの本作『湖畔亭事件』は、わりと本格の味わいを持っている。あくまで「味わい」というのが微妙なところだが、でも面白かった。 読者は、それまで見ていた世界が最後にみずみずしく揺らぐような体験ができると思う。クリスティーの小説などに多い、だまし絵的な構造を持つミステリとでもいえばいいか。ちょっと無理がある気もするけれど、まあよく考えてある。 併録作品は、乱歩初めての新聞連載小説『一寸法師』。それだけにラストは、これでもかというくらい二転三転する張り切りようだが、相変わらず「いつの間にそんなことやってたんだ明智小五郎」というツッコミどころも多い。 | ||||
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著者の作品には、基本的に一種の気味の悪さがあります。 それは人が普段秘めているいわゆる「嗜好」の部分が 表面上に浮き上がるからこそそう感じてしまうのかもしれません。 表題作もその嗜好が出てきます。 主人公は他者の行動をのぞき穴で覗くという特殊嗜好を持っている人間です。 ですがそれがゆえに犯罪の一幕を見る羽目となるのです。 一見すると出てくる事実は単純に映りますが だんだんと思わぬ事情が出てきて、意外な事実にたどり着くことになります。 もう1作品は著者のスタイルが存分に発揮されています。 被害者にはとんでもない淫蕩な傾向があったとか その父親にはとんでもない秘密が隠されていたとか… まるで悪夢に巻き込まれたかのような、作品たちでした。 | ||||
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湖畔亭事件と一寸法師の長編2作品が書かれています。 湖畔亭事件は、引っ込み思案で人とのコミュニケーションが苦手なレンズマニアな主人公がそのレンズと段ボールの筒を組み合わせ、それを何個かを通して覗き見できる装置を発明しますが、暗くてとても見えないような気がしました。 そして湖畔亭という旅館に長期逗留中に自分の部屋と温泉の脱衣所とをその発明品を設置して覗き見ている時に一人の女性が刃物で刺されるところを目撃してしまいます。 たまたま、同じ旅館に宿泊していた画家の河野と意気投合し、一緒に事件を追いかけますが、あるはずの死体が見当りません。死体はどこへ行ったのか。 最後は、すべてを知る人物が事件のあらましを説明するという意外な結末でした。 一寸法師は、手足の短い障害者のことを指すようです。こいつが健常者を含め、社会全てに恨みを持っている人物です。 主人公の小林紋三がこの一寸法師に公園で遭遇するところから話が始まります。 そして、事件は小林紋三のよく知る実業家の山野大五郎の令嬢三千子が行方不明となり、そうこうしているところでバラバラとなった死体の手が見つかります。 最初は、令嬢の家出と思った山野の夫人百合枝が小林紋三の知人である探偵の明智小五郎に捜索をお願いしますが、登場する誰もがいろいろな人が令嬢を殺した犯人の可能性があります。 そこは、探偵の明智小五郎が最後に見事な推理で真犯人を見つけ捕まえることができます。 江戸川 乱歩さんは最後に自分自身でこの作品の評価を書いていて、この2作品は駄作であるとひどく落ち込んでいたという感想ですが、そこそこまとまっていたのでそこまで考え込まなくてもいいのではないかとは思いました。 | ||||
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警察が事件の犯人も被害者さえもはっきりしないというかなりの怪事件、そんな犯人なので何をしでかすかわからない、そんな中で事件の真相を知ってしまっているという時点でかなり怖いですね。そしてその変な趣味から見えた事件の真相もかなり怖かったです。 | ||||
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美貌の盗賊「黒蜥蜴」VS名探偵・明智小五郎!!! 江戸川乱歩 著 『黒蜥蜴』 ~霧名亜夜斗のこの小説が面白い!!!~ 《あらすじ》 社交界の花形にして暗黒街の女王、左の腕に黒蜥蜴の刺青をしているところから、その名も《黒蜥蜴》と呼ばれる美貌の女賊が、大阪の大富豪、岩瀬家の所蔵する日本一のダイヤモンド「エジプトの星」を狙って、大胆不敵な挑戦状を叩きつけてきた!!! 妖艶な女怪盗と名探偵・明智小五郎との頭脳戦は、いつしか立場の違いを超えた淡く切ない感情へと発展していく・・・・・・・・ 《解 説》 「…美しい女の左の腕に、一匹の真っ黒に見える蜥蜴(とかげ)が這っていた。 それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。 今にもそれが、肩から頸、頸から顎、そして彼女の真っ赤なヌメヌメとした唇までも、這い上がって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕に蠢いている。 真に迫った一匹の蜥蜴の入墨であった…」 (本文より) 『黒蜥蜴』(くろとかげ)というと、三島由紀夫・脚本、美輪明宏・主演の演劇があまりにも有名ですね。 本書はその原作であたります。 黒蜥蜴は、基本的には怪盗です。 同じく乱歩が生んだ怪人二十面相は、「血をみるのが嫌い」で、人を殺さないのですが、黒蜥蜴は平気で人に拳銃を向けます。 婦女子の誘拐もお手の物です。 彼女が集めるのは 、 「この世のありとあらゆる美しい物」です。 それにはダイヤモンドなどの宝飾品だけではなく、美少女・美少年までもが含まれているのす・・・・(以下、ネタバレの為、割愛) しかも彼女は変装の名人で神出鬼没。 どんな警戒厳重な場所にも潜入してきます。 この狡猾な盗賊を迎え撃つのが、我らが名探偵・明智小五郎。 バリッとスーツを着こなした、モダンな紳士探偵です。 果たして両者の頭脳合戦は如何に?? ちなみに黒蜥蜴は、時折、自分自身のことを「僕」と言います。いわゆる「ボクっ子」の原点なんでしょうか? 長編冒険探偵小説、いわゆる「怪盗対名探偵」物に興味がある方に、本作品を強く推薦いたします。 | ||||
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「湖畔亭事件」が、サンデー毎日に連載された大正15年リリースの作品で、「一寸法師」が昭和元年朝日新聞に掲載された、ともに連載モノだということが興味深い。このようなおどろおどろしい、はたまたいやらしくも気色いいものが一般紙に掲載されていた時期があったのだ。今だったら、偽善的なお偉方連中がうるさいんとちゃう?って勘繰らざるを得ない。 それほど、スケベ心満載の両作品、昔からのぞき趣味のお兄さん、猟奇殺人愛好者はいたんだな!って感じ。読んだ後の後味は必ずしも良くはない‥…だけど、面白いので、最後まで一気読みしてしまうんだな、そこが乱歩マジック! | ||||
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自分は推理小説のオチを考えずに読むのだが、この作品は中程から完全にオチが読めた。 それは作者が狙って解りやすくしてるのか、それとも作品の完成度が低かったのか。 それとも、私が天才なんだろうか。 | ||||
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乱歩ならではのエログロ趣味は殆どなく、どちらかというとオーソドックスな密室殺人ものに仕上がっている。覗き鏡ごしに殺人を偶然目撃するという設定がいかにも乱歩的で魅力的だ。後半の今までの設定が根本から覆る設定も見事だが、特にラストの数行、この読み方によりどうにも解釈が出来てしまう終幕が心憎い一編。 | ||||
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1993年に改版され、いまでは『黒蜥蜴 他一編』として出ている。 「黒蜥蜴」と「湖畔亭事件」の2編が収められている。 「黒蜥蜴」は言わずと知れた名作。冒険活劇であり、黒蜥蜴と明智小五郎の知恵比べにはうならされる。 「湖畔亭事件」はうってかわって、乱歩趣味が横溢する一編。レンズのマニアが語り手となり、歪んだ世界が写し出される。結末の落ち方も、いかにも乱歩らしい。 まったく違った印象の2編だが、合わせて読むと、改めて乱歩というものの奥の深さを感じさせられる。 | ||||
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『湖畔亭事件』と『一寸法師』を収録。いずれも乱歩が連載という形式にチャレンジするようになった初期の作品です。『湖畔亭事件』には明智小五郎は登場しません。覗きの趣味を持った主人公が殺人と思われる場面を目撃してしまうという、まるでアイリッシュの『裏窓』を思わせるようなストーリーです。主人公の覗き趣味には『屋根裏の散歩者』あたりを思い出させる乱歩ならではの異常心理への執着が見て取れますが、新聞連載である為かその点は比較的すっきりとした提示の仕方になっていて、さほど変態的な感じはしません。 『一寸法師』は明智小五郎が活躍する作品です。一寸法師という言葉には私はおとぎ話の主人公という印象しか持っていませんが、ここで出てくる一寸法師というのは、見せ物小屋などで活躍する異常に背の低い人のことです。当時はそういう人達を実際に一寸法師と呼んでいたようです。この作品にはそういう人達に対する差別的な感情が込められていることは否定できず、現代の感覚では問題作ということになりそうですが、二転三転するストーリーが魅力的です。 | ||||
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この作品は犯人の異常心理を十分に堪能させてくれるだけでなく、殺人事件の発生や経緯が実に面白く出来た作品です。まず、主人公は昔からレンズのカラクリによって自分の風呂場やまたは脱衣所などを覗くのが趣味になり、とうとうエスカレートして、静養しに来た旅館の脱衣所まで覗いてしまう。という話です。その文章描写は実に現世から天界に漂うような響きもっていて自分までも主人公と同じ悦の世界に入ってしまう。そんな作品です。乱歩自身はあまりこの作品を高く評価かしていませんが、読者からはかなり評判の良かった作品です。ちなみに事件の発生も偶然覗き見していた脱衣所で殺人事件が起こりその現場に駆けつけると何も起きてないという。実に自分の精神の不安定を疑わざるえない状況が主人公の変態嗜好によって肯定されてしまうという恐怖が描かれる内容です。ちなみにこの作品は乱歩特有のエログロの世界はなく、エロの世界しか描かれてないので、グロテスク嫌いの方にも読める作品になっています。また変格に近い本格作品というのも魅力の一つでしょう。グロテスクが嫌いで乱歩を読んだことのない人はぜひ読んで見てください。 | ||||
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