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花窗玻璃 シャガールの黙示
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花窗玻璃 シャガールの黙示の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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特にフランスのゴシック建築に興味がある人ならすごく面白いと思います。でもそこまで建築に興味がなくても上手に読ませてくれます。作者の芸術への知見の一端にすぎないと思いますが西洋絵画へのうんちくも勉強になりました。小説を読んだ酩酊感がちょっとしたキーとなる発想は感心しました。ページ数的にも読みやすく楽しめました | ||||
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『エコール・ド・パリ殺人事件』『トスカの接吻』に続く神泉寺瞬一郎シリーズの第3弾。 今回はフランス留学後間もない神泉が主人公となり、ランス大聖堂にまつわる殺人事件を解き明かしていく。 花窗玻璃はステンドグラスのこと。そのほか、本書の大部分を占める作中作では、いっさいのカタカナが使われないなど、特異な文学作品となっている(ルビにはある)。カタカナにどんな当て字がされているか、じっくり読むと楽しいだろう。 トリックはよくも悪くもなくといった印象。 不可能犯罪であり、怪奇味もあり、本格ミステリ好きにオススメ。 | ||||
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フランス語を漢字表記しているので、フランスの歴史や芸術について、理解しやすかった。また、言葉のよい勉強にもなりました。 | ||||
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力作であり、才筆である。ベアトリーチェ・チェンチの肖像の解釈など、該博な美術知識は、ガイド本なら高く評価される。しかし、探偵小説と見た場合、同じくフランスを舞台に日本人探偵が活躍する矢吹駆シリーズと比較すると、大きな落差を感じる。矢吹の衒学趣味には哲学があって、読者を思考させるが、本作の神泉寺の言葉は、ただ知識を供するだけである。漢字への拘りや伏線の多用など、趣きは、昭和初期の「新青年」に似る。筆者の多才は認めつつも、現代の推理小説の水準からすれば、趣味的な習作という印象を免れず、maisに続くのは、残念ながらrien(何ものでもなかった。)である。 | ||||
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芸術探偵シリーズ3作目。今回はカタカナを使わず全て漢字の当て字という明治の文体のパスティーシュ形式の劇中作がメインで事件が描写されていく。 最初この文体、読みにくいかなと思うが、実際に読み進めるとすぐ慣れてしまいます。この独特の文体ゆえでしょうか、読んでいると実際にフランスの片田舎にいるかのような錯覚に陥ります。作者の描写力の賜物と言えるでしょう。 今回のトリック自体は過去2作のトリックと発想が似ているためあまりインパクトはないが、中世の建築に関する蘊蓄は読みごたえがあり、また今回日本語に対しての問題意識が時折投げかけられる。深水氏の次作以降の言語に追及したミステリーの布石ともなっており、興味深い。 | ||||
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「絵画」「イタリアオペラ」に続いて、今度は「建築」がミステリの舞台となります。 ランスの大聖堂を訪れた18歳の瞬一郎が体験した事件を、PCで警部補の伯父に読ませる、という枠物語の体裁です。 この手記の固有名詞がいっさいカタカナを含まず(ルビとして付されていますが)、明治の翻案物のようにすべて漢字で表記されている意図について、最初はとまどいました。 瞬一郎自身は、ペダントリーめかして、こうした漢字表記のもつ豊かな含意性、文学の可能性などを述べているのですが、文章自体は若々しくすっきりしたエッセイふうのもので、折り目正しくはありますが、読みにくさとは無縁です。ではこの表記は何のためだったのか? おそらくはこのランスの大聖堂の時空を越えた存在感を読者に伝えるという役割がひとつあったことは確かだと思います。何百年もかけて、古怪な生物のようにゆっくりと立ち上がってゆくヨーロッパの教会。フランス語のルビつきの総漢字で描写される各部分からは塵と埃と古い石の匂いが漂ってきます。 またここで彼が出会う、大聖堂の研究者の老学者のつましい日々の生活の描写も、寮の学生たちの生活も、古めかしい街のたたずまいの中で行われていることが、ひとりでに納得されてきます。(そして最後には、事件自体に重いリアリティと意味を与えました) 大聖堂のひとつの塔から墜落死した男。その夜、「天使を見た」と言った浮浪者が半年後に謎の死。 瞬一郎の手記を追ってゆくこと自体が、若々しい紀行文学の文学的経験としてじっくり心に響きましたので、1度目の謎解きだけでもいいかと思うほどでしたが、最後の部分では作者らしく二重に炸裂するトリッキーな謎解きが。 それまでの部分であたかも背景描写のように語られていた聖堂の構造や、シャガールの「花窗玻璃」を契機とする美術談義、そしてある絵画に秘められた歴史的事実、それらが瞬一郎の身近だった人物と結びついて、現在から歴史の彼方へ、大きな光芒の橋がかけられたようです。 いつも思うのですが、この作者はいっさい無駄なことは書いていません。雰囲気を出すためだけの描写や、ある人物の性格を浮き立たせるためだけのエピソードはなく、必ず情報を的確に伝えており、ペダントリーと見える部分でさえ最後にすべて恐ろしいほどつじつまのあった一点に収束します。見事です。 二十世紀の美術や音楽への論議も、美学生の日常ふくめて、浮つくことなくヴィヴィッドに書かれています。 今回も読書の真正な楽しみを思い出させてくれる作品でした。 (ノートルダム大聖堂に感動した高村光太郎の詩を連想させられました。) | ||||
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芸術ミステリの第3弾となる本作品は、フランス・シャンパーニュ地方の世界遺産「ランス大聖堂」とその中に掲げられている「シャガール作のステンドグラス」を題材に描く。2009年刊行。 プロローグで描かれる、ランス大聖堂からの男性の転落死は、一種の不可能犯罪で、事件直後、塔上には人がいないことを、刑事が証言しているというもの。 一転して、次の章では、このシリーズお馴染みの「芸術探偵」神泉寺瞬一郎と、伯父の海埜警部補との軽妙な会話となり、俊一郎は、フランス滞在中に遭遇した事件のことを記した「小説」を海埜に読ませる。 その小説は、日本語の美しさを追求したものだと言うのだが…。 ここからが、作中作「花窗玻璃」で、それは明治の文豪よろしく、外来語をすべて漢字で表記しているというものだった…(ただし、カタカナでルビは振ってあるので、読めないことはない)。 さて、ミステリとしての本作品への評価ですが、著者はこれまでの作品からも「本格ミステリ」を志向していることは明らかで、本作品でも、「本格」と呼ぶに相応しい内容となっています。過去の数ある本格ミステリを踏まえて執筆しており、伏線の妙は十分に感じられるし、いわゆる「トリック」のアイデアも光っています。 ただ、読んだ直後、何だか今ひとつ物足りなさが…。この部分、ミステリ愛好家のブログを巡ってみると、同じような感想を持つ方もいらっしゃる。 でも−−ここからが、著者の本領発揮。 既読の読者向けのページを探索してみると、「作品内で探偵が明かした真相」以外に、「著者の企み」があることが、判明しました。 そのことが分かると、ラストで描写されるある登場人物の「叫び」の本当の意味が心に響いてきます。 説明しないで終わる部分に裏の意味を込める−−何とも、心憎い演出です。 (もっとも、「ロジック」とは離れた部分なので、ミステリの趣旨から外れる−−と著者は判断し、説明しなかったのかも) | ||||
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神泉寺瞬一郎がヨーロッパを放浪していた頃、フランスのランスで遭遇した事件。 瞬一郎はその事件の顛末を「花窗玻璃」と題した手記にまとめており、彼の 放浪時代のことを知りたい伯父の海埜警部補が、その手記を読むことになる (手記では、片仮名が全く使われておらず、漢字総ルビで統一されている)。 事件の舞台となるのはランス大聖堂。そこの南塔屋上から男が転落死した。 現場は密室状況であったため、警察は自殺と断定。しかしその半年後、大聖堂 で、浮浪者が原因不明の死を遂げた。二人の共通点は死の直前に、小礼拝堂 のシャガールの花窗玻璃(ステンドグラス)を見ていたことだというのだが……。 二つの事件両方ともに、なかなかユニークな物理トリックが用いられています。 それぞれのトリックには周到な伏線が張られ、その上、仕掛けた人物の属性 を反映しているのが秀逸です。 さらに、作中作という形式が導入されている本作では、そうした個々 の事件の解明だけでなく、メタレベルの謎解きも仕掛けられています。 瞬一郎が手記で特異な文体・表記を用いた理由については一応の説明がなされるのです が、それ自体が読者に対する目くらましとなり、作者の狙いを、巧妙に隠蔽しているのです。 副題の「シャガールの黙示」が含意する真相の構図は、実にエレガント。 | ||||
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この文体で本格ミステリを書き上げた作者の力量にまず感服する。さらにトリックの裏に隠された人間ドラマに感激する。衒学にみちた文章と、あっと驚く物理トリックを繋げる文章力が素晴らしい。この作品はこの表記があってこそ生きていると言えるだろう。伏線の張り方も申し分なく、真相が判明した時には深く頷くしかない。さらに副題の『シャガールの黙示』 ――そこに込められた意味に気付いたとき、もう一度驚きが待っている。 | ||||
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このシリーズ3冊全部読みました。しかし、設定も題材も豪華なのに、なぜか足りないゴージャス感。主人公はじめ登場人物が軽いせいかな?2時間ドラマのような安っぽさが残念です。いつか大化けしてくれると信じてます。 | ||||
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