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ブラザー・サン シスター・ムーン



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【この小説が収録されている参考書籍】
ブラザー・サン シスター・ムーン

ブラザー・サン シスター・ムーンの評価: 3.56/5点 レビュー 25件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.56pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(5pt)

恩田ワールド

再掲

恩田陸(1964- )さんの本は「夜のピクニック」以来である。
自分の母校にも伝統としてある夜の長距離歩行という行事を題材にしていて興味を覚えたのである。そして素晴らしい作品だと思った。
その後、恩田作品を読むこともなかったのだが、今回の作品のタイトルにやられてしまった。自分の最も感動を受けた映画3本のうちの1本が、このブラザー・サンシスタームーンであったからである。
まったくの個人的想像であるが、本作品は恩田さんの高校時代から大学時代、そして今につながる個人史なのだと思った。自分を含めた3人の登場人物に青春時代ともいう不思議な時代を語らせていく。よわよわそうでいて筋が通っているような、そして少し感傷的な時代を。やはり恩田さんの心象描写は上手だとおもう。ただ、本題名の映画のことはあまり出てこないのが残念ではある。そんなこともあって廉価盤のDVDがあることを知り、思わず買ってしまった。
ちなみに感動の3作品の残りは黒沢明監督「デルスウザーラ」と「ある愛の詩」である。
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No.13:
(4pt)

アタラシイ

アタラシイ。

こういった感じの作品もこれまでにもありましたが、それらの進化系。時間の流れとかは実は現世の中に幾つかの時間が複合して存在していてそれらが行き交い、それぞれの主人公から見える風景の色合いとかカタチとか、それこそ時間がとても心地好く感じた。

アタラシイ。この一言です。
俺は好きですね。
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No.12:
(4pt)

心象風景

同じ高校出身で同じ大学に進学した2人の男性と1人と女性の心象風景を綴った良作。
小説、ジャズ、映画と3つの表現方法と、3人がそれに触れたり接する時期が違っていて、もちろん考えていたり感じていることも違っている。それをぼんやりと眺めているだけで、自分自身の心象風景を眺めることになる……そんな作品。
事件が始まるわけでもなく、事件が終わるわけでもない、恩田陸さんらしい作品ですが、それだけに「好きやなぁ」という人が多いかも。
映像には向かないと思います。
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No.11:
(4pt)

分かれるために出会うということ

分かれるために出会うということ。
田舎から出てきた3人はそれぞれの視点でもって学生生活を送る。
そして、そこには恋愛もある。
思っていた構成とは違って、
3者3様の視点から、物語が描かれる。
メインのストーリーを描いていくというのではなく
3人の学生生活の背後に共有された記憶が描かれる。
あくまで間接的に、あいまいに。
結びついては、離れる現実と離れていても繋がっている記憶。
青春とは案外希薄な繋がりの中で必死にもがく若者たちの営みである。
その営みの合間に横たわっているのが青春小説なのである。
けして、明確なものが描かれているわけではない。
読んで、すっきりしたり号泣したりするわけではない。
はっきり言って、第1章は面白くなかった。
でも、「リアル」である。
かつて経験したものが、確かに描かれている。そんな小説である。
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No.10:
(4pt)

分かれるために出会うということ

分かれるために出会うということ。
田舎から出てきた3人はそれぞれの視点でもって学生生活を送る。
そして、そこには恋愛もある。

思っていた構成とは違って、
3者3様の視点から、物語が描かれる。
メインのストーリーを描いていくというのではなく
3人の学生生活の背後に共有された記憶が描かれる。
あくまで間接的に、あいまいに。

結びついては、離れる現実と離れていても繋がっている記憶。
青春とは案外希薄な繋がりの中で必死にもがく若者たちの営みである。
その営みの合間に横たわっているのが青春小説なのである。

けして、明確なものが描かれているわけではない。
読んで、すっきりしたり号泣したりするわけではない。
はっきり言って、第1章は面白くなかった。
でも、「リアル」である。
かつて経験したものが、確かに描かれている。そんな小説である。
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No.9:
(5pt)

「人間」ってどういうものなのかを感じる作品

恩田陸作品としては初めて読んだ作品なので、他の人とは異なったとらえ方をしているかもしれないです。
作品の構成としては、高校・大学の同窓生である3人の主人公がそれぞれ
1部〜3部の主役となっています。
面白いのは、それぞれの部ごとに、その「語り口」によって主人公のキャラクターが見事に表わされていることです。
また、一つの共通の思い出がそれぞれの視点から語られます。
第一部の「楡崎綾音」編は、一貫して一人称視点で描かれていて、
綾音が自分と周囲のことを、思うがままに語っていく形式で進みます。
そのくせ、自分にとって本当に大事な、ナイーブな部分についてはあまり触れず、
さも、「あれ、話さなかったっけ?」という風にとぼけたりするほどです。
(本当にそんな女の子と話しているような感覚になります。)
第二部の「戸崎衛」編は、一貫して三人称視点で描かれています。
衛は、音楽に熱中しながらもどこか冷めたところのある青年で、
周囲の状況を常に冷静に見ています。
個人的にこの作品のキモの一つとなっているのが、二部で衛の目から描写される綾音・一の人物像です。
それぞれの主観・客観の視点を重ね合わせることによって、
人物像がよりリアルに、多層的に感じられます。
第三部の「箱崎一」編は、一人称・三人称視点の混成で進みます。
それが、まさに一の人物像をそのまま表わしているようにも思えます。
一は、冷静で、基本的には自分の性格をよく分かっている人物として描かれますが、
自分でも把握できない部分もどこかに持っています。
それは、衛の視点を得て初めてリアルなものとして感じられます。
そして、最後作品のモチーフである蛇のシーンが描かれます。
ほかと比べると、ストーリー性が弱い作品なのかもしれません。
(自分は、作者の他の作品を知らないので気になりませんでしたが)
しかしそれでも、自分と他者の「関係性」というものについて、あるいは「出会いと別れ」について
何らかの手ごたえを与えてくれる
唯一無二の作品であると感じました。
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No.8:
(4pt)

それぞれの回想、それぞれの景色。

 「いつも魅力的で肌触りの心地よい風呂敷を見せてくれるが、畳み方が大雑把なのが玉に瑕」という評価の多い著者が、おそらくラストシーンから逆算して描いたのではと思わせる一冊。もしくは、あらかじめ畳み終えていた美しい風呂敷を見せてくれたのか。
 同じ高校を卒業し、学部こそ違うものの同じ大学へ進学し、そして別々に大人になった3人の男女が、それぞれの学生時代を回想する、もしくは描写される構成になっていて、大きなストーリーが展開するわけではない。けれども、一人一人の奥行きある人物造形が、不思議な味わいを残してくれる。
 3人が高校時代に出会った意味は何だったのか、それとも意味なんて思い出としての価値しか持たないのか。今のように気軽にレンタルできるDVDのない時代、名画座で見た映画「ブラザー・サン シスター・ムーン」に彼らが感じたものが三者三様に違ったように、この小説の捉え方にも読者それぞれの志向が反映されるだろう。
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No.7:
(4pt)

女子大生と女子学生。

第一部が★3つ。 第二部が★5つ。 第三部が★4つ。
平均すると、★4つです。
やっぱりプロだなあ、と思ったのが自叙伝的な第一部より、
創作であろう、第二部の方が圧倒的に面白く、
第二部だけを膨らませて書けば、ものすごいものになったのに。
ちょっと残念でした。
ただ、第一部の大学生時代のグダグダ感は共感でき、
やっぱり、そのグダグダ感を振り替えって、初めて、
新たな物語を紡げるようになるんだろうなあ、とは感じました。
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No.6:
(4pt)

恩田さんの青春

恩田陸(1964− )さんの本は「夜のピクニック」以来である。
自分の母校にも伝統としてある夜の長距離歩行という行事を題材にしていて興味を覚えたのである。そして素晴らしい作品だと思った。
その後、恩田作品を読むこともなかったのだが、今回の作品のタイトルにやられてしまった。自分の最も感動を受けた映画3本のうちの1本が、このブラザー・サンシスタームーンであったからである。
まったくの個人的想像であるが、本作品は恩田さんの高校時代から大学時代、そして今につながる個人史なのだと思った。自分を含めた3人の登場人物に青春時代ともいう不思議な時代を語らせていく。よわよわそうでいて筋が通っているような、そして少し感傷的な時代を。やはり恩田さんの心象描写は上手だとおもう。ただ、本題名の映画のことはあまり出てこないのが残念ではある。そんなこともあって廉価盤のDVDがあることを知り、思わず買ってしまった。
ちなみに感動の3作品の残りは黒沢明監督「デルスウザーラ」と「ある愛の詩」である。
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No.5:
(4pt)

あれ?大学生?

本の帯に「夜のピクニック」の文字を見つけ、胸をどきどきさせながらページをめくった。
・・・あれ?これは何の本?との疑問。これは大学生のお話です。
雑誌か何かに「大学時代はあまりいい思い出がない・・・」みたいなことを恩田さんが語っていました。
恩田さんは高校生を描かせると輝きを放つけれど、大学生はイマイチ好きじゃないようですね。
でも、やはりさすが恩田ワールドはいつ読んでもはまり込んでしまいます。
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No.4:
(5pt)

不思議な読後感。

ストーリーとよべるようなものははっきり言って無い。
大学の4年間。
それは第二章でこう表現される。
「大学生というのはあまり停車駅のない長距離列車にのっているようなものである。」
私は大学にはいって無いのであるが、
そのかわり工業高専というちょっと世間ずれした学校へ行っていた。
その感覚は良く分かる。
高校時代の課外授業の一環で偶然知り合い、
同じ大学に進んだ三人。
そして大学時代に
楡崎綾音が小説に
戸崎衛が音楽に
箱崎一が映画に
「気づく」話である。
「出会う」ではない。
そもそも三人ともそれぞれのジャンルに興味を持っていて、サークル活動をしているのである。
元に戻るが不思議な話しである。
一人ひとりの話がそれぞれ1章で全3章の構成なのだが、決して小説、音楽、映画を熱く語るのではなく、淡々と時間が過ぎた記憶を描くだけである。
しかも共通の思い出として描かれるのが
「泳ぐ蛇」と「名画座で見た映画」で
両方とも高校時代の話なのである。
読んでいて自らも学生時代を思い出したりするのであるが、それは決して「ノスタルジー」ではない。
おのれの語彙の貧弱さが恨めしい。
とにかく私にとっては「新感覚」だった。
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No.3:
(4pt)

You’d be so nice to come home to.

§1 「卒論は谷崎潤一郎だった。」
 §2 綾音の好きなアラン・シリトーの短編集、しおりの挟まっていた部分の一行:「二人とも、愛のために何もしなかった。だから、いけなかったんです。」
 §3 映画『陽のあたる場所』のエイリザベス・テーラーの科白:「私たちは、別れるために出会ったのね。」
 本のタイトルと同名の映画のワン・シーンにインスパイアーされ、上記の3つを絡めて、この中編をうまくまとめている。というか、私はエッセイ感覚で読めた。
 §1では、イギリス文学至上主義の友人が、アメリカSF好きの男の子を泣かせてしまう話。卒論の締切が迫り、夢に谷崎が出てくる話などユーモアたっぷり。
(今ネットで調べて、びっくり!恩田陸は、ゼミが谷崎で、卒論が永井荷風だったんですね。いずれは彼女が必ず書くであろう耽美小説が楽しみ)
 §2 芸大生のハスキーヴォイスという一行で、それ以降、この小説を読み終えるまで、Helen Merrill の歌う”You’d be so nice to come home to.”のメロディが頭から離れなかった。
 §3 「人間って、結局無償の愛を与えることでしか満足できないって説、それ、そのまま映画のことだもの。」という言葉は、おそらく映画から得たものだと思われるが、残念ながら、よく覚えていない。
 アメリカの友人から聞いたが、村上春樹がバークレーでの講演でこう語ったそうだ。
「いつもいつも『村上春樹』でいるのは疲れるんですよ。だから、創作に疲れると翻訳します。」
 恩田さんも、ミステリーに疲れたら、こんな軽いエッセイっぽい小説を書けばいいんです。また、紀行文でもいいですよ。アイルランドのエッセイ、小説のように面白かったから。
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No.2:
(4pt)

恩田陸テイストの不思議な香り

 楡崎綾音(にれざき あやね)、戸崎衛(とざき まもる)、箱崎一(はこざき はじめ)。現在は社会人として活躍している三人の時間を、まるでアルバムをめくるような具合に巻き戻し、三人三様の青春時代を三つのパートに分けて並べて見せる構成の小説。
 三人の思い出の心象風景が、話に出てくる三叉路(さんさろ)のように、そこではクロスして繋がっているんだけれど、そこからは別々の道に分かれて伸びているところ。三つの話それぞれに、ある共通の出来事、エピソードが登場し、おぼろにゆらめいている感じで話のピース(断片)としてはめ込まれ、全体の絵柄の一部になっているところ。三人の証言から再現された「青春の一コマ」の映像を見ている気がして、そのミステリアスな味わい、恩田陸テイストの不思議な香りが印象に残りました。
 あと、第一部「あいつと私」のなかで楡崎綾音が語る本の出会い、本の思い出に、著者の姿がダブりました。<スティーヴン・キングの『ファイアスターター』が面白くてやめられず>とか、<(バイトしていた飲み屋のお客が)忘れもしない、半村良の『妖星伝』六冊組を貸してくれた>てところ。恩田陸と山田正紀の対談本『読書会』(徳間書店)でそのとおりのことが語られているんですね。だからかな。「綾音って、この登場人物の記憶は著者のそれでもあるなあ」と、そんな重なりも面白かったです。
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No.1:
(4pt)

何かが始まる予感

高校から大学、社会人へ緩やかに流れる全3編の連作短編集。
かつて「文藝」に予告編と称して載せられた「糾える縄のごとく」の本編。
ちなみに「糾える縄のごとく」は本作には収録されていない。
帯には「夜のピクニックから4年。青春小説の新たなスタンダードナンバー」
とあるが、全く夜のピクニックと似て非なるもの、読者の混乱を招くため、
これは信用しない方がいい。
オシャレな装丁(さすが鈴木成一!)、肌触りの良い紙面、
サラリと読める内容と相まって、上質な大人の青春小説といった印象だった。
高校時代に出会った3人が、本、音楽、映画とそれぞれの道に進み、過去をふりかえる、
3人それぞれが主人公となり、全3章での構成となる。
ちなみに「ブラザー・サン シスター・ムーン 」は映画のタイトルだが、
各章も小説や映画のタイトルから取られている。
第2章のタイトルは知らなかったのだが、帯にある「BlanketJetCity」の楽曲とのこと。
帯にもあるそれぞれの胸に残る高校時代のあの夏の出来事、
そこから別々の道に進む3人、
過去を振り返る中で思い出される思い…
何かが始まる予感を残して終わった。
そんな印象の一冊だった。
「僕には物語なんてなかったな。(中略)どういう体験をすれば、物語があったってことになるんだろう。忘れ難い恋をするとか、友達が自殺するとか、バイト先で人生の真実を目撃するとか?」本文144ページより
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