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月の裏側
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月の裏側の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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どこか寂しさの残る作品です。 「盗まれた町」という作品のオマージュなんですが、さすがですね。日本的情緒というか、郷愁というか、共同体の人間心理とじりじりと迫り来るホラー感覚が素晴らしい。 なかでもいちばんすごい手法がチャプター12から13への移り変わりですね。恐怖で盛り上げて盛り上げておいて、安らぎの中へすとんと落とす。落として落として落としていく。安らぎの中に不安を覆いかくしたんですね。すごかった。 | ||||
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この小説からは、ピンク・フロイドの「狂気」がきこえてくる。まず心臓の音だ。無人の町からは、レジの音が急に流れてくるかもしれない。 静かな流れの恐ろしさもある。掘り割りに潜むものが、次第に大きくなり、ある日全体を支配してしまう。日常とは、みんなが同じ状態になれば、それが日常になるということなのだと思う。 | ||||
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作品の舞台となるのは、九州の水源都市「YANAKURA(架空)」 私は九州なんて一度も行った事がありませんが、読んでいる内に何故かとても懐かしい感覚に襲われました。 これはとても不思議で、今までにこんな作品には出会ったことがありません。 挿絵もないのに、その場その場の風景がとてもリアルに、鮮明に感じられる、恩田さんの描写力には感服します。 読んでいる間は、現実とは違った「YANAKURA」の中で生活している錯覚を覚えるほどでした。 事件の手がかりとなるアイテムにも個性があり、興味を惹かれます。 取材テープに混ざる異音、ちぎれた作り物の指、遺体を焼いた後に残る骨以外のもの...などなど。 本格的なミステリーと思うと肩透かしを喰らいます。 SFホラーくらいに思って読むと良いかもしれません。 ストーリーが次から次へと意外な方向へ展開していくので、飽きがきません。それどころか先が気になって仕方なくなります。 なので、分厚いですが一気に読めてしまいます。 ラストは賛否両論有ると思いますが、それは他の恩田陸作品にも言えること。恩田陸が好きな人には絶対お奨めです。 私は現実的で論理的な結末より、精神世界で締めくくられるような不安定なラストが大好きです。 恩田陸さん初心者の方は「MAZE」あたりから入るのがお奨めです。 「MAZE」もラストが賛否両論あるので、それで気に入ったら読むと良いかもしれません。 | ||||
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小さい頃、自分の見ている世界は、本当にみんなと同じだろうか、 そう思ったことが頻繁にありました。 自分が青だと思って青と言っている色は、 実は他の人の目には自分が赤と思っている色なのではないだろうか。 そんなふうに不安になったことが、何度もあって。 みんなと一緒は嫌、個性的でいたい。 そう思っているのに、でもなぜか時々、どうしようもなく不安を感じていて。 そのためか、この作品を読んで、 ひとつの共同体になることを、実はみんな望んでいるのではないか、と思ってしまいました。 みんなが一緒はコワイけど、 1人だけ違うほうがもっとコワイ。 | ||||
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九州のとある街で起こる事件を中心に、展開するお話。歴史と、文学が好きな作家のようです。中学生から大人まで読める楽しいお話です。映画化されたら見てみたいなと思います。 | ||||
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水郷の町で起きる奇妙な連続失踪事件。失踪した者たちは皆、しばらくすると帰ってくる。その間の記憶を無くしてはいるのだが、決して嫌な感じはしなかったと言って…。そして、調べて行くうちに彼らは「盗まれた」ようだと気づく。作中で面白かったのが、「人間は生物学上の都合から別々のものになりたがっている一方で、一つにもなりたがっている。」というくだり。「個性」という言葉が流行であるように、自分が他の人と別物であることを望みながらも一方で、少数派であることを極端に恐れる。本作の主人公たちの「盗まれる」ことによって「自分で無くなる」ことを恐れながら、一方で「盗まれる」ことで多数派になった者たちの安堵、心地よさも知っていて…。作品の形としては、ホラーというか、SFというかを用いて「恐怖」が前面にあるのだが、その中で、「個性」と「多数派」を同時に求める人間の面白さを感じた。なかなか不思議な味わいのある作品だと思う。 | ||||
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じっくりじっくり恐怖が押しよせてきて、いてもたってもいられなくなる恐怖・・・というものをこの本で味わいました。恐怖だけでなく、「自分とは、人間であることとは・・・」というように、「自分」についても考えさせられた作品です。SFとも言い切れず、ホラーともいいきれない、不思議な、でもすぐそばで起こっていそうなお話です。「人としての恐怖」がじわじわと迫ってくる数時間でした。登場人物にも感情移入できるし、終わりかたも、恩田陸にしては珍しく、「そう、それしかないよね、このお話のおしまいは・・」っていう感じでした。九州の柳川。もう、怖くていけないかも。 | ||||
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ホラー要素が強くて、現実的。だからこそ味わえてこの恐怖感。窓の外の雨の音や夜の暗闇が、いつもどおりのはずなのにこの本を読んだ後は別格とも言える、存在感を感じずにはいられない。最後まで読んでいくつかの謎が残る。でも、その余韻が恩田陸特有なものだとも言えるだろう。 | ||||
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怖いけど、いわゆるホラーって感じとはちょっと違う。う~ん・・・考えれば考えるほどぞわぞわっとくる、そんな本です。ちょっと気持ち悪い部分もありますが。普通の日常が舞台なだけに、有り得そうで怖いです。夜、川の近い場所で窓を開けて寝る前の読書に読んでください。絶対怖いです。笑 | ||||
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だんだん鬼の増えていく鬼ごっこってありますよね。あれ、つかまらないうちは、すごくハラハラします。物陰に隠れたりして、最後の一人になったりすると、死にそうなほどドキドキします。だけど、なんかのはずみで、早いうちにつかまっちゃって鬼になったりすると、味わいが全く違ってしまいます。 星新一のコントにもあったけど、吸血鬼だって、自分が仲間になってしまえば、どうということはないのかもしれません。 この小説の楽しみ方としては、最後まで、「ヤツラにだまされるな、ヤツラにつかまるな!」と念じて読むことです。そうすれば最後の最後までイヤな汗をかくくらい怖いです。 | ||||
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ゾクッとします。僕がこれを読んだのは台風で豪雨と風が窓を叩く真夜中でした。最悪なんだか最高なんだか、この本を読むシチュエーションとしてはおあつらえ向きです。ザアザアと降る音の中に何かが近づいてくる音がしないか?誰かがベッドの後ろにいないか?雨の、水の気配がしないか?誰かの吐息が――怖すぎです。「六番目の小夜子」然り「球形の季節」然り、「形容しがたい感情」を描かせたら恩田陸さんに敵う人はそうそういないのではないでしょうか。それを味わうためにでもこれは読むに値する作品だと思います。読むうちに皮膚がジットリと濡れてきて、背筋を汗が走るのがなんとも。しかし終わり方は上記の作品よりもまたはっきりしていません。ともすれば無責任とも取れるような終わり方です。初めて恩田陸作品を読む人にはおすすめできません。台風一過、といったような爽やかな読後感ではないですね。月の裏側は表と違ってのっぺりとしたお顔らしく。 | ||||
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とてもSFチックなミステリー。キングの「IT」と「トミーノッカーズ」を陸さんの「球形の季節」で割った感じ。月の裏側って地球からは見えないでしょ。そういう世界観的なストーリー。結局のところ、この小説で抱えられている謎の解明はされないままだけれど、その方が、「IT」のような終盤でため息をつくような終わり方にならないでよかったのかなと思います。九州の小さな街から何かが始まって、地球全体を揺るがすものがあるってじわっとした怖さを感じます。 | ||||
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9月北海道帰りのフェリーの甲板で、潮風に吹かれながら「月の裏側」を読む。10月。福岡の柳川でどんこ舟で川下りをしながら・・・彼らも実は人間もどきなのか・・・と街の人々を観察した・・・。その証拠に柳川の街の数件探した本屋には1冊も「月の裏側」は置いていなかった・・・。 | ||||
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ゆっくり味わって読んで下さい。この人が紡ぐ 美しくて静かな世界を。。。そこは静かな田舎の街。けれどもそこでは荒唐無稽!?な事が まるで当たり前の事のように何年も前から 起きていたのです。読み終えた後、『今、この”私”は本物??』と 不安になってしまうような、、何が『ホンと』で何が『違う』のか、自分の判断や価値観が揺らいでしまうような、、物語です。事実、私は、、しばらくぼぉっとしてしまいました。現実に戻るのに時間がかかってしまって。。。 | ||||
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この本をホラーと呼ぶのか、SFと呼ぶのか、あるいは心理小説と呼ぶのか、、、それはわかりません。しかし、いつもながら、この恩田陸という人が、言葉を縦横無尽に使って、人間の中に埋もれている、しかも、「名づける」ことのむずかしい漠然とした感覚を描くことのできる作家だということがこの本を読むとよくわかります。逆にいえば、ストーリーやプロットは完璧に仕上げられた外箱のようなもので、本当においしいのは中身のお菓子、つまり、彼女の言葉によって織り上げられる、私たち人間の心や体、特に、皮膚に近いところにある感覚をともに共感する楽しみなのです。私たちの記憶の中に、切れ切れに残っている小さな不安や、頼りなさ、孤独感、そんなものを、まるで、繊細な夏の和菓子のように透明に甘く可憐に手のひらに載せて見せてくれる、、、そんな作品です。先入観は禁物ですが、ただ、この本を読むとき季節だけはよく選んで。ベストなのは、梅雨時です。世界中が、湿気をたっぷり含んで、ぬれているようなときに読むと、、、ぞくぞくっとしますよ。残念ながら、私は夏に読みましたが、ちょうど、どんよりと湿気が高い一日を過ごし、夜半から激しい雨が降り始めた中で読みました。グッド!でしたよ。 | ||||
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もしも自分が昨日までの自分とは違う何かだったら。もしも大いなる意思が自分の行動を支配しているのだとしたら。もしも目に見えるものがまったくの虚像だとしたら。たとえば巨大な蜘蛛やグロテスクなエイリアンが襲ってくるよりも、心理的に追い詰められていくほうが恐怖感が大きい。その首筋が冷たくなる恐怖感を、作者は独特の透明な美しさで世界のほかの場所から切り離してしまっている。彼女が描くと、恐怖すら美しいもののように思えるから不思議。 | ||||
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