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六番目の小夜子
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六番目の小夜子の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.72pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全99件 1~20 1/5ページ
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綾辻行人の『Another』を読んだら、あとがきで本書に影響を受けたというようなことが書いてあって、興味を持った。ある高校に伝わる奇妙な○○…といった基本的な設定に、相通ずるものがあるらしい。 結論から言えば、両者は似て非なるものだった。先の○○に入るワードが『Another』は「呪い」や「まじない」であるのに対して、本書は「ゲーム」や「ジンクス」であり、味わいはまったく異なっていた。 本書は完全に青春小説である。帯には「青春ミステリ」とあったが、どちらかというとファンタジーっぽいと思う。ちょっと文学的なよくできた少女漫画風、と言ってもいい。吉田秋生あたりにハマりそうだ。 | ||||
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描き方が上手なのか、思わず不気味な情景が頭に浮かんでくる。設定もスピード感も好みでした。 | ||||
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ここから恩田さんの道が始まったのですか。 高校生の瑞々しい会話。それぞれの個性が際立っているのがすごい。 | ||||
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1992年ファンタジーノベル大賞最終候補作。ファンタジーとはいえ、この物語には超自然らしきものは登場しない。幾つかのエピソードにおいて、超自然的な性質を読み込もうと思えばそれも可能だが、しかし一方で、すべてを合理的に解釈することもできるような周到な書き方がなされている。従ってこの物語は、ファンタジーとしても、そうでないものとしても読めるのである。そして、ファンタジーではないものとして読むときにこそ、この物語の優秀さに気付く。 作中において黒川が的確な比喩を用いて示すように、教師の視点からすれば、毎年顔ぶれは変わっても、そこで起こる出来事はかつて起こった出来事と相似形であり、今年起こる出来事は去年起こった出来事の繰り返しである。しかし生徒の立場に立てば、出来事は一回性のものであって繰り返される性質のものではない。学校に留まる者と、学校を通り過ぎる者。その相違を意図的に操ることで生み出される怪しげな慣習。それは生徒の立場からは(繰り返しが見えない以上)突如として身近に出現した、ファンタジーとしか言いようのないものである。その不思議な出来事を巡る幾人かの生徒たちの共働と葛藤、疑惑と了解が好ましくも瑞々しい文体で描かれて行く。 | ||||
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読み終わってみれば、いろいろと突っ込みどころもあると思いますが、結構夢中になって読みました。特に前半戦の緊張感と怖さは、夜トイレに行くのが怖くなったレベルです。高校生たちが生き生きしているのも良かった。何よりもこの本は表紙とタイトルが秀逸ですね。もう一度、ゆっくり考察しながら読み返そうと思います。 | ||||
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最近再放送されたドラマを見て、久々に原作を再読しました。1992年第4回ファンタジーノベル大賞最終候補に残った作品です。あとがきで恩田さん本人が書いていらっしゃいますが「酷評されてあっさり落選」したということ。けれどこの大賞を受賞した作家で消えてしまった人の多いこと。また2017年から恩田さんが選考委員になっておられて、先のことはわからないものだなと思います。 もうほとんど30年前の作品ですが古い感じはまったくしません。一部忘れていましたが、以前と同じように引き込まれました。それはたぶん自分自身の高校時代のキラキラした思い出と重なって、あの頃の幸福感や切なさがよみがえるからでしょう。 ある高校で3年ごとに受け継がれているゲーム”サヨコ”。その年のサヨコが卒業する日に次のサヨコとなるべき者にメッセージと鍵が手渡されます。もしそれを受けるのなら、サヨコは4月の始業式の朝に自分の教室に赤い花をいけねばなりません。そして1年の間、自分がサヨコであることを絶対にまわりに悟られてはいけない。全校が薄々知っていながら誰もあえて口にしようとしない不思議なゲーム。これにはいったいどういう意味があるのか? お話は春、夏、秋、冬、そしてまた春と季節感豊かな章に区切られていて、読んでいると自然に、高3というその不安定な1年間を自分の経験を重ねながら追っていくことになります。 前半は高2の延長なんだけど、後半は受験が入ってきて集中しないといけない、けれどもう二度と戻らないこの時間がとても惜しい、先には輝かしい大学生活と未来が開けているかもしれない、でもそうじゃないかもしれない、その漠然とした不安感。そんな雰囲気が作品全体に満ちています。 以下、惹かれた文章をあげてみると、 「学校というのはなんて変なところなのだろう。同じ歳の男の子と女の子がこんなにたくさん集まって、あの狭く四角い部屋にずらりと机を並べているなんて。なんと特異で、なんと優遇された、そしてなんと閉じられた空間なのだろう」 「彼らはすでに社会の一部であるかのように見える。けれども高校生は中途半端な端境の位置にあって、自分たちの一番弱くてもろい部分だけで世界と戦っている特殊な生き物のような気がする。この3年間の時間と空間は奇妙に宙ぶらりんだ」 「あのあざとくてせこいルール探しみたいな受験勉強ってなんか嫌いじゃないよ。学歴社会とかみんなけなしたりしてるけど、いきなり明日からさ、じゃあ君の好きで得意なことやって君の個性を見せてくださいなんて言われたら困るよな。そんな、僕、点数で判断してもらわなきゃ困りますって言い出す奴がいっぱいいるんだろうな」 「必死になって勉強しているこの時期、もう来年の自分の運命は決まっているのだろうか。決まっているに違いないと苦し紛れに思う。もう決まっているのならば、あがいても焦っても仕方ないのではないか?(中略)しかもこれは完全に1人っきりの戦いであるということを、彼らはようやく理解するのだった。他人は蹴落とさねばならないし、頭がいいと言われてきた自分のちっぽけな自尊心を守らなければならない。今まで失敗することが少なかった彼らも、今度は失敗するかもしれないのだということをひしひしと感じるようになる」 「こうして4人で過ごせる最高の時間がほんの少ししかないことも彼は心のどこかで承知していた。たとえ4人が大学生になって再会したとしても、もう二度とこんな一体感、この4人がいるべき場所にいるという、世界の秩序の一部になったような満足感を味わうことはないだろう。」 特に秋の章の学園祭で、全校生徒で行うことになった「六番目の小夜子」の朗読劇はその迫力と不吉さが圧巻でした。 また、この作品は雅子と秋の目から描かれているので主人公は一応彼らだと思いますが、なんといっても転校生沙世子の魅力が圧倒的で、以下のような文章で表現されていました。 「ずば抜けて美しいということは権力を持つということだった。彼女が何もしなくとも、さまざまなモノが彼女の周りに集まってくるのだ。なぜ人は素晴らしいもの、美しいものに惹かれるのだろう。」 ドラマでは栗山千明さんが演じていましたが、まさにはまり役でした。 このデビュー作にはその後の恩田作品の要素が詰まっています。不穏さ、さわやかさ、みずみずしさ、謎めいた設定、そしていつも賛否両論になるオチの曖昧さも(苦笑)。後の作品でこれよりすぐれているものはたくさんありますが、自分にとってはインパクトの強烈さという意味ではこれを超えるものはいまだにありません。 今回読み直してみて、タイトルの”小夜子”と転校生の”沙世子”の字が違うことに今頃気がつきました(汗)。変えてあるのはどうしてなんでしょうね。 | ||||
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表層的なカテゴリーとしては「ホラー」とされているけれど、この作品の本質は「ジュブナイル」なのだろう。 すなわち、学校という「場」が持つ不可思議な力。子供と大人の端境期に置かれた「高校3年生」の心の不安定さ、脆さ、儚さ、そしてそれらに裏付けられた美しさ。そういったものを著者は描きたかったのではないかと思う。 伏線が回収しきれていなかったり、各登場人物の行動原理(目的)とその帰結の描写が曖昧だったりする箇所があり、それが発表当初の酷評に繋がったのかもしれないが、もうはるか昔に「青春」を置いてきてしまった一読者としては、少し胸が締め付けられるような、それでいてこの若者たちに幸あれと素直に祈ることできるような、爽やかな読後感を味わうことができた作品だった。 | ||||
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良く分からなくて面白かったです。 | ||||
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ドラマをアンコール放送していたので観て、なかなか面白いと思い、読みました。 で、レビュータイトルのように、驚いたわけで。 面白い小説です。恩田陸のデビュー作との事、粗削りな面はあるように思いますが、「高校」という、特殊な世界を、今その世界がほとんど全てである(ほかに道は無い)高校生がじたばたしながら歩いて行く様 が、とてもいい。 ドラマは、少年少女向けになってますね。 以下、思いっきりネタバレになります。 まず、主人公が異なる。というより、原作には出てこない人が、ドラマの主役。 原作で主役的な位置にいる一人の女子高生は、割とやな奴で、ドラマに登場。 原作は、数人の登場人物の目線で語られる。その、数人の人間関係が全く異なっているのがドラマ。 性格も、属性も違う。 核となる沙代子が、何より違う。これでは、キャリーじゃないか(ドラマ)。 美しく頭も良い転校生への意図しない「偏見」が生む様々な「想像」。 そこが凄く面白かったのに(原作)、中途半端なファンタジーになってしまったドラマ。 思うに、このドラマの書き手は何をしたかったんだろう?原作を面白いと思わなかったのか。 よくある事だけど、原作のここ、このセリフが堪らん、と思っている部分が無残に変えられる。 そういう時、思う。 この脚本の書き手は、この部分に何を感じたんだろう?って。 | ||||
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小説は何度も読み返すと面白い、1年後5年後10年後。全く違う視点で見えてきます。 反対に「あの時読んでいたら自分はどう感じただろう」と思うことがあります。それが、この「六番目の小夜子」高校時代、特にこの高校3年生の1年間は人生で一番輝く時と言ってもいいと思います。それが描かれた本作。もし自分が高校3年生の時にこの本に出会っていたらどう感じてどういう高校生活を送ったのかすごく興味の湧く一冊です。 もし、現役高校の方がこの文章を読んでいたら「六番目の小夜子」を今読むことをおすすめします。 私は「蜜蜂と遠雷」、「夜のピクニック」、そして今回の「六番目の小夜子」を読みました。それぞれ若者の群像劇で10代後半から20代前半の熱くて切ない一瞬が切り取られていますが、本作も10代の頃の自分を思い出す、高校時代に戻りたくなる一冊でした。あの頃、無駄に過ごしてしまった時間を、もう一度やり直して輝いた青春の追体験ができます。是非大人にも読んでほしい一冊です。 オススメの方 1.現役高校の方。 2.青春をもう一度思い出したい方。 3.高校時代青春できなかった方。 | ||||
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恥ずかしながら、つい最近まで作家の存在すら知らなかったのですが人から勧められたので読んでみました。 最初の方は??という感じでしたが、どんどん惹き込まれ、気付いたら一瞬で読破してしまいました。 四季で章が分かれているのもあって、読みやすさの面でもかなりオススメです。 内容も凄く面白かったです。 一度しかない高校生活を送る登場人物達の青春模様が鮮やかに描かれているのに、物語の軸である『サヨコ』の持つほの暗い、漠然とした怖さが滲み出ていて読む手が止まりません。 秋の章のあの緊張感は必読の価値ありです!! 読み終わってすぐこの感想を書いているので、どこを自分が面白いと思ったのかなどをじっくり反芻していきたいと思います。 この本に出会えて良かったです。 | ||||
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TV番組を見て、原作が気になり購入しました。 ホラーやミステリーの不気味さと恐ろしさはあるものの、学園者、青春モノの爽やかというか青臭さも程よく混じっており気持ちよく読めます。 | ||||
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当方54のおっさんだが、年甲斐もなく小夜子に恋した。小夜子のことを考えると胸がキュンとなる。恩田陸の筆力恐るべし。 | ||||
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これがデビュー作って信じられない。面白かった! | ||||
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こういった小説を読みますと、「ああ、青春だな」とついつい思ちゃいます。 事件が起きても、教室や部室、仲間とワイワイしているのを読むと、懐かしさが込み上げてきます。 学校だからいいんですよね。小説に書かれてあるような騒動が、会社で起きたら嫌ですもん。 | ||||
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謎の美少女をめぐるホラー風味の小説 青春の不安とみずみずしさを描き切った傑作 | ||||
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ドラマが面白くて、この本を買いました。 数回読み返ししているが、毎回、面白い。 山田孝之、鈴木杏、栗山千明、松本まりか・・・メインキャストを想像しながら読むとさらに面白い。 特に、栗山千明はハマり役。 | ||||
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とある海沿いにある地方都市の城跡にある県立高校(多くの県において、明治期に城趾やそれに 準ずる場所の一部に設けられた学校は得てして県下トップ校である)には、三年おきに 『サヨコ』役の人物が選ばれ、選ばれた人物は他の生徒に正体が分からぬよう教室に赤い花を 生け、文化祭の劇で『サヨコ』を演じ、次代の『サヨコ』を指名する(ただし次のサヨコは 次々代への申し送りのみを行い、三年後のサヨコが行動を起こす)ことでなぜかその年の 合格者数の増減に影響を及ぼすという奇妙な伝統が存在していた。 当初はあまり興味を持たなかったものの、喘息によって『六番目の小夜子』をリタイヤした 加藤から赤い花を生ける花瓶が収納された鍵を受け取った関根秋は、神戸から転入してきた 『サヨコ』と同じ名前を持つ少女・津村沙世子との邂逅や、『二番目の小夜子』だったが 交通事故死した津村沙世子と同姓同名の少女の存在、9月に飾り付けられた赤い花は誰が 生けたのか、文化祭の劇で小夜子役を演じたのは誰なのか、担任の黒川はこの件にどのような 関わり方をしているのか、そして津村沙世子は一体何者なのか――という謎の提示と解決が 絶妙なバランスで配置されており、群像劇としても、そして日常の謎としても成立した ストーリーとなっているが、少し残念なのは、不良たちに噛み付き、半殺しにした野犬と 燃えさかる部室棟に現れた女は一体何だったのかそしてなぜ担任の黒川は神戸の名門校に 通い、父の都合とはいえ転校する気が無かった津村沙世子と彼女の父親の転勤を知ったのか そして津村沙世子とはそもそも何者だったのかという積み残した謎が残っているということだ。 もっとも『敢えて残しておいたのでその部分に関しては読者が好きに考えてくれ』という 作者のメッセージなのであればそれはそれで仕方のない話ではあるが。 | ||||
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恩田陸さんを読んだ二冊目の本。デビュー作とのことであるが、学園モノの設定が凝っており、文字通り臨場感に溢れている。恩田陸さんの世界に入るにはうってつけの一冊。 | ||||
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詰将棋的表現では「逆算」でなく「正算」で書かれた作品と思った。要するに結末をまず想定し、それに向かってキチンとまとまるように書く「逆算」でなく、舞台設定を用意して登場人物が自在に動くような創作法である。例えば本格ミステリは「逆算」創作が適しており、読んでいる時には見当も付かなかったさまざまな伏線が回収されて真相が浮かび上がった時、読者は大きな満足感を得る事が出来るだろう。本作をそのように読むと、伏線と思った謎が謎のまま残り消化不良と感じさせると思う。私が「逆算」でないと思ったのはそのためだ。 恐らく「正算」で書かれたと思われる本作は、魅力的な舞台設定の中で登場人物が生き生きと動いている。その結果、本格ミステリなら看過出来ないような謎がそのまま残ってしまっているが、それでいいのである。 恐らくスッキリ綺麗なまとめを求める人には向かない作品と思うが、何だかモヤモヤ感が残る結末も決して悪くないと個人的には思う。リアルな高校時代なんて、そんなものだから。 | ||||
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