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少年たちの密室 (フラグメント)
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少年たちの密室 (フラグメント)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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不快。別に悪い意味ではないが、読了後に心を満たしたのはそれだった。 主人公は高校生で、それ故の幼さがあるのだろうが、とにかく視野が狭く周りが見えていない。自分の感情にしたがって行動し、要らぬ火を投げ込んで事態が悪化しても、それに気づかず責任転嫁する。しかも彼の視点で描かれる物語において、彼は終始善人のままである。読んでいると苛々して、何度も本を閉じてしまい、中盤までは一向に読み進めることができなかった。 しかし、事故とも殺人ともつかない事件の真相が暴かれる終盤は、どんでん返しに次ぐどんでん返し。ぐいぐいと読み進めることができた。 主人公、不良、教師…登場人物の多くに苛々した結果、読了後には不快感が濃く残ってしまった。ミステリとしての筋は良いので好みの問題ではあるのだが。 | ||||
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石廊崎で高校生・宮下が遺体で発見される。同級生の相良優は、城戸率いる不良グループが宮下を自殺に追い込んだに違いないと見ている。優は担任教師の車で城戸を含めた同級生5人と葬儀に向かうが、その途上で大地震が発生。一行は地下駐車場に閉じ込められてしまう。密室と化した暗闇の中で、やがて最初の死体が見つかり…。 私は、高校生たちを主人公にしたこの物語の意外と確かな人物描写を強い興味を持って読み進めました。同級生の死に不審を抱き、なんとか城戸たちの尻尾をつかまえようと激昂する優。彼の焦りは少年らしい青さを持っていて、そこがまたこの物語を現実味のあるものにしています。 引率教諭・塩澤の描き方も無理がありません。不良グループの城戸と小谷、そして二人に不信の目を向ける優たち、この対立軸を極限状況の中で担任として何とか解きほぐそうと努める塩澤の姿が丹念に描かれます。証拠もないまま人に疑念をぶつけてはならないと諭す彼の言葉に、優ならずとも、「あの駐車場でのことを通して、先生が――失礼だけど――それほどバカじゃないんだなって分かりました(306頁)」という思いを抱くようになります。 しかしこの物語は、密室ミステリーの謎解きが終わった後も読者をおいそれとは解放してくれません。駐車場での殺人事件の真相だけでもやりきれなさが残るというのに、さらにその先に読者をもうひとつ別の真相が待ち構えているのです。 この物語を読み終えた時、日本の中学・高校という学び舎には、再生不能な状態が広がっていて、さらにこの先もその状態に劇的な変化が訪れることは残念ながらないのだろうという、実に暗澹たる思いにとらわれることになります。 真相を知った後に感じる救いのなさが、とても心に痛い物語です。 | ||||
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