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なまづま
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なまづまの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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そのこなれていない文章に最初は違和感も持ったが、これが粘着質のあるドロドロ世界に実にマッチしていた。 読みながら幾度となく吐き気がこみ上げてきた。 妻の描写が少し男性的目線過ぎるのではないかというきらいもあった。だが、途中から妻の違う一面も現れ始め、それが最後のひねりのきいた展開に繋がっていたので、唸った。 まだ24歳ということで、将来楽しみな作家だ。 | ||||
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怖さは何も無かったです。 ただ、大きな痰のようなぬめりを飲み込むほどにヌメリヒトモドキを愛する主人公に気持ち悪さを感じ、 想像すると食欲が落ちました。 ほかの方が仰っておられます様に確かに読みやすい文章ではなかったのですが、 このねちっこい文章に、主人公の優柔不断さ、 ありのままの妻でなく自分の都合の良い感情のままの妻を愛し続ける執着心の強さが増された気がします。 こちらのレビューにて「最後の一文が秀逸」という、 この最後がどうしても読みたくなり読んだのですが、本当でした。 こうきたか、と思いました。 | ||||
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圧倒された。この一言が読み終わった直後の印象である。 読みにくくて意味が取りにくいと感じた箇所が数箇所あったが、逆に洗練された文章だったらこのなんともいえない世界観は描けなかったのではないかとも思う。 純粋な愛に触れたときに主人公がかわっていくさまがとてもよく描かれていた。ひとは変わる。誰かの心を傷つけても自分を偽ることができなくなったら突き進むしかない。それがたとえ、破滅に向かっていくとしても。そんな主人公の変化が見事に書かれていた作品だと感じた。 ヌメリヒトモドキが意味するもの。それは人間の黒い欲望。それと対比された主人公の追い求める亡き妻の変身前の純粋さが作品をより面白くしていると思う。 ホラー作品としては怖くはない。残虐ではないし、ミステリーでもない。 不思議な感覚の作品。とても面白かった。 次の作品にとても期待している。 | ||||
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徐々に人間の姿に変化するヌメリヒトモドキという生物を使って死んだ妻を復活させるという、 倒錯的恋愛観と欝展開はホラー小説の王道設定の中にも洗練されたセンシビリティを感じさせる。 主人公のセリフが無く会話文の少なさから読み辛くもあるが、かえってそれが不気味で独特の世界観を作り上げている。 大賞は逃したが、過去の大賞作品にも全く劣らない傑作。 | ||||
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悪臭を放ち、粘液をぼたぼた落としながら這うように歩き、人々にモドキタタキで追い払われながらもぬぼっと存在しているヌメリヒトモドキ。その生態を研究している主人公はヌメリヒトモドキを一匹捕まえ浴室に監禁し、亡くした妻に似せていき、妻をヌメリヒトモドキの中に蘇らせようと奮闘する。発想の新鮮さはあまり感じないが、インパクトは充分。 それよりも、決して上手いとは思えない粘着質の文書が徹底されていて、そちらの方に凄みを感じた。主人公が人を見る目は自分にも他人にも厳しく、しかも非常に複雑に自分も他人も分析し苦悩する。その心情をとても丹念に書き上げてある。非常に読みにくいけど、そこがいい。文章はキャリアさへ積めば上手くなるのだから。その時に読み易いだけで中身が無い文章になるより遥かにいい。ただし、主人公の終盤の心情の変化の部分だけは逆に舌っ足らずで、ラストの展開に違和感を感じた。 最後のオチは王道という感じで(違和感があるにせよ)充分良いんじゃないかと思う。帯の表現には外れが多いが、「胸を撃ち抜く衝撃のラスト」という表現もありかなと思う。 なににせよ若いし、将来性充分な新人作家だと思う。大いに期待。 | ||||
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物語は、妻を亡くした主人公が、ヌメリヒトモドキという激臭を放ち全身粘膜に覆われている生物ーしかし、この生物は、人間の記憶、感情、外観等を習得する能力がありーを利用して、現在も思慕している亡き妻を蘇らせる作業に夢中になります。彼に好意を寄せるカンナミ研究員、同じく同情と好意を寄せる山崎を振り切り、妻の再生に全力を尽くします。そして、ついに寸分違わず妻が再生しますが・・・ 死者の再生、人間の創造は、イザナミ、フランケンシュタインの例を挙げるまでもなく、文学では昔から広く取上げられています。本作は、ホラー小説大賞の長編賞を受賞していますが、ホラー色は、そんなに強くありません。 私は、この小説を読んで、D・クローネンバーグのブルードを思い浮かべました。この作品は、監督の妻に対する強烈な嫌悪感により創られていると思いますが、臓器感覚をえぐるような不快感、妻へのアンビバレンツな感情、堀井さんもそんな体験があったのかな?しかし、略歴を読むと23歳と若いし・・・ 昔から、死者の再生、人間の創造はろくな結果に終わりません。本作は、どうなのでしょうか? ただ、本作では、、最後にどんでん返しがあり、それが、従来の作品とは違っていて、新しい面を出しているのかなと思います。次回作に期待します!! | ||||
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ヌメリヒトモドキ。この生命体へのネーミングだけで、作者の気持ち悪さへのセンスが窺われる。ある生命体が人に進化していく、という設定自体は目新しくないが、その描き方のドロドロさ、ヌメヌメ感が迫力にあふれている。 偏愛した妻に似た生物に進化していくヌメリヒトモドキ。それへの愛を描くことで、「人は人の何を愛するのか」への問いを追い求めている。これはラブロマンスだ。 文章は荒っぽく、リズムのあるようなないような繰り返しなど、まだ小説表現として練れていない感じはあるが、十分、面白く読めた。これで新人だ。ホラー好きならおススメの一品。次回作にも期待。 | ||||
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表紙には血痕がありますが、直接的な暴力や流血はほとんど描かれていません。せいぜい鼻血程度です。 性描写もあるのですが、直接的な言葉でなく「布きれ一枚はさむ余地なく私たちの距離はゼロだった」という調子で表現されています。 怖い話や暴力が苦手な人でも読める内容でした。 夜中にトイレに行けなくて震える類ではなくて、人間の心理の恐ろしさにゾッとする類です。 主人公の妻への想いが、とてもロマンチックな表現で描かれていて私は好きです。 選考委員の選評では「愛の深さのドロドロさ加減が物足りない」という事が書かれていましたが、私には十分描かれているように感じます。 選評といえば、読みにくいという指摘もありました。 「それ」という指示語多いかもしれません。でも、私は気になりませんでしたよ。 不思議と、読んでいるうちにヌメリヒトモドキの妻の愛らしさに私も愛着を持っていきました。 主人公がだんだん狂気に侵されていく姿は見事です。 ホラーだけれども、とてつもなく切ないラブストーリーでした。 最後の一文が秀逸です。 さすが「若き鬼才」ですね。 次の作品も楽しみです。 | ||||
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