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すべての罪は血を流す
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すべての罪は血を流すの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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期待に応えるものです | ||||
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「すべての罪は血を流す」は、ぐいぐいと作品の中に引き込まれる作品だ。背景となる地は、Strange Fruitという歴史を持つ地であり、白人至上主義が蔓延る、バージニア州のチョロン郡(チョロン・カウンティ)。FBI捜査官であったタイタス・クラウンは、父親の介護を名目に帰郷する。郡保安官に立候補して当選、郡内の初めての黒人保安官として、治安を担うという設定だ。保安官補は引き継ぎ人事で、優秀なスタッフもいるが、「ガサ入れ」をリークして私腹を肥やす者、人種差別を露骨に示す面従腹背の者などの玉石混淆だ。 チョロン郡は重大事件もなく長閑な日々であったが、郡保安官就任後の1周目の日に事件は発生する。高校の敷地内で、尊敬を集めていた白人の地理教師が銃撃射殺され、武装した犯人(地元民)を保安官補が銃で射殺する。これは指揮官のタイタスの発砲許可なしだ。以降の展開はdéjà-vuを感じるが、筋運びが巧みで、ゴツゴツした骨太の描写によりリアリティを感じる建て付けで、ぐいぐいと読み進んでしまった。同じ材料を使っても、一流の料理人の仕上げには感服する。それと、翻訳文の会話体の「女性言葉」の日本語訳の使い分けはとても自然で秀逸に感じた。もちろん、男性の会話体も。 原題の「All Sinners Bleed」は、普通に翻訳すれば、「すべての罪人は血を流す」で、「すべての罪は血を流す」ではない。小説の中段で、自宅のポーチで、タイタスは弟と一緒に、父親が隠匿していた密造酒を煽っていた時に、フラッシュ・バックに襲われる。FBI捜査官時代に遭遇した記憶が蘇るのだ。タイタスは、自らも罪人であることを問わず語り(とわず-がたり)に話す。そうそう、本作品のP.237で、タイタスが聞き込み捜査に行った先で、牧師が語った「だが、罪人だけが血を流すのだ、保安官」との会話に埋め込まれたピース(piece)もあり、この原題と邦題での、「罪人」と「罪」の語句の違いについて拘ってしまった。出版側の仕掛ける謎解きと思惑を感じながら。 米国の「goodreads」の「All the Sinners Bleed」の書評欄で、Roxane Gay女史(作家)の記述が参考になりそうだ。「An excellent, gritty novel about how eventually, all sins must be reckoned with, one way or another(2023/02/13)」。訳すと、「最終的に、すべての罪は何らかの形で、報いを受けなければならないことを描いた、優れた骨太の小説」としている。「sinners」でも、「sins」であっても、「誰もその罪から逃れることはできない」という捉え方のようだ。英語圏のクリスチャンの発想だろか。 日本の大半の読者は「罪」とは「道徳・法律などの社会規範に反する行為」で、「罪人」とは、「不法行為や法律上の罪を犯してしまった人」と辨別(べんべつ)する。我が国には「因果応報」という仏教の教えがある。前段と共通する概念だ。でも、まぁ、あれです。書店の店頭に平積みされる書籍となると、「すべての罪は血を流す」のタイトルは映えるだろう。 | ||||
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アメリカ南部の人種差別問題。今でも差別意識が残っており、白人至上主義が勢力を伸ばしている現実にハッとする。残念ながら自分達の周りでも同様なことが・・・。 | ||||
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読みやすい文章、イメージできる光景、テンポの良いストーリーは評価できるけど、 主人公はともかく、端役に近い人名は憶えられず、 唐突に名前だけで登場するので 「こいつはどういう人だっけ?」と誰が誰だか大混乱… キンドル冒頭の人名リストを見ても、よく分からないw この点が大御所のマイケル・コナリーやジェフリー・ディーヴァーとの違いやろなぁ。。。 | ||||
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大満足の読み応え。 これからも、発売即買いを続けます。 面白い小説にそうそう出会えないなか、 本当に同時代にいてくれて有り難い作家さんです! | ||||
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根底にあるのは恐ろしいほどの黒人差別。レイシストたちが日本では考えられにほどあからさまにに差別を言葉や態度にあらわしていく。郡の保安官は選挙で決まったのに黒人である、ということだけで敵意をむき出しにする。 そんななかで突然、高校で乱射事件が発生する。誰からも慕われる教師を射殺したのは麻薬で錯乱状態にあった青年だが彼も警官に射殺される。教師の遺品となった携帯電話にはおぞましい写真が残されており、過去に封じられた大事件が発覚する。ふたりのほかに第3の男も関与しており、ここからはノンストップの捜査が始まる。他人のいいなりにはならない主人公の鋼の意思をご堪能あれ。 「日曜朝の教会のほかに完璧な人種隔離があるのは葬儀場だけだ。」「告白の代償はつねに血で払うことになっている。」「この残酷な場所からは逃れられない。」「謙虚さとは、自分を軽んじることではない。自分のまわりを重んじることだ。」「酒に真実あり。」など箴言,金言も満載。 | ||||
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著者の作品は三作品とも面白い。 一年毎に作品が出版される。 来年も待ち遠しい。 | ||||
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一気読みしました | ||||
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前2作は犯罪者側からの咆哮。 3作目は犯罪者を追い詰めてゆく側からの獅子吼だ。 コスビーは、裏を返して馴染みになってくれた。 読者と切り結ぼうという作者の覚悟と凄みはこれまで以上に濃厚だ。 「では、あなたはどうなのだ」 という物語を通した問いの切っ先が読み手に突きつけられているようではないか。 突然発生した凄惨な殺人事件が、 これまで知られていなかった酸鼻な連続殺人事件を掘り起こす。 南北戦争以前を古きよき時代と考える頑迷固陋な人々が暮らす 現代のアメリカ南部の田舎町で、 元FBI捜査官で地元の保安官に転職した黒人男性が対峙してゆく。 登場人物は住民たちをはじめ膨大であり、 それぞれの人々、酒場や学校、 保安官事務所や多くの教会などにまつわるエピソードが じわじわと積み重ねられながら物語は進行する。 確かに一義的には主人公は保安官だが、読み終えてみれば、実は町そのもの、 つまり、南部の地方都市というアメリカの断面が 最も存在感ある登場人物だったことに気づく。 ある意味、それは絶望と諦念なのだが、ラストで読者は希望に導かれる。 ところで、一定数の時代錯誤の人々が存在するのは米国に限ったことではなく、 たいてい碌なことにならない。 | ||||
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人種差別を扱っているがポリコレだなんて思わず読んで欲しい。 | ||||
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主人公タイタスは、アメリカ南部の小さな町の保安官。10年以上FBI捜査官として輝かしいキャリアを築いていたが、ある事件をきっかけに退官し帰郷した。その町で初めての黒人保安官として当選し、1年経ったところである。 ――タイタスは保安官への立候補を表明した瞬間に、彼を信じる人たちと、その肌の色ゆえに彼を憎む人たち、彼がみずからの人種を裏切ったと考える人たちに囲まれた中立地帯で生きる選択をしたのだ。(P59)――とあるように、古い慣習や人種差別が根強く残る町での黒人保安官の労苦が随所に描かれている。 そんなある日、軽犯罪しか起こったことのない町で勃発したハイスクール銃乱射殺人事件。 犯人はその場で射殺されたが、遺された言葉から被害者の携帯電話を見ると、そこには衝撃の画像が。 タイタスたちが捜査を進めていくと、さらなる残虐な大事件が潜んでいたことが明らかになっていく――。 次が気になってページをめくる手が止まらない。 事件以外にもタイタスの人間性、捜査能力に魅せられ、加えて彼の家族、新旧の恋人、師・母親・祖父からの教え、聖書の格言等、内容は多岐にわたっている。 人種差別に関しては、タイタスのことだけに留まらない。現実的なテーマだと実感できる。 終盤は怒涛の展開だ。 同著者の前二作とは全く異なるイメージの内容で、改めて多才な作家だと感心した。 人種差別に関しては、同じ有色人種の立場から怒りとあきらめの思いがよぎる。本欄の内容紹介(ワシントンポスト)にあるように私も記憶に残る主人公だと思った。 | ||||
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作者の前作「頰に哀しみを刻め」を読んだのは、2023/2月。 S.A.コスビーは、過激な挑戦者として毎回ミステリ・ジャンルを変えてくれます。今回はクライム・ノヴェルから魂の警察小説へ。舞台は、ヴァージニア州、チャロン郡。主人公は、黒人のFBI捜査官出身者、郡保安官・タイタス・クラウン。彼の一周年の就任記念日に、ほとんど大事件など起きたことがなかった町のハイスクールで銃撃事件が発生します。誰からも好かれる教師が殺害され、犯人はタイタスたち、郡警察の奮闘によって倒されますが、捜査線上にはもう一人の人物の存在が浮上します。狼のマスクを被ったその男は、一体誰?そして、不穏な空気に覆われた町では男からの挑発行為が繰り返されるようになり、過去へと遡る凄惨な殺人事件が連続して発生することになります。 背景に、米国南部の人種差別問題、特に「南部連合」にも通底する<白人至上主義>が厳然と横たわり、その深い闇に向かって一人の黒人の保安官がほぼ徒手空拳で戦いを挑みます。 読ませどころは数多くありますが、特筆すべきは作者の翻訳された三作同様、そのアクションの凄まじい切れ味にあるように思えます。それは、物語が2/3を過ぎたあたりからページを捲るのが嫌になるほどのサスペンスを伴って押し寄せてきます。なかなか真似ができない。ボストンにはルヘインがいて、ヴァージニアにはS.A.コスビーがこれからもいてくれます。 また、郡保安官・タイタスのキャラクタリゼーションがすこぶる魅力的です。 家族を愛し、しかしながら篇中数多く引用される「聖書」に縋ることのない、そのヒーローとは程遠い人間的な、あまりに人間的な彼の姿と振る舞いが私たちと同じような<弱さ>を露呈させつつもそれ故の物語の爆進力を表出せしめます。その姿はとても、とても愛おしい。 <神>はいつものように不在のまま、”アムール”もまた雲散霧消し、しかしながら最後に男に残されるものは<家族>の齎す愛だけなのかもしれません。そこにはタイタスがFBIを辞めた或る事件もまた貴重な、忌まわしい亡霊のようにこの物語を反響せしめています。 しかし、そうは言っても、これも篇中で引用されている『X』=アンデレクロスがその謙虚さゆえにタイタス・クラウンには相応しいのでは?と思ったりもしました。彼もまた米国のすべての罪の<殉教者>としてここにいます。 □「すべての罪は血を流す “All The Sinners Bleed”」(S.A.コスビー ハーパーBOOKS) 2024/5/18。 | ||||
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