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ゴメスの名はゴメス



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ゴメスの名はゴメスの評価: 4.82/5点 レビュー 11件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.82pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全11件 1~11 1/1ページ
No.11:
(5pt)

日本人作家によるスパイ小説

日南貿易の駐在員・坂本は社員の香取の行方を追ってサイゴンに赴任する。会う人に「香取を捜すのをやめなさい」と言われてもやめないでいると、謎の言葉を残す人物があらわれたりする。さらに不意に襲われ、脅しの電話があり、事件に巻き込まれてゆく。

著者は〈舞台を南ベトナムの首都サイゴンに決めるまではまったくの五里霧中〉だったと記している。執筆された1961年は、派兵拡大を押し進めたアメリカの対ベトナム政策で泥沼化していた。地図もなく、新聞社に資料もない。サイゴンに駐在したことのある新聞記者や商社員に会って、サイゴン市内の見取図を作ったという。

大きな国が小さな国、特にアジアで戦争すると北と南に分断されるのはなぜ。そこで暮らしていた人々が悲しい目に遭うことがわからないのだろうか。坂本や香取、リエンをめぐる人々は第二次、インドシナ、そしてベトナム戦争の被害者。そうした悲しさがスパイの行動によって、いっそう際立ってくるも本書の特徴である。
ゴメスの名はゴメス (中公文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (中公文庫)より
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No.10:
(5pt)

スピード感溢れる展開と重厚な問題意識

私が初めて結城昌治氏の作品を読んだのは35年位前のことで、「軍旗はためく下に」という著者が直木賞を取った作品で、戦場の様々な局面における日本軍国主義の非道性を生々しいタッチで描き出した短編集です。そのころは結城氏がスパイ小説を書いていることを知らなかったのですが、最近、五木寛之氏のエッセイの中で紹介されていたのをきっかけとして読んでみました。ベトナム戦争が本格化する直前のサイゴンを舞台とした作品ですが、まず最初の印象はテンポが良く、スピード感溢れる展開だということです。しかし途中から次第に複雑な当時の政治情勢が明らかにされてきて、シリアスさの度合いが深くなってきます。ストーリーの展開を述べるわけにはいきませんが、最後に政情を背景とした意外な結末で物語が締めくくられます。登場人物のプロフィールを詳しく紹介しては興ざめになってしまいますが、太平洋戦争後ベトナムに残留した日本軍人が重要なカギを握るとともにその悲しみが生き生きと表現されているところに、後の「軍旗はためく下に」と共通の問題意識が潜在していることを読み取ることができました。一読を強くお勧めしたい作品です。
ゴメスの名はゴメス (中公文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (中公文庫)より
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No.9:
(5pt)

何ともハードボイルドらしいハイセンスなタイトル。

50年以上前に書かれた作品です。ベトナムの当時の景色や胡散臭さが何とも土臭いというか。砂埃感を感じ読むことができる。

2014年に実際にサイゴンに行ってみたが当然ながらこの小説の感じはもはやなかった。
ゴメスの名はゴメス (中公文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (中公文庫)より
412202627X
No.8:
(5pt)

よかったです

ベトナム戦争より前の日本とベトナム、第二次世界大戦の影、植民地の影。プロットも今でも色あせていません。
ゴメスの名はゴメス (中公文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (中公文庫)より
412202627X
No.7:
(5pt)

人間とはなんと哀しい生き物なのだ

まずタイトルがいい。新装版の装丁もわるくない。あとがきを読んで知ったのだが、作者の結城昌治は一度もベトナムの地を踏まずにストーリーとキャラクターを作ったという。小説家の想像力と創造力に脱帽だ。
本書が執筆されたのは1962年。アメリカが本格的にベトナムに軍事介入する前のことだ。その段階で、作者は登場人物のひとりにこんな台詞を吐かせている。
「アメリカの援助によって、ゴー政権はまだ二、三年はつづくだろう。だが、いずれにしても結局は内戦だ。そして、憎み合う必要のない同じ民族が、北と南に分かれて血を流しあうのだ。(中略)窮乏に苦しむ国民にとって、これほど有難迷惑な話はない。さっさと革命がおこって、共産政権になったほうがどんなにいいか知れないんだ」
サイゴンが陥落し、南ベトナムが崩壊するのは、本書が書かれて実に13年後の1975年のことである。ベトナムは社会主義国家となって、サイゴンはホーチミン市と名前を変えた。
クサい台詞もときどきあるが、心に残った文章も多い。そして、ラストの数行には心からじーんとした。かつてフランスの詩人、ジャン・コクトーは言った。「人は多くの人々を知っているが、彼らがどうなったかは知らない」。中盤あたりに出てくるこの言葉は、本書のひとつの「肝」だろう。ああ、人間というのはなんと哀しい生き物なのだ。本を閉じ、コクトーの言葉を噛みしめ、僕はそう詠嘆せずにはいられない。
ゴメスの名はゴメス (中公文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (中公文庫)より
412202627X
No.6:
(5pt)

渋いスパイ小説の佳作

ベトナム戦争直前のサイゴンを舞台に、失踪した同僚の行方を追う、主人公がスパイの世界に巻き込まれるというメインストーリーに、同僚の妻と浮気をしている主人公の葛藤や、太平洋戦争の後ベトナムに残ることを選んだ日本兵の話などが盛り込まれています。
かなり強引な比較かもしれませんが、サマセット・モームの「アシェンデン」にも似た作品で、ハリウッドエンターテイメント的な大きな謀略が描かれるというよりも、決して全貌が明かされるわけではない、歯車しての末端のスパイの悲哀といったものがえがかれています。
従いまして、現代のエンターテイメント作品に良くある、普通の人がふとしたことからベトナム戦争の帰趨を左右する極秘情報を入手する・・・といった派手な展開は期待しないほうが良いでしょう。
その代わりに善悪定かでない中で、陰のある登場人物たちが織り成す、濃密な物語を堪能できるでしょう。
ゴメスの名はゴメス (中公文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (中公文庫)より
412202627X
No.5:
(5pt)

内戦下のサイゴンで失踪者・香取を探すが…

1974年版で読んだのは中学生の頃で、ヴェトナム戦争の報道は毎日のように目に耳にしていた。 海のむこうの戦争には、今ほどの強い意識はなく、当時の同世代からみれば恐ろしく意識の低い中学生であったと思う。そうした中学生だった初夏、下校途中にある小さな書店で本書を手にした。坂本がリエンに初めて会うのは、サイゴンに着いた日の夜、といういささか唐突な書き出し。 しかも、坂本とリエンとはヴェトナム語ではなく、フランス語で話している。冒頭から数分で読者を異国の暑さと、雑踏の中に引き込むスキルは流石だなと思った。 やがてカットバックを想起させる会話の中に、異国で失踪者を探すことの不安感がつきまといます。
ゴメスの名はゴメス (中公文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (中公文庫)より
412202627X
No.4:
(5pt)

ベトナムを舞台にしたスパイ小説の傑作

ベトナムを舞台に。結城昌治はサイゴンに行ったこともなく、現地を知ってる新聞記者や
商社マンから話を聞いただけだという話にはびっくり。風や空気、肌にまとわりつく湿気
まで感じるような描写なのに。
派手なシーンはほとんどなく、緊張感にたぎる駆け引きから目が離せず最後まで一気読み。
ゴメスの名はゴメス (中公文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (中公文庫)より
412202627X
No.3:
(4pt)

まったく古さを感じさせない

もう40年以上前に書かれたスパイ小説であるが、
まったくその古さを感じさせない。
出てくる人間がみな胡散臭そうで、
ぐいぐい読ませる筆力はすごい。
決して飾らない文体であるが、
間違いなくハードボイルドの第一級品である。
ゴメスの名はゴメス (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (光文社文庫)より
4334744095
No.2:
(5pt)

先駆的作品

中園英助の「密書」(1961年)や三好徹の「風塵地帯」(1967年)と並ぶ和製エスピオナージュの先駆的作品(1962年)。
内戦下のヴェトナムを舞台に日本人商社員が巻き込まれるスパイ戦。うだるような熱気で増す焦燥感の描写が素晴らしい。
余韻を持った結末も素晴らしく、グレアム・グリーンの諸作を思い出させる傑作。
高橋治監督により「流砂 ゴメスの名はゴメス」として仲代達矢主演で映画化もされた。(ただしロケ地の事情からか香港を舞台にされてしまっている)
ゴメスの名はゴメス (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (光文社文庫)より
4334744095
No.1:
(4pt)

ヴェトナム戦争以前

ヴェトナム戦争以前のヴェトナムを舞台に各勢力が入り乱れる、という、一言で言えばそーゆーハードボイルド小説。その各勢力というのが、実際、ちゃんといくつも割り振れるぐらい混沌とした当時のヴェトナムを舞台にした時点で、ほとんど勝ったも同然。
ゴメスの名はゴメス (中公文庫)Amazon書評・レビュー:ゴメスの名はゴメス (中公文庫)より
412202627X

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