■スポンサードリンク
負けくらべ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
負けくらべの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
シミタツ健在はとてもうれしいニュースだったけれど、かつて夢中になって読んだ『飢えて狼』『尋ねて雪か』などの作品群ほどの切れ味はなかったような……。やや冗漫さを感じてしまった。 もっともこちらの感性もこの40年でかなり鈍くなっているわけで、つまらない・おもしろいといったことのすべてを作家に押しつけるのはどうかとも思っているが……。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
小説としての出来自体は悪くない。この小説の主題はタイトルが示唆するように誰も勝者がいない現代社会の虚ろさ(経済的には成功しているように見える人物も角度を変えれば「負けている」というメッセージ)――だと思いますが、きわめて今日的。また本作はハードボイルド小説に分類されると思いますが、紡がれている世界は至って静か。しかし、それがいい。ホラーにはquiet horrorとloud horrorの2種類があるとされますが、それはハードボイルドにも当てはまるはずで、『負けくらべ』はあきらかに前者のタイプ。こういうハードボイルド小説だってあっていい。 で、こうした美点も多々あるのですが、疑問に感じる点も少なくない。まず、IT業界を舞台としたのはどうか? そつなく書けているとは思いますが、御当人は御歳87歳という斯界の大長老。やれ量子コンピューターだのGAFAだのビットコインだの。ムリしてそんなもの持ち出さなくても、という気はいたします。また主人公の年齢設定が65歳というのもどうか? 『負けくらべ』からちょうど40年前となる1983年に書かれた『裂けて海峡』の主人公・長尾は45歳。『裂けて海峡』と『負けくらべ』の間には40年という時が横たわっているわけですが、ある意味、40年経って主人公が20歳しか年を取っていない、とも言えるわけで……それはどうなんだ? と、そんな気もいたします。 しかし、こうしたことよりももっと疑問に感じる点がこの小説にはあって。それは、主人公が介護福祉士であるとされながら、介護士のことも介護現場のことも何も書かれていないこと。主人公・三谷は「三谷ホームサービス」なる介護事業所を経営しているものの、65歳を機に事業所は娘夫婦に任せ、自分自身は個人資格で訪問介護をしているという設定。しかし、一般的な訪問介護でやるような食事や入浴の介助、おむつ交換、口腔ケアとかは一切やらない(そういう描写がない)。代って利用者(作中では「クライアント」と呼ばれている。しかし、介護事業の分野で利用者を「クライアント」と呼ぶことってあるんだろうか?)をそっと見守っている。そうかと思うと庭にツツジ、アザミ、アブラナなどを植えたり。それによって利用者の心を癒そうとしているわけだけれど、やっていることはセラピーとかに近い。また、いささかスピリチュアルな匂いも感じられる。三谷はいわゆる「ギフテッド」とされており、このことは東大の細田という脳神経外科医の「詳細で緻密な調査」によって明らかにされている。細田の調査によれば、三谷の知的能力、いわゆる頭のよさは平均レベルをやや上回る程度にとどまるものの、「知力や才能の分野とはちがう本能的能力、察知感覚、それを形成していると思われる記憶力、判断力といったものになると、常軌を逸したレベルにあることがわかった」。で、三谷の「介護」なるものもこの三谷に先天的に備わった能力をフルに活用したものとなっているわけですが、はたしてそれが介護と言えるのだろうか? 私はこの2月に母を亡くしました。母はアルツハイマー型認知症を患っており、そんな母を私は4年間に渡って介護しました。この間には多くの介護士さんのお世話になりました。彼ら・彼女らの助けなくしてこの4年間はなかったと言っていい。そんな私からするならば、『負けくらべ』に描かれた「介護」なるものには若干の腹立たしさを覚えないでもない。もし私がお世話になった介護士さんが介護士が主人公ということに惹かれてこの小説を読んだとしたらガッカリすると思います。だって、介護士のことも介護現場のことも本当に何も書かれていないもの。そんなんだったら、介護士を主人公になんかするなよ、と……。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
志水辰夫の久しぶりのハードボイルド。昔読んだ本の内容は忘れましたが、当時は結構ハマってました。それだけに大いに期待してたのですが、三谷と大河内との出会い、お家騒動に巻き込まれる過程、ギフテッドの介護士の恐るべき体力等々不自然さが多かった印象。ハードボイルド風の小説といったところ。佐々木譲始め凄い作家連が評価してますが、偉大な作家への敬意と忖度でしょうか。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!