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闇の聖域
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闇の聖域の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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「裂けた明日」(2022/8月)以来の佐々木譲。「偽装同盟」(2022/1月)の如く"IF小説(オルタネート・ヒストリー)"路線上の新作かと思いましたが、違っていました。「闇の聖域」(角川書店)を読み終えました。 主要な舞台は、満州、大連。「張作霖爆殺事件」の二年後。警視庁から大連警察署に赴任した河村修平。赴任早々、大連駅の操車場付近で殺人事件が発生、修平は高安巡査部長と共に捜査にあたります。そして、死体の首の致命傷を見た修平は日本で手掛けた事件との関連を疑いますが、相次いで第二の事件が発生してしまいます。 一方、事件に関連があるのかないのか(まあ、ないわけはない(笑))、大連で暮らす日本人、中村小夜が路面電車を降りようとした時、ロシア人とおぼしき白人青年とささやかな交流が生まれます。彼女は、水彩画を描く画家として小さな画廊と契約しており、その画廊で店番をすることもあります。また、数年前から右足に力が入りにくくなっており、筋肉が弱くなっていることを危惧しています。 南満州鉄道、大連埠頭、走り行く路面電車。当時の大連のストリートが活写されています。また、ロシア、大日本帝国、関東軍、背後組織と政治的背景を具に描写しながら、佐々木譲らしいサスペンスが醸成され、中盤までは快調だったと言っていいでしょう。 事件が次第に解明されていく中、警察官・河村修平の姿が希薄になっていき、或る二人の人物へと主役が交代していくことで物語はかなり大胆な転調を迎えます。佐々木譲・グルーピーの一人として数多くの物語の中にはこのような物語があってもいいと納得できたりもしますが、一篇のスリラーとして見た場合、どう判断すればいいのか微妙なところです。前半の時代性を超えたアクチュアリティが、「闇の聖域」へと押し込まれることによって希釈されたと感じることにもなりました。 この物語はいつか継続することになるのでしょうか? | ||||
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