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(短編集)
生命式
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生命式の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全38件 21~38 2/2ページ
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短篇集『生命式』(村田沙耶香著、河出書房新社)に収められている『生命式』は、俄には信じられない世界が広がっています。 「私が小さいころは、人肉は食べてはいけないものだった。確かに、そうだったと思う。人肉を食べることが日常に染みついた世界の中で、だんだんと自信がなくなってくる。でも、30年前、私が幼稚園に通っていたころは、確かにそうだった」。 「そのころから、人類は少しずつ変わり始めていた。人口が急激に減って、もしかしたら人類はほんとに滅びるんじゃないか、という不安感が世界を支配した。その不安感は、『増える』ということをだんだんと正義にしていった。30年かけて少しずつ、私たちは変容した。セックスという言葉を使う人はあまりいなくなり、『受精』という妊娠を目的とした交尾が主流となった」。 「そして、誰かが死んだときには、お葬式ではなく『生命式』というタイプの式を行うのがスタンダードになった。昔ながらのお通夜やお葬式をあげる人もいるにはいるが、生命式で済ませれば国から補助金が出るのでかなり安くあがるというのもあり、ほとんどの人が生命式を行う。生命式とは、死んだ人間を食べながら、男女が受精相手を探し、相手を見つけたら二人で式から退場してどこかで受精を行うというものだ。死から生を生む、というスタンスのこの式は、繁殖にこだわる私たちの無意識下にあった、大衆の心の蠢きにぴったりとあてはまった」。 「生命式の後の受精は、神聖なものというイメージがあり、そこかしこで行われる。夜道で何度か見かけたことがあるが、本当に交尾という感じだった。人間がどんどん動物的になってきている気がする」。 この後、遺族による生命式の大掛かりな準備の様子、味付けに工夫を凝らす料理の様子、生命式の参加者たちが味を評価する様子が克明に描かれていきます。 会社で気が合った同僚男性のカシューナッツ炒めにした人肉を食べながら、「こんなふうに、世界を信じて私たちは山本を食べている。そんな自分たちを、おかしいって思いますか?」と尋ねる「私」に、一緒に食べている男性はこう答えます。「いえ、思いません。だって、正常な発狂の一種でしょう? この世で唯一の、許される発狂を正常と呼ぶんだって、僕は思います」。 こういう小説もあり得るのか、と首を傾げながら読み終えたが、ざらざらした舌触りがなかなか消えず、本当に困りました。 | ||||
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一度は読む価値ありです。 面白く、一気に読みました! | ||||
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ここ最近読んだ本の中で最も「とんでもねえ本」だった。 書店で見かけ、その奇怪な表紙に目を奪われた。いわゆるジャケ買いだ。 帯に書かれた煽り文はどこか抽象的な物言いが多く、誇大広告だったら嫌だなあと思いながら読んでみた。 それらが誇大ではなく、適切な評価であることをものの5分で悟った。 12篇で構成されるこの短編集は、テーマは違えど、わたしたちの身の回りにある「普通」という概念に疑いの目を向けて作られた作品。 その普通という価値観を、極端かつシンプルなワンアイデアで転換させたり、対となる価値観を登場させることで、その「普通の異様さ」を浮き彫りにしてくる。 自分の中にある「普通」が如何に脆いものかを改めて思い知った。 ニーチェの「事実など存在しない。存在するのは解釈だけである」というセリフを思い出した。 表題にもなっている「生命式」も好きだが、「街を食べる」「孵化」あたりは、共感できる人も多いのではないか。 いつの間にか、世の中が言う普通という考えに縛られている自分の存在に気がつけるはず。 そして「ポチ」は、衝撃的。 「自分は常識なんかに縛られない」と思っている人ほど、読むと衝撃を受けるのではないだろうか。 | ||||
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村田さんの小説はドキドキする。この短編集のタイトルになった「生命式」という短編についてレビューしたいと思う。 「人間の野性性」「生々しさ」を強く感じた。私たち「人間」は地球上、いや宇宙上において、ただの一生物であり、特別な存在ではないのだということを感じた。その一生物として、「こうすべき」とか大したものであるかのような考えにとらわれることなく、「内なる声」に従い、他の生物と同じように淡々と生きていったらいいのかもしれないと感じた。 「自分の内」をもっと開放し、自由になる・・・たまたま与えられた器(外見)に執着することなく、もっと自由に「自分の内」を漂わせてもいいのかもしれないと感じた。 「食べる」ということに対して、考えさせられる小説でもあった。 食前のあいさつ「いただきます」の究極的な状況だと思った。生きていたそれを慈しみ、愛(まな)で自分の中に入れていく。活かしていく。 そして、私たちが身に着けるもの、普段の生活の中で使うものも、その命を感じ、愛し、接していく触れていく・・・愛に包まれた生活、生き方について考える種を植えられた気がする。 | ||||
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どういう思考回路したらこんなこと思いつくのほんとに。 どの話もエグいけど、「素敵な素材」はトラウマレベル。本能的な怖さを感じる。 こんな面白い小説が読める時代に生まれていて良かった、とシンプルに感じた作品。 | ||||
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いたって真面目な人が世の中にはいる。その人は真面目に物事を考え過ぎてしまう。 従って出される結論や視点は、いわゆる普通の人、考え過ぎない人にとってはそれらは かなり異形に見える。不真面目に見えたり、ふざけているのか?と怒る人もいるだろう。 この世界感になじみが無いためだ。 村田沙耶香はそういう意味で極めて真面目な作家だ。そして12作収録のこの本の中には 極めて真面目に彼女の問い、疑問が投げかけられている。 生命式:なぜ人間を食べてはいけないのか? 素敵な素材:なぜ死んだ人間の身体を素材として装身具や家具として愛でてはいけないのか? →ちなみに本の表紙は高橋涼子のアート作品で、本物の女性の髪の毛を素材に使ってます。 孵化:なぜ自分の人格をその人間関係に合わせて使い分けてはいけないのか? 村田沙耶香は確信犯的に、これらの普通の人から見ると異様に見える側の人間をあえて気持ち 悪く、或いは読者と異質のものとして感じさせるように書いている。 無自覚でありながら読者が持っているであろう普通の考え方から離れて、自由に物事を考え、 見つめ、行動している真面目な主人公たち。 読者はそれに対峙して怖気るように構成されているのだ。 だが、読了後そのような作者の意図通りの気味悪さに満足して結論付けるのは勿体ない。 しばし、胃の腑の奥に残る印象の残滓を醒めた自分の脳味噌で繰り返し反芻してもらいたい。 或いは自分にも村田沙耶香の提案するこれらの世界を受け入れ、心地よいと感じる部分がこころの 奥底に見つかるはずだからだ。 「わたしも○○の塩ダレ角煮とか○○のカシューナッツ炒め、を食べたい」あるいは 「食べさせてみたい」と思うようであればアナタもこの世界の住人である。 | ||||
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最初の2-3話見ただけで割とむなやけを起こしそうな設定から始まるが、読めば読むほど普段はなるべく意識しないで生きているけど自分の奥底にあるものに共感できるポイントを多く見つけられて何度もハッとさせられる作品。 | ||||
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生命式 タイトルの生命式というのは、少子化が進んだ未来での葬式の別名だ。死んだ人の肉を食べたあと、その参加者でセックスを行うことで新たな命の誕生を期待するという式だ。 この生命式の世界では、死んだ人の肉を食べ、セックスをすることは、神聖で、正常なこととされている。主人公の女性は、そんな世界に少し違和感を抱き、馴染めずにいる。そんなとき、仲の良い同僚が死に、そして、彼女は…という物語だ。 この話では、私たちからすると、隠すべきもの、恐ろしいものと負のイメージが強いセックスや、カニバリズムが、神聖で尊いものとして描かれており、私たちと同じような価値観を持った女性が、変わった人と捉えられ生きづらさを感じている。そして、女性は同僚の死により、この、異常としか思えない世界を受け入れてしまう。 そこが、なんだか、私に、世界は儚いものだと訴え、この世界に絶対なんかないのだと伝えているような気がした。そして、常識や世間体に囚われ生きている私に、そんなに物事をナナメに捉えて、世界に批判ばっかりせず一度、その世界を受け入れてみてごらんって言っているような気がして、異常な世界を見せられて、人肉なんか、絶対に食べたくないって思っている正常なはずの自分なのに、なぜかそこに異常性を指摘されたようななんだか不思議な気持ちになった。 文章に透明感があって、汚いものも、おえって言いたくなるようなものも、なんでもかんでもキラキラして感じてすっーとこの世界観が頭に入ってきた。このぞわっとして、自分と向き合わされる話をみんなに呼んで欲しい。 | ||||
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文学は常識を破壊するもの。人肉を食べてもいいじゃないか、人毛や爪に皮膚をアクセサリーにしてもいいじゃないか、食べ物の趣味に文句を言うな、無機物に恋してもいいじゃないか、性格なんていくつあってもいいじゃないか。あらゆる常識が壊されていく感覚を味わえる。ほとんどの作品が村田紗耶香さんらしく、グロテスクでぐちょぐちょと湿り気が多い。文学作品って面白なと感じる短編集である。 | ||||
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この作者は徹底して「普通とはなにか?常識とはなにか?」という問いを続けているのだと思う。だからこそ、普段自分たちが「普通こうだよね。」と思考停止してしまっている部分に対して、斬新な切り口で「それって本当に普通なんですか?」と問いかけられているのだろう。 そして、その冷酷な問いかけと共に、その"普通"ではない世界の優しい側面も描こうとしており、奇抜な設定に終始しないところも含めて良い作家さんだなと感じます。 | ||||
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生命感の常識、タブーをさらっと破る大変問題作。 短編集の形式だがテーマはひとつ? ほんとはしんどくて三話で小休止。 電子ブックでよんでます。 | ||||
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知っているような世界の中で異常なことが、当然のごとく行われていました。 現実味があって生命式を読んだ直後は食欲が湧きませんでした。 でも、街を食べるで回復しました。私は野菜が食べたくなりました。 違和感を感じ、気持ち悪いとすら思っているのに、どこか納得していたり合理的だと思ってしまう。 全編とも独特な世界観に浸かり不思議な体験ができました。 | ||||
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全体的には「食」をテーマにした短編集です。しかし、1編目、「生命式」から自分の常識が破壊されます。「生命式」は亡くなった方のご遺体を弔いの為、食べるようになった世界が描かれています。もうこの時点で自分の常識は破壊されました。 「常識」が破壊されたまま読み進んでいくと次第に「常識」の感覚がずれていき、過激な設定をすっと受け入れることができるようになっています。そして、いつの間にか世界に引き込まれていて、文章に美しさを感じながら読んでいました。 本が好きな人には是非読んでもらいたいオススメの一冊です。是非「常識」をぶっ壊されて欲しい。 反対に普段あまり本は読まない方。映画やドラマを中心に楽しまれている方には違和感があるかもしれません。というのは、すべての物語に結論や結末、オチがあるわけではないので、読後のスッキリ感はないと思います。 でも、そんな方たちにも色々本を読んだあとに再度この本を読み返して欲しい。言葉にすることが難しいのですが、私はこの本に心を奪われてしまいました。感動と衝撃です。色々なレビューがあって、ゲテモノ的に書いているものも見かけますが本質はとても美しい短編集です。 オススメの方 1.新しい世界に出会いたい方。 2.固くなった頭をリセットしたい方。 3.最近刺激がない生活を送っている方。 | ||||
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ガンニバルとか東京グールとかみたいに人食う話が増えてきてる気がするけどこれも面白い | ||||
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いや、面白い。一読の価値あると思います。 生命式。最初は、ん?と読み始めたが、すぐにそういうことかとわかる。 その設定の妙により、一見陰惨にもなりそうな内容をさらりと、そして時折ユーモラスに描く世界観は新鮮な驚きがあった。村田さんって、クレイジーな天才肌なんですね、という感想。 物語としては、世界の変容する価値観についていけない主人公が、この世界を受容し世界の一部になる、といった自己肯定の類いで、物語自体に目新しさはないものの、前述の通り、設定の妙による新鮮さ面白さが抜群で、あっという間に読み終えてしまった。 それにしても、一番印象深かったのは、カシューナッツ炒めの一連のくだりのところ。特に、 「○○のカシューナッツ炒め」やら「○○って、カシューナッツと合うんですね」とやらでは、大笑いしてしまった。 俺は不謹慎なのだろうか?俺はおかしいのだろうか??などと思いながら。 まあいいや、おかしくても。だって、「正常は発狂の一種」ということらしいですから。 | ||||
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12編が12編とも面白く読めました。 こんなに楽しく読める短編集にはめったに出会わない。 村田ワールド全開、かっ飛ばしていますねー。 短いのもあり拾い読みもできるので、いろんな人にお勧めできます。 | ||||
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表紙に書いてある絵は本を読んだあとにわかりました。 恐い。内容を全部理解できるわけではないけど必ず一つは脳が震えます。 | ||||
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30カ国で翻訳が決定した「コンビニ人間」の作者が放つ新作。「生命式」というタイトルにも惹かれたが、西 加奈子さんの「この作品はを読むことは体と心を解体する行為に限りなく近い」という書評が購入の後押しとなった。 コンビニ人間の普通とは?とか、狭い世界と言う世界観もすごかったが、個人的にこっちの方が…。 読み始めて2ページ目に進んだ時はギョッとした。というのは、今までの経験や環境から、無意識に脳が考えるのを避けていることに触れてきたからだ。 小説とはこんなにも自由なのか、と胸が貫かれた。 今まで自分が漠然としか感じられていなかった概念を、1つの作品を通して表現する作者の創造力には嫉妬せざるを得ない。 こんなことを言うと考えたいことを考えてるだけで作者の作品を見てない、と言われるかもしれない。が、あえて言うとこの作者からはメッセージ性が強いというか、「あなたにもわかるでしょ?」と訴えられているように感じた。 この作品は滅多にお目にかかれるものでない衝撃作ではないだろうか。 本屋に立ち寄ったなら間違いなく買いの一冊。 とても幸せな時間を過ごせました。 | ||||
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