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タラント
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タラントの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 1~20 1/2ページ
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560ページに及ぶ長編。 読みやすい文章と馴染みやすいストーリーで入り込めれば一気に読める。 馴染めない家族構成や地元の環境、田舎から都内へ出る不安、学生のボランティア活動、祖父の戦争体験、友人関係、パラスポーツなど様々なエピソードと登場人物により物語に厚みを持たせている。 全体的には悪くはないが、一番流されやすく気持ちの折れやすい主人公に苛立つ上、ページ数の割に個々のエピソードに尻切れ感があり残念。 | ||||
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”一粒の麦によってわたしたちは今日、生かされている”ことを知る。 国際ボランティア、災害ボランティア、そしてパラリンピック。 人生に戸惑う心模様を映し出す。 ”彼らの「ふつう」と私たちの「ふつう」をつなげる空を飛ぶ”のだと。 それは”使命であり才能だ”と。 そう、雲のない広い空へ。 ”跳べ、もっと高く跳べ”と人生にエール。 | ||||
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表紙が木内達朗の『パラリンピック』のイラスト。パラリンピックの高跳びで560ページはキツいなあと、思ったらそうではない。 あくまでもメインは主人公とボランティアの距離感のお話。 角田光代の最高傑作ではないが、佳作。いい小説に出会えました。 | ||||
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人生のいろんな場面でいだく言葉にできないモヤモヤ、つたえられないもどかしさ、自分でもよく分からないけど落ち着かない気持ち。そんな誰もが抱く感覚に、言葉を与えて輪郭や形をはっきりさせてくれる。そんな作者の凄さを至る所に感じます。 複数のテーマを巧みに織り交ぜながら、最後はおじいちゃんの、跳べ、跳べ、高く、高く! に全て収斂されている気がします。 ウクライナ、パレスチナ、この夏もコロナがありました。甲子園、オリンピック、パラリンピック、全ての人にエールを | ||||
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諦めない心。何度でも。90歳を過ぎても孫に伝えたい。じーんとくる、読みやすい、けど、それだけじゃないんや。読書の喜び、ありがとうございます。 | ||||
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この小説は、ボランティア活動の悩みを取り上げた点で面白かったです。 主人公が中東の国や東日本大震災の被災地へボランティアに行き、中東の国では現地の少年に頼まれて規則を破って境界の外へ連れて行ってしまい、日本の被災地ではボランティアの集合写真を撮ったところ、思い出作りで来るのはやめろと住民から怒られ、主人公はどうしたものか悩む。 主人公の友人の中には、やると決めたら何と言われようとやり通せ、そうでなければ最初から関わるな、という人もいるが、実際にはそう単純に割り切れるものではないと思う。 小説の最後に主人公が言うように、何となくでも始めてみて、失敗したらやめるということでよいと思う。 ただし、海外でのボランティアは、国内よりも安全確保が数段重要という違いはある。 | ||||
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文学キョーダイが誉めていたので購入しました。人生の機微ってこうやって表現するんですね。 | ||||
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とてもきれいな状態で届きました。。 | ||||
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人生の中で自分がなす何事かについて、神に与えられた使命だと信じて疑わずにいられる人や、絶対的な正義だと信じて疑わずにいられる人は、ある意味で幸せな人です。 現実の人生では、神の気まぐれ=運命の悪戯(例えば戦争や天災やパンデミック)に翻弄されたり、他者の心の壁に阻まれ自分の煩悩や承認欲求や浅薄さを否応なく意識させられたりの繰り返しです。 意味や意義を求めた先に待っているのは、何かが違う、こんなはずではなかった、という違和感の蓄積です。「自分が楽しいからいいのさ」と開き直れるほど図太い神経を持たない私たちは、やがて深い絶望に囚われるかもしれません。それでも私たちは生きなければならない。 ラストシーンの「ぼくの耳に届」く「自分の声じゃないみたいな雄叫び」にすべてが集約されています。同じように自らに言い聞かせながら生きている私たちへの励まし以外の何ものでもありません。 | ||||
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表紙の装丁に目を引かれた。 青1色の中に 義足のアスリートが背面で高跳びのバーを飛び越えようとしている。表紙裏には、バックパックの3人の女性が 松葉杖の少年を見ている。 お話は 障がいを持った人たちのことなのか?でもなかなかその部分に話がいかない。角田 さんらしくないと思ってネットで調べたら 読売新聞の連載小説と知り合点がいった。 この本の分厚さも。 ストーリーは、一人称で書かれた部分と、誰か 別の人物が心を吐露する部分とあり、読み終えるとその意味がわかる。あぁそうだったのかと 読者を唸らせる。 過去から現在へと社会的事件や災害をなぞりながら、装丁の絵に書かれた 確信へと一歩一歩近づいていく角田さんの力量。さすがである。 キーワードは人が何か新しいことを始めようとする時の突き動かされるような 情動。 そこに行き着くまでのその人なりの人生。しかし話を重くしないような配慮が角田さんらしい。『たとえ失敗してもダメだったらその時はその時。急がずにゆっくりやってみればいいんじゃない』そのフレーズが心に残る。それでいいんだなと思える。このお話は作者が一粒ずつコツコツと 種をまいていくようなストーリーである。芽が出ることを希望として。 | ||||
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正直あまりの長さに何度か挫折しそうになったものの、読み進めていくうちに後半どんどん面白くなり、読んで良かったと思えた作品。 田舎を出ていく時の高揚感、夢破れて出戻った時の挫折感、支援する側とされる側の隔たり、純粋な善意と自己満足の違いとは、など生きていれば一度は味わうような様々な感情や疑問が巧みに描写されている。 何かを成し遂げられる自分でありたいと、燃えるような使命感に突き動かされてみたいと思う一方で、所詮自分は何者でもない、人並みかそれ以下のつまらない人間で、大したことは何もできないのだと諦めてしまう自分もいる。現実を知れば知るほど複雑で残酷で、自分一人の力で何が出来るのかという無力感。義を見てせざるは勇なきなり、とは言うもののの、何かしたところで世界を変えるほどのインパクトなどあるわけも無し。大人になればなるほど、それを分かってしまう。 みのりが玲に冷たく当たってしまうが、それは過去に自分がしたことの罪悪感を薄めたいがための行動で、本来は玲にあたることはお門違いなのだと自分でも分かっている、でも他の第三者の批判に乗っかってしまうその矛盾と葛藤。 戦争という過酷な体験で自らの足も親友も家族も失った清美と、突然親友を亡くしたみのり。時代も置かれた状況も、何もかも違うのだが、大切な人を永遠に失った時の苦しみ、なぜ自分ではなくあの人が逝ってしまったのかとやり切れない思いを抱える事は、時代も何もかも超えて同じ苦しみなのだと感じた。 東日本大震災のこと、コロナが始まった頃の様子をリアルに描写していて、それがものすごく強く自分の世界と、実体験と繋がっていると感じさせてくれた。 先の見えない状況の中でも、皆がスタートを待っているんだ、という。 小さな使命でもいいんだ。他の誰にも成し遂げられないような壮大なことじゃなくたっていい。一人一人に与えられた使命があるし、それは自分で選べるなら選んでいいんだ。幼い甥っ子が無邪気に掌に乗せてくれた100タラントのように、産まれる時に神様が持たせてくれたタラントが、自分にもきっとある。そう思わせてくれたこの作品に感謝。 | ||||
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以前から気になっていたのだが、この作家は普通漢字で書く言葉をひらがなで書いている。「たのしい」「いく」「ちいさい」「いっしょに」など。日本語は、漢字とひらがなカタカナが混じって、漢字がパッと視覚に訴えるから読みやすいのであって、不必要にひらがなを使われると読みにくい。この作品は、自身が旅行した場所あるいは調べたのであろうことを小説にしているが、説明口調になっていてつまらないし、主人公の過去現在と祖父の過去現在の対比も冗長且つ説教じみている。登場人物に言わせている言葉も、正直な本音のようでいて実は胡散臭い偽善に過ぎない。 | ||||
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壮大な物語。最初はバラバラに動いていたものがだんだんと繋がって、釘付けになりました。戦争、震災、ボランティア、義足のアスリート。関わることと、飲み込まれないことの距離を慎重に取りながら、話が進みます。戦争で足を失った無口な祖父、清美の、心語りが胸に刺さります。ラストは号泣でした。傑作です。 | ||||
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いつの間にか角田さんは物語ではなく人間を描く作家になっていた。昔から作者は人間を描くのがうまかったし、それはそれで好きなところでもある。が、人間を掘りさげるあまりドラマチックな物語を作るのに臆病になったのではないか、などとこの作品を読んで思ったりもした。 この作品では、主人公みのりという平凡な女性がほんの少しだけ新しいことに踏み出すまでの心境の変化を描いている。作者は平凡な人間を好んで描きながら、”平凡”という記号のような人間はいないことをよく知っている。主人公の過去や家族や友人をとおして、”平凡”な何処にでもいる人間を唯一の人間として浮かび上がらせ、些細な心の移り変わりを言葉で説明することなく一大事件にもせず自然に描いている。これは作者ならではの技術で個性で素晴らしいし文学なんだなと思う。でもエンタメとして物語としての面白さも捨てないで欲しいとも思う。 | ||||
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過去の経験と記憶にどう向き合うか、 つらさのある過去を封印し続けることはできるのか、 与えられし者とそうでない者とならどちらを望むか、 積極的に関わりたい対象に出合えない時期はどうすればいいのか、 そんなことをああだこうだと考えさせられた一冊だった。 | ||||
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街中で物乞いやズルい商売に遭っても当り前の事として受け取れるのに、ツアーで案内された先でそれに遭遇すると損なわれた気分になるのはそういう訳か。と腑に落ちた 興味深いが、反面長い説教食らってる気分にもなり、ボリュームが少々しんどかったかも | ||||
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主人公 みのりを取り巻く学生時代ボランティア活動団体の仲間・故郷で営まれるうどん屋の家族、とりわけ戦争で片足を失った寡黙な祖父 清美と不登校の甥を中心に、時代は1999年〜2020年を行き来する。連載が2020年7月からの1年間の連載、初版が2022年2月。 よくぞここまで描き込んだなぁ!というのがある。今もウクライナ情勢等戦火の絶えることは無く、コロナ禍でのボランティア支援炊き出しというニュースに、1人の日本人として〈正義〉や〈欺瞞〉〈使命感〉を考える時もある。 他人の目を考えず、ひたすら自らの〈タラント〉だけを追うのは難しい。 それでも、清美の悟りや祈り、そして失われて時間に灯っていた筈の〈希望〉を最後の1ページで読めた。 未だ人生半ばのみのり達が、〈タラント〉の意義を、これから又懊悩しながら見つけていくのだろうな。 角田光代さん、素晴らしい小説をありがとう! | ||||
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登場人物だれもが凄く良い。 抜きんでている人物像ではなくてそれぞれに流されたり、自分の進む方向に自信が持てなかったりする中で、それでも人生を生きるために動いているその時その時が自分の栄養素に確実になっている 。 主人公みのりの気持ちの移り変わりがダイレクトに読者に響く。 不登校の甥の描写もありがちな深刻さや大人の分かったふりにならず、大ざっぱな家族と相まって素敵な家庭の安心感に包まれる。 祖父が中心でストーリーは展開するものの、みのりの友人達や後半に明らかになる祖父と年の離れた高跳び選手など、周辺人物達の特別ではなくても一生懸命そのひとなりの使命を果たしている姿が色を添える。 コロナ禍のオリンピック延期迄見事に時間軸をつないだ素晴らしい物語だった。 | ||||
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主人公みのりと甥の陸が、寡黙なみのりの祖父、清美の人生の謎を追って行く過程で、自分のタラント(神から与えられた賜物)に気づき行動を起こして行く。みのりの友人達も、これで良いのか悩みつつもタラントを生かして進んで行く。戦争によってタラントを生かす希望をもぎ取られた清美もある行動により、一人の女の子の人生を変えるまでの貢献をする。何度くじけたっていいじゃないか。神様が与えてくれた人生を、自分にしか出来ない働きをして歩んで行きたい。と背中を押してくれた本だった。 | ||||
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「わくわくと胸躍らせて出ていった場所に、不覚にも連れ戻されたと みのりは感じる」 著者は心理描写が上手い。 ただ重い。全然、頁が進まない。 ふと、最終章をのぞき見して救われた。 「立ち上がり、ぼくが歩き出すと、 とてつもなく広い競技場がしんと静まり返る。 そりゃそうだろう。義足の老人がバーを跳び越えるところを...」 彼は挑んでいる。彼は自分を信じてる。 「空にいる人たち、みんなにハイタッチできるくらい跳ぶんだ」 すがすがしさが抜けていった。 | ||||
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