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NSA



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【この小説が収録されている参考書籍】
NSA 上 (ハヤカワ文庫SF)
NSA 下 (ハヤカワ文庫SF)

NSAの評価: 4.13/5点 レビュー 15件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.13pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(2pt)

「もしもナチがゾンビウィルスを開発したら?」並みの三文SF。

「クルト・ラスヴィッツ賞受賞」という謳い文句と、友人の勧めで読んでみましたが…。
まぁ、昨今のSFの劣化具合を改めて確認できる内容でした。
SF好きな人にはオススメできない内容です。
ツッコミどころ満載な内容、ご都合主義満載な展開、描写力の低い人間ドラマ……。
百歩譲ってそれらを差し引いても、一番残念なのが、著者の視野の狭さ。
もし、WW2の時点で現代並みの情報技術が存在していたら、
ドイツだけでなく世界全体がもっとダイナミックに変化すると思います。
SFなのであれば、いやフィクションだからこそ、そういうものを読みたいと思うのですが、
そう思うのは私だけなんですかね。
SFは、細やかな世界の道理にまで目が行き届いているかどうかというのが
一つのポイントだと思います。その点で言うとこの作品は0点ですね。

個人的には、こういう作品を面白い、と言ってしまう現代こそがディストピアだな、と思います。
まぁ、パソコンの歴史やスノーデンの告白、ナチ以前/ナチ時代のドイツの歴史が疎いのであれば、
こういう作品でも楽しめるんでしょうかねぇ……。
ちょっとした救いとしては、解説の文章が少し及び腰なところでしょうか……笑。
やはりパソコンとインターネットの発展というのは、アメリカの気風なくして育まれなかったでしょう。
それを安易にワイマール時代のドイツからナチ時代のドイツにまで転換してしまう様を見てしまうと、
逆に「時代が時代だったら、この技術は我々ドイツ人が生み出していてもおかしくなかったんだ」
という著者のナチズムに通じる空虚な自尊心を感じました。

まぁ、この本を読むぐらいだったら、我々の世界のNSAが何をやっているのかを
調べることをオススメ致します。こんなしょーもないSFで時間を潰すよりも、はるかにその方が
あなたの知見を広げる結果になると思います。
NSA 上 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:NSA 上 (ハヤカワ文庫SF)より
4150123527
No.1:
(2pt)

悲惨の極致のバッドエンド

コンピュータネットワークを利用した、特に全体主義国家による監視社会への強烈な警鐘をテーマとした、歴史改変ディストピア小説。

テーマは古典的なれど、ここで描かれる、インターネットや既存メディアを駆使した情報戦と、現実の戦闘を組み合わせたハイブリッド戦争ともいわれる戦争のかたちは、奇しくも今、現実にロシアの独裁者が行っているものと同じで、不幸にも時宜を得た作品となってしまっている(早く良いかたちで終わりますように)。

現実にもいやおうなく進行している、個人の全てのものの支払い購入履歴がどこかにデータとして残される、電子決済社会の描写には、身近な問題として誰もが不安感を増幅させられるでしょう。

第二次世界大戦前後のドイツを舞台としたこの物語は、NSA(国家保安局)の女性コンピュータプログラマーのヘレーネと、彼女の男性の同僚であるアナリスト、レトケのふたりの視点で語られる。

ヘレーネは一見純粋そうに見えて実はそうでもなく、行動理由が利己的なところもあるし、レトケは、過去のトラウマから女性に対し偏執的な行動をとる小悪党の個人主義者で、どちらも好感を抱くまでには至りにくいキャラクターです。
でも、何しろふたりとも幼少期からの半生が数百ページを費やしてこと細かに描かれている上に、レトケには中盤以降のキャラ変もあり、どちらに対しても少なからず感情移入してしまった。
なので、彼らが意図せずとも成し遂げてしまう成果や諸々の事象を考えたら、さすがにハッピーエンドはあり得ないとしても、あまり悪い終わり方をしなければ良いなと思いながら読み進めて行ったのだけれど、その結末は、想像をはるかに越える、考えうる限り最悪で悲惨の極致のバッドエンドでした。
1000ページあまりを読まされた末のこれは、かなりきつい。

本作が、行きすぎたコンピュータ依存社会と、強権独裁国家への警告を動機として書かれているのは明らかで、そうすると、これくらいの強烈さがなければ意味がないということなのかもしれない。
バッドエンドが、このタイプのディストピア小説の暗黙のルールなのかもしれない。
しかし、それもここまで来ると正直、悪趣味でさえあるし、個人的には、メッセージ性よりも作品への忌避感が勝ってしまいかねないと感じました。

少なくとも一般向けではないので、こういう結末に耐性のない方にはあまりお薦めできません。
NSA 上 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:NSA 上 (ハヤカワ文庫SF)より
4150123527

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