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誘拐: P分署捜査班



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【この小説が収録されている参考書籍】
誘拐 (創元推理文庫 M テ 19-2 P分署捜査班)

誘拐: P分署捜査班の評価: 3.82/5点 レビュー 11件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.82pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

原題はブイオ「闇」

結構調子よく前作から繋いでると思ったんだが、最後の結末は何なの?毛布を抱きしめ…だから子供はそこにいないの?すっきりしない。
イタリア物は大好きだから翻訳が続いて欲しい。英語からじゃなくイタリア語から翻訳してほしい。
架空の美術館や教会なのか、実際にあるのか後書きで触れて欲しい。出てくる建造物や場所が見つからないから時間かけて調べてしまった。
まあ、それなりに楽しめた。ラストだけ不満。
誘拐 (創元推理文庫 M テ 19-2 P分署捜査班)Amazon書評・レビュー:誘拐 (創元推理文庫 M テ 19-2 P分署捜査班)より
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No.2:
(3pt)

「87分署」シリーズを目指しているのだろうが、それにしては犯人側の計画姓や事件解決のアイデアを欠いた評判倒れの凡作

「P分署捜査班」シリーズの第二作。私は世評の高い本作を読むためにまず初作の「集結」を読んだが、不満足な出来だった。本作で扱う事件は資産家の祖父を持つドドと言う少年の「誘拐」事件と夫婦仲の悪い家で起こったとされる奇妙な盗難事件。私が初作に対して抱いた不満の1つは北欧ミステリが如く刑事達のプライベートに踏み込み過ぎていて物語の進行を妨げている点で、本作でもその悪癖は続いているが、主人公のロヤコーノとチ-ムの母親役であるオッタヴィアの心情に関しては上手い題材だと思った。ロヤコーノに関してはせっかく同居出来た娘のマリネッラを失う畏れと重畳させているし、オッタヴィアに関してはもっと切実で、普段は母性の強い優しい女性を演じているが、実は自閉症の息子を抱えて疲弊していて家から逃げ出したいとの願望を持っているオッタヴィアの良心と真向から向き合っているからである。

しかし、幾ら不鮮明な監視画像とは言え、ドドを連れ去ったドドの元ベビーシッターのレーナの事を両親(ちなみに母親は愛人と同棲しており、疎遠な祖父のお金で生活している)共に認識出来ないというのは如何にも不自然(ミス・リードかも知れないが、何れにしても作者には誘拐犯(正確には3人組の内の2人で、残りは雇った外国人)を読者に隠す意図は無いという創りは如何なものか)。また、挿入基準が一定でない挿入章を幾つか設けている悪癖も初作のままで、ロヤコーノに想いを寄せる女性検事補が裁判所の許可を経ずに被害者宅を盗聴してしまうのもご都合主義が過ぎる。そして、当初の予想通りだが、盗難事件は全くの付け足しという雰囲気で何の工夫も無い。更に、盗聴しているのだから、3人組の動向を把握出来るのは当たり前で、3人組を操っている黒幕の正体も自然に浮かび上がってしまう。

作者が刑事達をやや上手く扱い始めたという点が唯一の取り柄。北欧ミステリが如く刑事達のプライベートに踏み込んで"人間(愛憎)模様"を描くのは悪くは無いが、それならオッタヴィアの心情にもっと深く踏み込むべきだったと思う。初作の冒頭でエド・マクベインに献辞を捧げている事から、「87分署」シリーズを目指しているのだろうが、それにしては犯人側の計画姓や事件解決のアイデアを欠いた評判倒れの凡作だと思った。
誘拐 (創元推理文庫 M テ 19-2 P分署捜査班)Amazon書評・レビュー:誘拐 (創元推理文庫 M テ 19-2 P分署捜査班)より
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No.1:
(3pt)

まとめて3-4作品読めれば★★★★★

21世紀の87分署。そんなシリーズが始まって二年目。最初の頃の本家87分署シリーズは、確か年間に三作ほどのハイピッチで出版もスタートしていたが、徐々に年二作となり年一作となってゆく。しかしページの厚みは時代の流れとともに増して行った。生活スタイルの推移や、世相や思想の変化などが、取り扱う事件にも徐々に変容を強いてきた感がある。

 でも人間の罪業に、きっとあまり変化はないのだ。愛、嫉妬、憎悪、物欲、激情、その他。人間の愚かさも誠実さもひっくるめて、都市に営まれる悲喜こもごもの愚かな人間たちのやりとりも誠実な人間の人生も、そんなには変わらないのだ、きっと。

 無論、捜査手法には科学技術の進歩が影響やスピードを与え、昔よりもずっとDNA分析やIT技術による電子的足跡の追尾など、様々な現代的側面が与えられている。

 しかし本書を読む限り、捜査側も犯罪者側も根本的には相も変わらず、人間的な弱さやら個性やらを振りまきながら、日々、街に起こる大小の犯罪と向かい合い、ギリシャ文化以来変わることのない様々な人間的悲喜劇と向かい合っているようである。本書の刑事たちもそれぞれの人生を与えられ、仕事とプライベイトと、心情と弱さを持ち合わせつつ、事件に対峙してゆく。その辺りは、87分署の原典とあまり変わらない。

 むしろそうしたディテールに拘って書き進めてゆこうという、作者のシリーズに対する姿勢が垣間見える辺りに、87分署シリーズとその偉大なる作家エド・マクベインへの強く深いオマージュを感じさせてくれる。

 犯罪者側にも、その愚かさと止められない悪意、強欲、追いつめられてゆくこで消耗してゆく人間性、などなど、実にヒューマンな要素がたっぷり詰め込まれている。多くの人間を代わる代わる手を変え品を変え描いてゆくことで、本シリーズに魅力を加味するのだと言わんばかりである。

 シリーズ第二作の本書は、マクベインの87分署でも傑作と名高い『キングの身代金』を彷彿とさせる<誘拐>を主たる犯罪テーマとして描いている。もちろん件の名作とは全く異なる内容なのだが、シリーズ二作目にしてこうしたテーマに挑もうとする作者のチャレンジ精神には敬意を表したく思う。

 ネタバレになるのであまり言いたくないのだが、本書はいくつかの事件にとっては経過的ポジションに当たるので、本当は5作くらい翻訳本が出てから一気に連続して読んだほうが味わいがあるように思う。キャラたちも未だシリーズが浅い間は、記憶に根付かない。シリーズの群像小説は、連続性が途切れるのがちと辛い。

 87分署シリーズの方は、ぼくは一気に30年分くらいの作品を連続して読んだので、あの時期のことは、マクベインとお会いできた追想、その後マクベインの死を聞いたときの悲しみも含め忘れ難い。そうした87分署体験をしているだけに、本書にも長いスパンでのシリーズ傑作として、世界を代表する警察小説に成熟してほしいと思う。次作を待ち焦がれます。
誘拐 (創元推理文庫 M テ 19-2 P分署捜査班)Amazon書評・レビュー:誘拐 (創元推理文庫 M テ 19-2 P分署捜査班)より
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