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熱源
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熱源の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全101件 81~100 5/6ページ
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歴史書か歴史小説か? はじめは 登場人物の多さに戸惑うが とても面白かった | ||||
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明治から第二次世界大戦までのサハリン(樺太)を舞台にしたアイヌの物語。本作品は史実を基にしたフィクションだ。サハリンがロシアや日本と領有を争い、翻弄されるアイヌ。昔から住んでいただけなのに、外から来た人から差別され、あまつさえ滅びる民族とまで言われる。ブロニスワフは流刑の地としてサハリンに流された。彼も故郷を失った人であり、アイヌと境遇は似ている。そんな歴史がたかだか70年から100年位前の現実なのだ。アイデンティティと尊厳を保ちながら生き続けることの難しさを再認識するとともに、今の日本人も敗戦で、国が分割されたりアイデンティティを失う危険もあったわけで、それが現実にならなかったことに改めて喜びを感じる。 | ||||
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サハリン出身者で戦後苦労された方を知っているので、興味を持って読み始めました。 北大の資料館で聞いたもの悲しい先住民族の歌の録音も記憶に蘇りました。 テーマがユニーク、登場人物もアイヌ、ポーランド流刑者、ロシアの女性兵士など多彩で飽きさせませんが、最後の結末が壮大な物語としてはやや肩透かし。全体として、人口減に直面する日本がアイヌ民族のように隣国(=中国)に飲み込まれてしまうのか?という鳥肌がたった読後感となりました。たまには、このような小説も良いものだと思いました。 | ||||
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エンタメ歴史小説として、かなり質が高いと思います。 アイヌのヤヨマネクフやシシラトカや、ポーランドのピウスツキを中心に繰り広げられる一大歴史ドラマ。 私は大隈重信や金田一京助の名前は知っていたが、上記の人物たちは存じなかったので、てっきり創作上の人物かと考えていました。しかし、検索してびっくり。彼らは実在した人物でした。 もちろん、多々フィクションを取り入れてエンタメとして装飾しているところはあると思います。しかし、それにしても概ね彼らの人生はそのとおりなのだと思います。こんな激動の人生を送った人がいたのか、ということに驚かされました。 一部レビューで、「文明が悪」、「抑圧される側は正義」というイメージがつきすぎ、という評価を見て、確かにどうしても抑圧される側を主人公としているため、そのような部分も否定はできないかとは思いますが、バランスは取れているのではないかと思いました。それなりに支配する側にも度量の広さを見せる人たちも多数書かれており、必ずしも偏った善悪の対立に依らない視点があります。冒頭の子供の親が潔く詫びる部分や、西郷氏など、支配する側にも一定の理屈や、カリスマ性のようなものが描かれていたように思います。 唯一イマイチな点を言うとすれば、若干主語が不明確な文章が多々ある(読み進めればわかるのですが、これは誰のセリフ?となる点がある)ことでしょうか。それでも、概ね歴史を扱っているのに読みやすいですし、次にどうなるのだろう、というストーリーは秀逸だと思います。読んで損はありません。 | ||||
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日露戦争、ロシア革命、ポーランド問題、ソビエトの北方領土侵攻も含め壮大な作品になっている。 人の名前が各国語が混じるので大変だ、表が欲しいね。 | ||||
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読了後、自分のアイデンティティを再認識する良い機会になりました。私は物語にも出てくる北海道の出身ですが、祖父母の世代は父方、母方共に本州からの移住と聞きました。それより以前の祖先達はどのような家庭環境なのかも知らずに過ごしてきました。 今は海外旅行も盛んで、インターネットやSNSで世界中の情報と容易につながることができます。だからこそ自分や先祖の生い立ちを知り、今、自分がここにいる意義を再認識したいと思いました。 これからの日本は急速な人口減で、良くも悪くも外国から移住してくる沢山の人と一緒に暮らしていく中で、生活環境や文化は交わり変わっていくのでしょう。上の感想とは少し矛盾しますが、自分の子供たちには変わりゆく環境に上手く適応して生き抜いていって欲しいと思ってしまいました。 | ||||
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直木賞受賞。書評を見て、これは読まねば!と即購入。 壮大な物語で感動しました。 日露戦争以前の樺太(サハリン)で暮らすアイヌの子どもは、和人が入植してきて北海道に移り住み、そこでコレラなど伝染病の発生という災難に遭い、大切な一族を失う。失意の中、苦労して樺太に戻れば、そこはもう元の故郷ではない。和人たちは、アイヌを「文明化」しようとする。親友は日本人の父とアイヌの母を持つ混血だが、自分はアイヌだと思っている。彼らは成長し、アイヌの自立のためには、学校を作り、適応せねばならないと奮闘する。 また遠くポーランドでは、ロシアから祖国を奪われた青年が、政治犯としてサハリンに送られ、入植囚の仕事に駆り出される。単調な日々の中、樺太(サハリン)の少数民族・ギリヤークの人々と出会い、その生き方に心を打たれ、生きるエネルギーをもらう。そして刑期を終えた元・入植囚がギリヤーク人の村を奪おうとしたり、境界でトラブルが起こったりしたとき、仲裁に入り、感謝される。またロシア帝国からも、サハリンの少数民族に精通する民俗学者として評価され、刑期を短縮され研究者としての地位を得る。 樺太でなんとか暮らすアイヌたちは、日露戦争で板挟みになる。ロシア人からも、和人からも「道案内」を頼まれる。自分たちが生きてきた故郷は、ロシアの物でも日本の物でもないのに、奪い合いだ。自分たちはどうすれば良い?目の前で戦闘が繰り広げられる…。 一方ポーランドの独立を願う青年は、日露戦争に勝利した日本に、祖国の独立の援助を頼もうと(自分の意思ではないが、独立運動の仲間から乞われ)、日本を訪れる。そこでは大隈重信に会ったり、二葉亭四迷に会ったりして、どこまで史実に基づいているのか、非常に興味深い話も出てくる。 そして「序章」と「終章」に出てくる、ソ連軍の女性兵士の体験が、最後にすべてを結びつける、という構成もすごい。 樺太(サハリン)にはかつて、様々な少数民族が、自然に適応して生きてきた。ロシアと日本がそこを奪いあい、先住少数民族を「野蛮な未開人」と決めつけ、ヨーロッパの文明が崇高であることを前提にその文明を押しつける。明治維新のときの日本は、欧米が持ち込んだ弱肉強食の摂理の中で戦うことを早々に決め、強い国家づくりに着手し、日露戦争に勝利し、その後の戦争につき進んでいくわけだが、世界は弱肉強食であるという摂理そのものと戦うということは可能だったのだろうか? 少数民族であれば、もっと選択肢は少ない。文明に適応し、「立派な日本人になる」ように強いられても、アイヌであり続けることは可能だろうか? ありのままにまっすぐに、時代の渦の中で生きる様々な立場の人たちを描いている。今まで知ったつもりになっていた歴史がものすごく深まって見えてくる。 話題の本だから、読み終わったらメルカリですぐ売れる〜と思ってハードカバー買っちゃったけど、感動で手放せそうにありません…。 | ||||
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荻上チキのセッション22聞いて興味を持って読みました。 川越さんの歯切れのいい受け答えが良かったんだけど、思った通り面白い物語でした。 スケール感があり、中退したかもしれないけど歴史学科にいた片鱗を見せる語り口で面白かった。 | ||||
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サハリンと北海道に住む、アイヌ及びギリヤークの人々を軸に 帝政ロシア時代から、日露戦争・ロシア革命・第一次世界大戦・第二次世界大戦までの時代を描いた小説。 シベリア流刑を期に、アイヌ研究をしたポーランド人がいたという史実に驚きます。そして小説だからこそ描かれる、アイヌの人々の苦難やそれによりそう和人・ポーランド人。 歴史本だと、単に「ロシアで革命がありました」「北海道に屯田兵が入りました」「ロシアと日本が戦争しました」「サハリンがロシアから日本に割譲されました」「ロシア革命がありました」で終わるのでしょうが、人々の暮らしは住んでる土地を統べる国が変わろうが、戦争があろうが、延々と続いていく・・という当たり前のことを、小説は改めて教えてくれます。 | ||||
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琉球処分という小説だ。似ているが、多様性とスピード感がより現代的。 | ||||
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漫画「ゴールデンカムイ」のせいもあり、アイヌへの興味はこれまでになく高まっているのではないでしょうか。 本作は、実在の人物を主人公にしているため、例えばアイヌに超能力的なサバイバル技術を持たせるなどの荒唐無稽な設定はなく、細部でも例えば日露戦争時には「腕に巻いた時計」第2次大戦時では「腕時計」と何気に区別をつけており、全体的によく調べてい書いているな、と感じました。著者の「これを書きたかったんだ」という意欲がひしひしと伝わる力作で、直木賞受賞はごもっともです。アイヌの末裔の方々の感想を知りたいです。 | ||||
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サハリン(樺太)を主舞台に、近代国家列強の拡大主義によって、少数民族がもみくちゃにされていん様子を描いた良作。群像劇の手法がとられ、数人の視点人物が、それぞれの立場と問題意識で激流を生き抜いていく。ボーランドの独立運動から白瀬南極探検隊、金田一博士のアイヌ・ユーカラ保存活動まで多岐にわたる事象を盛り込んでいる。その分、やや焦点がぼやけた感もあるが、場面ごとの描写には力があり、細かなユーモアもあって好感を持った。 | ||||
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サハリンアイヌの物語を中心に近現代の民族とは何か、人間が生きる歴史とは何かを問う構造。ソ連赤軍の女性兵士、ポーランドの独立運動家、薩摩出身の明治政府の軍人、大隈重信、金田一京助等多彩な立場と思考、そして言語を読ませる。つくづく多民族社会、多言語世界だなあ~と思わせる。「日本人」て言ったって近代の産物だよね。 | ||||
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分断と不寛容の現代社会。 多様性を認めない欧米の波は、日本にも押し寄せています。 ”日本民族”の優性を信じて疑わぬ日本人たちにより虐げられていく先住民(アイヌ)を様々な角度から描いた本作は、それが100年前の姿を描いた物語とはとても思えぬほど今の日本とよく似ています。 静かに淡々と綴られる文体にもかかわらず、著者が込めた熱源に、読んでいて胸が熱くなりました。 ひさしぶりに名作に出会えた感動に、心地良い読後感に包まれました。 | ||||
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水は高いところから低いところに流れるのが自然の摂理。 電気も同じ摂理だが、抵抗として電球をつければ、熱を帯び、光り輝いている。 明治から昭和にかけて、日露戦争を経て、第2次世界大戦を経て、樺太を語る。 人が生きるということを語る。 極寒で深々とした森に豊漁の海。 様々な民族が住む大地、樺太。 ただ住んでいるだけなのに、様々な影響を受けて翻弄されていく。 波に流されず立ち向かう志。 生きている証拠を残していく。 この大地で強く生きていく。 史実に基づいたフィクション。 読後はつい胸が熱くなる。 | ||||
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樺太(サハリン)に生まれたアイヌ、故郷を奪われ生き方を変えられたヤヨマネフクと、リトアニアに生まれ、ロシアの同化政策により母国語を話すことを許されず、皇帝暗殺の罪を着せられサハリンに流刑となったブロニスワフ・ピウスツキ。実在する2人の物語を主軸に描かれたフィクションは、文明という名の暴力、弱肉強食という摂理、民族のアイデンティティについて静かに訴えかける。 厳しい自然を克服する知恵と経験により、サハリンでひっそりと暮らしていたアイヌを始めとする少数民族は、土人と呼ばれ蔑まれ、屯田兵による開拓や数度の戦争に翻弄され続けた。日本とロシアが奪い合い、国境が引かれ、統治する国が変わり続けた島。老いたアイヌが問う「人が住んでいる。ただそれだけではどうしていけないのだ」と。 優秀な民族が劣った民族を教導するというヒューマニズムを装った支配。先住民族に文明的な産業と文明を知る教育を授けるとき、そこには誰が残るのか?しかし、「誰か」であるということが、生死や穏やかな暮らしよりも優先すべきことなのか?という二つの考えが相克する。 史実をもとに描かれた物語は、金田一京助、白瀬矗、大隈重信、二葉亭四迷など実在する人物が登場し、そのユニークなエピソードは重苦しい空気を明るくする。時代に翻弄され、滅びゆく民と言われたアイヌ。アイヌとは彼らの言葉で「人」を意味するという。明治から昭和に至るまでのこの壮大な歴史小説は、民族、国家、思想を超えた、正に人と人との物語だった。 何日もかけて読み続け、極寒のサハリンを踏破したような疲労感のなか、この物語の主題である「生きているならできることがある」という思いが渦巻き、「熱源」というタイトルのとおり、胸の中に熱い思いがふつふつと湧き上がるような熱い作品だった。 | ||||
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しばらくぶりに、芯の有る小説を読んだ気がします。 極限のなか、教育とは何か! 今の時代にも問われる事かと思います。 弱肉強食の摂理のなか、生きてゆくに必要なものとは! | ||||
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間宮林蔵が海峡を確認するまで樺太(サハリン)が島か半島かも「文明社会」では知られていない時代からそこに暮らす先住民が、のちに侵略してきたロシアと日本の覇権に翻弄されていく様を史実を踏まえ、物語られます。 今までにバイコフ、アルセーニエフ、そしてニコライ・ブッセの「サハリン島占領日記」、チエーホフの「サハリン島」を読んでいたので、戦争を知らない作家が作る物語(高橋弘希の「指の骨」を読み始めたときもそうでしたが、)は嘘くさいなと思いながら読み進めました。 ところどころに【熱】を入れてあざといなとも思いました。 しかし一気に読めました。 少しアカデミック崇拝がありますが、実在のブロニスワフ・ピオトル・ピウスツキと「極」で知った樺太アイヌの山辺安之助を中心に置いたユーカラですね。 多分何らかの賞を取るでしょう。 | ||||
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・史実を基にしたフィクション ・北海道、樺太を舞台に歴史に引き裂かれ、そして繋がれた人々を描く ・最初は複数名の主役の軸を理解するのに時間がかかるが、それが済むと途中から流れに乗って読める | ||||
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緻密な描写、民族とは何かを考えさす。アイヌへの愛情、ロシアの政治犯のサハリンでの流刑、他民族が結びついていく、金田一京助周辺の人々、南極探検、悲しみと戦争を通底に、普遍性を持った壮大な物語が紡がれる。 | ||||
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