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堕落刑事: マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ
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堕落刑事: マンチェスター市警 エイダン・ウェイツの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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原著タイトルは、直感的に「サイレンズ・イン・ザ・ストリート」(エイドリアン・マッキンティ)を想起させますね。北アイルランドに轟くサイレンズの呼び声に呼応するように、「堕落刑事:マンチェスター市警 エイダン・ウエィツ "Sirens"」(ジョゼフ・ノックス 新潮文庫)を読む。今回の舞台は、イングランド北部、マンチェスター。 押収品のドラッグをくすねて停職になった刑事エイダン・ウエィツは、選択の余地なく麻薬組織への「アンダー・カバー」へと巻き込まれていきます。国会議員からは家出した娘の動向を監視するよう依頼され、「堕ちた刑事」はマンチェスターのストリートにある闇より暗い闇へと深く、深く潜入していきます。開巻、マンチェスターという都市を描く作者の筆致は魅力的です。ダークサイドを描くべく、ダークサイドに寄り添った心。そして、潜入捜査の中でいくつかの殺人事件が起き、「ダークサイド」にどっぷり浸かったもう一人の腐敗刑事の存在が明らかになっていきます。蔓延するドラッグ、違法薬物、汚染薬物、不正行為、窃盗、喪失したID、引き起こされる機能不全。 登場人物たちが肌理細かく描かれ、細部へのこだわりが感じられますが、それらを整えようとするあまりに物語を多面的に弄り回している印象が強いですね。よって、中盤は少し退屈です。必要な「退屈さ」なのかどうか?エイダンは若きアンチ・ヒーローです。彼が、アルコールとセックスとドラッグに塗れながらその奔放さによって「捜査」をかく乱させ、傷だらけの自分をさらけ出すことによってある<真実>を導き出します。自分だけではなく、そのすべてを傷つけながら。問題ある<はぐれもの>は常に<はぐれもの>たちを引き寄せてしまうのでしょう。 <陰鬱な英国>を浮き彫りにするマンチェスターの若きアンチ・ヒーローの登場。作者のデビュー作だそうですね。余韻の残るいい結末だと思います。いつの世も"セイレーン"の歌声を聞いた男たちは、愚かな世界の中、何も学ぶことなく「愚かな」ままそこに残されます。 | ||||
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