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美しき愚かものたちのタブロー
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美しき愚かものたちのタブローの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全52件 41~52 3/3ページ
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吉田茂すげえ 田代の造形が幼すぎの感じだった 「かつての友情」をあてにして「私」で付き合ってた相手の「公」の部分に触れて、いちいち「違う」とか言ってるレベルの話してるのかなあ。と序盤で思ってしまった 率直な話、この人交渉チームに入れて、良くも返ってきたもんだ。の方向に アトリエを飛び出せたのは単純に絵の具がチューブや瓶になったからだと思うし、新進の近代物しか売ってない、買えないから、自然と「近代美術」になったんだろうし、武器商人やりながら「戦争でなく、平和を」と言われても、マッチポンプの様だなあ。と。 しかしながら、手当たり次第だろうが、数が集まれば、確かに「力」は発生する どうなんだろう「全部買います」って。場合によってはかなり失礼かつ無礼な気がするが、そこいら辺が松方の人徳だったんだろうか。↑で喜ぶのは、知名度無の赤貧状態の場合かと。名が通ってる相手じゃむしろ無礼に触れる気がするんだが なんつーか、日本的な好みとして「絵」そのものより、その背後の「物語」が重視されるルーツはこの辺か。という気がした 「それがなくても生きていける」ものを「存在価値」に置いてしまった日置の苦悩と困窮が気の毒だった やっぱね。↑は「余裕」がないと 買うんだったら、ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ルーベンス買ってくれた方が良かったなあ…売りに出る訳ないが 自分は近代画家にはほぼ興味なしの嗜好なんで、読み方偏ってます | ||||
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言葉や文字以上に、一枚のタブロー(絵画)は人の心を揺さぶる。 日本の画学生は本物の西洋画に触れる機会はない。松方幸次郎は画学生たちのために日本に西洋画を買い集め持ち帰ろうと決心する。そして、みんなが楽しめる最高の美術館を創ろうと— マハさんの得意とするアート小説。史実に基づくフィクションです。 情熱と熱意でフランスから「寄贈返還」の交渉と実現した男たちに感謝の気持ちでいっぱいになりました。そして今、国立西洋美術館でモネやゴッホなどの沢山の西洋絵画を見ることができるのは、松方幸次郎という人物がいたから。 作品の中に出てくる所在不明とされているモネの『睡蓮、柳の反映』は、先日、NHKスペシャルで放送され大きな話題となりました。 2016年ルーブル美術館で発見され、日本で現存部分の修復を行い、初めて国立西洋美術館〈松方コレクション展〉で一般公開されています。いつもですが…マハさんの作品の読後は美術館に行きたくなる。 | ||||
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国立西洋美術館の母体になった松方コレクション。川崎造船所の初代社長・松方幸次郎が、美術品コレクターとしてロンドンやパリで1万点を超える美術品を買い集める。タブロー(絵画)に魅せられた松方達が「日本が列強に比肩するためには芸術・文化に注力する必要がある。そのために、日本に西洋美術専門の本格的な美術館を創る」という大義を持ち、どのように絵画を集め、第二次世界大戦の戦火から守り、フランス政府に押収されたコレクションを日本に連れ戻したのかを描いた物語。 松方が最初に購入したと言われる絵画の画家フランク・ブラングィン、購入した絵画を保管していたロダン美術館の館長レオンス・ベネディット、そして巨匠クロード・モネとの交流や、吉田茂首相が切り出したフランス政府との交渉などの物語を知ることによって、国立西洋美術館での鑑賞が一層楽しめる本。 「世界は広いのだ。井の中の蛙となって大海を知らずに過ごすのではなく、世界の中の日本の立ち位置をいつも認識する努力を怠らない。我々日本人はそうあるべきだ。そして、そのためにも、美術はよき鏡になるはずだ。文化・芸術をいかに国民が享受しているかということは、その国の発展のバロメーターになる。すぐれた美術館はその国の安定と豊かさを示してもいる。もっと言えば、国民の「幸福度」のようなものを表す指標にもなるのではないか。」 | ||||
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西洋美術館で開催されている「松方コレクション」観賞の予習として購入。期待以上に話に引き込まれました。美術ファンの方も満足出来る作品だと思います。 | ||||
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わずか10年余りの間に3000点ものコレクションを作り上げた、松方幸次郎。 それが震災、大恐慌、そして戦争と時代の大きな波に呑みこまれ、折角の コレクションも雲散霧消してしまう。 そんな時代に生き破天荒な生涯を送った松方だが、彼のコレクションも 同様に数奇な運命を辿ったといえるだろう。 松方の人生も十分面白いが、著者の興味はもちろん松方ではなく、その コレクションだ。 松方のアドバイザーを務め、モネのアトリエをも伴に訪ねた田代雄一の 目を通して語られる松方の人物像、タブローとの出会い、そして コレクションの行方。 これこそがミステリーだ。 「ジベルニーの食卓」「楽園のキャンバス」に続く質の高い美術小説。 もうすぐ直木賞発表だ。 期待したい。 | ||||
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松方コレクションの松方幸次郎を描いた作品である。 国立西洋美術館で開催中の「松方コレクション展」に合わせて出版されたように思える。 初出は昨年6月から今年4月までの週刊文春での連載という。 それからすぐに、コレクション展開始と軌を一にするように単行本化されたようだ。 6月に行ったコレクション展での解説などを読んで、松方の活動には関心があったから、一も二も無く購入して読んでみた。 松方の川崎造船所の経営、日本の芸術志望の若者に本物の西洋美術を見せてやりたいという、コレクションをはじめることになった考え方のきっかけ、そしてコレクションの進め方が膨大な史料と著者の該博な絵画への知識によって描かれていく。 松方コレクションへの知識を得るものとしては、申し分ない。 しかし、一方で、読みながら、この人の作品はいつもきれいにまとまり過ぎて行く、という奇妙に滑らかすぎる肌触りへの違和感も感じ続けていた。 もっと、松方もその他の登場人物も、ドロドロとした思いや割り切れないものを抱え込んでいたのではないのかと。 それでも、最後まで読んで、このせめぎ合いは、原田マハにわずかに軍配が上がったと思う。 読んでよかった、と思えたのであった。 | ||||
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非常に面白かったです。 松方コレクション展を見に行く前に読むと、より楽しめるかもしれません。 | ||||
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私は、パリに詳しいですが、よく勉強しています。この作者は、以前のエッセイの中で。フランス語はできないと書いてあったのですが、その後フランス語もかなり勉強された形跡が見られます。何かの賞をとるのにふさわしい作品だと思います。 | ||||
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大きなことを成し遂げようとする男にはなぜか同じ志を持った男たちが集まって来ます。松方幸次郎や吉田茂 田代雄一、日置釭三郎たち。彼らそれぞれが主人公となり、過去にさかのぼって叙述され、生き様や人間像が 浮き彫りにされています。多くのものを犠牲にして仕事を遂行する溢れんばかりのエネルギーに圧倒されそう。 タイトルにある「愚かものたち」には“愛すべき”とか“凄い”など敬愛の念が込められているのは明らかで、 そんな愚か者たちを本気にさせるタブローの持つ力は計り知れなく、人類の宝であるといえます。 光まぶしい永遠の都パリの描写も素晴らしいが、それ以上にタブローの表現が秀逸。実物を見ずして「睡蓮」 や「アルルの寝室」に恋してしまいそう。美術音痴の私は著者の言葉で理解するしかないのですが、それが悔 しくまた淋しい。いや・・・理解ではありません、感じることですよと言われそうですネ。 | ||||
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「いまの日本では、(松方幸次郎のような)型破りで、強気で、小さいことにくよくよせず、大局を見据えて、社会のためにと、大きな仕事を率先してやっていく蛮勇が、すっかり鳴りを潜めてしまった。」という大人物、漢(おとこ)の伝記的フィクション。 美術小説の第一人者としての慧眼は健在で埋め込まれたフレーズには相変わらずうならされる。「印象派の絵はまぶしいんだよ。」「日本人としての誇り。」「美術とは、表現する者と、それを享受する者、この両者がそろって初めて『作品』になるのです。」「あのタブローは、どんな一撃を君にくらわせたんだ?」「美術館っていうのは、たまらなくわくわくするものじゃないか。」「(レオナルド・ダ・ヴィンチという)天才が生まれたという必然」などなどキレキレです。 個人的には前々候補作「ジヴェルニーの食卓」、前候補作「暗幕のゲルニカ」のほうが完成度が高い気もしますし、いやおうなしに巻きこまれた戦時下での極秘指令は蛇足感もありますが、すべてが収束していくラストの一文がとても素敵です。 | ||||
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絵画鑑賞が好きで、海外旅行が好きで、原田マハさんの小説は大分読んでいます。ちょうど5月にパリに行き、 美術館巡りをしたばかりだったので、立体的に読書ができたが、本書から得られた情報を知ると、もう一度、 パリに行かなければならなくなった気がします。本書を読むと、本当に今の時代に生きている私たちは幸せだと 感動しますが、それは有名、無名の数多くの尊敬に値する方々の努力の上に拝受できている幸せだとつくづく 感じました。 読後感、良かった。 今の時代に生きて、このような小説が読めて、良かった。 ちょっと足を延ばせば、松方コレクションを集めた国立西洋美術館に行けるところに住んでいて、良かった。 絶妙のタイミングで松方コレクションの特別展が開催されるので、良かった。 本書にも出てくるモネの”Water Lilies, Reflection of Weeping Willows"が3年前に大きく破損してルーブル美術館で発見され、日本に送られ、大修復が行われ、今回公開されていることを日本経済新聞で知り、感動できて、良かった。 登場人物の方々も、草葉の陰から、多くの観衆が上野の国立西洋美術館に集って、松方コレクションを見て、感動してくれていることを知り、喜んでくれているであろうと思った。 | ||||
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2009年のルーブル美術館展で『大工ヨセフ』に魂を釘付けにされたのを覚えている。あれこそ、芸術に触れる悦びではなかったか。その会場であった、選りすぐりの作品が揃えられた国立西洋美術館の常設展こそ、鑑賞する価値が高いと感じたことを今も思えている。そうか、あれらこそ、松方コレクションであったか……。 本書は、「日本にほんものの西洋美術を。しかも傑作を展示して見せてやるんだ」(p351)との情熱に、そして壮絶な使命感に生涯を費やした4人の男たちの物語である。 ・凱旋門を見上げ、シャンゼリゼを眺め、パリの街を呼吸する。不羈の人、ナポレオン・ボナパルトを思えば、そこに松方幸次郎がいる。いま、この瞬間を松方とともに生きている自分が、歴史の一部になるであろうとの予感を抱く田代雄一の気持ちが、痛いほどよく伝わってくる(p196~198)。 ・「風の行方を追いかけるようにして……」(p299)クロード・モネの"庭"で、老画家と松方、田代の邂逅するシーンは秀逸だ。 ・パリジャン、パリジェンヌが行き交う宵のカフェテラスで、田代が松方に打ち明ける"タブローへの情熱"。「とても幸運な、幸福な愚かもの」(p205)。と言うが、家族の軛と経済的苦境を打開し、政府の援助まで授けられることになったのは、まさにその情熱によるもの。これほどの熱意があって、なるほど、事が成し遂げられるんだとわかる。「タブローへの熱狂」(p206)。そして松方の身の上話がはじまる展開はすばらしい。 ・第9章からの日置釭三郎の物語は一気に読ませてくれる。そして宵のカフェテラスで、静かに対面する日置と田代の姿が浮かび上がる。日置にとって松方からかけてもらいたかった言葉(p428)。それを口にする田代こそ素晴らしい! 情熱と使命感。それらはすべてを突き崩し、歴史を造りなすもの。最高の男たちの生き方(スタイル)に魅せられてしまった! もういちど、「国立西洋美術館・フランス美術松方コレクション」に足を運ぼう! | ||||
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