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騎士団長殺し
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【この小説が収録されている参考書籍】
騎士団長殺しの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全407件 321~340 17/21ページ
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村上ワールド楽しませていただきました。 雑木林の穴にまで死に物狂いで辿り着くまでの間、まりえを探すために混沌としたイデアの世界をぬけてやっと戻ってこれたのに、まりえは免色の家に忍び込んでいただけだったオチはそうきたかと。 まりえも騎士団長に出会ったが、そこで何か違うところに導かれたりすると面白いのにと思ってしまった私は凡人でしょうか。 ペンギンのお守りの行方が気になるためこのまま終わらず続編があることを期待したい | ||||
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そこまで期待せず、いつも通りの村上さんの小説だと思って買って、十二分に楽しめた。それで十分では。。。。 | ||||
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もしこの小説がここで完結してしまうとしたら、評価は★2.5ぐらいが妥当だと思います。 もちろん悪くはないし嫌いではないんだけど、ここで終わってしまったら、今この作品を書くという意味があまり感じられないと思うからです。 第2部が終わった時点では、はっきり言って、「過去の村上春樹の総集編」とか「キャリアの総括」みたいなものを感じてしまうことが多かったです。 事実、過去作をモチーフにしているとおぼしき描写や登場人物などがたくさん出てきます。そもそも一人称の物語に戻っているあたりも原点回帰的な趣きも感じられます。 しかしこの作品が、ただのそういったキャリアを総括する原点回帰モノだとは僕は思いません。 というのも、第3部が書かれるであろうということ(あるいは第3部が書かれなければならないであろうということ)が、第1部と第2部の各所にちりばめられていると感じるからです。 そして、その第3部こそが、今現在の村上春樹がもっとも書きたかったこと(そして書かなければならなかったこと)であると思いますし、それが村上春樹にとっての「白いスバル・フォレスターの男」であるのだと思います。 今までは「描いてはいけない」という強いメッセージを感じて描くのを躊躇い、未完成のままにしておいた部分。第3部でそこに踏み込んでいく予感がしてなりません。 (前作の「色彩を持たない〜」も、「自分が見たいものを見るのではなく、見なくてはならないものを見る」というテーマが推進力になった作品だと思うので、その点ではそれをさらに深いところへ進めていく、とも言えると思います。) というわけで、僕は第3部が出るという前提でこの作品を捉え、この作品を現時点で★4としたいと思います。 来たるべき第3部に向けてのすばらしいプロローグというふうな印象を受けています。 ただし僕の予想が完全に外れていた場合は冒頭で言った通り★2.5ぐらいの評価になります。 おそらく1年後ぐらいに答えがわかるのでしょう。(そしてもしハズレていたらとても恥ずかしい…) | ||||
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久しぶりに面白かった。ねじまき鳥クロニクル以来かと。一巻の途中で騎士団長が出てきたときは、ああまたか、と思ったものの、結果として違和感ない物語になっている。最後の文章を読み終えた瞬間、泣きそうになってしまった。 次は、ポール・オースターの冬の日誌だ! | ||||
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最初のプロローグだけを読むだけで、興味が涌いてきてしまいました。<顔のない男>が肖像を描いてもらいに来た、、、休みの時間を利用してゆっくり読みます~ | ||||
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読み終えるのが惜しくてちょっとずつ読もうと思ってるのについ読んでしまったり。まったく展開がわからない。本当にすごいことだと思います。他の小説はこうはいかない。 いま小説は商品になってしまっていて、裏に編集者がいて売れそうな作品しか世に出してもらえないわけで、いかにして売れる作品を書くかって感じでテクに走ってどんどん窮屈になっているように思いますが、村上さんは降りてくるものを、流れてくるものを書いているんだと感じます。そう、村上作品は理解しようとして考えるべきではなく感じるべきなんだと。だからこんなに魅力的なのだと。いつまでも余韻が胸に残るのだと思います。でも読み終わっちゃって寂しいな。いつまでも読んでいたかった。こんなに没頭できる本は滅多にないです。 レビューが荒れてるようですが、星ひとつのひともすぐに買ってちゃんと読んでるわけだから、すごいなー。 | ||||
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主人公に名前がなく、「私」で通している。ダンス以来か。あれは「僕」だったけど。 やはり村上春樹の主人公には名前がない方が上手くいく。ノルウェイは例外として。 ねじまきどり以降は構えが大きくなってしまい、この作者の守備範囲を超えていた気がする。 構えが小さくて好ましいし、何となく初期作品への回帰を感じる。 しかし全く必要ないところで「火星の運河」とは?しかも全然乱歩的ではない。 乱歩を知らないのか?知ってて書いたのか?「火星の井戸」の回帰だからいいのか? 気になる。 | ||||
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発売されてから1週間、ゆっくりと時間をかけて第1部を読み終えた。現在文章を味わいながら読める数少ない作家の一人である。村上春樹の作品は、『風の歌を聞け』から殆ど読んでいる。 初期の頃に比べて大分読みやすくなった。初期の頃から一貫して同じテーマを扱っている数少ない作家の一人である。初期の頃に村上龍との供書で『ウォーク ドント ラン』と言う作品がある。この中で村上龍は、春樹が登場して自分は大分楽になったと言っている。この後二人は異なった道を歩み始めるのだが、この二人が今世紀を代表する作家になった。 この作品では、155ページに免色 渉の名刺が印刷されている所あたりから村上ワールド全開になる。死んだ妹と、別れた妻、謎の人物免色氏、スバル•フォレスターの男そこに騎士団長が加わり物語が展開して行く。生と死、異界、 悪、ファンタジー、ユーモアが交わり村上ワールドが構築されていく。第2部で物語がどう展開していくのか楽しみである。 | ||||
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近年の村上春樹の中では最も面白く読めた小説でした。 妻と別れて、見知らぬ女とセックスして……という筋立ては流石に食傷気味ですが、今作は村上春樹にしては珍しく、日本画や仏教といった日本的なモチーフが多く用いられ、ちょっと目新しさがあります。 暗喩に満ちた作品世界は相変わらず魅力的で、個人的に最も惹き付けられたのは『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で見られた「物語を生み出すとはどういうことか」というテーマと、『ねじまき鳥クロニクル』以降の「暴力性にいかに対峙するか」というテーマを結び合わせた点です。「コミットメント」に転じて以降の村上春樹作品には賛否両論ありますが、これは暴力と深く「コミット」することを選択した著者だからこそ書けた小説だと思います。 「暴力を描くということを描いた」とでも言えばいいのでしょうか。頭が悪いのでうまい表現が思いつきませんが。 一方でうんざりさせられたのは登場人物の造形です。雨田も免色も村上春樹的センスに従順に描かれ、何の魅力も感じません。秋川まりえなどはあまりにもありふれた「イノセントな美少女」像でしかない……というか、何だかライトノベルのキャラクターっぽいデフォルメされた感じで、全体の暗く謎めいた雰囲気の中で彼女だけ浮いてるんですね。だいたい13歳の内向的な少女が、絵画教室での関わりしかない主人公に胸の大きさだの叔母と免色の関係だのを逐一相談するという展開もどうなのか。 あと以前と比べて比喩がうまくいっていない印象があり、このあたりにはやはり作者の老いを感じました。 まあそんな感じで、本当は星3.5ぐらいの評価なのですが、『1Q84』『多崎つくる』と微妙な作品が続く中で久々に「読めて良かった」と思えるものに出会えたので、今回は星4で。 | ||||
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精霊みたいなのが、あらない、あらないと呟きつつ小説に登場してくる。 小説の中の彼は、絵を描く上で、必ずしもその絵が上手くいくとは限らないことが分かりきっている。 失敗したとしても、暗い洞窟を潜ってここまで来たんだという努力の過程が、頭の中を離れない。 騎士団長殺しの主人公の絵描きの気持ちをどれだけの人が共感できるだろうか?とにかく、物語と時間は、ただ、ただ、経過する。 | ||||
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ネタバレがあります。 ねじまき鳥の方が濃くて楽しいけれど、 ・いなくなる妻 ・穴に潜って諸々潜り抜けて現実に戻ってくる主人公 ・夢で通じた女性が妊娠 ・新しく知り合う完璧なセンスと振る舞いのお金持ち 等々、いつもの村上春樹さんの作品に出てくるモチーフが盛りだくさんです。 性描写が賛否両論ですが、昔(ノルウェイの森等)のような鮮烈さも無いので、個人的にはそんなに気になりませんでした。 安心して読めました。 | ||||
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本作には第1部のプロローグに対するエピローグが存在しません。 「海辺のカフカ」では二冊に分冊された本が「上」「下」として出版され、「ねじまき鳥クロニクル」では「第一部」「第二部」が同時に出版された後、その後「第三部」が執筆された経緯をたどりました。「1Q84」でも「BOOK1」「BOOK2」が同時出版された後「BOOK3」が出版されました。 思うに著者において、この物語に続きはないと断定できる場合は「上下巻方式」、物語が続きを求める可能性がある場合には、連番方式で出版されるように思います。 そして本作では、「ペンギン」に関するエピローグが書かれる「第3部」の存在が、ねじまき鳥や1Q84以上に意識されます。 そのため、今回は割と早い段階で第3部が発表されるかもしれないと強く期待しています。 「ねじまき鳥」にしても「1Q84」においても、第3部の存在により作品のレベルがぐっと上がり、それが作品全体像の印象を変えさせられたという経験をしました。 というわけで、現時点では未完成の作品として星4つとしましたが、第3部の内容しだいでは星が増えるかもしれません。 本作第2部は副題のとおり、村上春樹が得意とするメタファーの物語。 特に「顔なが」に下級なメタファーを言わせる場面などは村上春樹自身楽しんでるなと思わせるユニークさです。 「優れたメタファーはすべてのものごとの中に、隠された可能性の川筋を浮かび上がらせることができる」 なるほど上手いこと言いますね。 本作では、主人公の「絵」について説明がなされる場面(「私が写実的な絵を描くことはまずないが、そのような種類の絵を描くことが決して不得手なわけではない。たまにそうしたスーパーリアリズムに近い絵を描くことは、私にとって気分転換になったし、基礎技術の洗い出し訓練にもなった」)がありますが、それが村上春樹の文学に対する姿勢とも読め、また、自身が得意とするメタファーに対する考えも示されるなど、確かにすでに言われているように、村上春樹自身の作品を総括する作品だとも言えそうです。 また、「望んでも手に入らないものを望むだけの力がある」私と「望めば手に入るものしか望むことができなかった」免色。 この二人の対比も本作の魅力です。 さて、「羊をめぐる冒険」以降、約30年間に渡りタイムリーに読み続けている村上春樹作品。彼の作品は、いずれもある一定の高いレベル(多少の好き嫌いはありますが)を維持し続けている希有な作家だと思っています。 (ちなみに、同じく30年間読み続けている村上龍作品は、気合いの入った作品と適当に書き殴ったような作品のレベルの差がかなり激しく、気合いの入った作品だけに集中してくれれば村上春樹よりもノーベル賞に近い作家だと個人的に思うのですが。) 村上春樹は、物語性を重視するエンタメ小説とは違い、文体やテーマを重視する純文学作家ですので自身の同一テーマを追求し続けるのはアリなのですが、文体が割と読みやすく感じられ、かつ読者を惹きつける物語性があるためエンタメ作品同様の売れ方をしています(実は、読みやすさの裏に何度も推敲を重ねた文学的技巧が隠れています)。特に「ノルウェイの森」以降の売れ方はかなり異常だと思います。マスコミの取り上げかたも良くないのでしょう。 従って出る釘は打たずにはおれない我々日本人にとって、彼はまさしく打たずに無視することができない(もしくは批判することがトレンドと感じてしまう)対象となってしましました。 村上春樹作品が好きだと言うことがまるで罪のような現状。 私は別に村上春樹が嫌いだという人を批判したいとは思いません。そういう考えは当然あると思っています。 好きな人は好き、嫌いな人は嫌い、それでいいじゃないですか。 ただ、今はなんとか、みんなに忘れ去られ「ノルウェイの森」以前の、知ってる人は知ってる程度の知名度の作家に戻ってくれないかしらとあり得ない想像をしています。 しかし村上春樹も、もうすぐ70代。あと何作、作品を発表してくれるか、少しずつ不安になってきました。 本作の第3部も早く執筆してくれないと、何があるか分からない年齢になってきます。 | ||||
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騎士団長 、スバルフォレスターの男、 イデア 、メタファー、二重メタファー、顔なが、穴、鈴の音、免色、まりえ、雨田親子、そして私。 読了後 、なかなか頭の中から離れてくれない感じです。 全て理解することは叶わないであろう事柄を、自分なりに考え続ける事が好きな私には、とても面白く、物語の後半は、一気に読んでしまいました。 第3部が出る可能性もあるようですが、是非またこの世界観に入り込みたいと思っています。 | ||||
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なぜなら私には信じる力が具わっているからだ。 どこかに私を導いてくらるものがいると、私は率直に信じることができるからだ。 「騎士団長はほんとうにいたんだよ」 「きみはそれを信じた方がいい」 | ||||
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「どんな雲の裏地も明るく輝いている」と言葉が文中確か2回でてきます。思わず笑みを浮かべながら読み続けました。チェットベーカーがやさしく歌っている歌詞で春樹さんの個人的なマントラの言葉です。今回第1部と第2部を一気に拝読させていただきました。肩はこるは目は疲れるはまさに「苦行」でしたが読後ひさびさの高揚感を味わい思わず部屋の窓から青空をしばらくながめていました。先人たちの作家でも映画でも音楽でも人間がいかに生きるかを模索し数々の作品を発表しました。私は村上春樹さん作品で答えの半分をいただき残り半分を別の・・から言葉「...」をいただきました。本当に「ロングアンドワインディングロード」でしたが確かなる道を見つけました。ありがとうござました。 | ||||
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免色が主人公による自分の肖像画の完成を記念して自宅に食事に招待するところが実に食欲をそそりました。自宅にコックを呼んで料理してもらうというのはホリエモンの本で読んだ事がありますが、それほど高額でもないそうです。この食事シーンを再現したいとシェフとバーテンを呼んでみたいとも思いましたが、そこまで踏み切れず、ちょっといい肉を買ってきて焼いてみました。美味しかったです。 | ||||
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ついつい本レビュー欄であまりにも軽薄で皮相的な批判や中傷を目にしてしまい、作者と同世代で作者の執筆活動に40年近く寄り添ってきた者の一人として、どうしてもオマージュを捧げておかなくては居ても立ってもいられない気持ちになった。 浅慮なレビュアーたちに向かって、騎士団長もこう言っている(かもしれない)。 「諸君は未熟で感受性が乏しいわけではあらない。イデアとメタファーに通じていないだけなのだよ」 さてどのようにレビューをまとめようかと思案しているさなかに『NIKKEI STYLE』に恰好の記事を見つけた。 文芸評論家・清水良典さんはこう書いている。 「近作に比べると、オーソドックスでスタンダードな書きぶりに回帰した印象だ。(中略)こうした表現を保守的とネガティブに受け止める読者もいるかもしれない。しかし、村上は今作で2つの非常に重く、チャレンジングなテーマに取り組んだ。テーマが大きいがために、あえてオーソドックスな書き方を取ったと考えられる」 その「2つの大きいテーマ」とは、改めて自分が何を書く作家なのかを自己確認し作家としての信念を表明したこと、父親との関係を含め人間の魂に深く根づいている邪悪な感情や憎しみの傷を正面から書くことで自身の立ち位置を明確にしたこと、と清水さんは指摘する。 翻訳家・鴻巣友季子さんの評にもシンパシーを感じる。 「村上作品としてこの十数年で最も面白いものだと思う。一人称の文体に回帰し、自己批評やユーモアも戻ってきた。(中略)ただ『異世界につながる穴』や『(夢の中で行われる)実体のない性交』など、過去の作品で出てきた多くのモチーフが現れ、作家が自らの過去の仕事を総括したような感が強い。特に『ねじまき鳥クロニクル』を語り直したような小説という印象を持つ読者は多いだろう。セルフパロディーは一つの小説技法であり、効果的にやれば面白いが、本作の場合は過去の『変奏』ともいえない単なる『反復』という感は否めない」 偉大なるマンネリズム、という言い方もあるじゃないですか、鴻巣さん。 とまれ、一字一句片言隻語を噛みしめるように読んだ。今回もまた至福の読書体験だった。 | ||||
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ついつい本レビュー欄であまりにも軽薄で皮相的な批判や中傷を目にしてしまい、作者と同世代で作者の執筆活動に40年近く寄り添ってきた者の一人として、どうしてもオマージュを捧げておかなくては居ても立ってもいられない気持ちになった。 浅慮なレビュアーたちに向かって、騎士団長もこう言っている(かもしれない)。 「諸君は未熟で感受性が乏しいわけではあらない。イデアとメタファーに通じていないだけなのだよ」 さてどのようにレビューをまとめようかと思案しているさなかに『NIKKEI STYLE』に恰好の記事を見つけた。 文芸評論家・清水良典さんはこう書いている。 「近作に比べると、オーソドックスでスタンダードな書きぶりに回帰した印象だ。(中略)こうした表現を保守的とネガティブに受け止める読者もいるかもしれない。しかし、村上は今作で2つの非常に重く、チャレンジングなテーマに取り組んだ。テーマが大きいがために、あえてオーソドックスな書き方を取ったと考えられる」 その「2つの大きいテーマ」とは、改めて自分が何を書く作家なのかを自己確認し作家としての信念を表明したこと、父親との関係を含め人間の魂に深く根づいている邪悪な感情や憎しみの傷を正面から書くことで自身の立ち位置を明確にしたこと、と清水さんは指摘する。 翻訳家・鴻巣友季子さんの評にもシンパシーを感じる。 「村上作品としてこの十数年で最も面白いものだと思う。一人称の文体に回帰し、自己批評やユーモアも戻ってきた。(中略)ただ『異世界につながる穴』や『(夢の中で行われる)実体のない性交』など、過去の作品で出てきた多くのモチーフが現れ、作家が自らの過去の仕事を総括したような感が強い。特に『ねじまき鳥クロニクル』を語り直したような小説という印象を持つ読者は多いだろう。セルフパロディーは一つの小説技法であり、効果的にやれば面白いが、本作の場合は過去の『変奏』ともいえない単なる『反復』という感は否めない」 偉大なるマンネリズム、という言い方もあるじゃないですか、鴻巣さん。 とまれ、一字一句片言隻語を噛みしめるように読んだ。今回もまた至福の読書体験だった。 | ||||
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ネタバレになりますが、物語の最後で、東日本大震災の時テレビの津波の映像を子供に見せなかった話が印象的だった。自分はこの時ずっとテレビを見ていていましたが、幼い子供に見せてはいけないなんて考えもしなかった。「何かを理解することと、何かを見ることとは、またべつのことなのだ」の一文を、多分忘れない。 村上春樹の作品は殆ど読んだが、どの作品もそれなりに面白いがよく分からない。しかし読後は心に何かが残っている。 村上春樹を読む理由は、丁寧に真摯に物語を作っているのが感じられるのと、癖になる文体と、豊富な示唆に富んだアイテムを堪能できるところが大きい。アイテムの例として、1Q84の第3部に出てくる「冷たくても冷たくなくても神はここにいる」の言葉は、ストーリーに関係ないが忘れられない。この作品でも多くのアイテムが登場する。 村上春樹の作品は、料理を食べるように、音楽を聴くように読むのがいいのかもしれない。 物語から外れるが、村上春樹が有名になるにつれて批判も多くなった。しかし殆どは自分の好き嫌いを作品の良し悪しにすり替えてるだけだ。 中華料理が嫌いだからといって、中華料理は脂っこいし店内が赤で派手だから間違っているとか言う輩がいたらアホかと思うだろう。主人公のキャラクターが気に入らないと言う前に、何故このキャラクターにしたのか考えるべきだ。 そういえばこの作品に「南京大虐殺」の話が出て来ただけでイチャモンつけるレビューがあったが無視するに限る。犬に吠えらても吠え返すのは愚かだ。もし噛みつかれたら保健所に連絡しよう。 最後にハルキストは鬱陶しいとかうざいとか言われるが、村上春樹をファッションにしたり、ノーベル文学賞の発表間近にハルキストの集まる店に行き彼らを変態扱いしてるのはマスコミだ。村上春樹の作品が売れるのは歓迎するが、売り上げやハルキストだけ報じられて、肝心の作品の内容が議論されないのは残念。誰も理解出来ないとはいえ。 | ||||
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変わったタイトルだし、今までとはかなり違う村上春樹かな、と思ったら、いつもの雰囲気。過去の作品に出てきた登場人物に似てるキャラや状況が次々と顕れる。ウルトラ兄弟大集合、というところか。 主人公、近所のお金持ちエリート、そこから眺めるだけのちょっとの距離に住んでる美少女。これはグレートギャツビーをイメージしてるのは間違いないと思う。 そして「騎士団長」は、なんとなく星の王子さまっぽいところもあるような。小さかったり、剣を持ってたり、自ら死を望んだり。 いつもの春樹的な感じが強いが、ありがちでつまんない、という印象はなく、次々とページの先を読みたくなります。展開が派手すぎるような、ミステリー的な謎解き要素がちょっと多すぎるような、そんな気もしました。 ラストで触れている、主人公と免色さんの違いのような部分をもっと読みたいかな。続編があるのかな? でも、やっぱり読んでておもしろいです。 免色さんファンになりました。なんだかんだ言って頼りになるし、助けに来てくれたときは、読んでてうれしかったなぁ(笑) | ||||
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