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少女葬



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【この小説が収録されている参考書籍】
少女葬

少女葬の評価: 3.91/5点 レビュー 33件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.91pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全33件 21~33 2/2ページ
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No.13:
(4pt)

2人の少女の好対照の運命を中心に、社会の底辺に置き去りにされた少女・少年達の凄惨な姿を描いた秀作

ドキュメンタリー・タッチで、シェア・ハウスに住む(住まざるを得ない)社会の底辺に置き去りにされた少女・少年達の凄惨な姿を描いた作品。綾希という理性を持った住人もいるのだが、ほぼ「綾希=作者」と考えて良く、綾希の視座でシェア・ハウスを観察したという体裁になっている。風俗嬢、(性的)DV被害者、生活保護者、家出娘、東南アジアからの出稼ぎ女、牢名主の様な中年の男女。様々なシェア・ハウスの住人の生態が冷静に綴られている。これらの住人は何処からか逃避して来たのだが、住人になってからも誰かから支配・搾取されている上に、シェア・ハウス内でも派閥の様なものが出来ていて、どこまで上下関係の階層が続くのかと慄然とする。

作中で、ある登場人物が「弱さは罪」、「愚かさは罪」と吐き出すが、作者の意匠は真逆で、「世間の人間は遍く平等」という事を主張したかったのだと思う。上述した住人の多くは家庭環境の問題などで止む無く身を落としたものだからだ。同じく作中で、ある司法書士が「人生の岐路に立たされた時、正しい道を選ぶための選択肢を得られた事自体が幸運」とも言い、綺麗事の様だが、考えさせられる言辞ではある。この「人生の岐路」を活かしたのが綾希で、シェア・ハウスを出て、調理師を目指して弁当屋でアルバイトを始め、恋人も出来て、初体験も済ませる(最後には、本当に調理師になる)。シンデレラ・ストーリーの様で若干現実味に欠けるが、この描写とカットバックで描かれるシェア・ハウスで綾希と同室だった眞実の物語が陰惨を極めていて、その詳細は筆舌に尽くし難い。

2人の運命を別けたものは何だったのか、という点も本作のテーマの1つなのだろう。最後まで読むと、本作のヒロインは眞実だったのではないかと思える程だが、冷静な筆致でいながら重厚な秀作だと思った。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.12:
(5pt)

現実と向き合う。

衝撃的な事象から始まっていく。
それは壮絶極まる凄惨さ。
貧困で転落してきたものたちが住む脱法シェアハウス。
荒んでおぞましい、閉塞のどん底の生活を描いていく。
そこからはい出せるか、更に転落していくのか。
人生の岐路に立つ少女たち。
はい出せたら、きっと一握の幸せがあるはず。
取り巻く環境によって、人生の岐路は大きく変わる。
学校に行かずとも、本をしっかり読み、ものの道理を知るもの。
その場の雰囲気流れに応じ、流れ、流されていくもの。
天地ほどの違いがあるそれぞれの道を選択した少女たちの姿を追っていく。
同じ境遇を分かち合えるのが、「親友」。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.11:
(5pt)

二人の少女の運命の対比が残酷。

行き場のない人間が集まるシェアハウスで出会った二人の少女。
はじめは同じようなところにいたのに、徐々に運命が分かれていきます。最後には、一方は幸せの絶頂にいるころ、もう一方は凄惨なリンチで命を落とすという、その対比が細切れに交互に描かれていました。
でもきっと運命の違いなど紙一重で、子どもは親を選べず、酷い扱いを受けてもじっと耐えて大人になるのを待つか、途中で逃げ出すか…。幸せになった子の境遇に関しては、運が良過ぎるといいますか、フィクションならではの実際にはほぼあり得ないシチュエーションがあってのことですので、たいていの家出した子供にはきっと地獄の日々しか待っていないのでしょう。家にいても地獄、飛び出しても地獄という、現実…。考えさせられます。
ページを捲る手が止められず、一気読みしました。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.10:
(4pt)

生と性

世代に関係なく悪い奴はいる。
貧困や虐待、暴力・・・そして、後半の生と性が同時に進む展開はページをめくる手が止まらなかった。
ただ、読み終わったあとはなんとも言えない気持ちになった。
そこも櫛木さんの作品っぽいけれど。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.9:
(5pt)

傑作貧困小説「FEED」が待望の文庫化

これ、「FEED」としてハードカバーで出版された作品ですね。単行本発売から何年もたつので、あまりに凄絶で残酷な内容のため、文庫化されないのかと思っていたところで、文庫化。ただ、タイトルと書影は単行本のほうがはるかに秀逸。「チェインドッグ」(死刑に至る病)にしろ、櫛木さんの作品は、文庫落ちする際に改悪されるケースが多いと思う。
本作の内容の重みと深みは、みなさんご指摘のとおり。少女がリンチで殺されることは冒頭で明かされているのに、一気読みさせてしまう櫛木さんの筆力はさすが。ただ、綾季の物語は出来過ぎ、ご都合主義かも。
今では「貧困もの」が書店にあふれかえってるけれど、「FEED」が刊行された当時は、充分に新鮮なテーマだった。今、出そろった感のある同テーマの作品と読み比べても少しも遜色がない。比肩し得るのは、天祢涼さんの「希望が死んだ夜に」くらいではないかと思う。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.8:
(2pt)

微妙

家出の少年少女など、訳ありの老若男女が集まるシェアハウスを舞台に、
二人の少女の人生が描かれていきます。
SNSでの拡散など、まさに現代社会の闇そのものではありますが、
あまり楽しめませんでした。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.7:
(5pt)

うーん

SNSで拡散炎上するリンチ動画や貧困ビジネスの実態、家族との不和や児童虐待など現代の病巣に切り込んで面白かった所もあったのだが、最初に被害者の固有名詞がでず二人視点で進行していくので、ミステリ読みの私は終盤あたりまで「実はミスリードでこの子が庇って身代わりになるんじゃ……?」と疑っていた。

それはまあ悪い癖というか勝手な思い込みなのでおいとくとして、綾希のバイト先の先輩が真っ当に生きる術として挙げたのがいかにも作り物っぽいエピソードで冷めてしまった。
本に感銘を受けたのはいいのだが、林檎の木は説教臭い上にありきたりすぎて「ああ、はあ、そうですね……」と真顔になった。いや、いい話なんだが……各所で使い古されてる名作な上になんにでも引用できる万能さが、かえって嘘くさくて身に迫ってこず、ああ、やっぱり虚構なんだな……と感じた。
(あの先輩のキャラなら取って付けたような先人の言葉じゃない、自分の趣味に沿ったエンタメの中から、等身大の言葉を引用するのではと思った)
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.6:
(5pt)

暗い話ですが手が止まりません!

オススメです!
普段はラノベやらドンデン返し系のどちらかというと明るい系の本を読んでいますが、たまたま平積みされていたこの作品のタイトル惹かれて購入。
暗くそして恐ろしい内容にもかかわらず手が止まらない。素人には分かりませんが上手にかかれていらっしゃるんだと思います。
今の自分はホントに幸せなんだなと感じさせてもらいました。
迷ったら是非購入してください。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.5:
(4pt)

切なすぎる

岐路で選んだ
ほんの小さな角度の違いで運命が変わっていく
それは運なのか
自己責任なのか
切ない
切なすぎる
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.4:
(5pt)

読み出すと止まらない

読み出してそのまま一気に最後まで読んでしまいました。
残酷で悲しく、それでも、どこかに美しさのある物語でした。
家庭で問題をかかえ家出した似た境遇の少女二人がシェアハウスで出会い、友人になる。けれど、二人の進む道は別れて……、という展開です。
人生の明暗というのは、どこで別れるのか、考えさせられました。結局、人は一人では生きれず、出会う人によって運命が変わるということなのでしょうか。それにしても暗の道へ進んだ少女の最後がひどすきました。
読んで楽しい話ではないのですが、読み出すと最後まで読まずにいられません。
余談ながら、こっちのタイトルの方がずっとインパクトがあっていいです。最初からこのタイトルだったら良かったのに、と。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.3:
(4pt)

生きる姿勢を考えさせられた

実際に本当にこういうことはあるんだろうなと思った。貧困ビジネスの実態についても学んだような気がした。
よくできている小説だと思ったけれども、一番考えてしまうのが冒頭の少女のことについてだった。主人公の少女とどこで違ってしまったかって。それは最初から。主人公は現状から逃げてきて、事態を自分で解決すべく動いてた。そうしないと飲み込まれてしまうから。だけど、冒頭の少女は、現状から逃げてきて、はっきり意識しないまま、現状を解決するという考えが浮かびもせずに楽しい方向に流れてしまった。冒頭のようになってしまったのはもちろんひどいことで、そんなことをされるほどひどいこともしていないのに、でもそれは彼女の行き着く当然の帰着だった気がする。底辺に近い状況で、自分が置かれている状況に気がつかず、問題意識を持たないがために、また状況は途中で帰られたかもしれないのに、それに流されるということは罪であるということをはっきりと理解した気がする。もし彼女が彼女が彼女の満足できる状況にいたとすればチャームポイントであっただろう素直さが別の意味で悲しい。
ちょっと間違うと誰のみにも起こる得るのかなと考えるとちょっとこわい。
主人公については、ちょっとリアリティーに欠ける気がする。現状認識能力や危機管理能力が高く頭の回転が速いというのはあると思うけれども、ひどいなりに普通の生活をしていてすぐあの状況になれて対処していけるというのは…
ネタバレになってしまったらごめんなさい。著者の作品は「死刑に至る病」から入って、すごく引き込まれたんだけど、その後何冊か読んだけど面白い作品に合えなかったけれども、これは、自分の生きる姿勢を考えるという意味でも、ぜひ読んでほしい作品です。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.2:
(5pt)

現代の悲惨物語

偶然の機会に手に取った本だが、いわば拾いものだった。現代の悲惨を題材にした物語としてたいへんよくできており、久しぶりに一気読みした。
 最初に、若者たちの凄惨なリンチによって一人の少女が死ぬ。その写真を、かつて彼女の友人だったもう一人の少女が眺めるのがプロローグになっている。この部分には固有名がない。第一章から、固有名を持った二人の少女を主人公にして筋が運ばれ、どっちが先の事件の被害者となるのか、早いうちに見当がつく。最後になって逆転を食らわせるつもりかな、とも予想したが、そんな小技は使われていなかった。いつ何が起きても不思議はない不穏な雰囲気の、サスペンスを盛り上げる要素になるだけで、また確かに、それで十分である。
 二人は家出少女で、似たような境遇の者が集ういかがわしいシェアハウスで知り合う。家出は経済的な理由に依るものではない。毒親、と呼ばれ得るような、精神的に子どもを圧迫する者はけっこういて、高校も出ないで、つまり中卒の資格でそこから逃げ出した子どもにこそ、収入の道はない、という意味で金銭上の問題が大きくのしかかる。彼らは社会的弱者となって、餌食にしようとつけ狙う悪人たちの手にどう捕えられるか、どう逃れるか、が物語のポイントになる。
 弱者であればこそ、甘えや同情はいっさい通用しない。それは最初の段階で明らかにされる。日本のような穏やかな国でも、このようなキツイ部分は、昔から今まで、絶えることなく存続してきたろう。それをきちんと納得させてくれるリアリティーがあり、一方それでもなお残る人間的な情愛で物語がしめくくられる。もう一度言うが、よくできていて、感心しました。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814
No.1:
(5pt)

一気読み必至

櫛木さんの作品では、「死刑にいたる病」や「瑕死物件」など、心底怖くなるものを読んできたが、本作品はホラー的な要素とは違った恐怖感があった。

劣悪な環境のシェアハウスを舞台にストーリーは展開する。
抵抗できない弱者とみるや、骨の髄まで食い物にする貧困ビジネス。そうした搾取され人生を踏みにじられる層と、弱者を食い物にして生きる層の生き様を巧く描いている。

本書を読んで、同じように貧困ビジネスを題材とした作品として「東京難民」(福澤徹三)があったことを思い出した。これと比較すると本作品では閉鎖されたシェアハウスの中での弱者の苦悩、苦痛、困難を正確に、詳細に描いてる点で、優れている気がする。

読み始めたら一気読み必至の作品だと思う。
少女葬Amazon書評・レビュー:少女葬より
4101012814

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