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蘭の肉体



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【この小説が収録されている参考書籍】
蘭の肉体 (創元推理文庫 133-2)
蘭の肉体 (1963年) (創元推理文庫)

蘭の肉体の評価: 3.60/5点 レビュー 5件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(2pt)

空虚な面白さ

チェイスはいつも一定の満足感を保証してくれる作家で、年に1作は必ず読むんですが、今年読んだ本作は、今までで一番駄作かな。
普段は虫も殺せぬ可憐な乙女だが、何かの拍子に化け猫のような人格に豹変するという設定。精神病院から脱走した彼女を、腹に一物ある男どもが追う。キャロル(娘の名前)は自分を救ってくれたまっとうで親切な男に恋するが、男は殺し屋に殺されてしまう。ここから物語はキャロルの救いなき復讐劇に変化。もうハードボイルドどころじゃない、しっちゃかめっちゃかで、作者もまずいぞと思ったか、唐突にいろんな怪しい登場人物を投入しては、キャロルの行く手に山谷をつける。このへん、思いつきの場当たり設定であることがもうありあり。
などとけなしつつも、ページをめくらせる手腕は相変わらず一流です。中身はないけど、一気に読める、マンガみたいな作品。
蘭の肉体 (創元推理文庫 133-2)Amazon書評・レビュー:蘭の肉体 (創元推理文庫 133-2)より
4488133029
No.1:
(2pt)

ほとんどホラー作品

 一人の美女を巡り、死体の山が築かれていく・・・。スピレインに並ぶアクション派作家チェイスの代表作。
 しかし、世間一般のハードボイルドのイメージを求めて読むと肩透かしを食らいます。なぜなら、内容はほとんどホラー作品となっているからです。
 
 まず、登場人物。主人公キャロルは、殺人犯の父の遺伝子を受け継いだ殺人マシンです。また、彼女と対決する黒外套の殺し屋、サリヴァン兄弟の「周囲に不安を与える」存在感は、ホラー作品に登場するシリアルキラーそのものです。
 残念ながらハードボイルドらしい、トレンチコートやスーツでバッチリきめたカッコイイ登場人物が出てこないんですね。
 次にアクション・シーンの描写。ハードボイルドでお馴染みの銃撃戦よりも、爪やナイフなどの多量の苦痛と出血を伴う凶器によるアクションをじっくりと描いています。特に主人公キャロルが爪で相手の眼球を切り裂くシーンはどぎつい。
 そして最後に、チェイス自身は登場人物よりもシナリオの展開に重点を置いて作品を作るからです。チャンドラーやハメットのように、強力な主人公を軸とするのではなく、とにかく恐怖・残酷性の高い展開で読み手を引きずり込む。スプラッター映画の演出と同じですね。
 以上のように、ほとんどホラー作品に近い内容なので「カッコイイ、タフな男」を見たいというハードボイルド・ファンより、「とにかく怖くてハラハラさせる本を読みたい」という方にオススメします。 
蘭の肉体 (創元推理文庫 133-2)Amazon書評・レビュー:蘭の肉体 (創元推理文庫 133-2)より
4488133029

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