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乳と卵



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【この小説が収録されている参考書籍】
乳と卵
乳と卵(らん) (文春文庫)

乳と卵の評価: 3.35/5点 レビュー 153件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.35pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全74件 61~74 4/4ページ
No.14:
(4pt)

斬新で独特な文章が楽しい。

「やっぱ、コミュニケーションよね。」
なんて、ワイドショーの安っぽい批評家か!? 
みたいなことしか思いつかないんだけど、
大切なことは、うまく語れないことの中にあるのかもしれない。
だから、すれ違ったり、傷つけあったり、
話せるのにノートを使って会話したり?

さすが、芥川賞受賞なだけあって、斬新で独特な文章が楽しい。
女性ならではのえぐい部分を、しっかり描写しつつも、そんなにグロテスクにならないのはそのせいか?若いんだか、古いんだか、固いんだか、やわらかいんだか、わからないような。
です、ます調も、断定調もごちゃまぜなのに、自然。
こんなふうに、自由に書き綴って、独特のリズムみたいなのが生まれたら、読むほうも楽しい。

最後は、卵の複線が、思わぬ形で盛り上げてくれて、やっぱりジーンとしちゃうわけです。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.13:
(4pt)

女性の身体性へのこだわり

この作品、〈女性の生理・身体性〉を突き詰めて描いている。だから、男の私にとっては、なかなか共感はしにくい。何と言うか、生々しすぎる。いや、初めて知った世界だというのではない。いろいろの伝聞や読書経験で、この程度の知識は漠然とではあるが私にもある。それは勿論、他人事としての、実感を伴わない知識に過ぎないのだが。
 初潮、思春期を迎えての身体的心理的変化の疾風怒濤ぶりは、男よりも大きいのであろう、と思える。男の私自身ですら思春期の一時期は苦しかった記憶があるが、女性の変化はそれに勝るだろう。〈女は子宮で考える〉なんて表現もある。あるいは♪おんなはう〜み〜♪ 
 誰の言葉か忘れたが「女は男にとって存在論的他者」という表現があったように思う。で、この小説は女にとっての「存在論的不快」を描いている、と思った。それは成長の一過程で現れるものであって、それを克服というか超克というか、乗り越えて女性の成熟はなされるのだろうが、一時的にはそういう状態になる、と。
 そういう意味ではこのテーマはいわばありきたりなのだが、小説の言語表現(樋口一葉風の延々と続く長広舌のねちっこさと深さ)には作者の言語センスのただならぬ才能を感じさせられた。私は韻文はからっきしダメなのだが、その一歩手前の散文で妙技を見せてくれたように思った。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
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No.12:
(5pt)

少女期の著者自身へのレクイエム

貧しい母子家庭に育ち、生まれ生きることに後ろめたさを感じ、自分が子供を産める大人の女になることを恐れる少女、大阪の品なき京橋のスナックで懸命に働き、豊胸手術に生きる因(よすが)を求める母、二人の互いへの愛情と切なき極限の魂の邂逅の物語です。

小学生の緑子は著者自身の代弁(表現)者であり、本書は著者が描かずにはいられなかった少女期の自分自身へのレクイエムだと感じました。芥川賞の名に恥じない、自身を表現し人間存在の核心に迫った素晴らしい親娘の物語だと思います。

〜以下、著者の日記「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」から抜粋〜

「私は子供の頃、生まれてきたことがなぜか後ろめたくて、わけが判らなくて、なぜ毎日はこんななのに、いつかみんな死んでしまうのに、いくら働いたってお母さんはちっとも楽にならんのに、なんで3人も子供を生んで、朝も夜も毎日働いて、みんな死んでしまうのに、悲しいことの方が多いのに、お母さんはそれでいいの。しんどくないの。そんな風に感じていた」

「表現する人はすごいなどと、なんでかいつの間にかそういう馬鹿げた話になっているわけだけど、表現というのは実はほんとうは滑稽で恥ずかしいものだ。表現者というのは大きな声を出してみたり、反抗してみたり、ここに居ますと叫ばなければ、そこに黙って座っていられないどうしようもない種類の人間であって、いわば一番判りやすく欠落した人間であるともいえる」

格差社会が表面化した現在の日本において、貧しさの中、すれ違いながらも互いを思いあう親娘の哀切な物語が芥川賞に選ばれたのは、出版業界や選考委員等々の思惑の域を超えた大いなる意思によるのではないか、ふとそんな気がしました。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.11:
(4pt)

純文学として強力。ラストが凄い。

ほとんどの芥川賞選考委員が賛成したのも納得できる作品。
読みにくい「小さな話」であり、純文学純文学している。しかし純文学らしい深く鋭い味わいも確かにある。

乳と卵子のつながりは選考委員が選評で述べていたようにもう一つストレートには腑に落ちないが、
日記をつけ辞書を調べ言葉の意味に拘る喋らない緑子(小学生)が、物事の根源を哲学的に探っているのに対して、
貧乳で豊胸手術を受けようとする母(中年女)「ほんまのことなんて、ないこともあるねんで」と現実に疲れた科白で応じながら、
二人が激しく衝突する文学ファンの間で評価が高いクライマックスは、
確かに、表現力でも相当に高いものがあるし、意味を考えても、鮮烈だと感じる。

前作とも構造が似ていて、(日記が出てきたり、クライマックスが騒動であること等)、
この作家に幅の広さがあるか疑問もあるけれど、
この小説は「純文学としては」、やはり腕っ節の強い、なかなかの作品であると感じました。

タイトルの「乳と卵」のついて。
衝撃のあるクライマックスの親子対決の、
「母と娘」の意味かもしれませんね。

乳を持つ大人と、卵である娘、の対決という意味。
(貧)乳に悩む女と、卵(生まれたこと)に悩む娘、の対決という意味。

ともかくこの小説は語り手である自分は脇役で、母娘のお話です。

貧乳である母を「父」性的なものと見立て、
「乳と卵」ならぬ「父と卵」という洒落的な含意もあるのかな? などと、
読者がちょっと迷ってみるのも、読者の勝手、読書の楽しみです。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
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No.10:
(4pt)

最初は読みにくかったが・・・

最初は何とも読みにくい文章だなあと思っていたが、読み進む内に苦ではなくなりました。
樋口一葉のオマージュだという解説を読んで、納得しました。確かに、長い文の連続でした。少女の名前も緑子というのは、「たけくらべ」の美登利から採ったのかな?

物語は、コンプレックスから豊胸手術をしようとする母親巻子、その娘で初潮への不安と母への愛憎から喋らない緑子、東京でひとり住まいの語り手で巻子の妹夏子の3人だけが登場人物です。夏子の家での二泊三日の生活がすべてです。
内容が内容なだけに、男性の私としては解らないところが多すぎますが、話としては結構面白いと思いました。
文章全体も起承転結がしっかりしていて、しかも、ラストのクライマックスの卵のシーンは最高でした。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.9:
(4pt)

文体のリズム

皆さん言われているように、関西弁でとうとうと流れ続く文章が
独特の味で、楽しんで読みました。
ただ関西弁を自分の言葉としないので、文体による効果と関西弁
による効果との区別がつかない。もちろん両者相まって著者の文
章なのだろうけれども、関西弁での微妙なニュアンスや意味合い
がわからない自分としては、本当に味わえているのか?も確信は
もてず、やや不安というか、損してるかも感があります。
この文体のまま、標準語に変換したらどんな感じか読んでみたい
ものだと思いました。
内容については、たいして中身はないというご意見もなるほどと
いう感じですが、女家族で育ったためか、母親と娘の葛藤や、つ
いにふたりの間の壁が崩れた場面は心うごくものがありました。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
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No.8:
(4pt)

昼は書店員、夜はホステス。文学的じゃないか。

その作品よりも作者本人がセンセーショナルな話題となっている川上未映子の芥川賞受賞作。直木賞の桜庭一樹による「私の男」が傑作だった事もあり、興味深々読み始めたのだが、他のレビュアー諸氏もこぞって触れるように、これが、かなり読みづらい(笑)。
大阪から豊胸手術を受けに上京した姉とその娘を迎えるもう若くない女性の視点で語られる物語。
文節の区切り方と言い回しが独特、しかも標準語と大阪弁がチャンポンで使われ、それが口語体になったり、写実体になったりする。
正直、何度か頓挫したが、彼女が、かって知り合いの女性との豊胸と男根主義の相関関係について論争した回想シーン辺りからようやくその作品世界にノレテきて、一気に読み切った。
主人公たちの“物事”の見方、捉え方が面白く、それを表現するまどろっこしいと思えた文体も読み続けるうちにクセになっていく。
大衆浴場での乳をめぐる洞察のおかしさ。
そして、時折インサートされる、思春期を迎え、“多感”な娘の、母親への複雑な思いが、最後の最後に爆発し、それが切なさを以って、融和と受容の世界にまとめられる意外なウエルメイド感。
文学的才気を感じさせながら、女性身体のデリケートな感性を生理的になまめかしく、時にあっけらかんと描写してみせた作者、埴谷雄高の「死霊」に感激したという作者、やはり、注目すべき存在だ。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
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No.7:
(4pt)

消化しにくい文章

川上さんは少し損をする作家かもしれない。いかんせん文章が複雑過ぎて目が回りそうになるのだ。おまけに、哲学好きとあって内容も分かりにくい。

要するに乳と卵は近頃の流行に逆行している。今売れている本には読みやすくて、読者のモラルを再確認させてくれるようなものが多い。これにサスペンスと感傷が加わればセールス的に満点だろう。しかし、そういった本はハンバーガーと同じで大量生産されるわりには後に何も残さない。

この点、乳と卵は生きたまま読者のもとに届く。分かりにくい文をずっとたどっているとあっと息を呑むような文章に出会ったりして、数行前から読み返えすことが多々あった。村上龍氏によれば一見無秩序に見えてぎりぎりのところで統制されている文章なのだそうだ。そういった文章こそ読む度に発見があって味わい深いものだろう。

話の展開に関しては特別なところはなかった。ここに少し仕掛けがあっても良かったかもしれないが、むしろこの本を読む時は一つ一つのエピソードに注目したほうがよさそうだ。ロボコンっていう中が見えない乗り物から母を眺める緑子の回想などは、このエピソードだけについて一晩中考えたり、想像を膨らませることができる。乳と卵はそういう印象深いエピソードがたくさん詰まった作品である。

乳と卵が低所得者の母子を描いているのも興味深い。似たような境遇の人たちを描くのが流行ではあるが、内容は他の作品と一線を画している。それは必死に働く母親への緑子の複雑な思いによく表されていて、感情を分りやすくて平たいモラルに置き換えることを川上さんは拒んでいる。今回、芥川賞を受賞したことで川上さんの作品は多くの人に読まれることになるだろうが、読者は自分の頭の中で文章が呼吸をしだすことを忘れてはならない。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.6:
(4pt)

美しくなりたいと思う心

芥川賞選考委員の石原慎太郎氏は私がこの作品を評価しなかったことを慙愧の念に駆られることはないであろうとの意味の言葉で総括されています。
 文章自体は読んでいてうっとうしいと思われる引っ掛かりが無く、文章のうまい作家独特の読み手の心を掴む、上手な文章で、次も読みたいと思わせるものですが、中身は石原氏の指摘するように豊胸手術自体に、豊胸手術をしても、遺伝上、子供まで胸が大きくなるとは限らないのだから自分自身だけが胸が大きくなることに固執して、自分の人生、一代だけの見た目だけにこだわって、いったい何の意味があるのかという疑問は消えないから、中身どうこうより、この本は女性の内面の告白の作品として読むべきで、文章自体はうまいんだから、読み手の心を引き付け、捕らえる作家として期待したいと思います。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
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No.5:
(5pt)

ちちとらん

Microsoft Word2007で「ちちとらん」と入力して、変換ボタンを押すと、「父と蘭」と出るところ、「ちち」は「乳」であり姉巻子の豊胸手術、「らん」は「卵」であり巻子の娘であり同時に「私」の姪でもある「語らない」「筆談少女」緑子の、いわゆる卵子と精子が結びつく準備体制が整った女体の神秘・初潮を描き出す、シンガー川上未映子の芥川賞受賞作。
 
 饒舌であり、かつまた大阪弁の面白さ、悲しさ、喜びを納める手腕は前作を凌駕するゆえ芥川賞という事になったのかどうか知らねど、途切れない、長く続く文章の続き具合の心地よさに、思わず脱帽、荒唐無稽の純日本文学のときめきに新たな国民作家の誕生!という掛け声しきり。日本文学を海外に翻訳本で出版する傾向が多い昨今、どういう風に訳するのやら、今からもって超心配するのは余計なお世話。
 
 このお話の最後の最後、あの語らない少女緑子が、母親に向かって一気にしゃべりまくるその親思いの言葉の端々に我々読者は、涙、涙、ああ涙。
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No.4:
(5pt)

今後が楽しみ

第138回芥川賞受賞作品。前回候補作『わたくし率 イン 歯ー、または世界』の文体は強烈に個性的で、この文体のままやっていくつもりかな?と思っていたら、テイストを保ったままずっと読みやすくなっている。個々の文章は異様なまでに長いのに、大阪弁モノローグ主体の文章の流れに身を委ねていると、苦労せずに情景やら心象風景やらが頭に入ってくる。見た目と違って読者に優しい小説だ。ストーリーも最後にきちんとカタルシスがあり、作風は180度違うけれども、著者の敬愛する村上春樹並みにサービス精神が溢れている。受賞第1作「あなたたちの恋愛は瀕死」も収録。文章はオーソドックスで大阪弁も登場しないが、主人公の息遣いまで聞こえそうな文章は紛れもなく著者独特のもの。小説を書き始めて間もないのに、すっかり個性を確立していて頼もしい。
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No.3:
(4pt)

買いです。

とても良い意味でですが、器も盛り方も取り立て目新しいところはありません。豊胸手術を受けに上京した「巻子」と、誰とも筆談でしか会話しない娘「緑子」。そのふたりのやりとりを、半ば傍観的に眺める「巻子」の妹「わたし」の視点と、「緑子」の語りのような手紙によって物語は語られます。題名の「乳と卵」もその「巻子」親子の在り方に因んでいますが、そういうふうに小さくまとめなくても、饒舌な文体で描き込まれた細部がきらきらと随所で目を引いて、思い切ってそっちで勝負してもよかったのではないかという気もしました(今までそういう作風だったのかもしれませんが。ただ、それだと芥川賞はどうだったでしょう)。そういう意味では試行錯誤のあとと取れるところもありますが、文体を含め高いポテンシャルを感じさせてくれる作品であることに変わりなく、こういった若い書き手がもっともっと出てきてくれれば、また新たな息の長い読み手を掘り起こすことにもつながるのではないでしょうか。また、 併録されている作品は受賞第一作の慣例に従って今月の「文学界」に発表されているもので、枚数の短めな、取り急ぎの習作の趣きです。しかし、こういった小品の細部に、この後の展開を予感させるものがあったりするので、意外と侮れないです。
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No.2:
(5pt)

テーマは自分の「からだ」

受賞で話題となり読んだ「わたくし率・・・」でKOされた。本作はある程度予想していたが、前作よりはるかに読みやすい。とは言え独特のリズムある文体はそのままで、今回も読むごとに世界に引きずり込まれた。なにしろ文章からあふれるエネルギーがすごい。関西弁であるのも必然だと思えてくる。クライマックスでは「魂の開示」のような壮絶なシーンが繰り広げられるが、それが面白いのなんの。卵、卵細胞、卵子、そしてメタファーとしての玉子をツールにつながる。性徴に戸惑う娘と豊胸しか頭にない母親。思春期の女の子はもちろん、体の成長をそのまま受け入れることが難しかった男性にも大いに共感できるだろう。
併録の作品は、これまでの2作と違い頭にすっと入って来ず短いのに手ごわい印象だった。
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4163270108
No.1:
(5pt)

テンポの速さ

いいと話題なので、手にとってみました。一文の中で、これでもかという程、次から次への描写が書かれていて、テンポが速いので読みやすかったです。しかも、関西弁がより一層、物語の流れの速さをうながしているような感じがします。
そして、この作者さんは、前回の「歯」の事もそうですが、実際に経験した事柄などを、文章の中で生かしてあると思いました。
物語に結論というものがなく、普通なら一体なんだったんであろうかと思うところを、読後何も思わずすっきりと終わったという感じにさせるのもこの作者ならではの魅力だと思います。次に出るのが楽しみな作家さんです。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108

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