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道祖土家の猿嫁
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道祖土家の猿嫁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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藤村の傑作も思い出しながら読み進めた.著者が若くして無くなったのは残念なことです. | ||||
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一人の女性の嫁入りから始まるこの物語は、当時の嫁というしがらみに縛られていた女性の代表のような気がします。 女に人権もない時代の、大所帯を切り盛りする女性の逞しさが、大変頼もしく読めました。 | ||||
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本自体は古い本ではあるが、本の状態はとても良かった。良い買い物だった。 | ||||
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その容姿から猿嫁と呼ばれた蕗が名家、道祖土家へ嫁してから33回忌まで。 時は日露戦争の明治から昭和の太平洋戦争を経て30年代まで。 蕗を中心にした親族・姻族たち そして土佐の寒村火振村の変遷を 当時の政治社会的な問題や克明に調べた村の因習などを織り交ぜながら 土着性たっぷりに描いている。 およそ100年間を実に多くの人たちを縦横無尽に動かせながら また多くの場面転換をしながら 一人のぶれもなく人物像が太く立ち上がる著者の筆力はすごい。 帯に書いてある「失われた故郷への鎮魂歌」というような 抒情的で薄っぺらい現実ではない。特に女性たちは それぞれが自分の生に純粋で、 とても原人的な逞しさを備えているのが小気味よい。 山深い村ではどこにでもこの世の事ともあの世の物ともつかぬ生物(霊?)が うごめいているような気がするのは そこに棲んでみれば肌で分かる。 村に伝わる伝承を下地にしているので 民俗学的な面白さも加わって この物語を更に重厚にしつつ 人も物も社会も少しずつ或いは突然 変遷しながら らせん状に動いていて 良くも悪くも決して元には戻らないことが根底にある。 | ||||
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大河小説仕立ての伝奇物語と言っていいでしょうか。伝奇的要素はありますが、「死国」のようなホラーや「山妣」のような愛憎劇を期待するファンには、ちょっと読み続けるのは苦痛かもしれません。似たような表紙イラストの「曼荼羅道」とは、だいぶ趣きを異にしています。 高知の山村の地主の家に嫁いできた女性を中心に、明治初期から昭和にかけての地方の風俗や生活感情などが淡々と綴られています。史実以上の驚くような大事件もなく、時代に抗いながらも流されてゆく人々が、現われては消えていきます。NHKの朝の連続テレビ小説を観ているような感じもあります。 ところどころで白猿が見え隠れします。どこまでが伝承ないしは幻想で、どこまでが現実なのか。それは読者の想像に委ねられています。 | ||||
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特に見せ場があるわけでもなく、淡々と話が進行してゆきます。 言い換えるならそれだけリアリティがあると言うことでしょうか・・・ 民衆から見た自由民権運動とか太平洋戦争の描写がすばらしく、考えさせられる。 下記は本文から印象的な部分の抜き出しです。 「儂らはみんなぁ、気ままに水に潜って、悪さして、遊びほうけることが好きな猿猴ということよ。裸でおるのが一番楽じゃに、馴れもせん人の着物を着こなそうとしゆうだけかもしれんち」 (中略)曾祖母は、家というものに自分を合わそうとした、私は社会という物に自分を合わそうとしている。だが、ぴったり合わなくて当然なのかもしれない。私たちはつまるところ、家でも社会でもないのだから。 | ||||
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物語は猿嫁の道祖土家の嫁入りから始まる。 猿の様な嫁の蕗は、物怖じしない性格なので、豪農の道祖土家に馴染んでいった。 世間は文明開化とともに、政党支持者間での乱闘騒ぎなど、政治色が色濃い。 そして、日露戦争、太平洋戦争を経て、農地改革の嵐が道祖土家に吹き荒れる。 これらの激動の明治大正昭和を、蕗は力強く生き抜く。 ここで著わされているのは、教科書の歴史ではない。 庶民の人間模様と、生身の人間の歴史だ。 明治大正昭和が、内側から描かれるところに、大きな価値を見出す。 第六章「玄道踊り」の最後の部分の蕗は、大変印象的。 そして、次の終章で描かれるものは、、、。 本書は、激動の100年を、人間模様を通じて描く。 それは、歴史が激動するだけではなく、人間模様が激動するのだ。 流行に左右されない、意欲作だ。 何度でも読み返したい。 | ||||
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欲望ではなく恐怖が動物を動かす。恐怖を感じない動物は生き残れない。 この小説の最後のほうで、辰巳(の娘)は辰巳の弟篤への手紙でこう書きます。 「父はよく、私たち子供にこんなことをいっていました。 大きな世の流れに巻きこまれまいとすることは、逃げていると見られがちだ。しかし、大きな流れに巻きこまれたままでいることこそ、逃げるということだ、と。」 辰巳はビルマで戦死したと思われていました。しかし、キャッチ22のヨッサリアンのように戦争の時代を生き延びていたのです。戦国時代の祖先道祖土玄道から綿々と続く臆病者の家系=道祖土家の男たちは、「大きな流れに巻きこまれたままでいること」を拒み、静かに時代を見つめていたのです。 | ||||
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民話的リアリズム、あるいは土着的想像力の発火点とでも言おうか。火振村の道祖土家に嫁いだ猿顔の嫁・蕗が、屋敷裏の生き守様の祠の奥の闇の揺らめきに感じとったもの。この世のものでありながら生死を超えた、何かしら大らかでエロティックな力を秘めた根源的なものへの畏れ。──この作品は、自由民権運動から日露戦争、太平洋戦争へと激動する近代国家を背景に、土佐の一地方の名家の五代にわたる濃密な人間関係が織りなす物語を、蕗の嫁入りからその死まで、六つの説話的短編で綴った連作小説で、とりわけ終章、蕗の三十三回忌に、やがて取り壊されることとなる道祖土家を訪れた曾孫・十緒子によって語られる後日譚は深い哀しみを湛え、感動を誘う。「終わりとは、始まりを意味する。ここが裏山に!呑みこまれた時、土地は山の一部として新たに息づきはじめるのだろう。…私は祠の中を覗いてみたが、子供の時と同じく、そこにはただ暗い闇しか漂ってなかった」。 | ||||
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坂東作品にしては地味な内容で淡々と語られているが、それだけにリアリティがあり、近代日本史を勉強したかったらこの一冊を読んでみれば、と思うほど。封建的な明治時代にお嫁入りした女性蕗の目を通して、女性の幸福とは?自由とは?そして国家とは?戦争とは?といろいろ考えさせられる。もしこの本が中学か高校の歴史の教科書だったら、もっと生徒たちは歴史を身近に感じる事ができるようになるだろう。そして自分の親や祖父母たちはこの激動の時代をどうやって生きてきたんだろう、と歴史的な観点からみていくのもおもしろい。 | ||||
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土佐の農村・火振村の名家・道祖土家に、猿嫁と呼ばれた蕗が嫁いだ明治中期から、昭和の終わり頃までを描いた歴史ロマン。 火振村にも蕗自身にも、自由民権運動や戦争、高度経済成長の波は押し寄せてくる。そんな波や、人々の意識の変化に揉まれながらも、道祖土家の嫁として生き抜いた蕗。彼女とその家族、火振村の人々を通して描かれたのは、近代日本そのものと言えるだろう。そこには歴史書に決して書かれることのない、日本人が肌で感じた歴史が描かれている。 この、火振村の人々を魅力的に描いた、日本近代の歴史と重なる蕗の生涯のストーリーの終章は、切ない余韻が残る。読み終えたあとに、また最初から読み出したくなる、数少ない作品の一つである。 | ||||
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明治の中頃から昭和までの長い人生の話です。題名にもなっている「道祖家」さいどけ という名家に嫁いだ猿に似た女性の人生を中心に描かれています。まわりの人々もそれぞれ個性的です。女性の子供が大人になり、やがて孫も大人になりと、血は受け継がれていくのだなぁと思いました。物語りですが実際にいた人ではないかと思うぐらい、リアルな感じがしました。それは作者の素晴らしいところだと思います。読み終わったら人生を考えてしまいます。 | ||||
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自由民権運動華やかなりし頃から現在までの日本を、高知の田舎に嫁いできた女を通して物語りは進行します。 会話やエピソードなど、文中に登場する土佐弁や田舎の暮らしも魅力的ですが、暮らしの中での日本の動きを改めて知ることができ、また、今の暮らしについても考えさせられます。 分厚い本ですが、読み始めたら止まりませんので、用事は済ませてからどうぞ。 | ||||
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