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勝手にふるえてろ



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【この小説が収録されている参考書籍】
勝手にふるえてろ
勝手にふるえてろ (文春文庫)

勝手にふるえてろの評価: 3.45/5点 レビュー 102件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.45pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全102件 81~100 5/6ページ
No.22:
(3pt)

少女を卒業できないOLの等身大の私小説

江藤良香という名の、まるでTBSの江藤愛アナウンサーを髣髴とさせるように可憐な、26歳のOLが主人公。彼女には悩みがあり、「イチ」と「ニ」という二人の恋人未満の男の間で揺れている――という設定だ。

前作「夢を与える」では少々背伸びをして非現実的なプロットに違和感を覚えてしまったが、今回の新作は妙に背伸びをすることも無く、26歳女性の等身大の日常が描かれている。作者の綿矢りささんも26歳であり、ある種の私小説的な作品として読むことも可能だ。

とはいえ、若者風俗や甘いラヴストーリーを期待した読者は、少なからず失望するかもしれない。20代も中盤の主人公OLは、未だ男性経験が無く処女であり、理想の恋愛に生きるか? あるいは相手とのときめきの無い相手との現実的な交際を選ぶか? という二者択一に迷ってうろうろと彷徨ってしまう。読者としてみれば、あれこれと彼女の心の悶々のモノローグを聞かされてしまうことになる。何だか締まらない展開にいらいらさせられるのだが、少女小説で磨いた綿矢さんの独特の筆致が、最後まで読者を連れて離すことはない。

タイトルにもなった「勝手にふるえてろ」という台詞を吐いて、主人公は誰かを突き放すことになる。こう来たかという展開であって、ある程度は予想の範囲内だが、賢い選択だということはできないだろう。到着点ではなく始まりの一地点であり、まだまだこの先、迷いは続いていくはずだ。

「現代の女の人の気持ちを鮮明に描いたつもりです」と、綿矢りささんは、公式サイトのメッセージで語っている。

[...]

未だ初々しい彼女の語り口はとてもうぶであり、癒されるものが無い訳ではない。これからの成長に益々興味が湧いてくる。行け行けどんどんのギャルばかり見せつられてきた我々としては、たまにはこうした小説も良いものである。
勝手にふるえてろAmazon書評・レビュー:勝手にふるえてろより
4163296409
No.21:
(2pt)

設定が切なかった

どうしようもなく虚無的な綿矢節が全開だ。
しかし、綿矢自身に社会経験がないせいだろうが、
OLの生き方や考え方にリアリティが感じられない気がする。
ファッション雑誌のOL像から、一生懸命、内容を想像したような作品。

綿矢は、この作品を創るまでに、
何作か、ダメだと思って破棄したそうだ。この作品は、半年くらいで書いたそうだ。
けれども、彼女自身どこか乗り切れていないような、「頭で考えてつくる恋愛」にも限界を感じる。

正直なところ、26歳OL、未経験、この設定、
あまり実感が湧かない。引き込まれるものがなく、なにか残念な作品だった。

吹っ切れた厚みのある彼女の作品が読みたい。
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4163296409
No.20:
(5pt)

恋愛小説が苦手な人に。

恋愛小説は滅多に読まない私ですが、この小説は最初から最後まで面白く読めました。主人公はちょっと変。でも最近の漫画や小説のキャラクターのようにものすごく変、ていうわけではなくて探せばそのへんにいそうな「ちょっと」変さ加減が絶妙。確かに身勝手な所もありますが、女の子ってだれでも多かれ少なかれずるいところやわがままなところを持っているものですし。たまに男性の作家さんの作品では聖女みたいな女の人が出てきて、なんだかな〜と思ってしまいます。恋愛もので主人公を応援したくなったのは久々です。
 ヨシカの心の王子様であるイチも魅力的ですが、ニも人間臭くてよかったです。前半では酷い描かれ方をしていますが、それは語り手であるヨシカがイチを神聖視するあまり、他の男性をことさら厳しい目で見てしまっていたせいでしょう。第三者の視点で見てみると、ニはそこまでダメには見えません。筋肉自慢?なんかかわいいもんです。
 このお話で一番あ〜わかるなあと感じたのが、主人公の気持ちの変化。中盤ではイチに、後半ではニに。本当に小さな出来事、他の人からしたら「なんでそんなことで?」というような事で人の気持ちはすうっと冷めたりするものです。逆もまたしかり。それまで全然なんとも思っていなかった人が、ふとした瞬間に特別に見えたり。ラストの、はじめて名前が明かされる場面がとても好きです。彼らの今後の話が読みたい……!なかなかいいコンビになる気がします。
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4163296409
No.19:
(5pt)

名前では買わなかった。

私は、最後に作者が綿矢りさだと知った。

蹴りたい背中も読んだけど、蹴りたい背中はかなり意味が分からなかった。

なんで賞をやったのだと言いたい程。しかしそのおかげかで、また作品を世に出すことも出来たのだと思う。

今回、正直、ラストは泣いた。これは勿論、女性が読んだ方が共感できると思う。

また、深く細かく考えないこと。注目すべきなのは、会社がどーのだのではなく、 『心理描写』。素晴らしい。本当に共感できた。
本のあらすじにも書いてあるのだし、共感できそうだなぁという人が買うべき。
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4163296409
No.18:
(3pt)

【綿矢りさ】という名前で買った自分が甘いのだと思う。

彼女の作品のファンで、ずっと待っていた新刊だった。
いろいろ書き始めても書き上げることができず、やっと最後まで書けた作品らしいが、待った時間が長かった。期待しすぎてしまった。でも作家の名前で買った。そしてこれからも名前で買うと思う。何が好きかと言えば、センスだ。上手い作家はいくらでもいるし、面白いものを書く作家もいくらでもいる。そんな基準は飛び越えて彼女の言葉や文章のセンスが好きなのだ。
かつて綿矢作品に出会えてよかったと心から思った読書の思い出が忘れられないのでこれからも読み続けると思う。

つまりは、次回作に期待!
ということ。

主人公に感情移入しにくくしてしまったのが残念。幸せになってほしい!と思えないような人物は恋愛モノの中心には弱いんじゃないかと思う。
あと、流れ的にオチに対する期待が膨らみすぎてしまう気がする。オチはどうなるんだとしか思えないような展開になってしまったのが残念。

【綿矢りさ】という名前で買った自分が甘いのだと思う。
☆も甘く3つ。
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4163296409
No.17:
(1pt)

どうせあざといなら続編にしてしまえば

蹴りたい背中が素晴らしすぎたのだろか。
陳腐な比喩とか、いらない描写とか、わざとアイロニーとしてやってるのだろうか。笑いどころもないし、真剣に書いたんだとしたら・・・
散漫な印象だし、頭の中で一生懸命すり合わせて書いたという感じで、読んでて疲れてしまう内容でした。
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4163296409
No.16:
(3pt)

勝手にふるえてろ/綿矢りさ

恋愛小説だけどぽくない書き方
“綿矢りさワールド”に
引き込まれるぜ\(^O^)/
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4163296409
No.15:
(4pt)

幼稚といってしまえばそれまでだけど・・・

わたしは面白かったです。

脳内で温められた好みの男の人物像は、
現実で生きている本人とはなんら関係なく
どんどんイメージだけが膨らみ、
「絶対にあたしのことも好きなはず」と
その人のこころまで自在に作り上げてしまいます。

それは妄想なんだけれど、
実際に会って話してもなおイチは自分に気があると、
2人でもっと話せば分かり合えると思い込んでいる
「思い込み」が主人公を支配しており、
読者である自分にも身に覚えがあることだっただけに
冷静に主人公を俯瞰していました。

イチは言うならば主人公の「理想」であり
現実には存在しえない王子様である。
一方でニは、あまりに理想から遠い、見たくない現実。

人は理想を追いつつも、
結局は現実を受け入れ、
それによって幸せを積み重ねていくものなのだと思います。

結婚というリミットを考えながら
恋をしなくてはいけない微妙な年頃の心の迷い、
親友のうらぎり、一生を捧げるにはあまりにも興味のなさすぎる仕事など
夢見るばかりでは何もつかめない20代後半の女子には
何らかの示唆をあたえる一冊ではないでしょうか。

ライトな文章は読みやすく、
1時間程度で読了してしまいました。

著者には、
もっとたくさん新刊をだしてほしいです。
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4163296409
No.14:
(5pt)

ストーリーは度外視

文章のセンスは好きです。ひらがなの使いどころとか。

ただ,読んでいると,選び抜かれた言葉たちばかりなのが伝わってきて,『息の詰まる思い』がする。 それが良さでもあるんだけど。

『チゲ鍋』と書かれていた時点で,作者=主人公ではないと感じました。

それでは作者はなにを伝えたかったんだろうと,考え込んでいます。

術中でしょうか・・
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4163296409
No.13:
(5pt)

綿矢節全開

前作の「夢を与える」は、まったく平板で面白味のない小説でしたが、今回は芥川賞受賞作である「蹴りたい背中」の路線に戻って、綿矢さん独特の観察、比喩に溢れた作品となりました。中学時代の教室風景やインターネットの成りすましといった、この作家のトレードマークともいうべきシチュエーションも復活しています。現代の人間模様とは、こんなものなんだろうなぁという情景が巧く描けていると感じます。

というか、他の作家さんの作品を読むと、自分の日常とはあまりにもかけ離れていることが多く、自分の人生はなんてつまらないんだろうという気になりますが、こういう作品は 「まっ、現代の人生、こんなものだろう」 と安心させてくれます。「蹴りたい」でも思ったのですが、この人の文章は、一文一文が鋭く突き刺さるものを持っており、そう簡単に読み進められる作品ではありません。作品全体を覆う、澄んだ淡青色を思わせるトーンと相まって、「小説」というよりも立派な「文学作品」になっていると感じました。

この作家さんの作品は、ストーリーを楽しむものではなく、絵画を鑑賞するように、言葉から立ち込める雰囲気を鑑賞すべきなのではないでしょうか。一時間程度で読み終えたとおっしゃる方もおられますが、私は読み始めて3カ月経っていますが、まだ読み終えていません。この作品を「陳腐」と感じる人は、綿矢さんの発信する電波を全く感じとれない人、綿矢作品に無縁の人と言うべきでしょう。何気ない会話のやり取りに込められている切羽詰まった感情の起伏を読み取れないと、退屈に感じるかも知れません。

ところで以前、あるサイトに「りさ」を名乗る人物が登場し、かなり言いたい放題言っていたが、「太宰治の一体どこがそんなにいいのか?」と書き込んでみたところ、「愛に飢え、女性を求め続けた生涯に、あなたはこころ打たれないのですか」という返事が返ってきた。このような文章が返ってきたことに驚くと同時に、誰にせよ、このような書き込みのできる人は、只者ではないと思った。
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No.12:
(5pt)

持ち味が出ている

蹴りたい背中の独特の書き方がパワーアップした感。
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4163296409
No.11:
(3pt)

なぜ元に戻したのか

この小説家さんは色々とたたかれますけど、それは注目度の割りに発表した作品が少なすぎることに原因があると思います。
インストールをデビューとして、本として発売されたのが九年でたったの四冊。
これでは各作品の批判の濃度が濃くなってしまうのは仕方が無い。
だから作家に人生経験が少ないからだだの、全部自分の経験の切り売りじゃないかなど勘ぐってしまう。
例えば、ジャンルは違いますが東野圭吾さんや宮部みゆきさんの作品を呼んで、これは彼らの人生経験の一部だとは思わないでしょう。彼らの膨大な作品の全てが、彼らのリアルから書き上げられたはずがないのは誰でもわかる。だけどその作品は僕らにリアルを与えてくれる。
だから、もっと書けばよいと思います。今回もなぜ文章を芥川賞時代に戻したのか疑問です。この文章では書ける作品に限りがあると自分でわかってると思います。
とここまでは擁護です。
しかし、この小説家さんの場合は、自分の容姿と作品の主人公を重ね合わせて読んでもらうことを計算している節がある。
蹴りたい背中のときから少し感じていましたが、今回はそれが大きくなってしまい、僕は最後まで読んで疲れ果てました。
商業的な計算を強く感じる作品だと思いました。現実でも私はこういう人間なんだよ。と思わせようとする感じがしました。
けど文章のリズム感などは独特なものがあり内容に共感でき、彼女の独特の文章が好きなら楽しめるとは思います。

ファンがいるうちにもっと色々と挑戦したほうが良いと思います。前作は評価してます。
勝手にふるえてろAmazon書評・レビュー:勝手にふるえてろより
4163296409
No.10:
(3pt)

はじめて読みました

ランキング番組でこの作品を知り綿矢作品を初めて読みました。
過去の片思いと現在の求愛のはざまに揺れ動く女性心理を読みたくて購入しました。

独特なリズムで場面毎におもしろさを感じましたが、感情移入する前に終わってしまった感じです。

中学時代会話もない状態で当然のごとく名前を忘れられてたことより、再会した現在にマニアックな話題に共通点が見出せたほうが、よっぽど今後に繋げようと気持ちにさせると思うし・・・4人で集まる時に名前くらい確認してくんじゃないかな〜なんて、つまんない突っ込みを入れつつ読んでると、そのまま終わってしまいました。
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4163296409
No.9:
(1pt)

駄作!

『蹴りたい背中』は良かったのに、この本を読むと作者が恋愛経験が少なすぎるのが分かります…(苦笑)恋愛はこんな単純なものではない。こんなんでよく作家なんてやってれるよね…(苦笑)正直こんなんで作家なら自分の方がもっといい作品書けるなと勇気を頂いた。この作者は一度も大人な恋愛した事のないガキだな。
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4163296409
No.8:
(5pt)

これこそ現代社会の恋愛のかたちです!

読み始める前と読み終わってから本書に関する他の方々のレビューを読んでみて、このさして長くは無い小説から読み取るものが読者によって随分違うことに興味を覚えました。唯その多くのレビューは、どうも作者の真に言いたいことを読み取れてはいないのではないかと思います。
 それに「恋愛しないとだめですか?」とか「賞味期限切れの片思いと好きでもない彼氏。どっちも欲しい、どっちも欲しくない。」などという出版社が作った宣伝文句も、読者を惑わす釣り文句のようです。

 たしかに多くのレビュアーが言われるように、この小説は大変技巧的であり、また私も読んでいて見事な文章の割には、主人公の「私」にも「イチ」にも「ニ」にもあまり好感がもてないまま読み進みました。しかし、それが最後の最後になって、思わず「あっ」という驚きと感動に包まれました。

 これはまぎれもなく見事な恋愛小説だと思います。現代社会の日常の中に「恋愛」と言うものが依然として存在し得るとするなら、このような形でしか存在し得ないじゃないですか!きっと作者が言いたかったことはそういうことではないかと思います。
 それに恋とは時に、自分が恋していると気がつかない人にこそ、実は本当に恋していることもあるのです。
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No.7:
(2pt)

「救い」がない

これは、イチとニという男性を巡る26歳処女OLの物語。断じて「キュート」な恋愛小説などではありません。

綿矢さんの作品をきちんと読んだのは今作が初めてです。それまでの作品は斜め読みする程度でしたが、文章に独特のリズムやセンスが感じられて、単純に「上手だなあ」と思っていました。
今作も冒頭から彼女の個性的な文章が爆発しており、書かれている内容はともかく(音姫に関する記述はちょっと冗長だしあれって実際使ってる人は少ないと思う)彼女なりの感性でのびのびと楽しく書いている様が伝わってきました。

ただ、その先の内容がどうにも面白くありません。

こういった作品にはリアリティがとても大切になってくると思うのですが、最初から最後まで主人公の思考や行動が「出来事」として外側から描かれているように感じられ、とうとう読み終えるまで感情移入できませんでした。会社に関する描写も会社勤めを経験したことのない筆者にしては当たり障りのないレベルでこなしていますが、そもそも何を扱っている会社なのかも書かれていないのでそこまで詰めていないのかな?と思いました。営業部、経理部、庶務、確かに汎用性はありますが、いまいち「会社」のニオイがしてきませんでした。
そもそも妊娠休暇って何? 水が飲めない程重度でもないつわりに対して医者がすぐに産休に入れとか言うわけないだろ、そもそも産休の意味わかってるの? とか、まあそのへんは主人公の幼稚さを表すエピソードだと思うのですが、働きながらつわりに苦しんだ経験をしたばかりの自分にとっては「フザケンナ」としか思えませんでした。紙のむこうの「オハナシ」でしかない。実際に主人公のヨシカのようなOLがどこかにいると感じさせて欲しかったです。
この小説は結局「主人公がどうしようもなく幼い」というところに着地させてしまえばどんな非難もかわせるようなニクイ作りになっていますが、私は綿矢さんがそんなあざとい人だとは思いたくないし、ただ幼稚な人を書きたかっただけだとも思いたくありません。主人公を幼稚にさせるには理由があるだろうし、その幼稚さを利用して小説を構築するのも作者の役割だからです。

同期に裏切られた部分、潜在的に精神的つながりを持っていたと信じていたはずの片思いの男の子(イチ)が自分の名前すら覚えていてくれなかったという、物語に大きな動きをもたらす役割の箇所を、主人公の心理描写は簡単な独白で済ませてしまっています。その部分こそ主人公を突き放して三人称的に丁寧に描写して欲しいと思うのは、個人的嗜好の問題でしょうか。
前者は同期と会話をしていたシーンが短く、ニのエピソードのおまけのように埋もれてしまっている為、主人公が本当に「信頼していた」というふうには感じられませんでした。だからニを振るシーンに説得力がない。主人公は明らかにニを嫌悪しているから、彼を退けるのに同期を利用しただけなのかしらと思ってしまいます。って、むしろそれが筆者の目的なのでしょうか? だとしたら騙されました。しかし当該部分の描き方やその後の展開からやはりそれはないと思います。
後者は、同級生の名前を覚えていないなどよくあることだし、名前を覚えていなくてもイチは主人公とのエピソードを覚えていてくれたり、部屋で一人になった主人公のところに話しに来てくれたりと、男性に対する免疫がない女性にとってはむしろ舞い上がってしまうような出来事だと思うのですが、主人公は「名前を覚えていてくれなかった」ということだけで大きなショックを受けます。それも個人的な思考の違いの問題と言うならば、何故それほどまでに傷ついたのかを示すエピソードが必要だと思います。

ラストシーンですが、崩壊か救済かどちらかを期待していた私は肩透かしをくらいました。
結局冒頭部分に戻っているのです。冒頭部で主人公がする結婚式の妄想、あれが現実になるだろうというところで小説はぶつりと終わります。結局ほとんど何も変わっていない主人公とニ、その二人の未来に大きな幸せが訪れるとは思えません。
「私の好きなやさしさ」とは何でしょうか。自分を正当化するためだけの思い込みなのではないでしょうか。冷めた振りをしながら素直になれず、他に対する憎しみとも羨望ともつかぬもやもやした気持ちを持て余しながらなんとなく処女を守っている、そんな主人公にやって来た「何か」たるイチとニ。イチはその本性もわからぬまま主人公の弱さ故に退場させられるし、ニはさんざんその醜さを露呈しておきながら最後ではヒーローの役目を担わされる。仮にも本当にニが主人公を愛していたのなら、振られてもすぐには未練を断ち切れないだろうし、妊娠したという話を聞けば怒りを感じるよりもまず詳しい事情を知りたがるんじゃないでしょうか。主人公の呼び出しにすぐに応じず酒を飲んでいたらしいという描写は彼の迷いを描いたのかもしれませんが、結局は主人公のことなど表面的にしか好きではなかった彼の軽薄さの表れのように感じられました。
だから、救いがないのです。
彼らがどうなろうがどうでもいい、と思ってしまうところに、この小説の欠点があると思います。
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4163296409
No.6:
(5pt)

一気に読んでしまいました!

「蹴りたい背中」を読んだことがあったので、本屋に平積みにされているところを買いました。

恋愛経験は本当に人それぞれだとは思うので、この恋愛に対する評価も様々になるとは思うのですが、
私はすべてすべて、ストンと心に落ちました。

気が付いたら、最後まで読んでいました。
集中して読んでいることにも気がつかなかったぐらいです。

主人公を始め、登場人物一人一人、どの人の気持ちも分かります。
特に、主人公からニへの気持ちは、とても共感できました。
分かってくれる友達を見つけた気分で、嬉しいです。
勝手にふるえてろAmazon書評・レビュー:勝手にふるえてろより
4163296409
No.5:
(5pt)

やっぱり読みやすい。

初めてのレビューです。

綿矢さんの作品は好きで、今までにも出版された3冊を読みました。
今回、新刊が出版されたということですぐに買いに行きました。

若い作家さんだからか、やっぱり読みやすいです。
難しい言葉もまったくなくて、ページ数も少ないので
ペロリと読破することができます。

内容は26歳のOLが2人の男性に対して思い悩むといった話でした。
悩んでいる様子が細かく書かれていてよかったと思います。
個人的には主人公であるヨシカ、ちょっと勝手すぎるんじゃないの?と思いましたけど。

レビューでこんなこと書くのもなんですが、
作品の最後の最後でニの名字が出てきました。これってなんででしょうね。
読んだ今でも不思議に思っています。

綿矢さんは好きな作家ですし、この本もおもしろかったので
☆5つとさせていただきます。
勝手にふるえてろAmazon書評・レビュー:勝手にふるえてろより
4163296409
No.4:
(4pt)

読者が勝手に決めつけた彼女の魅力が彼女を振り回したか?

前作は読者が勝手に決めつけた彼女の魅力がなくなってしまったので、若干たたかれました。

なので今作は「蹴りたい背中」のあの何とも言えない感じを故意に復活させています。

綿矢さんも大人になってしまったのでしょう。

無理をしてひねり出されたような文章と感じた。

綿矢さんが綿矢さんを手本としてしまった作品と言えるでしょう。

純粋に書いてくれていいですよ。
勝手にふるえてろAmazon書評・レビュー:勝手にふるえてろより
4163296409
No.3:
(1pt)

期待してたけど。。

前作同様、もうひとつ、ストーリーに入り込めませんでした。次作に期待します。
勝手にふるえてろAmazon書評・レビュー:勝手にふるえてろより
4163296409

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