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鳥の巣



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【この小説が収録されている参考書籍】
鳥の巣 (DALKEY ARCHIVE)

鳥の巣の評価: 3.67/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

「多重人格」という設定を持ち出すまでもない、鬱々とした雰囲気が伝わって来るだけの凡作

作者の作品としては短編集「くじ」に続いて本作を読んだ。「多重人格」を扱った作品の嚆矢という事で期待していたのだが、執筆年代の古さも手伝って、鬱々とした雰囲気が伝わって来るだけの凡作という印象が否めなかった。

登場人物は、「多重人格」(現代医学では否定されているが、ミステリやサスペンス・ドラマでは相変わらず使われている)のヒロイン、その叔母及びヒロインの治療を担当する医師の3人にほぼ限られている。さぞかし練った物語構成になっているだろうと期待していたのだが、凡庸と言う他はない。医師がヒロインを治癒出来ない事は初めから分かり切っているので、「多重人格」という設定を利用して、日常生活における人間心理の"歪み"をドス黒く炙り出そうという意匠なのだろう(「くじ」を読んだ時もそう感じた)が、「多重人格」の使い方が拙劣である。これなら別に「多重人格」という設定を持ち出すまでもない平凡な物語進行である。実は叔母が財産目当てでヒロインの亡き母を殺した(そのショックでヒロインが「多重人格」になった)とか、叔母の方が「多重人格」だったとかのオチはなく、物語としての見せ場や山場が皆無なのである。権威がある(らしい)医師の右往左往振りに対する皮肉(作者はブラック・ユーモアと捉えている様である)も皮相に過ぎる。

「多重人格」とまでは言わないまでも、人間は誰しも心の中に多彩な感情的側面を秘めており、状況に応じて、その感情のどれかが表出するが、そういう事を描こうとした訳でもない。日常生活における人間心理の機微を描く筆力は確かだが、それが物語の面白さに繋がっていない残念な作品だと思った。
鳥の巣 (DALKEY ARCHIVE)Amazon書評・レビュー:鳥の巣 (DALKEY ARCHIVE)より
4336060592

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