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魔王
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魔王の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全208件 181~200 10/11ページ
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どこかの政党に関わるプロパガンダの三文小説かな、あるいは政治をダシにしたSFものかな等と思いきや、読み進めるうちにそれが間違いであることに気付きました。さすが東北大出身らしく、宮沢賢治が持ち出されたりして詩的空間も広がって、深みのある娯楽読み物としても楽しませてもらいました。それにしても今の国民大衆が群衆化(衆愚化あるいはファシズム化)する恐ろしさを扱ったり、憲法を責任をもって自主的に選びなおすように問いかけたりしているところは近未来の日本列島住民の在り方や行方を考える上ではたいへんよく仕上げられています。ぼくはめくれているスカートをなおすことができるだろうか? | ||||
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この帯の文句を書いた人に脱帽。 これ以上の紹介文はないでしょう。 周囲に流されず、 熱狂の中で己に恥じない行動をとるのは 実はとっても難しいこと。 ファシズムや憲法問題、 現代の政治家や若者を通して描かれる 兄弟の生き方はせつなく、そして清々しいです。 今まで読んだ『グラスホッパー』や『ラッシュライフ』などと 文章のテンポが違ったので驚きました。 構成・文章・発想、とっても面白い。 | ||||
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これを読んで村上春樹の「羊をめぐる冒険」を思い出した。 羊をめぐる冒険の羊がこの本の魔王という感じ。 魔王というのはいろんな人の心の底にひそむもので、 何か外的要因と連鎖した時に強い存在になるのかもしれない。 羊に見捨てられた人は駄目になってしまうのと同じで、 魔王と外的要因がうまくつり合わなかった時に、その人は見捨てられ 力をなくしてしまうのかもしれない。そんな風に考えた。 政治の話が沢山出てくるけど、それは物語の中のエピソードに 過ぎなくて、あまり難しい気持ちになれずに読める。 終わり方が、含みをもたせる終わり方だったけど色々想像できて これはこれでよかったのかなって思う。 それでもなんていうかあいまいで唐突な部分が多すぎたので、 面白かったけど★4つ。 | ||||
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伊坂ワールドが大好きである。軽妙な会話の中にふっと人生の機微を垣間見させるような独特の小説世界が彼にはある。読み終わったとき,静かな感動に包まれて思わず涙がほほを伝うということがしばしばあった。しかし彼も初期の作品から一つ階段を上ろうとしているのか,最近の作品は、少々メッセージ性が前に出すぎているような感がある。この「魔王」は特にそう感じた。彼の感性はもちろん失われてはいないのだが、「考えろ,考えろ,考えろ!」という強い作者の声がやや作為的に耳に響く。私にとっての伊坂ワールドは、暗喩に満ちていて、行間から香りたつ人生の哀感がベースにあったのだが、作者は確実にもう一段階成長を試みているのだろう,少し寂しいが彼の持つ世界観にエールは送りつづけたい。 | ||||
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伊坂作品はファンタジー要素を多分に含むものが多かった気がするから読み始めたときにちょっと攻撃的かな、と感じました。 でも読んでいくうちに伊坂作品独特ののんびりしたというか、どことなく笑わせてくれるというか和やかな雰囲気も生きていて、テーマ自体はすごく現実的な話なのに重くならないのはさすが!と思えました。 会話がいいですよね。 でも喋る案山子のくだりが登場しなかったのはちょっぴり寂しかったな。 | ||||
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この作品は最高。 政治とかファシズムとか出てくるけどそれは関係ない。 生き方について書かれた本だ。 誇りを持って生きるとはどういうことか。 自分の歩く道を自分で歩いているのか。 私はこの本を読んで今までの生き方を見つめ直し、これからの生き方を考えた。 この本にはその力がある。 世界を変える そう本気になって考えたことが果たして私はあったのか。 少なくともこれからは自分の生き方を本気になって考える。 | ||||
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政治や宮沢賢治などがフィーチャ−されていますが、あまり堅いことを考えずに 読み始めればよいかと思います。実際に読んだ感触も、特殊能力を持った兄弟に よるファンタジーといった印象を受けました。 おおまかに二部構成で、前半は兄の章、後半は弟の彼女の視点からの章になります。 作品ごとに良くなっていく(私の好みに合っていく?)伊坂氏の新作を読むのは 楽しみであり、期待通りに毎回新鮮な感動を与えてくれます。 加えて笑えるポイントも豊富。特に「せせらぎ」が伊坂氏らしいですね。 | ||||
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とんでもない作品だ.形容する言葉が思いつかない. 大衆の魂を支配する天才政治家犬養の出現.与えられた情報を盲目的に信じることしか出来ない人々が己の思考を麻痺させ,過激な行動に陶酔し始める. 誰よりも思慮深く,群集心理の恐ろしさを知る兄は特殊な力に目覚め,一人犬養との対決に赴く. 避けられないカタストロフ.シューベルトの戯曲「魔王」の中で,魔王の存在に気付き,それを父に訴えた子供はどうなったのか?必然的ともいえる終幕の中で最後に兄が見たものは・・・ | ||||
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最近世の中に出回る小説の8-9割は、暴力か愛をモチーフとしている。もしかすると、小説という表現形式が発生した当初から、そうなのかもしれない。時代時代で流行り廃れはあるけど。たとえば、現在の日本では、「愛」分野ででは、「家族愛」(リリー・フランキー『東京タワー』)「中年愛」(渡辺純一)「奇跡的な愛」(『電車男』)が流行りだ。 さて、伊坂幸太郎だ。この人の小説にはこの二大モチーフの色が薄いように思う。今回の『魔王』は超能力と、ファシズムをモチーフにした作品であり、ファシズムというのは暴力エリアに近いが、それでも超能力の非現実性がファシズムの暴力性をぼやけさせている。超能力ってなんだかアニメの世界だしね。たとえば、本書のふたつの中篇のうち表題作の「魔王」はファシスト的な政治家と、超能力者の語り手との対決シーンでクライマックスを迎えるが、そこで使われようとする超能力はしょーもないものである(「女子高生」と「巨乳」がキーワード)。 重くなりがちなテーマを、うまく中和する才能がこの作家には存在している。その意味で、伊坂幸太郎はすがすがしい。そういえば、作品中にも「清清しい」という単語が頻出する。正直言って少しもの足りない気もするが、安心して読める作家の一人だろうと思う。作品名である「魔王」は名高い幻の芋焼酎の名前でもあるが、どちらかというと伊坂作品は焼酎よりは烏龍茶である。中毒性はないが、飲み心地はいつもすがすがしい。 | ||||
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作品中に憲法やファシズムなどが出てきていますが、 これらが作品のテーマではないと著者は明言しています。 群集心理の恐ろしさを描いているとでもいうのでしょうか? これまでのクールな伊坂作品のイメージとは違い、 現代日本に渇を入れるような社会小説でした。 情報化社会といわれる今、 自分(私だけでなく大衆全体が)どれほど情報に流されているかということを痛感します。 この作品の中で大衆の心をわし掴みにする若き政治家・犬養。 彼のように人の心をつかむのがうまく、吸引力のある人の思想が、 いつしか自分の意思として塗り替えられていないですか? こういってしまうと大げさかもしれませんが、 一時の小泉フィーバーやライブドアの事件前の勢いなんかも こういった群集心理の上で 盛り上げられたものにすぎないのかもしれないなと思えます。 これは伊坂幸太郎から私たちへのメッセージなのかもしれません。 ここままでいいのか?考えろ、考えろ・・・と。 最後に・・・この本は装丁も素晴らしいです! 表紙はタイトルとは似つかわしくない白とブルーの爽やかなイメージ。 しかし1ページ開くと・・・真っ黒!!! これは日本の未来にあるのは青空か、荒廃かということを 表現してるのでしょうか。 | ||||
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確かに政治家や改憲問題、ファシズムなどのキーワードは頻出しますし、なにより物語がそれらを中心に進むので、「どんな内容か?」と聞かれたら「政治」がテーマになっている、となるかもしれません。 ただし、読後に特定のイデオロギー臭を感じるかといえば、社会情勢やある程度の歴史認識のある大人ならば客観的に読めるレベルですから、これを「政治」と言うのはちょっと...。もちろん大事な構成要素にはなっていますが、もっと読む部分は他にあります。 「オチ」のつけ方に物足りなさや、若干の不満はありますが、全体が静謐な雰囲気で進み、こういうオチだったからこそバランスが保たれたのかもしれません。私は、読後にちょっとやりきれない気持になりましたが、単純に面白く読める作品です。 まずは読んで見ることをお勧めします。判断はその後で。 | ||||
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伊坂が社会物をあらわしました。 若い作家がファシズムへの嫌悪を表すのは素敵なことです。 拍手。 今までの作品にない政治へのメッセージがこめられていた物語です。 でもその分,絡み合う伏線やさわやかな読後のまとまりは残念ながら薄まっています。 でも,書かずにはいられなかった率直さにうたれました。 | ||||
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「新しい文学世界」かどうかは、首を傾げるところですが。。。ともあれ、私は読んでみたかったタイプの小説です。 この作品では、すべてのアイテムが最大限に効果的に使われています。 一致団結が正義にも狂気にもなり得るのなら、一致団結自体は善か悪か? 時代を変える力とは何か? 時代を変えるのは、本当は一体誰なのか? 特別なものを持つ人間だけが時代を変えるのか? この作品で提起された問題はどれも難しくて、答えは出ないかもしれません。ある時代には正解だった答えも、今の時代には当てはまらないかもしれない。それでも、時代が刻々と動いていることを忘れてはいけない。だから、考え続けなければならない。目を背けて逃げてはいけない。 『魔王』の方では作者が思い思いにぶつけて描いたせいか、エピソードの繋げ方が多少いびつな感じがしました。でも逆に、現実だってそんなにスムースなものでもないのかも、と何となく納得しました。そう思わせるくらい、各エピソードの描き方は緻密で、迫力がありました。 それとは反対に、『呼吸』はワリと静かな語り口ですが、その静謐さの中に、突然身を震わせるような予感が呼び起こされたりします。 確実に進化している、と思わせる作品です。 『チルドレン』や『砂漠』はこの作品と好対照をなす、それでいてリンクしている作品だと思います(本人の意図かどうかは別として)。 『魔王』を読んだ方は、これらも読むといいかもしれません。 物事を正確に見極めるには、あらゆる角度から俯瞰しなければならない。けれど行動を起こす時に、俯瞰的なだけではいられないのかもしれません。 自身の考えは盛り込まれていますが、それよりも様々な側面を提起して、様々な物の見方を提案するのが、伊坂氏の最大の魅力だと思います。 | ||||
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いやあ、凄い盛り上がりでした・・・ 思わず引き込まれ・・・でも最後はうっちゃりかなあ・・・ 半村良なら最後まで書いたかな? 時代の閉塞感の中で圧勝した小泉自民ももう次はないでしょうから ありえる未来像ではありますが こんな政治家は出てくれないだろうなあ・・・ 政界の構図を見ると絶望して犬養ファンになっちゃいます だれかちゃんと世の中を見て、 池田大D作支配の政府を告発してくれよ? 現実のほうが小説を追い抜いてはるかに悪いぞお!!! と、あまぞんで書いても、s学会に消されるんだろうなあ・・・ 現実の世の中が宗教支配になっている事実を誰かちゃんと書いてくれ 伊坂、がんばれ!・・・・でも、s学会には勝てないよなあ・・・ | ||||
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私は、作者の「陽気な〜」や「重力ピエロ」などの作品が好きですが、 今回は、今までの要所要所の場面が最後で結びつく構成や軽い感じのものとは違い、 政治問題や憲法改正、ファシズムといったちょっと重苦しい題材に なっている純文学でした。 それらを背景に「魔王」では兄が戦い、「呼吸」では弟が戦いを決意するまでが描かれていて、 これは、これで面白いのだけれどちょっと私には 堅苦しかったです。 | ||||
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本書は、講談社の『エソラ』という文芸&コミック誌の04年12月第一号に掲載された「魔王」と05年7月第二号に掲載されたその続編「呼吸」を一緒に単行本化したものである。 伊坂幸太郎のファンとしては見逃すことができずに、発売日に購入して読んだ。 不思議な「腹話術」の力を身につけた男が大衆を扇動する政治家と対決する「魔王」。 その弟夫婦が主人公で、弟は兄がとり憑いたかのように「賭け事」が強くなる。その夫婦の物語「呼吸」。別々の作品ながら対をなしている。 著者の言葉として「自分の読んだことのない小説が読みたい。そんな気持ちで書きました。」とあるが、単なるエンターテイメントの要素の強い超能力SF小説ではない。彼特有の、社会をクールに捉える眼差しはもちろん健在、仕掛けももちろん盛り沢山。現代社会の問題点に鋭く切り込むために、あえて登場人物たちに特殊な能力を持たせたのだろう。 そういえばデビュー作『オーデュボンの祈り』では「人の言葉を話す案山子」が登場するというシチュエーションだった。 いつもの伊坂ワールドのテイストを残しながらも、いままでの諸作とは一線を画した、どちらかというと純文学に近いタッチだった。 | ||||
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現代社会の問題点を漠然と感じていても、口に出さず生きている。 そんな私達に雨雲が迫るように『魔王』が迫り来る。 そんな印象を受ける小説。 他の人のレビューにも度々出てくるファシズムはもちろん、憲法改正問題など 法学部出身を改めて納得する内容になった。 この小説から問題提議するのではなく、私達が気付かない所で 世界は変貌してるかのような恐怖を掻き立てる。 言葉をここまで操作してしまう伊坂幸太郎こそ魔王だ。 | ||||
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ミステリーとして読むと、あれ?という終わりだとは思いますが、自分としては未消化な感じはしませんでした。この作家の本は、とても軽やかに書いてあるけど、考えてみれば内容は重いものであり、さりげなく残酷だったりします。『魔王』はその“黒さ”があまりぼかされないで描かれていると思います。「魔王」では詩が2つ引用されています。私はそれらに<がつんと来る>ような<正式な青二才>の年齢に当てはまるとは思うのですが、別にそうでもなく、奮い立たされる気はしませんでした。思うに、主人公がその詩に衝撃を受け、また戦いに向かうのは、主人公がその年齢、つまり<世界、とか、未来>を捨てかけてはいるがまだ<ギリセー>だからです。「呼吸」で弟が戦いを決意するのも兄と同じくらいの年齢になったときだと思います。確かに今までの伊坂作品とは違いますが、面白いと思います。おすすめします。 | ||||
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出てましたね。調査員の…。グラスホッパーっていう名前(カクテル)も。 | ||||
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読めば読むほどひきこまれ、だんだん恐ろしさを感じてしまいました。日本がファシズムに走っていく姿はとても怖く、まるで現実のようで、本当に小説の中の話なのか疑ってしまうほどです。こんなにリアルに現代の社会の「魔王」を描ける伊坂幸太郎に感服です・・・。 | ||||
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