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魔王



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【この小説が収録されている参考書籍】
魔王
魔王 (講談社文庫)

魔王の評価: 3.60/5点 レビュー 208件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全208件 201~208 11/11ページ
No.8:
(3pt)

、「ファシズム」という言葉がしつこいくらいに出てくる

「重力ピエロ」「ラッシュライフ」など過去の作品には今までにない斬新さは感じたものの、この作品に関し、斬新さを感じることはできなかった。過去の作品においても一貫して作者の物事の考え方が反映されており、共感や感銘を受ける部分もあったが、この作品に関しては、「ファシズム」という言葉がしつこいくらいに出てくることからもわかるように、政治的なメッセージ性が強すぎて、違和感を覚えずにはいられなかった。このあたり、賛否が分かれるところかと思う。このためだろうか、雑誌「エソラ」に連載された際は、政治家・犬飼の発言はもっと長く、強いものであったが、今回の出版に当たり削除されている(ついでにスイカがどうのこうのというダジャレも削除されている)。おそらく編集者の意向が強く働いたのであろうが、(だじゃれはどうでもよいが)信念を持って書いたのであれば、犬飼の人物像は、そのまま削除せずに出版して頂きたかった。2005年に出版された伊坂氏の新作としては、「死神の精度」のほうが万人受けする作品であると思うし、伊坂氏らしい秀作だと思う。未読の方がいたらむしろこちらをお薦めしたい。
魔王Amazon書評・レビュー:魔王より
4062131463
No.7:
(5pt)

考えろ、考えろ、マクガイバー。

 面白い。最初は、話の内容から、S・キングの「デッド・ゾーン」の様な展開になるのかと思っていたのだが、見事に、思惑は外れた。ドラマツルギーの「結」の部分が抜け落ちたかとも思えるラストは、肩透かしを食らった気持ちになり、唐突感を否めないが、暫くすると、ボディ・ブローの如く、じっくりと効いてくる。本人は否定しているものの、伊坂幸太郎の新作「魔王」は、この時代、何が、最も危うくて、憂慮するべきものなのか、そして、それに打ち克つには、何が最も有効なのかを、“誰もが心当たりがある”フィクショナルな世界の中で、提示している。今、正に、怖いのは、無自覚な礼賛と迎合、ムードだ。だからこそ、この小説は、10代、20代の若い世代にこそ読んで欲しいと、「だめな大人」のひとりとして、切に願う。
魔王Amazon書評・レビュー:魔王より
4062131463
No.6:
(2pt)

作者の真意が見えない

まるで腹話術のように、他人に自分の思っていることをしゃべらせる能力を持った兄がいた。その兄を慕う弟がいた。兄は、急速に支持率をあげる政治家犬養に危機感を抱き、彼に近づき自分の能力を使おうとするが・・・。 世の中の流れ、それがいつのまにか変わっていても、人は気づかないことがある。そして、その流れに流されまいとしても、いつのまにか流されていることもある。それがある特定の人間の仕業だとしたら?シューベルトの歌曲「魔王」のように、だれもその存在に気づかず、気づいたとしても歌曲の中の子供のような運命をたどるとしたら、これほど怖ろしいことはないだろう。兄の行動に弟はどう反応するのだろう?期待と不安が入り混じった気持ちで読み進めたが、とても難解な作品で作者の真意が見えなかった。
魔王Amazon書評・レビュー:魔王より
4062131463
No.5:
(5pt)

変化した伊坂ワールド

 今作は今までの伊坂作品とは微妙に雰囲気が違いました。伊坂作品の僕のイメージは「無機質でクール」という感じだったのですが、今作はクールにはクールだけど、無機質ではないといったところです。  「重力ピエロ」を想起させるような二人の兄弟が主人公になっているのですが、この二人の関係が物語に血を与えているようで読んでいて心地よかったです。 「ファシズム」や「憲法改正」というものが主題ではないにしても、物語に大きな効果を発揮しています。  「愛の敵は、憎しみではなく無関心だ」 このマザー・テレサの名言がそれを引き立てています。 僕も「本当に怖いのは想像することをやめてしまった人間だ」という主張を持っているのでこの小説は、そういった視点で見ればすごく理解することが出来ました。 結局、無関心が「魔王」なんじゃないかと思いました。ゆえに誰でも「魔王」になる可能性はあるわけで、大事なのはそこに気が付くこと、自分で考えることなんだと思いました。 ついでに「グラスホッパー」を出してくるところが伊坂らしくて、心憎いですね。「ドゥーチェ」のマスターもどことなく鯨のような雰囲気を持っていましたし。
魔王Amazon書評・レビュー:魔王より
4062131463
No.4:
(4pt)

正直?軟弱?

ふーん。初老の男を一応感心させるできばえだが。作者と同年代の人々は、素直に楽しんで読むだろう。しかしずっと年上の人間はつい考えてしまう。「なぜ超能力なんだ?」それが気になって再読する。ついでにシューベルトのCDなど出してきて聞いてみたりする。魔王・・・作者はメタフォリカルな読解を求めているのかどうか。いや、あまり細部にこだわるべきじゃないな。大事なのはきっと、この小説が「欲望をてらわずにそのまま提示してみせる」という点で、あくまで正直であることだ。会社で部長や課長をしている皆様。若い部下で、時折奇妙な潔癖さや正義感をふとした拍子に見せる社員がいたら、たとえばこの小説の兄弟のような感受性を持っているのかもしれませんよ。そう考えると合点がいくことが多いでしょう?
魔王Amazon書評・レビュー:魔王より
4062131463
No.3:
(5pt)

静かなる伊坂ワールド

 読後の感想はいままでの伊坂作品とはちょっと違う終わり方に感じました。伊坂さんらしい落ちはあるのですが今までのような意表をつくというよりも、そうなんだと淡々と納得させられるような、こそばゆくあっさりとしたラストは読後しばらくしてから、ぐっとくるようなある意味とても重厚な終わり方でした。 社会問題がテーマではありませんと、伊坂さんは書いておられますが、今までの作品でも社会風刺が絶妙に見え隠れしていた伊坂ワールドとはちょっと違い、今回は全面的に現代日本の社会問題(おもに憲法)を伊坂流にさらっと描いている気がしました。ただし肝となるのは兄弟の物語。前半は兄の視点。後半は弟の恋人の視点というところが結構面白い。タイトルの魔王とは果たして・・、とこれは自分で読んで答えを見つけてくださいね。 読み方によってはとても深く考えさせられる問題作だし、いつものあっさり風味と見せかけてナイフのような切れ味を持つ、彼独特の小説世界としても楽しめる一冊です。 台詞の巧みさ、伏線の絶妙さからしてみれば、少々物足りないところもあるのですが、これは明らかにいままでの伊坂作品とは一味違う、著者である伊坂さんの目指した、たしかに今まで読んだことのないような物語でした。
魔王Amazon書評・レビュー:魔王より
4062131463
No.2:
(5pt)

ちょっとした超能力とじんとくる感動

「魔王」「呼吸」の中編2編が収められていますが、内容は連続しています。「魔王」の主人公は「自分が思っていることを相手に言わせる能力」という微妙な能力を持っています。とにかくいろいろと考える主人公の座右の銘(?)は「考えろ考えろマクガイバー」・・・なんか懐かしい名前を久しぶりに聞きました。「冒険野郎マクガイバー」は昔中学生の頃にテレビで見ていたアメリカのドラマだったのでとっても懐かしいですね。中学校の技術家庭の先生の車の屋根につかまり学校の敷地内でマクガイバーごっこをしたことを思い出します。現在の政治状況を踏まえながら展開される物語はちょっぴり共感するものでした。「呼吸」で描かれる兄弟の間の信頼感はちょっとしんみりしてしまいました。自分も自分の兄弟とはずっといい関係を持っていければ良いな、信じてもらえる兄でいたいなと思いました。でたらめでもいいから、自分の考えを信じて、対決していけばそうすりゃ、世界が変わるいい台詞も多いです。
魔王Amazon書評・レビュー:魔王より
4062131463
No.1:
(5pt)

「魔王」の存在にたった一人気付く少年を待つものは・・・

彼の作品はどれをとっても外れが無いので安心して購入、一気に読みました。伊坂氏特有の、社会をクールに捉える眼差しは勿論健在、仕掛けも勿論盛り沢山。後半は、始めはあまりに唐突な事実の発覚に驚きましたが、その事実があるからこそ前半部の会話の真の意味が見えてくる部分もあり・・・書きたいことは多いのですが、ネタバレにならないギリギリで書くとこんな風に抽象的にしかレビューできないのがつらいですね。この作品は社会問題がテーマでは無いのですが、現代日本の抱える問題点を考えるきっかけにも成り得る良質の作品でした。値段もハードカバーにしては割りに安いですし、読み終わったときも他の伊坂作品同様、少なくともいやな気分にはならないし、割とサッパリすると思うので、どなたにでもおすすめ出来ます。
魔王Amazon書評・レビュー:魔王より
4062131463

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