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魔王
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魔王の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全208件 141~160 8/11ページ
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超能力という要素が含まれているが、それはこの作品をノンフィクションからフィクションにするための手法に過ぎない。そんな気がした。 頭が良いの定義は難しい。人が知らないことを多く知っている人も頭が良いように見えるが、それは知識が豊富なだけだ。本当に頭が良い人は、何もないところから価値あるものを生み出せる人のことを指すのだろう。しかし、この知識がすさまじい量だったらどうだろう。生み出すまでもなく、ただ持って来れば十分に価値あるものに見えるかもしれない。つまり、通常は、情報を入手し、考察し、判断するというプロセスを経なければ行動できないのに、考察するというプロセスをアウトソーシングすることで、考察結果を入手し、判断するということでよしとする世界になりつつあるのではないだろうか。この結果として、人々は誰かの言葉を自分の考えであるかのように錯覚して行動することになる。 安藤は、考えろ、考えろ、マクガイバー、と言う。彼は、考え、行動することによって、世の中の流れを押しとどめようとするが、結局は濁流に飲み込まれてしまう。潤也は、濁流の外にあって、流れを変えようとする。そして犬養は、流れを作り出していた側だったはずなのに、おそらくは、いつの間にか自分も流されてしまっていることに気づいたのだろう。 彼らは自分の考えで行動し、発言しているはずだった。しかし、本当にそれは彼らの言葉だったのか。かつて存在した誰かの言葉だったのではないか。本当に彼らは考えて行動しているのか。そして自分は… おそらくそこに魔王はいる。 | ||||
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内容的に賛否両論を巻き起こすのは仕方がないのかもしれませんが、 小説としてエンターテイメントとしてみたときに、 レベルの高さは否定できません。 時折混ぜ込まれるユーモアのセンス。 キャラクター設定と微妙な人間関係を独特のセリフ回しでの表現。 特別な風景ではないのに、遠くの世界のような風景。 ひとつひとつ味わいながら、楽しんで読み進めました。 | ||||
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これと言ってストーリーに盛り上がりがあるわけでもなく、落としどころもないまま終わってしまっているが、 「こうすべきだ」という主張はせずに、その分含みをもたしたメッセージ性が強く感じられた。 まぁ、政治とか世の中の流れとか何が正しいのか分からないものだし、 それこそハッキリと物が言える犬養みたいな政治家がいたら、私だって支持する。 ただ、皆が右を向くから自分も、という考えはちょっと待って、という感じぐらいの主張をしている。 だからこの先どうなるか分からない、暗い未来と明るい未来の両方を残している感じもいい。 そして、「(クラレッタのめくれ上がったスカートを)少なくとも、“直してあげたい”と思える人間に」や 「相手を言い負かして幸せになるのは、自分だけ」とか、今回も印象に残るセリフが多かった。 | ||||
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伊坂作品は、スト−リ−自体も良いのは当たり前だが、作中の台詞回しが絶品である。 この作品も、理屈っぽいともいえる会話部分に、かなり楽しませてもらった。 特に新聞紙を折ると・・・の部分は私達の一般会話のネタにも十分使えるのでおいしい!! ファシズムの始まりって、こんなものなんだろうな?という説得力のある展開。 いつもながらの個性的な登場人物。 伊坂カラ−満載で、彼の作品以外の何者でもないのだが、いかんせん消化不良の感は否めないように思う。 盛り上がりにももう一つ欠けているような・・・・。 収録2話分の分量で”魔王”を書いて欲しかった。 | ||||
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誰もがおかしいと感じるのに変わらず続く政治の世界、この作品に登場するような政治家を想像したことがある人は多いのではないでしょうか。それを実際に文字に表してしまった伊坂幸太郎さんですが、残念なことに青臭い。 そのような政治家を恐怖の対象にするとひねりやエンターテイメント性はあるものの、あらゆる伏線が最後に繋がる快感を感じさせてくれる彼のそのほかの作品に比べると中途半端でクオリティーは格段に落ちます。政治的内容も読んでいてちょっとイタさを感じてしまいました。なんというか、テーマに深みが感じられなく、ちょちょっと手軽に書いたという印象が。面白くなりえただろうに誠に残念。 | ||||
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この著者のほかの本のように、テンポよく、スタイリッシュな文章で面白く読める。超能力のような不思議な力、超カリスマ的な人物、兄の遺志を継ぐ弟など、ストーリーは、時間は現在だけれど、何か主人公が経験をつんで成長していくロールプレイングゲームみたいに思えた。RPG小説に政治議論のスパイスをかけた、ハイブリッドのエンターテイメントという感じか。 | ||||
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大好きな伊坂幸太郎の書籍が文庫になったので購入。 お金がなくてハードカバーには手がでなかったので、なんとも嬉しい限り。 今作も伊坂テイストは衰えていない。 独特のテンポ、文体はやはり楽しい。 「仲のいい兄弟2人」というキャラクターも見ていて何か嬉しくなる。 「魔王」とはいったい何か・・・。 強健な政治家?なんとなく動いていく世論?それとも、世論によって動かされる一般大衆か? 自分なりに「魔王」の定義について考えさせられる。 終盤からラストにかけては、ちょっと歯切れが悪かった。 と思ったら、続きがあるみたいなので、そちらに期待。 | ||||
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本作品は少年サンデー連載の「魔王」の原作です。但し、根本に流れる思想はほぼ同一ですが、かなり違うものです。 ・表紙及びタイトルは悲壮感じみていますが、本書内容は「文学」的です ・読後感も結構爽やかですし、サクサク読めます ・自分でしっかり考え、周りに思考停止状態で追随しないようにしよう、と思います 私はコミックを読んで、原作を読みました。 どちらも良い作品だと思います。 お勧めします! | ||||
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読んでいて、熱くなる本でした。 エンターテイメント性が思ったより高かったです。 どろどろしたものもあるが、読後感は悪くない。 | ||||
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日本人とマスコミ・政治家との関係をシニカルに描いた「魔王」と、その五年後の様子を眺めた「呼吸」という、登場人物の同じ二つの小説から構成されています。前者が問題提起、後者がその結果と言ってもよいでしょう。 例えばインターネットで検索して「答え」を見つけることで満足していたり,提供された選択肢のみから「答え」を選ぶだけで別な選択肢をみつけようとはしないといった、「自分で考えることをやめてしまった」という最近の風潮が指摘されています。その危うさを独特の舞台設定で伝えてくれる本でした。 | ||||
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若者達の政治議論に新鮮みも何もない。 ネットで腐るほどリピートされる書き込み内容。 小説でそんな稚拙なものをダラダラ読まされるとは想像もしなかった。 あとがきを読むかぎり、煽動されがちな世間の人々に流されない 兄弟二人を描いている? でも彼らさえステレオタイプな台詞しか言っていない。 自分には兄弟二人とその周辺の人間に何か境界線があるとは思えない。 超能力の設定も何の味付け効果があるのか謎。 | ||||
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俺はかなり好きです。 今回は哲学してますね。 他の方のレビューにも書いてあった気がしますが、 確かにこの作品は純文学に近い。 といって純文学ってなんだ?って言われりゃ漠然としてはいますが… 政治・集団心理・日本人とかそういったものを自問自答しながら追ってってます。 ドコにも落とし所のない感じが純文学という感じ? いつものように皮肉とユーモアはそのままで 重たい内容を今までより重たい描き方をしてる。 もしかすると、より伊坂幸太郎らしい作品なのではないかと邪推します。 | ||||
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ナイフを持った男、銃を構えた兵士、 迫りくる炎、猛スピードで向かってくる車、 といったような、具体的に恐怖を感じられる ものではない、漠然とした恐怖が描かれている ように感じた。 ヒトラーは悪の化身に思えるかもしれない。 しかし、それは集団心理が生み出した、 自分たちの思いを代弁してくれるだけの マリオネットや象徴としての価値しかなかった のかもしれない。 もしそういった象徴がいなくなったとしても、 実際には集団心理という実態のないものが 存在し続ける限り、恐怖は存続する。 そういった流れが、今後の『モダン・タイムス』で 描かれる「システム」にもつながっているのかもしれない。 本書を読む上ではストーリの本筋には影響しないが、 『死神の精度』を事前に読むことが望ましい。 | ||||
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現在の日本の状況から、もしカリスマ性と強いリーダーシップをもった政治家が現れたら?誰もが望むことでしょうが、心地よい言葉に盲従し、マスコミが垂れ流す嘘に振り回されてしまうとどうなるか。多くのひとは命令されることを待っている。インターネットの進んだ現代では、考えることさえ面倒になり、答えを検索し、コピペする.それが正しいか、間違っているかを考えない.その先にあるものが、恐怖政治だとしても。幸運なことにヒトラーやムッソリーニや毛沢東やスターリンやポルポトや金日成のような人間はまだ日本には現れていない。しかし、そのような政治家を待望するような空気に満ちていることは確かだ.情報を吟味し、よく考えることを日頃から身につけておかなければならないだろう.非常に面白い内容だったが、まだ途中であり、次作、モダンタイムスで結果が示されるだろう。楽しみである. | ||||
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以前からの伊坂氏のファンであった方ならばきっとハードカバー版をお持ちのことでしょう。そういった方も、小学館刊行の漫画で興味を持った方も、充分買う価値のある文庫版です。なぜなら、主人公たちの台詞等で幾つかの変更点があり、「エソラ」で発表されたときから四年近く経った氏の思想の変化を感じ取ることができるようになっているからです。私は漫画版からハードカバー版、そして文庫へと進んでいった人間ですが、ハードカバー版を読んでから文庫版を読むと、特に「呼吸」での潤也の最後の台詞が感慨深く感じます。詩織同様、不思議な安堵を覚え、こちらまで勇気を与えられる……そんな感じでしょうか。 決して後味の良いだけの作品ではありません。「魔王」のラストなどはとても悲しいものです。それでも力強く爽やかで、心を震わせる感動がある。この力こそがまさに伊坂小説の魅力でしょう。 文庫版あとがきで、氏は「特定のメッセージはない」と書かれています。しかし、安藤の迷いや潤也の生き方、犬養の言葉などは、皆、読者に対する「考えてください」という真摯なメッセージなのではないでしょうか。文庫版では330ページから333ページにおいて書かれている犬養の発言は、まさにそれです。説教臭さよりも何よりもまず、小説家・伊坂氏の真摯な考えを感じさせる台詞。2008年9月現在、日本のみならず世界中の政治が揺れている今だからこそ、普段、惰性で政治を眺めている人たちに読んでほしい傑作です。 | ||||
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安藤兄弟が特殊能力をどう使っていくのか楽しみながら読めた。アメリカ、中国との外交問題、日本国憲法第9条の武力放棄の法律改正など、政治的な話も分かりやすく表現されており、非常に読みやすかった。ただ、弟の潤也が今後どうやって世界を変えていくかという話を期待していたのにあっけなく終わってしまった結末がちょっと残念だった。 | ||||
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伊坂さんの作品はどれも読んでいますが、これもとても好きな一冊です。 清潔で、強いのです。もちろん、夢中になって読めるおもしろさです。 ここには、特殊な能力者たちが登場しますが、ある意味では、「だれもが持つ能力」のように、私には感じられます。 だれもが、そんな力を、自覚するか、見ないふりをするか、そして、気づいたときに、どちらの方向に使うのかは、選ぶことができます。 政治性というよりは、「だれもが、世界を選ぶことができる」、そんなメッセージを感じました。 | ||||
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伊坂幸太郎のファンなので、この作品を手に取りましたが、いまいち・・・・ 政治色が強く、兄弟の超能力も物語の中でそんなに意味があるのか良くわからず・・・ 何か中途半端な感じが強かったな〜〜。 次の作品に期待します。 | ||||
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インパクトあるタイトルの本書『魔王』は、表題「魔王」とそれに続く「呼吸」という2作品から構成されている。扱われている内容はきわめてデンス(濃密)かつディープ(深遠)だ。ファシズムの意味論、大衆迎合主義の問題性、米国や中国との緊張関係、アジアにおける日本の位置、憲法論議など、犬養首相の言葉を借りれば、「読者は本書を読む覚悟ができているのか」と言いたくなる。 本書の評価は、今後の日本を見据えるうえで決して回避し得ないそうした重要な諸問題に対する、国民(ないしは一個人)としてのそれなりの見識を有していることが前提になっている印象を受けるからである。むろん本書を通じて、自分なりにあらためて問い直すことは可能であろう。 前半の「魔王」よりも後半の「呼吸」のほうが私は好きだ。それは、清々しい大空とそこを自由に羽を拡げて雄飛する鷹といった自然描写が、乾き切った人間社会との鮮明な対称性をなしているせいかもしれないし、ストーリー展開における「目線」が亡くなった兄の弟の妻に移ったことで、ある種の柔らかさを帯びたことによるのかもしれない。いやそれ以上に、兄の信念・使命が弟に継承=バトンされてゆく緩やかなダイナミズムが巧みに描かれているからではないか。若い頃に両親を同時に失った兄弟間に生じた関係・心情をどう表現すべきか難しいが、永遠に心のなかで生き続けるであろう兄への「敬愛」ともいうべき価値観は尊い。社会現象に対して「諦観」や「無関心」でいることへの危険性を兄は誰よりも憂い、その姿勢は確実に弟に引き継がれてゆく。 「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、水に流されないで、立ち尽くす一本の木になりたいんだよ」(278頁)という弟の主張は、兄の生き様を反映した発言である。犬養の「おまえ達のやっていることは検索で、思索ではない」(263頁)というセリフも私には響くものがあった。本書の含意は実に深い。 | ||||
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これは魔王についての物語です。 では魔王とは誰なのか? 最後の最後で明らかになります。 前編を通じてさわやかでほのぼのとした雰囲気が 最後の一瞬だけ凄絶な血と炎の色に染まります。 これは魔王覚醒の物語です。 | ||||
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