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魔王
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魔王の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全35件 1~20 1/2ページ
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日本国憲法第九条。 日本が誇るべき平和憲法という声もあれば、米国から押し付けられた憲法・(自衛隊という軍隊をもって)実態にそぐわない憲法という声もあります。 こうした憲法を、是々非々で議論し、必要ならばしっかり変えて行こう、と主張するリーダーが現れたら、皆さんならどのように反応するでしょうか? ・・・ 本作は、そのような歯切れのよい強烈なリーダーが日本を変えようとし、人々が一方向に進みつつある状況に挑む、ちょっとした力を授かった男と、その家族の話です。 ・・・ 二部構成で一部はそのちょっとした力を持つ安藤(兄)の話。ファシズムが忍び寄る世の中に、どのようすれば流れを変えられるのか、と思案しつつ、己の『力』で状況を打開しようとします。その正義感や倫理観が伊坂作品らしいですね。 そして第二部は安藤(弟)の奥さん、詩織ちゃんの視点。安藤(兄)が死んでから5年後の日本の話です。ぼんやりしていて、ちょっと頭が弱めなキャラ設定の詩織ちゃん。その心根の良さと真っすぐさで、ファシズムの異論を許さない雰囲気への恐怖や、日本の改憲論議で人々が分裂していく様を、じんわりと俯瞰的に、ある意味他人事的に表現しています。 ・・・ そんなんですので、すわ日本批判かとか思ったのです。さしずめ首相犬養のモデルは小泉元首相とか橋本元大阪市長あたりかなと。無批判に歯切れのよいリーダーに従う衆愚を批判したのかと思ったのです。 ところが筆者自身による解説によると、単にその不穏な雰囲気を書いてみたかったそうで、まあその雰囲気は伝わりました、はい。自分と意見の違う人に対して、受け入れるより説得にかかろうとする人とか、たまにいますが、確かに面倒だなあって感じながら読みました。ま、うちの奥さんもそのタイプです笑 ・・・ 話の筋的にはややSFチック、ディストピア的ですが、伊坂作品らしい真っすぐな登場人物の行動が気持ちよい作品です。ただし、従前のびっくりトリック的な展開は少ないかな。そうしたツイストを期待しているのであれば、本作は全く異なる毛色の作品であります。 ・・・ ということで一風変わった伊坂作品であったかもしれません。 ひょっとすると、民主主義とか、マスコミ・ジャーナリズム・政治・投票・意見の多様性とかについて中高生くらいに考えてもらう際に読んでもらっても良いかなあと感じました。寓話的に読んでもらった方が、議論に入りやすそう。 個人的には十分たのしめましたが、純粋なエンタメを求めるのならば、先ずはスキップした方がよさそうな伊坂作品かと思います。 | ||||
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面白さ、完成度は劣ると感じた。これといったどんでん返しがないためだと思う。また出てくるキャラがあまりセリフなどに特徴がないのも気になった。同じような人物が多い。 | ||||
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ありえないようでありえそうなのが伊坂マジックだなーと思わせるような作品。厚みがある作品ですがすらすらと読めてしまいます。 | ||||
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魔王が何を指すのか、作中では最後まで明らかにはされません。 全体主義を予感させる新進気鋭の政治家なのか、自分の思ったことを相手に喋らせる「腹話術」の能力を持つ兄なのか、ジャンケンなどの確率に滅法強い弟なのか。 あるいは、魔王とは否応なしに大衆を取り込んでいく時代の空気なのか。 そこにある違和感や危機に対して敢然と立ち向かうのか、静かに生きてそのときを待つのか、兄弟で異なる立ち向かい方も、また示唆的でした。 張り巡らされた伏線を読み解くために、続編の『モダンタイムス』を読むことになるのでしょう。 | ||||
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不思議な力や死者の乗り移りなど,ファンタジ要素を緩衝材にしたとでも言いますか, 著者ならではの読みやすさを前に出しながらも,実際にはメディアに踊らされる国民や, 今の状況を見失い,気が付いたときにはすでに…と,国民投票に揺れるこの国を描きつつ, あふれかえる情報の取捨選択をはじめ,選ぶ側の我々が多くを問われているように映ります. 一方,熱しやすく流されやすい大衆に対し,引いた立ち位置で考えることを繰り返し, 『正しい側』のように映る主人公の一人ですが,いささか度を過ぎて見えることがあり, 裏側を読みすぎての失敗など,彼の行動も『正解』というわけではないように思えました. その反面,政治家はずる賢いや,醜い大人など,今さら感のあるやり取りには首を傾げ, 能力が関わる部分についても,そちらではなく,あくまでも取っ掛かりと解釈をしつつも, 不明瞭な点がいくつも残されており,読む側に少し解釈を委ねすぎにも感じてしまいました. | ||||
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題名どおりです。。。序盤から中盤ぐらいまで、結構面白かったのですが、 中盤以降段々と別のストーリーになっていくような。。。 最後の終わり方も中途半端すぎて、ラストページでは”えっ?終わり?”って感じで終わってしまいました。 | ||||
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20150808読了 「お前たちがやっているのは検索で、思索ではない」が心に残りました。 私自身も、特にインターネットは使う側の知性が試されている、と考えているので。 自ら考えて判断することの大切さ、そしてそれができないことの愚かさや恐ろしさを感じます。 憲法関係の話題もあり、国民の三大義務(子供に教育を受けさせる、勤労、納税)と三大権利(教育を受ける、生存、参政)の両方に教育が入っていることを改めて考えさせられました。 | ||||
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面白くなくはないのだが、小説には「明解で軽快で読後感よし」を望むので、不消化感と体力削がれた感が強い。 | ||||
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グラスホッパーを読んでから、魔王を読みました。伏線の使い方は相変わらずうまいように感じ、伊坂さんは日常生活の中に伏線を隠す傾向があるように思いました。ただ日常生活を読み続けるときは淡々としているだけだったように思います。 しかし、僕が考えないような考え方が多く見られたので興味深く思います。 | ||||
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もっとエンターテイメント性がある作品かと思っていましたが。。。 考えさせられる内容ではありますが、まったく娯楽性はないので、軽い気持ちでは読めないかな。 | ||||
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SF小説ですが、人に自分の思いをしゃべらす内容ですが、あまり面白くなかった。 | ||||
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「馬鹿でかい規模の洪水が起きたとき、おれはそれでも水に流されないで立ち尽くす一本の木になりたいんだよ」 世間がろくに考えもせず雰囲気になんとなく流されて行動することを危惧し、異なる特殊な能力を持つ兄弟がそれぞれ別の時代に異なるアプローチで立ち向かう姿を描く。 大きな流れから少し離れて客観的に見つめなおすことの大切さを改めて気付かせてくれた。 | ||||
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ぐいぐいと一気に読めて結末を楽しみにしていたのに、いろいろ放り投げられっぱなし。残念であります。 | ||||
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比較的短いストーリーの『魔王』、そしてその後日談的な『呼吸』、どちらも不完全燃焼的な終わり方に読者は絶対に『モダンタイムズ』を読もう!と決断するだろう。 なにか事件の起きる前のエピローグでしかないような気がしてならない。 これからドでかい事件が起きるような前触れを感じる2編だ。 紙の真実には驚かされた!思わず計算機をたたいてみた人も沢山いるだろう。 | ||||
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伊坂さんはきっと筒井康隆さんのファンなのだろう。 SFの命は現実との接点にある。と,ぼくは信ずる。 伊坂さんはこの作品で、素晴らしい着想に恵まれた。 「自分の思い通りに,他人に発言させる」 と言う能力だ。 この能力が現実で使えるとしたら,そこに現実が絡んでくるわけだが、 その接点に弱さがある。現実のディティールにリアリティが 欠けるととたんに白ける。 さらに、伊坂さんは「自分の思い通りに,他人に発言させる」 と言うアイディアに,もっとこだわるべきだった。 これじゃあ,名探偵コナンの能力と大して代わりないと自信がなかったのだろうか、 登場人物にこれ以上,予知やテレパスと言った能力をもたせるのは、 ミステリに偶然を増やすようなもので,安易すぎると評価されることになるのではないか。 超能力は元々存在しないものなのだから,偶然という手法を使うのと同等なのである。 着想は大胆に、そしてその着想については禁欲的であるべきではないのか。 | ||||
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2つの中編から構成されている作品。 ある特殊な能力を持った兄弟の話。 前編の『魔王』は兄の話で、 後編の『呼吸』は弟の話。 伊坂作品の兄弟は、 絆の固い場合が多い。 これもご多分にもれず、 2人の絆は固い。 兄は、 思慮深く、その性格のせいで、 慎重になりすぎるきらいがある。 そんな彼が得た能力は、 “他人に自分の好きな言葉を言わせること。” 時代は、政治不信が高じ、 ムッソリーニの再来のような、 押しの強い政治家席巻しようとしていた。 あまりの熱狂ぶりに危機感を感じた彼は、 限られた自分の能力で“世界を変えよう”としていた。 弟は、 温和で、懐が深く、 我が道を行くような、強さを持っていた。 そんな彼が得た能力は、 勝負に勝つ能力。 じゃんけんには負けることがなく、 競馬でも、ある条件さえ満たせば、 負けることはない。 彼もまた、その能力を駆使して、 時代を変えようとしていた。 世間から外れたような恋人との暮らしを送りながら、 兄同様の思いで、 世界に向かおうとしていた。 伊坂作品にしては、 仕掛けられた前ふりが、刈り取られていない印象。 結末を書かないことで、 読者に判断をゆだねているのだが、 ちょっと物足りない気がします。 せめてもう少し、未来を感じ取れるところまで、 書いてほしかったな。 登場人物のキャラ設定が、 リアルではないけど、 おもしろかった。 | ||||
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政治的なメッセージがとても直截的に語られているという印象を持ちました。この半年くらいに伊坂作品を立て続けに読みました。「オーデュポンの祈り」「重力ピエロ」「ラッシュライフ」「ゴールデンスランバー」。どれもメッセージ性はあると思いますが、「魔王」ほど直截的ではなく、何かしらある種幻想的な設定でシュガーコーティングするところがこの作家の持ち味で、魅力だと思うのですが・・・・・。あとがきで本人は否定していますが、ぼくはこの作品から作者の怒りにも似た日本の現状を憂える気持ちが伝わってきました。その点で小説としてあまり楽しめませんでしたので、評価はやや低めです。 | ||||
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良くも悪くもライトノベルだと思いました。 何か意味のあるメッセージを汲み取るとかむずかしいことを考えずに、それっぽく、小難しく、意味ありげで、かっこいい台詞回しを楽しむ作品ではないかと思います。 | ||||
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初出は『エソラ』の2004年12月第一号と2005年7月の第二号。単行本は2005年10月リリース。伊坂の創り出すキャラクタは『何らかの特殊な力』を持っているケースが多い。その最たるものが『死神の精度』の死神千葉だろう。本作の主人公たちも持っている。特に最初の表題作の方は、これって『七瀬ふたたび』のアクティブ・テレパスじゃないか、って正直思った。 ただむしろ感心したのはこの作品で大きく『政治』というものを取り上げたところだ。しかも、リリースされた時期と現実を比較すると、2005年9月11日が小泉首相の郵政民営化選挙なので、本作品の中の政治的状況というのはオバマが『Change』を叫んだり、蟹工船が異常な売れ行きを示した、今の政治的状況に似ている。このあたりの慧眼が伊坂には間違いなくあってスゴイと思う。 ただちょっと気に入らないのは、巻末あとがきで『政治的な事(と見える部分)も全部、著者の乏しい知識と想像力で作られたものです』とわざわざ書いているところだ。むしろ何も語らずこの作品を置いておいた方が面白かったのではないか、と思う。そこが残念だ。 | ||||
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後書きで作者が材料には使ったがテーマではないと断っていますが、「政治」を扱っていることに大変驚きました。浅薄だとの厳しいレビューもありますが、政治の不毛、アメリカとの関係等私にとっては非常に興味のある分野ですので、意外でしたが大変面白く読みました。キャラ設定も相変わらず巧みで、特に犬養首相は際立ってますね。 但し、連続した二つの短編集で更に続編があるからでしょうか、ストーリーの全体観や一連の顛末が見えそうで見えず、デビュー作と同様に非常に想像力を掻き立てられますが、評価のばらつきが正に語っている通り少しだけストレスも残ります。続編も必須かと。 | ||||
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